ウルトラマンネクサス:ウルトラシリーズの固定概念を覆した名作!

Pocket

『ウルトラマンネクサス』は、2004年から2005年に放送された特撮番組です。午前7時30分の放送にも関わらず、深夜番組のような年齢層のイメージで作られた特撮番組で、様々な新機軸が盛り込まれていました。

目次 この記事の内容

  • ウルトラマンの変身者=主人公という既定路線を変更
  • あの有名アニメーターも参加?
  • 朝の子供向け番組と思ってはいけない重い展開
  • 変身者が交代?ネクサスの意味
  • 最終回でついに主人公がウルトラマンに変身!

ウルトラマンの変身者=主人公という既定路線を変更

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ ウルトラマンネクサス(ジュネッス)

『ウルトラマン』は、1966年から1967年に『ウルトラQ』の後番組として放送されました。ウルトラマンは、『仮面ライダー』と並び称される特撮番組の金字塔であり、シリーズ化するほどの人気がありました。

『ウルトラマンネクサス』は、『ウルトラマンティガ』、『ウルトラマンダイナ』、『ウルトラマンガイア』といった平成初期3部作の後に企画された、『ウルトラマンコスモス』以来2年振りのテレビシリーズです。

ウルトラマンネクサスは、放送枠を土曜日の夕方の18:00から土曜日の7:30からとなっており、制作局もMBS(毎日放送)からCBC(中部日本放送)に変更されています。

予算もそれまでの1本3000万円から1000万円に減額されていて、怪獣を数話に渡って登場させたり、異空間での戦闘を主体としてセットを使い回すなどの工夫がされています。これは、視聴率の低迷や、関連商品の低迷が続いた平成三部作とウルトラマンコスモスのあおりを受けた影響です。

ストーリーが数話に渡って展開するので、やたらと前回のあらすじを冒頭でやったり、過去のシーンが使い回されていました。こういうところからも予算の少なさが伺え、少し悲しくなりました。

従来のウルトラマンの規定路線とは大きく異なる要素が多く、内容も暗くハードな展開のウルトラシリーズでした。正直、これを朝に放送したらダメだろ!ってツッコミしたくなる内容でした。かつてのピープロ特撮を大人向けにした感じです。

敵の怪獣はスペースビーストと呼称され、1話目からホラーテイストの強いダークな雰囲気がありました。防衛組織はTLT(ティルト)と呼ばれ、ナイトレイダーという特殊任務班があります。主人公、孤門一輝(川久保拓司)は、レスキュー隊からナイトレイダーに転勤となります。

このウルトラマンネクサスの凄いところは、ウルトラマン変身者が主人公ではないことです(孤門がウルトラマンに変身したのは最終話のみ)。1話でウルトラマン(ネクサス)は、一度しか登場しません。

ウルトラマンは、巨大化していない状態のビーストを孤門を助けるために打ち下ろした拳で倒すだけです。この1話目がこれまでのウルトラマンと異なる部分を強調しています。

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ ナイトレイダー隊

2話では、ナイトレイダーの隊員となるために、訓練を受ける孤門の話が出てきて、かなりリアリティのあるストーリー展開となっています。TLTの基地は、ダムの水中にあって、ダムの上部にナイトレイダーの戦闘機クロムチェスターの発進口があり、クロムチェスター各機は発進後、光学迷彩により視認できなくなります。

ここでようやくウルトラマンが、巨大化したビースト、ペドレオンと戦うのですが、いきなり銀色から赤色になったと思ったら、謎の光を発してペドレオンと共に消えます。

ようやく、戦闘シーンかと思ったらこれかよ!って思わず叫んでしまいました。しかし、このときウルトラマンは異空間(メタフィールド)で戦っていたのでした。このメタフィールド内での戦闘がメインとなっていきます。

ぶっちゃけ、これは減らされた予算のため、戦闘時のセットを使い回すための苦肉の策から生まれたものです。しかし、このためにMP(メモリーポリス)と呼ばれるMIB(メン・イン・ブラック)をイメージした記憶操作のセクションが登場することになり、各国政府が隠蔽工作を行っていることがストーリーに深みを出しているのです。

あの有名アニメーターも参加?

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ ネクサス アンファンス(第1形態)

ウルトラマンネクサスの売りの一つに、ウルトラマンとビースト、チェスター各機による空戦がありました。ここで、CGを担当しているのが、あの『伝説巨人イデオン』、『超時空要塞マクロス』の伝説的なアニメーター、板野一郎だったのです。

そして、本作での見所の一つに、ミサイルが乱れ飛ぶ板野サーカスがあり、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の川井憲次が音楽を担当しており、アニメファンにはたまらない特撮作品となっていたのです。

メタフィールド内外での空戦シーンは、これぞ板野一郎といったスピーディーなものでした。限られた予算の中で、これまでのフィルムではなくデジタルビデオ方式に変更されたからこそのCG多用で迫力とスピード感を出すことに成功しています。

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ ストライクチェスター

序盤から中盤にかけて回想シーンによる戦闘シーンの使い回しが多かったのですが、後半になれば、ミニチュアを使ったかつてのウルトラシリーズの戦闘があったり、中盤以降に力を入れていました。

これにより、空を飛ぶビーストが登場したり、黒い巨人のダークファウストやダークメフィストなども空中戦を行います。ウルトラマンネクサスは、空中での戦いも可能で、作中で何度も高速戦闘を行っていました。

朝の子供向け番組と思ってはいけない重い展開

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/

ネクサスは基本的に、朝の番組です。子供向け特撮っぽい要素が皆無な本作は、視聴率が上がらなかった原因としては、重くて暗いストーリー展開がありました。その一方で、物語に重厚さや深みを与えているのも事実で、夕方〜深夜枠なら成功した作品になっていたと思います。

ナイトレイダー隊の副隊長、西条凪は当初からウルトラマンに懐疑的で、イラストレーターこと、吉良沢優の指示でウルトラマンに攻撃するときもためらわなかったりしました。

序盤は、とにかく孤門と意見が食い違い、しばしば衝突します。幼少期のトラウマから、ビーストや異星人を憎んでおり、第2のデュナミスト(ウルトラマンの変身者のこと)である姫矢准に命を救われても、容易には信じようとしなかったのです。

ただ、ネクサスの世界ではウルトラマンという存在自体が認知されていなくて、MPによって記憶操作されているので無理からぬ話なのですが、凪の頑なな態度には苛々したのも事実です(汗)。

そして、孤門の恋人、斎田リコが闇の力を持つ黒い巨人、ダークファウストであることが解ります。ダークファウストを操っていた溝呂木眞也によって家族共々、惨殺され、その記憶のないままに孤門と接していたのです。

最終的にビーストに殺されそうになった孤門を庇ってリコは死に、弧門は闇にとらわれそうになります。しかし、凪と姫矢によって孤門は立ち直ります。この出来事は結果として、弧門を強くしました。

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ クロムチェスターδ

孤門のナイトレイダー隊員としての資質の開花と同時に、新型クロムチェスターδが配備されます。単体でもメタフィールド内部に突入できるハイパージュネレーターを搭載し、チェスターα〜γが合体したストライクチェスターに更にドッキングし、ハイパーストライクチェスターにもなれる機体です。

ネクサスの特徴の一つとして、これらの戦闘機がビーストに対抗できる機体として機能している点です。大抵はウルトラマンを支援する形なのですが、たまにとどめを刺すケースもあります。

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ 溝呂木の変身したダークメフィスト

しかし、元カメラマンの姫矢の体は、ビーストとの戦いで蝕まれていました。ネクサスは何とかゴルゴレムを倒しますが、姫矢は倒れTLT本部に連行されてしまいます。そして、姫矢をある実験によってウルトラマンの秘密を解明しようとし、更に衰弱させます。当然ながらナイトレイダー隊員には、知らされていません。

しかし、姫矢はエボルトラスター(変身アイテム)の輝きにより、TLTの実験室からの脱出に成功します。そのときに孤門と会いますが、吉良沢に次に変身すると命を落とすと忠告されます。

溝呂木の変身したダークメフィストの画策により、最後の変身を行ってしまいます。しかし、クロムチェスターの活躍により、触手ビーストクトゥーラは撃破され、ネクサスもダークメフィストを倒します。しかし、ウルトラマンも行方不明となってしまいます。孤門に「光は受け継がれる」という言葉を残して・・・。

変身者が交代?ネクサスの意味

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ ジュネッスブルー

そして、ネクサス最大の特徴は適能者(デュナミスト)が交代することです。次に出現したウルトラマンは、デザインは変わらないもののジュネッス(第2形態)のカラーがブルーとなっていました。アンファンス(第1形態)は共通の銀色です。ただ、デュナミストによって戦い方が変わるのがネクサスの特徴の一つです。

ジュネッスブルーの戦い方はスピードの速いことが特徴で、腕から発光する光の弓を使った必殺技があります。第3のデュナミストは、遊園地で住み込みで働く17歳の少年、千樹憐(せんじゅれん)です。このように複数に受け継がれるという意味でnexusというタイトルになったのだと思います。

孤門は、憐と知り合い、仲良くなって行きます。しかし、吉良沢に憐と関わると悲しむようになると忠告されます。憐と吉良沢は友人で、かつては同じ施設にいました。

この頃から吉良沢は、ウルトラマンである憐に肩入れし、感情を表に出すようになります。そして、監視のために憐に近づいた野々宮瑞生(ののみやみずお)も憐に惹かれるようになります。孤門は、憐の正体がプロメテスウス・プロジェクトで作られた、デザインベビー(優秀なDNAを選別して作られた存在)であることを知ります。

吉良沢も憐と同じ存在で、憐の細胞が急速にアポトーシス(細胞死)していることを知っていました。しかも、憐の寿命は短く、ウルトラマンとして戦い続けると遠からず死ぬことが解っていたのです。


しかし、憐はウルトラマンとして戦い続けます。凪はウルトラマンの自分の身を守らない戦い方に違和感を感じました。そして、ウルトラマンの正体を知っている弧門に忠告してもらったのでした。この頃には凪にも、仲間としてのウルトラマンとの信頼関係ができているのです。

そして、ナイトレイダー隊の隊長、和倉英輔は、5年前の新宿大災害が、ビーストとウルトラマンの戦闘によって引き起こされたものであることを知ります。ナイトレイダー隊の石掘光彦と、平木詩織も過去の事件を調べていました。

そこに、孤門と凪も加わり、第1のデュナミストの戦闘とビーストが新宿で戦っている映像を見るのです。つまり自分達も記憶を操作されていたことを知ります。

ビーストの記憶が、ビーストを呼び寄せることになるので、記憶を操作していたということです。しかし、それは同時に地球を守っていたウルトラマンとの絆を失うことでもありました。

実は、この映像は同時期に公開された劇場版“ULTRAMAN”とリンクしていました。5年前の事件が劇場版の話で、ネクサスはその続きです。円谷プロは“ULTRA N PROJECT”という、メディアミックス戦略で、新しいウルトラマンの世界を構築しようとしていました。

しかし、この構想はネクサスの視聴率低迷により、次作である『ウルトラマンマックス』では原点回帰ということで、昭和ウルトラシリーズを意識した作品となってしまいました。

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ ダークザギ

ネクサスの世界の真相は来訪者と呼ばれる異星生命体が、18年前に地球に来たことです。おそらく、ロズウェル事件(アメリカでのUFO墜落事件)を意識した話となっています。その来訪者は、M80さそり座球状星団がダークザギ(闇の巨人)とビーストの脅威により、母星を破壊し、超新星爆発を引き起こしてしまったのです。

そして、ニュートリノの光となって地球に降り注ぎ(TLT本部のスーパーカミオカンデのような施設から推測される)レーテ(忘却の海)と呼ばれる大規模記憶消去装置を開発し、そこで地球人の記憶操作を行っていたということです。クロムチェスターも、MPの記憶消去も全て来訪者からもたらされた技術です。

そういえば、アメリカのステルス機の開発もロズウェル事件以降の宇宙人からもたらされた技術と言われています。クロムチェスター各機は、更に光学迷彩にビーム兵器搭載ですから、当然ながら来訪者による技術がベースとなっています。ネクサスのSF考証は、こういった現実世界のものとリンクしています。

こうしてみると、ビーストの正体がxニュートリノと地球人の恐怖によって生み出されるものであるとするTLTの説にも根拠があることになります。しかし、多くの地球人の記憶から光の戦士であるウルトラマンの記憶も無くしてしまうことになるのです。

ナイトレイダーの隊員は、疑問を持ったまま市街地に出現したビーストと交戦します。ウルトラマンは、ビースト・メガフラシとの戦いで傷つき、憐はTLTに拘束されます。そして、ナイトレイダー隊は、TLTに反旗を翻しても憐を救い、チェスター各機で脱出します。

吉良沢の説得により、出現したビーストを倒すためそのまま戦うことになったナイトレイダー隊と憐。凪は憐に自分も生きるために戦うように進言します。そして、ネクサスは回避行動を取りつつ、クロムチェスターと連携してビーストを2体撃破します。

しかし、その直後に空中に現れた巨大ビーストが2体のビーストのエネルギーを吸収する光景を目にします。最強のビースト、イズマエルが登場したのです。憐の体を救う、特効薬ラファエルが完成し、病院へ直行するよう促す瑞生と孤門に対して憐は「俺は俺の光を駆け抜ける!」と言い放ち、イズマエルと最後の戦いに向かいます。

ここは本当に熱い展開で、変身すれば死ぬかもしれない状況で、戦いに赴く覚悟と悲壮さが出ていました。イズマエルは、今まで倒したスペースビーストの能力を全て持った最強の存在でした。チェスター各機が撃破され、ジュネッスブルーもピンチに陥ります。

しかし、ジュネッスブルーは渾身の必殺技、オーバーアローレイ・シュトロームでイズマエルを倒します。憐は生き延び、瑞生に付き添われて病院に向かいます。そして、凪の手には、第4のデュナミストの証であるエボルトラスターがありました。

最終回でついに主人公がウルトラマンに変身!

出典 https://hicbc.com/tv/nexus/ 孤門が変身したウルトラマンノア

凪が第4のデュナミストになることを待っていたかのように、アンノウンハンド(未確認の闇の存在)が動き始めます。その正体は、ナイトレイダー隊隊員、石掘でした。石堀は詩織を銃で撃ち、和倉を負傷させます。そして、TLT基地最下層のレーテに入ります。

そこに駆けつけた、吉良沢とナイトレイダー隊は、石堀こそが凪の母を殺した男だと知ります。凪がデュナメストになることを予知し、凪の心を憎悪で満たすために、画策したということでした。凪は、吉良沢の静止を振り切って変身しますが、石堀の闇に包まれたレーテから伸びた触手に囚われ、光の力を奪われてしまいます。

そしてレーテを破壊した石掘は来訪者の母星を滅ぼしたダークザギとして復活します。ダークザギは、市街地で大暴れし、同時に地球各地のビーストも活動を活発化していきます。

和倉はクロムチェスターδでたった一人でダークザギを攻撃します。周りに誰もいない発進シーンは、本当に悲しかったです。だが、闇に飛び込んだ孤門と凪がお互いの腕を掴むと、光が発生し(ウルトラマンAのオマージュ?)闇から脱出します。

そして、凪からエボルトラスターを受け継いだ孤門が第5のデュナミストとして変身します。ダークザギによって墜落しかかったクロムチェスターδを救ったのは、ウルトラマンでした。この時、和倉ははっきりと「孤門」と叫んでいます。

そして、ネクサスはアンファンスからジュネッス、ジュネッスブルーと変身します。イズマエルを葬ったジュネッスブルー最強の技もダークザギには通用しません。しかし、この時姫矢や、憐が孤門を励ましました。しかも、レーテによって封印されていた人々の記憶が戻り、人々はウルトラマンを応援します。

そして、遂に最強の存在であるウルトラマンノアにネクサスは変身します。ウルトラマンノアは、来訪者の世界でビーストと戦い続けた伝説の存在だったのです(雑誌連載ウルトラマンノアより)。

ウルトラマンノアは、ダークザギを圧倒し、炎を纏ったパンチで成層圏の彼方まで吹き飛ばした後で、強力な光線ライトニング・ノア(スペシウム光線のオマージュ)で撃破します。

その1年後、和倉、凪、詩織がナイトレイダーで活躍する姿と、ビーストに襲われそうになった少年を助けた孤門が「あきらめるな!」と呼びかけて、37話にもわたって語られてきたウルトラマンネクサスは終了しました。

霊魔の街はシリーズ構成の長谷川圭一の特撮番組

視聴率低迷のため、『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』『夏目友人帳』の村井さだゆき脚本の4クール目がクランクイン寸前で止められたのですが、3クール37話でよくまとめたと思います。最終話は本来3話でやる予定だったのですが、1話にまとめられました。

プロデューサーは、CBC側からは岡崎剛之、円谷プロからは渋谷浩康、シリーズ構成は長谷川圭一です。長谷川圭一は、2017年に『霊魔の街』という、新潟テレビの特撮番組の脚本を担当し、本作を「ある意味もう一つのウルトラマンネクサス」と位置付けています。

ウルトラマンネクサスは、ストーリーの構成や、CGを使った戦闘や演出などが好きなウルトラシリーズで、平成ウルトラマンの中でもオススメできる作品です。2019年7月23日に池袋サンシャインシティで『ウルトラマンネクサス スペシャルナイト再会-リユニオン-』という放送15周年イベントをやっていたそうです。

放送終了から15年経過してからも、こういったイベントがやれるということは、ウルトラマンネクサスが、ファンに愛されている作品であることの証明だと思っています。

特撮の関連記事はこちら

アニメの関連記事はこちら

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください