2018年の春アニメも1クール(12~13話)が終了しました。そこで、2018年の冬アニメの2クールで終了した作品を含めた個人的なランキングを解説していきます。第1話から最終話まで観た作品ばかりですので、ネタバレありとなります。
第1位:銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅
本日からTOKYO MXにて再放送スタートです!第一話「永遠の夜の中で」11:30~、お昼ご飯のお供に銀英伝! #ノイエ銀英伝 pic.twitter.com/JJ0PqFCA0W
— 銀河英雄伝説DieNeueThese (@gineidenanime) 2018年7月8日
『銀河英雄伝説 Die Neue These』は、1980年代の田中芳樹によるSF小説『銀河英雄伝説』をアニメ化した作品です。銀河英雄伝説(略称銀英伝)は一度、1988年から1997年にかけて、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)としてアニメ化されています。
本作Die Neue Theseは、過去のOVAシリーズのリメイクというわけではなく、原作を新たにアニメ化した作品です。
アッテンボローや、ポプランが最初から登場していないことや、アムリッツァ会戦の帝国市民の暴動シーンが、原作準拠の短さになっていることからも前のOVAシリーズよりも、原作に忠実にアニメ化していることがうかがえます。
旧作では、ヤンの後輩で陽気な幕僚のアッテンボローは、初めから登場していました。これは、アニメ化にあたって撃墜王ポプランとともに、人気のあるキャラクターを初めから登場させようとしたためだと思います。
Die Neue Theseでは、アッテンボローもポプランも第12話『死線(後編)』からの登場となっています。ここは、原作ファンとしては評価したいポイントです。
徳間ノベルズ版でのイラストを描いていた、加藤直之のデザインによる戦艦は、そのままのディティールですが、細かい部分がブラッシュアップされています。ラインハルトの艦であるブリュンヒルデや、キルヒアイスの艦バルバロッサはかなりカッコ良くなっています。
対照的に同盟軍側の艦船のデザインの野暮ったい感じは変わっていませんでした(大汗)。帝国側が流線形、同盟側が直線的な箱型というデザイン上の区別は今作でも健在でした。対照的にキャラクターデザインは、大幅に変更されています。
ラインハルトはあまり変更が無かったのですが、温厚な感じだったキルヒアイスは切れ者風のイケ面キャラになり、ヤンは冴えない感じを幾分減らした2枚目になっています。シェーンコップが、渋めのおじさんキャラから若々しいスタイリッシュな姿になっていたのは衝撃的でした。
個人的には、「銀河の歴史がまた1ページ」の次回予告時のキャッチフレーズは、やって欲しかったです(涙)。しかし、プロダクション I.Gによる見事な作画や、艦隊戦の進化した表現は大いに評価できます。今回のアニメ化は、作画だけにとどまらず、原作を忠実に再現しようとする点が評価できます。
前のOVAシリーズのキャラクターデザインと声優のイメージが強くて、ついつい比較してしまいました。今回のアニメも、毎週楽しみにしていたので、旧作ファンでも充分楽しめる内容となっています。
今回の1クール目の『邂逅』は、全12話でアムリッツァ会戦の中盤までやりました。これは、原作でいうところの1巻214ページ(旧トクマノベルズ版)というところで、このままのペースだと残り9シーズン必要なことになります(大汗)。
監督は、『黒子のバスケ』の多田俊介、シリーズ構成は、『将国のアルタイル』の高木登、アニメーション制作は、松竹とProduction I.Gです。2クール目の『戦乱』は、3部作として先行上映される予定です。
第2位 東京喰種:re
出典 https://www.marv.jp/special/tokyoghoul/index.html
『東京喰種:re』は、ヤングジャンプ連載の石田スイの同名漫画のアニメ化作品です。前作『東京喰種』、『東京喰種√A』に引き続き、3期目にあたる今作では、佐々木排世という人格となって、CCGの捜査官となった金木研が主人公です。
原作の石田先生の荒々しいタッチのファンなのですが、アニメになってより洗練された戦闘シーンや、声優の熱い演技によって良作だと思います。√Aと異なり、原作を忠実にアニメ化している印象を受けました。
原作既読の人なら解ると思いますが、これから折り返しのreの2期(全体では4期)で、最後までやるつもりでしょう。しかし、その場合例の急展開もやるのでしょうか?2期のキービジュアルには、崩壊した東京が映っています。
2期の予告編によると、本編中のハイライトである対有馬戦は確実のようです。今期アニメの中でも、原作既読でありながら楽しめた作品の一つです。折り返し地点を、対エト戦と、カネキの覚醒で終わらせたのはいい判断だと思いました。アニメーション制作はstudioぴえろ、監督は渡部穏寛です。
第3位 多田くんは恋をしない
出典 http://tadakoi.tv/index.html
『多田くんは恋をしない』は、アニメスタジオ、動画工房制作のオリジナルアニメです。『月刊少女野崎くん』のスタッフが、多く関わっているアニメで、監督は山崎みつえです。
ほのぼのコメディー作品なのですが、主軸は主人公の多田くんと、ヒロインのテレサの恋愛ものです。タイトルやキャッチフレーズの「この恋を、一生忘れない」からてっきり悲恋ものだと思っていました。
ヒロインのテレサはヨーロッパのラルセンブルク(架空の国)の王女で、生まれたときから決められていた婚約者のシャルルと結婚して女王になるつもりでした。留学先の日本で、多田くんに恋をしてしまい、急に国に帰ってしまいます。
しかし、日本から追いかけてきた多田くんの告白によって、想いを確かめあった後、シャルルが身を引いたおかげで(しかもテレサを傷つけないやり方で)、再び日本を訪れ多田くんと再会するというハッピーエンドが意外でした。
全体的に1クールでよくまとまっていて、キャラも全員いい人ばかりの清々しいラブコメでした。ピン先輩と委員長の恋の行方などをメインにしたスピンオフなども制作してもらいたいです。
第4位 ゴールデンカムイ
出典 http://www.kamuy-anime.com/
ゴールデンカムイは、ヤングジャンプに連載している野田サトルの冒険活劇漫画(ときどきグルメ)です。明治期の北海道を舞台にしており、アイヌ民族(北海道の民族)の文化や風習なども織り込まれています。
ヒロインのアイヌの少女アシリパは、狩猟に長けており、食料の調達や調理では常にリーダーシップをとっています。主人公の不死身の杉元は、主に戦闘面でリードし、脱獄王白石は、お笑い担当です。
アイヌの隠し金塊を巡って、土方歳三(戊辰戦争を生き延びていたという設定)や、陸軍第7師団などが暗躍し、敵味方が入り乱れる展開となっていきます。今回のアニメでは、1クール12話で7巻途中までのストーリーを展開しました。制作はジェノスタジオで、監督は難波日登志です。
そもそも単行本14巻で、ヤングジャンプで連載の終了していない尺の長い漫画ですので、1クールで終わるわけはありません。東京喰種同様に、原作の途中まで1クールずつ分割してやっていくつもりなのだと思います。
12話はインカラマッの登場からキロランケの競馬での活躍、土方陣営と尾形の接触まで盛り込まれていて、ダイジェストのようになってしまいました。11話まで丁寧に原作を再現していただけに少し残念です。
全体的には、作画もしっかりしていて原作のテイストも見事に再現されていると思います。個人的にお気に入りのキャラ、白石のダメっぷりがうまく描写されていて満足しています(笑)。2クール目の放送が10月に予定されているので、かなり期待しています。
第5位 ダーリン・イン・ザ・フランキス
出典 https://darli-fra.jp/
始まる前から期待していたのが、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』です。2018年冬からの2クールのオリジナル作品ということで、制作にも気合が入っていました。
『キルラキル』、『キズナイーバー』のTRIGGERと、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、『アルドノア・ゼロ』のA1-Picturesの共同制作ということもあり、今年の覇権アニメになるのではないかと思っていました。監督は錦織敦史、キャラクターデザインは、『あの花』、『君の名は。』の田中将賀です。
最初の疑問は、ロボものなのに女性のようなフォルムのフランクスという汎用人型兵器のことです。主に女性が前に、後ろに男性を配置して操作するという形なのですが、操縦桿が前傾姿勢の前の女性の腰部にあるというのが、何かのジョークのように思えました。
せっかくのロボものなので、フランクスをもう少しカッコいいデザインに出来なかったのでしょうか?ここから少しセンスがずれているように感じていました。話の展開は、叫竜と呼ばれる人類を襲う敵から、パラサイトという少年少女の操縦するフランクスで防衛するというものです。
エヴァのゼーレみたいな連中が、人類のトップにいたので、必ず何かあるなと思っていました。まさか、最終話手前であそこまで急展開になるとは思わなかったのですが。
この話は、基本の話の流れは変わりません。主人公のヒロとヒロインのゼロツーがすれ違っては、13部隊が危機に陥り、仲直りしたら謎のパワーで逆転します。戦闘の合間に13部隊の日常が描かれ、仲間としての絆を深めていくという感じです。
第19話の『人ならざるモノたち』で、フランクスの開発とAPEと呼ばれる天才科学者による機関の成り立ちなどが描かれます。この回を差し挟んで、最終決戦に向かうのですが、ここから歯車が狂い始めていたと思います。
どう考えてもAPE主導の世界は歪んでいて、それに手を貸していたフランクス博士の罪も重いです。マグマ燃料が、先住種族の叫竜人たちの残した遺産であり、フランクスも叫竜をベースに作られたものだったのです。
中盤くらいからAPE支配の体制に疑問を持ち、徐々に叫竜と共闘していくパターンの方が、カタルシスがあったのではないでしょうか。最終話の直前の数回で、いきなりAPEと敵対というのは、伏線が若干あったとしても不自然すぎました。
しかも、APE側の数名が実は宇宙からの侵略者ビルムの手先であり、叫竜人達はそれに対抗するために、スターエンティティという巨大な兵器を製造していたというのです。結局主役メカストレリチアが、スターエンティティを乗っ取ってストレリチア・アパスとなって叫竜と共にビルムと戦うという超展開になりました。
そこから先は、『トップをねらえ!』のような宇宙での大規模戦闘です。ストレリチア・アパスは、転移ゲートを通ってビルムの本拠地に爆弾を使って特攻します。ビルム本星は破壊されますが、ビルムは実体を持たない思念体ですので残っています(ここも消化不良でした)。
地球に魂が還って、転生したヒロとゼロツーが出会って、メデタシ、メデタシって何だそれ!途中の間延びした話をカットして、SFらしい展開の後半に説得力を持たせて欲しかったです。
特に、遺恨のあるはずの叫竜の姫との和解の過程が雑で、ビルムの連中も正体をばらすタイミングが悪すぎます。色々と突っこみどころしかないような作品になってしまったのが残念です。
しかしながら、作画の質の高さや、戦闘での盛り上がりなどいいところもありました。女性型のロボットは、『マジンガーZ』のサポートメカ、アフロダイAという先祖がありますが、主役メカとしては、もの足りないところがありました。
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