2024年夏アニメレビュー後編:ロシデレ〜マケインまでの7作品をレビュー!

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前回に引き続き、2024年夏アニメレビュー後編となります。後編は『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』、『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 』、”NieR:Automata Ver1.1a”、『逃げ上手の若君』、『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』、『負けヒロインが多すぎる!』、『真夜中ぱんチ』の7作品をレビューします。

目次 この記事の内容

  • 時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
  • なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?
  • NieR:Automata Ver1.1a
  • 逃げ上手の若君
  • ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで
  • 負けヒロインが多すぎる!
  • 真夜中ぱんチ
  • 豊作ではあるが、原作ものが強かった夏アニメ

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん

『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』は、燦々SUN(さんさんさん)によるなろう小説が原作のテレビアニメです。ロシアと日本のハーフの美少女、アーリャが、隣の席のやる気無さそうな少年久世とのやり取りを中心にしたラブコメです。

アーリャは久世にロシア語で本音をボソっと話すのですが、それは自分の気持ちを伝えられない、いわゆるツンデレ属性故です。久世は、本当はロシア語を理解しているのですが、アーリャに恥をかかせないために黙っている、という構図です。

この記事の動画バージョンです。

つまりヒロインは自動的に、久世に対する好意の気持ちがダダ漏れなまま、色々やらかしているのですが、久世はそんなアーリャを気づかってフォローしつつも、内心でツッコミを入れる、という関係になっていきます。

言語上でのこういったすれ違いは、英語だと把握できる高校生がいる、と仮定されるので、ロシア語というのはいいところに着眼しているなと思いました。アニメーション制作は『月刊少女野崎くん』、『夜のクラゲは泳げない』の動画工房で、監督とシリーズ構成は『可愛いだけじゃない式守さん』の伊藤良太です。

アーリャの魅力を伝えられる作画も素晴らしく、脚本も飽きない展開で、とても楽しく視聴できました。よって星は4、佳作認定です。これからの展開が気になるので、制作の決まった2期が楽しみです。

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 

『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?』は、細音啓(さざねけい)によるMFJ文庫で完結した小説が原作のテレビアニメです。ラノベ原作者としての、細音啓作品はキミ戦や『神は遊戯に飢えている。』などがあります。

ファンタジーとSFを混ぜたような世界なので、ファイナル・ファンタジーの6以降のような世界観といえば理解されやすいと思います。五種属大戦という、人類を含めた異なる種属の戦争が終わり、人類が勝利した世界から、主人公のカイは人類が敗北した世界に記憶を持ったまま移動します。

カイ以外の人々は、元の世界の記憶を持たないという、まさにタイトル通りの出来事が起こり、五種属の中に含まれない少女リンネと出会い、他の種属の英雄と戦う、というストーリーです。

アニメーション制作は、『弱キャラ友崎くん』のproject No.9で、監督は南川達馬、シリーズ構成は杉澤悟です。ストーリーは面白かったのですが、作画があまり良くなかったのが残念でした。よって星は3です。

特に戦闘シーンでの動きの少なさ、人物と背景のパースなど、予算がかけられていないことが分かる出来で、もう少しなんとかならなかったのかな?と思いました。

NieR:Automata Ver1.1a 

“NieR:Automata Ver1.1a”は、テレビゲームのヒット作、NieR:Automataのアニメ化作品です。第1クールが2024年1月に放送され、第2クールが夏に放送されました。第1クールは、ゲームでも2Bが主人公としてストーリーを展開させるところまででキリのいいところで終わっていました。

この2クール目は、9SとA2を主軸に展開していきます。このあたりはゲームでも、やられていたことなのですが、16話からこの流れに入ってきます。バンカーの崩壊と2Bの死により、9Sは心が壊れていきます。対照的にA2はパスカルの村で平和を愛する機械生命体のコミニティの子供達と交流していきます。

つまり1クール目とは逆に、A2が機会生命体のことを理解するようになり、逆に9Sは破壊衝動に突き動かされていきます。そんな中、巨大建造物に侵入するため、9Sは奮闘します。窮地に立たされる9Sですが、そこでデボルとポポルに救われます。デボルとポポルは9Sを塔に送り、大量の機械生命体と戦い散っていきます。

そこで9Sが見たものは、人類が滅んだこと。ヨルハ部隊の戦いは、ただのカモフラージュであったことでした。赤い少女は、機会生命体のネットワークから生まれた概念人格でした。

遅れて塔に入ったA2は、9Sが心を壊し、ウィルスに汚染されていることを察知します。そこで行われる最終決戦!9Sの右腕を切り勝利したかに見えたA2ですが、逆にハッキングされます。しかし、9Sの幻影を打ち破り、逆に9Sの記憶を見たA2は9Sを救う選択をします。

そこで機会生命体であったものや、概念人格達は方舟に乗り、別の場所に旅立っていきます。9Sを救ったA2は崩壊する塔と運命を共にし、9Sを運んだポッドはヨルハ計画を遂行するために集まった無数の同胞と戦います。その時のセリフがカッコ良く、ここまで見ていて良かったと思わせるものでした。

ラストの描写は断片的でしたが、ゲームのEエンドにあたるようで、その後のストーリーっぽいものも見れました。つまり、9Sは復元されデータを修復された2Bと共に新天地を生きる、というものでした。救いのあるエンドでよかったのですが、初見だと分かりにくかったので、2回見ました。

アニメーション制作は、あの花のA-1 Pictures。監督は益山亮司で、シリーズ構成もニーアシリーズのディレクターのヨコオタロウとの共同であたりました。作画は流石に、A-1 Pictures!アニオリ展開もあり、素晴らしい2クール目だったと思います。よって星は4.5で名作認定。ゲームを最後までやってみたくなりました。

逃げ上手の若君 

『逃げ上手の若君』は、松井優征による、週刊少年ジャンプで連載中の同名漫画が原作のテレビアニメです。時代は、鎌倉時代末期、後醍醐天皇と足利尊氏(当時は高氏)によって元寇の乱で北条は敗れ、その遺児である北条時行は命を狙われるようになります。

窮地の時行を救ったのは、信濃国の諏訪頼重でした。時行は、逃げる時に卓越した能力を発揮する特技があり、追手の追撃を振り切っていきます。そして諏訪にて逃若党という郎党を結成し、同年代の若者と共に再起を図るようになるのです。

史実に則っているのですが、キャラクターの造形はかなり個性的です。主人公の時行は、可愛らしい少年というショタ属性が持たされているし、巫女の雫は神秘的な少女、諏訪頼重は策略に長けているものの、かなりクセの強い人物として描かれています。


また南北朝の英雄、足利尊氏は恐ろしい人物として極端なほど演出されていました。太平記などの大河ドラマとは違う人物として描かれています。まるで魔王、つまり織田信長のようなエキセントリックなカリスマとしての尊氏像に驚きました。

アニメーション制作は、『ぼっち・ざ・ろっく!』のClover Worksで、監督は山﨑雄太、シリーズ構成は『その着せ替え人形は恋をする』の冨田頼子です。作画も良く、テンポもいい、歴史ものにありがちな重苦しさもないので、とても楽しく見られました。よって星は4.5名作認定です。

第二期の制作が決まっているので、今から楽しみです!できればこのままのスタッフでやって欲しいと思います。

ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで

『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』は、篠崎芳(しのざきかおる)原作のラノベを元にしたテレビアニメです。異世界にクラス毎召喚された三森灯河は、最低ランクの勇者として廃棄されそうになります。この召喚した女神がとにかく性格が悪いです。

そして、絶対に生き残れない、と言われている遺跡に飛ばされ、そこで灯河のスキル、状態異常で強敵を倒していきます。ダンジョンに残された冒険者達の手記から、女神に対抗するため、トーカはダンジョンを出てそこで知り合ったセラスという女騎士と旅をするようになります。

極端な悪人とか、力を過信する強者などが出てきます。主人公の状態異常の麻痺とかポイズンで一瞬で屠られるのですが、相手を射程圏内に誘き寄せたり、スライムを使って遠隔で状態異常を付与する、などの条件が必要になります。

異世界で酷い扱いを受けた主人公の復讐のストーリー(いわゆるざまあ系)となると『盾の勇者の成り上がり』などがあります。最近のなろうは、そういう作品が多いようにも見えます。

アニメーション制作は、『ブルーピリオド』のSeven Arcs、監督は『テラフォーマーズ リベンジ』の福田道生(ふくだみちお)、シリーズ構成は『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の中西やすひろです。

星は3.5です。もう少し作画が良ければ評価も高かったのですが、話の内容は面白かったので視聴していました。

負けヒロインが多すぎる!

『負けヒロインが多すぎる!』は、雨森たきびによるガガガ文庫で掲載中の小説が原作のテレビアニメです。略称はマケイン、なんというか、話はそのまんまです(笑)。つまり負け属性の幼馴染キャラとか、最初から恋人のいる男性に横恋慕するヒロインだったり、様々な意味での負けヒロインが登場します。

普通の男子高校生出ある温水が、クラスメイトの八奈見がフラれる現場を目撃してしまい、そこから焼塩、小鞠と立て続けに、負けヒロイン属性を持った少女と関わるようになります。

秀逸なのは、メインのマケイン、八奈見さんの描写です。この女、とにかく面倒くさい!おまけにお菓子を大食い(やけ喰い)する!でも可愛いし、芯は悪くない少女なので色々許せてしまいます。八奈見さんに色々振り回されつつも、しっかりサポートする温水君といいコンビです。

エンディングが昭和の曲のカバーソングが多く、そういう意味でも毎回楽しめられました。アニメーション制作は説明不要の老舗スタジオA-1 Picturesで、監督は北村翔太郎、シリーズ構成は『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』の横谷昌宏です。

作画、演出、構成の全てがかっちりハマった夏アニメ!評価は名作認定の星4.5です。マケインという流行語まで作った勢いがあり、2期の制作を待っています。笑って泣けて、素晴らしいアニメでした!

真夜中ぱんチ

『真夜中ぱんチ』略してマヨぱんは、『色づく世界の明日から』、『スキップとローファー』など数々の名作を生み出したP.A.WORKSの手がけたオリジナルアニメです。ぶっちゃけ、P.A.WORKSのアニメは毎回チェックしていて、今回も例外ではありません。

ストーリーは、3人組のYouTuberとして名を馳せていたまさ吉=真咲は、仲間と生配信中に揉めて顔面を殴ってしまい、脱退することとなりました。そして、独自に動画を撮るために訪れた廃病院で、吸血鬼のりぶと出会います。

りぶは真咲の血を好み、その血を吸う条件としてチャンネル登録者数100万人目指して真咲と動画配信を始めます。晩杯荘に住む、吸血鬼の苺子、譜風、十景たちと共に、『真夜中ぱんチ』というチャンネルを立ち上げます。

吸血鬼もの+動画配信というまったく新しいジャンルのアニメで、エンディングも動画配信っぽいネタの歌詞(独白?)でした。あまりにも、時代を先取りしすぎていて、あまり話題にはならなかったのですが、個人的にはこういう時代を先取りするアニメは好きです。

監督は本間修、シリーズ構成は白坂英晃です。星は4佳作認定です。作画も良くて、テンポもいいのですが、色々な面で他の作品に話題が取られた印象があります。

豊作ではあるが、原作ものが強かった夏アニメ

2024年夏アニメも、継続2クールの戦国妖狐と、2.5次元の誘惑を合わせると17作品を視聴しました。それだけ豊作のクールだったのですが、名作認定が3作品、佳作が6作品とレベルの高さが窺えます。

ぶっちゃけオリジナルよりも、原作ものが多い印象です。特に、マケイン、ニーア・オートマタ、逃げ上手若君の3作はレベルが一段抜けていました。

惜しいのは、ロボットアニメ枠で期待したグレンダイザーUで、もっと評価を高く付けたかったです。秋アニメこそ、覇権と呼ばれるような作品に期待しつつ、夏アニメのレビューを締めくくります。

 

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