MotoGP 2019 第13戦サンマリノGPは、イタリアのエミリア=ロマーニャ州にある、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで9月15日に開催されました。一番長いストレートでも565mと短く、中低速コーナーの多いテクニカルなコースです。
目次 この記事の内容
- 好調のヤマハ勢
- 序盤からトップを快走するクワッタハッホ
- 終盤でのドッグファイト
- 強いマルケスと肉薄するクワッタハッホ
好調のヤマハ勢
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ ポールを取ったビニャーレス
サンマリノ共和国は、現存する世界最古の共和制国家です。国土面積は、十和田湖とほぼ同じ61.2k㎡で、世界でも5番目に小さな国です。毎年MotoGPが開催される時には、イタリアのミサノ・ワールド・サーキットで行われていますが、ムジェロ・サーキットで開催される第6戦イタリアGPと区別するため、サンマリノGPと表記されています。
昨年は、ドゥカティ勢が席巻したサンマリノGPでしたが、フリー・プラクティスからヤマハ勢が好調でした。ヤマハ・ファクトリーのバレンティーノ・ロッシ選手のYZR-M1には、カーボンスイングアームを始めとしたニューパーツが導入され、ペトロナス・ヤマハのエース、ファビオ・クワッタハッホ選手も好調をキープしていました。
予選でポール・ポジションを獲得したのは、ヤマハ・ファクトリーのマーヴェリック・ビニャーレス選手、2番手になんとKTMのポル・エスパルガロ選手が入りました。KTMにとって、ベストグリッドとなるフロントロー獲得は、今後の開発にはずみとなる出来事でした。
3位にはクワッタハッホが入り、チームメイトのフランコ・モルビデリ選手は4位で、5位にはホンダのエースでポイントリーダーの、マルク・マルケス選手が入りました。6位には、ドゥカティ・ワークスのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手が入り、6位にロッシで、ヤマハは6位以内に4台のマシンがグリッドを獲得したのです。
その一方で、11位のLCRホンダの中上貴晶選手とマルケスの他にQ2進出している選手のいないホンダや、ドヴィと12位のミケーレ・ピッロ選手以外に元気のないドゥカティは対照的にヤマハ、KTMが目立った予選となりました。
去年の実績や、マルケス、KTM勢が上位に食い込んでいるので、V4マシンが不利だとは言いませんが、今年に限って言えば間違いなく直4のヤマハが好相性のサーキットだと思います。
序盤からトップを快走するクワッタハッホ
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ クワッタハッホはトップをキープする
Moto3で、鈴木竜生選手が接戦を制して優勝しました。転倒者が多く、他の日本人選手は、リタイヤしましたが、最後まで展開の読めないエキサイティングなレースでした!
MotoGPは、ホールショットこそビニャーレスが取りましたが、3周目にクワッタハッホがビニャーレスを抜き、4周目にはマルケスが2位に上がりました。5周目に中上が転倒し、再スタートするも最下位に落ちてしまいました。
マルケスは、クワッタハッホの後ろについて注意深く観察していました。レース中盤には、スズキのアレックス・リンス選手が転倒し、17周目にはモルビデリを抜いたロッシが、4位に上がりました。終盤には、LCRホンダのカル・クラッチロー選手が転倒しました。
終盤でのドッグファイト
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ 終盤でクワッタハッホとマルケスは激しいトップ争いをする
レース残り3周となっても、マルケスはクワッタハッホを抜きません。ファイナルラップのストレートで、一気に抜いてトップになりました。ホンダ RC213Vは、短いストレートでも300kmに近い最高速を出していました。ヤマハ YZR-M1はサンマリノのストレートでは5kmほど劣っていました。
マルケスは、最終ラップで逆転されたここ数戦のレースの経験から慎重に抜くタイミングを計っていたのでしょう。しかし、続く4コーナーでクワッタハッホはマルケスを抜きます。直後の6コーナーでマルケスがクワッタハッホを再び抜きます。
14コーナーでインを閉めたマルケスに対し、クワッタハッホはインから飛び込もうとします。しかし、マルクはそのままインを閉め、クワッタハッホは衝突を回避するために失速をします。ここで勝負はありました。
強いマルケスと肉薄するクワッタハッホ
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ マルケスに速さで対抗できるクワッタハッホ
レースは結局、マルケスが優勝し、2位にクワッタハッホが入りました。3位にはビニャーレス、4位にロッシ、5位にモルビデリと、5位の中に4台YZR-M1が入りました!ヤマハの社長が観戦する中、この結果は満足できるものだったと思います。
6位には、ドヴィが入りポルが7位、レプソル・ホンダのホルヘ・ロレンソは14位でポイントを獲得し、中上はそのまま18位でした。相変わらず、マルケス以外のホンダライダーのポイントは少ないです。HRCのファンからすれば、そこが残念です。
この結果により、ポイントリーダーのマルケスは2位のドヴィに大きく水をあける275ポイントとなりました。93ポイント差あるので、タイGPでマルケスがドヴィに7ポイント以上差をつけるとチャンピオンが決定してしまいます。
しかし、このレースではっきりしたのは、マルケスにスピードで互角なのは、20歳のルーキー、クワッタハッホだということです。予選で速くても決勝で弱い印象があったのですが、シーズン終盤になってレース本番でも強さを発揮しつつあります。MotoGPでの経験も蓄積して自信も持ちつつあるので、これから優勝する可能性が高いです。
天才であるマルケスに対抗できるのは、同じく天才のクワッタハッホだけではないでしょうか?ロッシも年齢による衰えが見られるので、ヤマハはファクトリー待遇について、もう一度よく考えるべきだと思いました。
マルケスだけがチャンピオンシップで、ぶっちぎる展開は面白くないので、クワッタハッホに期待しています!次のレースは、9月22日のアラゴンGPです。
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