凄腕アニメーターの阿部邦博を偲んで

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最近のガンダムシリーズの作画監督や、原画を担当していたアニメーターといえば、阿部邦博です。1980年代の『破邪大星ダンガイオー』や、1990年代の『少女革命ウテナ』など手がけた作品は多いです。阿部邦博が、まだ50歳の若さでこの世を去りました。筆者が見た阿部作品を紹介していきたいと思います。

機動戦士Zガンダム

阿部邦博は、1968年に生まれました。最初の仕事は1985年の『機動戦士Zガンダム』の動画ということになっています。2005~2006年のZガンダムの劇場版では、有名なギャプランからアッシマーの連戦や、最終決戦の原画を担当していました。

Zガンダムの劇場版3部作は、富野由悠季監督が再び編集した作品ですが、1987年の作画と2005年の新規作画とのクオリティには、当然ながら差がありました。

デジタルエフェクト処理により、新規作画と旧作画に違和感のないようにしたとパンフレットに書かれていましたが、阿部邦博の手がけた原画が素晴らしく、昔の作画がかすんでしまいました

劇場版3部作ラストシーンも阿部邦博が担当

阿部さんは、ガンダムMk-Ⅱのハイパー・バズーカの散弾や、百式とアッシマーの格闘戦など見所のある戦闘シーンを新たに書き起こしていました。この作画で全編作り直してくれていたら、劇場版Zガンダムは後世に残る傑作になっていたでしょう。

破邪大星ダンガイオー

破邪大星ダンガイオー』は、1987年から1989年にかけて販売されたOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)です。リアルロボット全盛期にあえて、スーパーロボットを主役メカにするという熱いロボットアニメでした。

制作はAIC(アニメインターナショナルカンパニー)で、2巻より当時AICに在籍していた阿部邦博も参加していました。

また、監督でありキャラクターデザインを担当した平野俊弘の描く美少女とロボットとのコラボレーションは、当時話題になりました。メインパイロットは、4人の中で唯一の男性であるロール・クランのはずでしたが、なぜか主人公は強力なサイキックを持ち、パイロットの1人であるミア・アリスでした。

これは、監督の平野俊弘の趣味ではないかと思います。ちょっとエッチなレオタードがロールを除く3人のパイロットのコスチュームというのも時代を感じます(ダーティペアやキャッツアイなどにも通じる)。

阿部邦博は、OVA2話と3話の原画担当で、戦闘シーンを担当していると思います。作画はOVAのため、質が高くアニメーターの技量には感心していました。当時幼かった僕は、スーパーロボットものとしての本作の熱い志に胸を打たれました。

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、ガンダムの1年戦争からZのグリプス戦役の間に起きた、UC0083年のデラーズ・フリート紛争を描いた作品です。1991年から1992年にかけてOVAとして全13話が販売されています。

まだ完全にアニメーションがデジタルに移行していない時期に、気合の入った作画で魅せるアニメでした。ソロモンの悪夢こと、アナベル・ガトーの生き様にしびれました!監督の今西隆志は完全にジオン派の人なので、連邦サイドはくそめたに叩かれています(笑)。

プラモデル雑誌であるMG(モデル・グラフィック)の企画の『ガンダム・センチネル0079』からのモビルスーツ・デザインが多数流用されていることでも知られる作品です。

阿部邦博は、2、4、6、8、10、12の偶数話の原画を担当しました。この偶数回での作画監督は『機動戦士Vガンダム』のキャラデザで知られる逢坂浩司で、メカニカル作画監督は『蒼き流星SPTレイズナー』の吉田徹が担当していました。ということは、アニメアールのコンビの回での起用が多かったということになります。

超時空世紀オーガス02

超時空世紀オーガス02』は、『超時空要塞マクロス』の後番組だった『超時空世紀オーガス』の続編です。前作オーガスは、『聖戦士ダンバイン』の宮武一貴がメカデザインを担当しました。1983年にオーガスが放送されたとき、主役メカオーガスが4形体に変形するメカとしての印象しか残っていませんでした。

設定がややこしいのもオーガスの欠点なのですが、マクロスがヒットしすぎたため、薄い印象しか残っていなかったのです。1990年代に続編のオーガス02はOVAという形で販売されましたが、認知度は低く知っている人は少ないです。

最近になってようやく全話視聴してみたら、意外といいアニメでびっくりしました。オーガスの続編なのですが、オーガスのストーリーを知らなくてもいい異世界での話しになります。前作との繋がりが強すぎておかしくなってしまった『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』とは対照的です。


オーガスのメカが、アーマーとしてオーガス02の世界に転移しているので、発掘して使用されています。前作との繋がりは、重ロボット兵の大尉くらいです。

しかし、オーガスのSF設定を生かしながら、過去のメカを再登場させ、話をうまくまとめています。展開も読みにくく主役メカオーガス02に主人公リーンが搭乗するのは最終話である6話になってからです。他にもリーンがパイロットとして活躍するのはオーガスのようなリヴリア型アーマーで戦闘する1話冒頭しかありません。

リーンは軍の序盤の諜報活動やヒロインのナタルマを救出したり、生身での活躍?の目立つロボアニメ主人公でした。個人的には、マニング中尉という快男児がお気に入りのキャラです。

監督は、『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』の高山文彦で、阿部邦博はメカデザインや、作画監督として参加しています。脚本がしっかりしていて、なかなかの佳作です。今やシリーズ化しているマクロスには大きく水をあけられているのは残念です。

機動戦士ガンダムSEED

2002年から2003年にかけて放映された『機動戦士ガンダムSEED』のメカニカル作画監督として、阿部邦博が辣腕をふるった回は5、11、18、32、37、42、48話です。他の回でも原画を担当していました。

サンライズ作品での起用が多いアニメーターのイメージのある阿部邦博でしたが、サンライズに在籍していたことはなく、あくまでもフリーのアニメーターとしての参加だったようです。

0083でガンダム3号機デンドロビウムを描いた阿部邦博が、SEEDでフリーダムとジャスティスのミーティアを描くというのは、狙ってやったのだとしたらナイスな判断だと思います。

機動戦士ガンダム00

阿部邦博といえば、『機動戦士ガンダム00』です!ファーストシーズンこそ、OPと1話の原画のみの参加ですが、2008年から2009年にかけて放映されたセカンドシーズンからは、OPとメカニック作画監督を1、6、11、16、21話と他に原画も担当するようになりました。

そして『劇場版 機動戦士ガンダム00-A wakening of the Trailblazer-』では、共同でメカニック作画監督を務めました。ガンダム00は、動きが速くスタイリッシュな戦闘が印象的なアニメです。トランザムを使った瞬間に、各ガンダムの動きが異様に速くなるので、劇場版では戦闘シーンを目で追いかけるのが大変なほどでした。

監督の水島精二が、2018年の”BEATLESS“を製作中に病気療養したとの情報があったので、そちらも心配です。

その他の阿部邦博参加作品について

出典 https://www.amazon.co.jp/

他に、阿部邦博の代表作といえば、『少女革命ウテナ』です。筆者は、未視聴なため今回は解説しませんでした。『吸血姫 美夕』や『アップルシード』、『極黒の翼バルキサス』などにも参加していたようです。平野俊弘やうるし原智志といった美少女キャラの描き方のうまい人と組むこともありました。

最近では、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』や、『龍の歯医者』に参加するなど精力的に活動していただけに訃報は残念です。80年代のOVA作品や、90年代以降のテレビの仕事や、劇場版の作画監督など、素晴らしいアニメーターだったと思います。

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