前回に引き続き、2026年の冬アニメレビューの中編です。中編では、『地獄楽』、『死亡遊戯で飯を食う。』、『シャンピニオンの魔女』、『呪術廻戦』、『正反対な君と僕』、『葬送のフリーレン』、『透明男と人間女』までの9作品となっています。
目次 この記事の内容
- 地獄楽 第二期
- 死亡遊戯で飯を食う。
- シャンピニオンの魔女
- 呪術廻戦 死滅回游 前編
- 正反対な君と僕
- 葬送のフリーレン 第2期
- ダーウィン事変
- 転生したらドラゴンの卵だった
- 透明男と人間女〜そのうち夫婦になるふたり〜
地獄楽 第二期

『地獄楽 第二期』は、賀来ゆうじによる漫画『地獄楽』を原作にしたテレビアニメです。シーズン1は2023年春に、シーズン2は2026年冬に、それぞれ放送されました。
江戸時代に、不死の仙薬を巡り、蓬莱島と見られる島で繰り広げられる戦いを描いています。画眉丸ら死罪人は執行人と協力し、島の中枢に向かいます。そこには、天仙が集まっており、戦闘を避けつつ仙薬の奪還を目指します。
しかし、天仙側の目論みは、仙薬の完成のために外部からの優れた氣を集めることでした。死罪人の一人、弔兵衛から得た情報により、罠を張り迎え討ちます。画眉丸らは、戦闘にそれぞれ入ってしまい、苦戦します。
しかし、事前に備えた天仙対策と弔兵衛が死罪人側についたことで形勢が変わり、それぞれ勝利します。そこに幕府から派遣された山田浅ェ門と石隠れの里からの追手も加わります。
第二期では、クライマックスに向かうところまでとなっています。天仙との死闘はどれも見応えのあるものでした。アニメーション制作は『呪術廻戦』と”LAZARUS”のMAPPAで企画はツインエンジンです。
監督は『賭ケグルイ双』の牧田佳織、シリーズ構成は”NieR:Automata Ver1.1a”の金田一明です。星は名作認定の4.5です。それぞれの目的や強固になる仲間達の絆に熱いバトル展開。掛け値無しに面白かったので、三期に期待です。
死亡遊戯で飯を食う。

『死亡遊戯で飯を食う。』は、鵜飼有志による同名のライトノベルを原作にしたテレビアニメです。デスゲームで賞金を稼ぐ少女幽鬼と、同じくこのゲームに参加する少女達の物語です。
美麗な少女達が、死亡する確率のあるゲームに参加していきます。序盤から説明の少ないゲームであり、どのような手段で生き残り、ゲームをクリアするかはプレイヤーの行動しだいとなっています。
視聴した印象は、とにかく癖が強いことです。3DCGを多用していることは見てとれるのですが、クオリティの高い作画です。耽美的というか、透明性があるというか、少女の時期にしかない瞬間と、張り詰めた緊張感が独特の雰囲気を作っていました。
惜しむらくは、中盤から終盤にかけての時系列の分かりにくさでした。特に最終話については物議を醸すほどで、アニオリ展開らしいのですが、過去の話なのに、それよりも後の話の回想?があるのはおかしいと思いました。
アニメーション制作は、『昭和元禄落語心中』のスタジオディーンで、監督は『義妹生活』の上野壮大(うえのそうた)で、シリーズ構成は『忘却バッテリー』の池田臨太郎です。
星は3.5です。時系列が分かりにくかったことと、世界観に浸れなかったことで、この評点にはなりましたが、作画は素晴らしいと思いました。
シャンピニオンの魔女

『シャンピニオンの魔女』は、樋口橘(ひぐちたちばな)による白泉社のマンガサイト、コミックParkにて連載中の同名漫画を元にしたテレビアニメです。大阪では丁度、このアニメがBS11で放送中に、『葬送のフリーレン』もやっていました。
ファンタジーと魔女、という要素が被る漫画原作のアニメが、同時刻に放送するのも珍しいと思いました。シャンピニオンの魔女は童話的な語り口と、絵本のような作り方で、昼間に放送すれば子供達にもウケるのでは?と思いました。
黒い森に住む魔女ルーナは、毒を吸収し、キノコを生み出す体質でした。黒魔女であり、特異体質であるルーナはシャンピニオンの魔女と呼ばれ、恐れられていました。ルーナは、初恋をしたり、弟子を取ったりして変わっていきます。
童話のような語り口で入る物語ですが、人の持つ未知なるものへの畏れから、世界の歪みを修正している黒魔女が異端視されている、という過酷な話でもあります。ルーナの友人である猫の魔女が処刑される話もありました。
また、弟子にしたリゼが呪いの仔と呼ばれる世界に災いをもたらす存在であること、体制に迎合する白魔女と黒魔女の違いなど、物語は多層的な要素を内包しています。ファンタジーらしい美しい表現もあるのですが、ダークな側面もあります。
ただ、深刻になり過ぎないようにするためか、なぜか関西弁でサボり癖のある、風の魔法使いのようなギャグ要素てんこ盛りのキャラクターも出てきます。とは言え本編は少女マンガらしい心理描写などもあるのでどちらかと言えばシリアス寄りだと思います。
アニメーション制作は、颱風グラフィックスとQzil.laです。監督は久保洋祐で、シリーズ構成は『色づく世界の明日から』、『アオのハコ』の柿原優子です。星は佳作の4です。
作画も良く、丁寧に作られた良質なアニメです。童話みたいな雰囲気で、ぜひ続編をアニメ化して欲しい作品だと思いました。
呪術廻戦 死滅回游 前編

『呪術廻戦 死滅回游 前編』は、芥見下々(あくたみげげ)による週刊少年ジャンプににて完結した、『呪術廻戦』を原作にしたテレビアニメです。第1期は2020年10月から放送しており、死滅回游 前編は第3期になります。
呪術師や呪霊が互いに戦うフィールドとして、ルールのある死滅回游が全国で始まり、虎杖、伏黒、乙骨らは参加することにします。一方で真希は禪院家との決着を付けることとなります。
また、強力な高専生である秤と星崎も虎杖らに協調し、連携することになります。この死滅回游 前編では虎杖が日車と、伏黒がレジィとそれぞれ戦闘します。その顛末の後に乙骨が石流(いしごおり)ら強力な術者や呪霊と戦い、勝利します。
この第3期の大半は、このようにバトル中心に展開していきます。その作画は圧巻でした。アニメーション制作は『この世界の片隅に』、『全修。』のMAPPAで、監督は2期と同じく御所園翔太で、シリーズ構成は『サマータイムレンダ』、『チェンソーマン』の瀬古浩司です。
圧倒的なアクションの作画と、優れたシナリオで星は名作認定の4.5で、第4期も楽しみにしています。
正反対な君と僕

『正反対な君と僕』は、少年ジャンプ+に連載中の阿賀沢紅茶の同名漫画を元にしたテレビアニメです。高校生カップルの恋愛もの、というジャンルになりますが、本作は少し変わっています。
高校生の鈴木さんと谷くんは、正反対な性格でした。友達も多く外交的で可愛らしい鈴木さんに対し、地味な印象で物静かな谷くんは付き合い始めます。ほぼほぼ最初から恋愛が成就してしまいます。
本作が凄いのが、ここから付き合い始めた2人がお互いに丁寧に向き合うようになることです。性格や考え方が違う2人だからこそ、初めて気づくことや変わっていくことがあり、新鮮な驚きと共に仲を深めていくことになるのです。
そんな2人に感化されるように周囲の友人関係も変わっていきます。その過程が自然で高校時代の友人グループの懐かしさのようなものが感じられ、とても爽やかに感じられました。
アニメーション制作は、『さらざんまい』、『アンデッドガール・マーダーファルス』のラパントラック、監督は長友孝和で、シリーズ構成とプロデューサーを内海照子がそれぞれ担当しています。
星は名作認定の4.5です。とても丁寧に原作の雰囲気を出すことに成功したアニメ化で、好感の持てる作品でした。スタジオKAIが制作している、同じ原作者のアニメ、『氷の城壁』ともコラボしています。
葬送のフリーレン 第2期

『葬送のフリーレン 第2期』は、原作山田鐘人、作画アベツカサの週刊少年サンデーにて連載中の『葬送のフリーレン』を元にしたテレビアニメです。第1期は、2023年9月に放送されました。
フリーレン一行は、エンデを目指し北側諸国を旅していました。北方では、寒い地方であるため、物資が不足していたり、強力な魔族がいたりします。いつものようにのんびり旅をしていた一行に、緊急の討伐依頼がきます。
そこで合流した一級魔法使いゲナウとメトーデと共に、神技のレヴォルテを討伐することになります。フリーレンはあえてフェルンに戦闘経験を積ませます。一方でシュタルクとゲナウはレヴォルテと交戦し、深手を負いながらも激闘の末、倒します。
アニメーション制作は、『ワンダンス』と『淡島百景』のマッドハウスで、監督は北川朋哉で、シリーズ構成は『ACCA13区観察課』の鈴木智尋です。斉藤圭一郎から2期では監督が変わりました。
作画も素晴らしく、話も面白かったので、星は文句無しの5、覇権認定です。冬はいいアニメも多かったのですが、その中でも一番、存在感のあるアニメでした。
ダーウィン事変

『ダーウィン事変』は、月刊アフタヌーンに連載中のうめざわしゅんによる同名漫画を元にしたテレビアニメです。人間とチンパンジーの合いの子、チャーリーはヒューマンジーという種として位置付けられていました。
研究者のギルバートと、弁護士のハンナが養父母になり、ハイスクールにも通い始めます。そこで出会った少女ルーシーと仲良くなりますが、チャーリーに対して、良く思っていない学生も多く、偏見もありました。
チャーリーに対して良く思わない学生が多いのは、過激な動物解放運動をしている団体ALAがテロを起こしているからでした。ALAはチャーリーを組織に勧誘するため、あらゆる手段を使います。
ヒューマンジーという存在から、ヒトと他の生物との違いや、法的な扱いの違いなどをリアルに描いています。
実際には存在しない、ヒトとチンパンジーの交雑種を通じて、動物の権利や法的に人権のあるヒトとの違いを考えさせられることになります。アニメーション制作はベルノックスフィルムズで、監督は『永久のユウグレ』の津田尚克(つだなおかつ)です。
シリーズ構成は”PERSONA5 the Animation”の猪爪慎一(いのづめしんいち)です。星は佳作認定の星4です。作画も安定しており、斬新な切り口の話で面白かったです。
転生したらドラゴンの卵だった

『転生したらドラゴンの卵だった』は、猫子によるラノベ『転生したらドラゴンの卵だった〜最強以外目指さねぇ〜』を原作にしたテレビアニメです。異世界転生ものですが、いきなりドラゴンの卵から始まる、という一風変わったストーリーです。
主人公のイルシアは、段々とレベルを上げていき、クラスチェンジすることで姿を変えていきます。仲良くなりたい人間からは、ドラゴンとして恐れられますが、仲間のモンスター黒蜥蜴とは仲良くなります。
後半で人を救うためにイルシアは、邪竜として恐れられる存在にクラスチャンジします。その悲壮な決意により、リトルロックドラゴンにも、影で暗躍していた存在にも勝利します。
アニメーション制作は画狂とFelixFilmです。監督は高村雄太で、シリーズ構成は『ハイスコアガール』の浦畑達彦です。星は3.5です。作画がもう少し良ければ佳作認定していたと思います。
透明男と人間女~そのうち夫婦になるふたり~

『透明男と人間女~そのうち夫婦になるふたり~』は、岩飛猫による同名漫画を原作にしたテレビアニメです。色々な種族が共存している世界で、透明人間が経営している探偵事務所がありました。
透明人間の遠乃眼アキラの事務所で事務員として働く、夜香しずかは人間の女性です。彼女は目が見えないからこそ、遠乃眼のことをよく理解できます。2人は惹かれ合うようになっていきます。
同じ事務所のルナとだいちは焦ったく感じていますが、着実に距離を詰めていき、付き合うことになります。遠乃眼のしずかに対するアプローチは、ちゃんとした大人のものだと感じました。
アニメーション制作は、『弱キャラ友崎くん』、『豚のレバーは加熱しろ』のproject No.9です。監督とシリーズ構成は瀬田光穂です。原作の雰囲気を、温かみのある色彩や線で表現しています。
星は4佳作認定です。アナログ感のある絵作りで、好感の持てるアニメでした。
後編に続く






