仮面ライダーアギト:連作ドラマのようなライダー作品!

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『仮面ライダーアギト』は、テレビシリーズ平成ライダー第2作であり、2001年から2002年にかけて放送された仮面ライダー30周年作品です。前作『仮面ライダークウガ』と同様にストーリー性の高い親子2世代で楽しめられる作品です。

目次 この記事の内容

  • プロデューサーの交代と複数ライダーの登場
  • 謎の多いアギトのストーリー
  • ホンダのバイクが使われたのはアギトから!
  • 進化の因子に組み込まれた変身のメカニズム
  • アギトに影響を与えたマンガ作品
  • 劇場版とアギトのアクションについて
  • クウガとアギトが生まれた背景と影響について

プロデューサーの交代と複数ライダーの登場

 

『仮面ライダーアギト』は、クウガの後番組としてテレビ朝日系列の朝の8:00から放送されました。子供だけでなく、親子2世代が楽しめられる仮面ライダーというコンセプトは継承されましたが、大きく異なるポイントがあります。

まず、メインのプロデューサーが、クウガの高寺成紀から白倉伸一郎に交代したことです。白倉伸一郎は、『真・仮面ライダー序章』で初めてライダー作品に参加し、クウガにもサブプロデューサーとして参加していました。アギト以降の平成ライダーシリーズのプロデューサーとして辣腕を振るっています。

仮面ライダーも主役級ライダーが3人登場します。メインのアギトは、津上翔一という記憶喪失の青年が変身します。津上は、飄々としたキャラクターでした。俳優の賀集利樹のハマり役で、独特のペースで周囲を煙に巻くことが多かったです。ヒロインの風谷真魚の住む美杉家に家政婦のような形で住み込んでいます。

オルタリングと呼ばれるベルトで変身し、クウガのように多彩な武器を扱うフォームチェンジが可能です。近接格闘武器や、キックやパンチといった戦い方をし、一番基本的なライダーのイメージに近い仮面ライダーです。

警視庁のパワードスーツ、G3と強化型のG3-Xを装着する氷川誠は、要潤が演じ、真っ直ぐで不器用な刑事として、アギトと共闘しています。このG3は、クウガの未確認生物と戦うことを想定してG3ユニットの指揮を担当する小沢澄子によって開発されました。

前作、クウガとの関連を匂わす設定ですが、クウガは登場しませんでした。G3は、自動小銃や、ガトリング砲といった重火器で戦うスタイルのライダーです。近接格闘も行っていますが、どちらかと言えば遠距離からの攻撃が多い仮面ライダーです。

ギルスは、野生的な戦い方をする『仮面ライダーアマゾン』をベースにしたようなライダーで、葦原涼という友井雄亮演じる元水泳選手が変身します。ちょっと不良っぽいけど根は優しい不良のバイク乗りといったキャラクターでした。

ギルスの力の根源は、アギトと同質のものですが、大きく戦闘スタイルは異なり、噛みつきや、かかと落とし、鞭といったトリッキーな戦法が得意なライダーです。後の『仮面ライダーアマゾンズ』にも影響を与えたライダーです。

謎の多いアギトのストーリー

『仮面ライダーアギト』の最大の特徴は複数の謎です。

  • 記憶喪失の主人公とそのきっかけとなった「あかつき号事件」
  • ヒロイン風谷真魚の超能力と真魚の父の死の真相
  • オーヴァーロードと呼ばれる全能の存在の正体と目的

無関係に見える全ての事象が、アギトという存在や古代の戦いに繋がっており、これらの伏線は序盤から終盤にかけて、徐々に回収されていきます。つまり、連続したドラマとして楽しめられる要素がアギトにはあり、クウガよりも伏線の多いストーリー性を持っています。

ぶっちゃけ、中盤から終盤にかけて、怒涛の伏線回収にイッキ見したくなる特撮番組です。しょっちゅう死にかけるギルスこと葦原涼はじめ、G3ユニットと同僚の刑事、北條透との対立、記憶を取り戻しつつある津上翔一と、真魚の父の死の真相など、話の展開が面白いので引き込まれます。

アマゾンプライムで視聴し直すと、特撮パートも面白いのですが、それ以上にストーリーで見せる作品だと思いました。クウガが、怪人とライダーの戦いをリアルに描いた作品なら、アギトはストーリー性に深みを持たせた特撮作品だといえます。このアギトのコンセプトは、『仮面ライダーアマゾンズ』にも受け継がれています。

ホンダのバイクが使われたのはアギトから!

仮面ライダーのバイクといえば、昭和ライダーから平成に入ってからの『仮面ライダーJ』までスズキが提供していました(一部違うメーカーのバイクもあり)。前作クウガでは、GASGASパンテーラをメインのバイクで使用し、脱スズキのイメージとなりました。

そして、平成テレビシリーズ第2作のアギトから、ついに2輪業界のトップメーカーであるホンダが車両提供したのです。主人公津上翔一のバイクは、ホンダ VTR1000Fで、アギトに変身してからのマシントルネーダーも同じバイクがベースとなっています。

ホンダのリッタークラスのV-TWINオンロードバイクなので、前作クウガのようなバイクアクションは少なくなってしまいました。スライダーモードという空中を飛行し、サーフボードのような乗り方をするモードに変形し、アンノウンに体当たりするシーンが印象的でした(このシーンはCGが多用されていた)。

出典 https://www.toei-video.co.jp/

G3と強化型のG3-Xには、Gトレーラー(メルセデス・ベンツのアクトロスがベース)から発進する専用バイクガードチェイサーが用意されていました。ガードチェイサーのベースマシンは、1,300ccの直列4気筒のホンダ X4です。

Gトレーラーには、パワードスーツであるG3の装備一式と指揮車としての機能に加えてガードチェイサーを目的地付近まで運ぶ役割があります。ガードチェイサーのカウルのシールドの下には、HONDAのロゴがあります。また、G3用の武器も格納されています。

葦原涼の愛車は、ホンダのトレールバイクXR250で、変身後の専用バイク、ギルスレイダーも同じバイクがベースとなっています。オフ車のため、バイクスタントに向いた車両でした。後年白倉プロデューサーが手がけた『仮面ライダーアマゾンズ』にて、このギルスレイダーを流用し、ジャングレイダーとして登場しています。

ホンダのオフ車であるXR250や、筆者の乗るCRF250Lは平成ライダーのマシンのベース車両として頻繁に使われています。もちろん、それだけがオフ車購入の決め手というわけではありませんが、仮面ライダーのようにアクセルターンやウィリーしてみたいという気持ちがあったのも事実です(大汗)。

ぶっちゃけ、バイクアクションとしては前作のクウガが、トライアルの日本チャンピオン成田匠をバイクスタント担当にするなど凄すぎました。本作アギトでもバイクで体当たりさせたり、ギルスレイダーでウィリーやアクセルターンさせたり、色々とやっていますが、見劣りしてしまいます。

それでも、ホンダのホームコースであるツインリンクもてぎで、この3台が並走するオープニングがあり、ホンダの力の入れようが伝わりました。

アギト以降の仮面ライダーは、必然的にホンダ車に乗ることになります。これにより、平成シリーズ以降の世代は仮面ライダーのバイク=ホンダのイメージとなっていきます。昭和世代の筆者がスズキと言っていると、平成世代からは否定されてしまいます(涙)。

*ここからはネタバレあり

進化の因子に組み込まれた変身のメカニズム

アギトも改造人間ではありません。アギトの正体は、人が進化した姿であり、太古において争ったオーヴァーロード(神のような存在)の闇と光の争いの後、光が人に与えた進化の因子だったのです。

アンノウンの目的は、アギトになるべき因子=超能力を持つ人間の抹殺であり、それ故に血縁関係が重点的に狙われていました。アンノウンは、人の創造主たるオーヴァーロードに仕える存在であり、アギトの因子を葬るべく闇の力を持つオーヴァーロードの指示によって動いていたのでした。

あかつき号事件と呼ばれるフェリー遭難事件の真相は、あかつき号に乗っていた沢木哲也(津上翔一の本名)を抹殺するためアンノウン(水のエル)が起こした事件だったのです。しかし、時空を超えて現れた光の力により、沢木哲也はアギトに目覚めさせられました。

そして、アギトはフェリーから転落し、光の力を目撃した乗客はアギトの因子に多かれ少なかれ目覚めました。水のエルによって、事件を口外すれば殺害すると脅されていたので、事件の真相は物語の途中まで解りませんでした。G3の装着者である氷川が、あかつき号の乗客をたった一人で救助したのは、この事件の後でした。

沢木哲也の名は、本当の津上翔一が使っており、逆に沢木が記憶のない時に握りしめていた封筒から津上と名乗っていたというわけです。本当の沢木哲也の姉、沢木雪菜は超能力者で、アギトに変身した最初の存在でした。

真魚の父親で美杉義彦の兄である風谷伸幸が死んだのは、風谷のゼミによって雪菜のアギトの力が暴走した結果でした。本当の津上は、建物の屋上から自殺しようとした雪菜を救うために、手を伸ばしますが、雨によって手が滑り雪菜は死んでしまいます。

沢木哲也は、姉の死の真相を探る過程で、姉が自動筆記した文書の入った封筒を発見し、宛先が津上だったことからあかつき号に乗り込み、会いに行ったのです。そして、アンノウンに襲撃され、アギトになった直後に海に転落し、記憶喪失となったのです。


ギルスは、アギトに近い存在であり、アギトと同様の力を根源にしています。つまり変身のメカニズムは遺伝子の中に因子として人に備わったものだったのです。アンノウンや、闇の力を持つ青年の目的は、アギトに目覚める人の排除でした。

本物の津上こと沢木は、アギトを殺した者として闇の力を持つ青年によって、雪菜の死後自殺したものの、生き返らされたのです。その後、人の持つ超能力を持つ因子(アギトの因子)を覚醒させる力をオーヴァーロードから与えられましたが、意に背いて人類を守ろうとします。

そして、自分の名を持ちアギトに変身して戦う津上に協力し、ギルスである葦原を強制的に目覚めさせた真魚の治癒能力によって救います。これ以降、葦原はギルスに変身しても、老化現象などの後遺症は出ないようになります。

真魚は、葦原を救ってから治癒能力を失いますが、サイコメトリー(物質に触れることによって思念や記憶を読み解く能力)や予知能力は残っていました。しかし、超能力を持つことでアンノウンに狙われることが増えていきます。

このように、アギトが変身するメカニズムや超能力者やその血縁者が狙われる理由も明らかになります。序盤の伏線の数々が、徐々に解明されていくのが、アギトの特徴の一つであり、見所となっているポイントです。こういったミステリー要素の強いところがクウガと異なる点です。

ぶっちゃけ、アギトもギルスも人が元々持っていた進化の因子によるものです。G3はパワードスーツなので、改造人間は一人も出てきません。平成初期シリーズの特徴として、肉体を改造される主人公がいないこともクウガ、アギトで確立した要素なのです。

アギトに影響を与えたマンガ作品

メインプロデューサーの白倉伸一郎は、仮面ライダーの生みの親で原作者の石ノ森章太郎『サイボーグ009』の天使編や神々との闘い編の要素を盛り込んだと見られています。

サイボーグ009は、未完のまま終わってしまった石ノ森章太郎のライフワークです。天使編は、サイボーグ戦士と究極の存在である神との戦いを描こうとして失敗し、途中で打ち切られた話です。

神々との闘い編は、1969年に連載再開された天使編の仕切り直しです。今度は、神=宇宙人という設定にしたのですが、またも途中で打ち切りになってしまいました。サイボーグと、それ以上のテクノロジーを持つ相手との戦いは、難しかったのだと思います。

創造主たる神との戦いというテーマは、アギトにおいてはアンノウンとの戦いでもありました。神が放った敵に、人類の進化した姿であるアギトが立ち向かうという構図は、サイボーグ009の天使編の影響だと思えるのです。

もう一つ、筆者が思ったのは永井豪の名作『デビルマン』の影響です。原作マンガのデビルマンは、デーモンとデビルマン軍団による救いのないハルマゲドンで終焉するトラウマものの話でした。テレビアニメとはまったく違う展開に度肝を抜かれる人が続出しました(大汗)。

後年、永井豪は『デビルマンレディー』を描いて、その深夜アニメバージョンが1990年代後半に平野俊弘監督によってアニメ化されていますが、こちらは原作よりもアニメの方が面白かったです。

アギトに登場する闇の力を持つ青年が登場するシーンは、まさにアニメ版デビルマンレディーを意識したような神々しいBGMでした。デビルマンで描かれているのは、醜いからといってデーモンを滅ぼそうとした神の身勝手と、それに対抗し勝利したサタンとデーモンが地球の環境を破壊する人類に激怒して滅ぼそうとしたということです。

サタンである飛鳥了は、親友だったデビルマン不動明が死ぬ時に、自分もまた神と同じように身勝手だったと後悔し不動明に謝罪するのです。つまりアギトにおける神の立場が、飛鳥了=サタンの持つ葛藤(愛憎)に似たところがあるのです。

更に神である青年の容姿が中性的なのも、原型が天使長(ルシファー)である飛鳥了であることの証明のように思えます。とはいえ、色々な作品で天使は美しい性別の超越した姿で描かれることが多いので、一概にデビルマンだけの影響とは言い切れませんが・・・。

劇場版とアギトのアクションについて

アギトは、放送中の2001年9月に劇場版が公開されています。『劇場版仮面ライダーアギト PROJECT G4』は、G3の開発を担当した小沢澄子が封印していたG4を陸自がデータを盗んで開発する話です。

更に超能力実験中に現れたアンノウンの襲撃、G3ユニットとアギトが超能力実験のために陸自に囚われた真魚を助けにいくという展開になります。

最終的に氷川のG3-Xに対してG4は暴走を始め、装着者である水木の死亡後、氷川はG4を止めます。G4が最大の敵だったことから考えると、劇場版の主役は氷川だったと思います。

昭和ライダーの客演という点では、警視総監である本郷猛(藤岡弘)が登場します。アギトの47話以降に頻繁に登場するバイク店(葦原涼のバイト先)の店主は、昭和仮面ライダーシリーズでスーツアクターをしていた中屋敷哲也でした。

劇場版にのみ登場するG4は、『仮面ライダーBLACK』から『仮面ライダーJ』でスーツアクターをしていた岡元次郎です。アギトでは、風のエル、地のエルを担当しキレのあるアクションを披露していました。

アギトのスーツアクターは、戦隊シリーズでレッドを務めていた高岩成二です。怪人との戦いをリアリティを持って演出していたクウガとは対照的に、スタイリッシュな戦闘スタイルが特徴だったと思います。高岩は、これ以降の平成ライダーの主役ライダーのスーツアクターとして活躍していくこととなります。

アンノウンとの間合いの取り方や、武器の扱い方など、戦隊もので培った高岩の洗練されたアクションには見応えあり、アギトのファンも多いです。対照的に、ギルスは泥臭く戦うことが多く、G3は遠距離射撃が多いなど、ライダーの個性が反映されたアクションがアギトの魅力になっています。

クウガとアギトの生まれた背景と影響について

平成テレビシリーズ仮面ライダーが生まれた2000年代初頭は、バブル崩壊後の混沌とした状態でした。特撮ものも、スーパー戦隊シリーズ以外には平成ウルトラマンシリーズが、1990年代後半から定番化しつつありました。

そんな中、1996年に放送された特撮番組が、『超光戦士シャンゼリオン』です。サブプロデューサーの白倉伸一郎や、脚本の井上敏樹、アクション監督の山田一善など、クウガ以降の平成仮面ライダーシリーズに関わることの多いメンバーが多数参加していました。

アギトにおいては、メインプロデューサーの白倉、サブプロデューサーの武部直美、脚本の井上敏樹を中心に制作され、高寺プロデューサーのクウガとは違った魅力のある作品となったのです。

ウルトラマンシリーズの異色作、『ウルトラマンネクサス』(2004年)や雨宮慶太監督の『牙狼-GARO-』(2006年)にもクウガやアギトの影響は見られます。

また、“PSYCHO-PASS”、『翠星のガルガンティア』などで知られるアニメ脚本家の虚淵玄に与えた影響は大きく、『ブラスレイター』においては、仮面ライダーオマージュとも言える設定や描写が見られます。虚淵は後に、『仮面ライダー鎧武』においてもメインライターを務めています。

バブルが弾け、日本経済が傾いて行った時代に、新たなライダー像を作り、リアルな描写で大人をも虜にした特撮作品が、仮面ライダークウガと仮面ライダーアギトでした。この2作なくして、2000年代以降の特撮は語れません。

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