2021年秋アニメレビュー後編:世界最高の暗殺者〜無職転生

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2021年秋アニメレビューの後編です。後編では、世界最高の暗殺者〜無職転生までの6作品を取り上げます。評価は5段階で星5が最高、星1が最低となっています。視聴継続している作品が多いので、よほどのことがない限りは星3以下はありません。

目次 この記事の内容

  • 世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する
  • takt op. Destiny
  • ブルーピリオド
  • マブラヴ オルタネイティヴ
  • 見える子ちゃん
  • 無職転生〜異世界行ったら本気だす〜
  • 傑作が多く見劣りしたロボアニメ

世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する

最近増えてきた異世界転生ものですが、この世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』は、かなり趣の異なる作品だなと思いました。元は壮年(あるいは老境に差し掛かる)世界でも指折りの暗殺者だった主人公が、組織に裏切られ死亡します。

そして、異世界の女神によって、勇者が増長し世界の破滅を招く場合に備えて暗殺を依頼され、元の記憶と5つの技能を選べられて異世界に転生するというところから始まります。

つまりは元々から能力が高い上に、暗殺貴族として幼少期から鍛えられた主人公のルーグは、かなりのチート能力者になります。それでも勇者を暗殺できるかどうか解らないって・・・、勇者どれだけ強いんだよ!って思いました(大汗)。

https://youtu.be/bvXcPFeK1es

筆者が投稿したこの記事の動画バージョンです。

この作品のいい所は、魔王を倒す力のある勇者という最強の敵のために、鍛えていく過程がリアルな点です。1クールだったので、勇者候補の強敵と最終話で戦いましたが、衛星兵器ってアリかよ!って思いました。しかし、それくらいのことをしないと勇者級能力者に対しては、勝ち目がないということです。

原作は角川スニーカー文庫で刊行されている月夜涙(つきよ るい)のラノベ作品です。監督は田村正文で、シリーズ構成は「バカとテストと召喚獣」の高山カツヒコ、アニメーション制作はSILVER LINK.とstudioぱれっとです。

迷ったのですが星は3で、これは異世界ものが苦手な筆者の評点なので、悪くないアニメでした。

takt op.Destiny

ゲームとコラボレーションで生み出されたアニメは多いですが、“takt op.Destiny”のようにアニメの出来がめちゃくちゃいいのは稀有な例だと思います。最近他のアニメで、ゲームコラボのものがあまり良くなくて、本作タクトオーパスもそんな感じだろうと勝手に思っていました・・・、1話を見るまでは。

秀逸な戦闘シーンと、軽妙な会話のやり取り、アメリカ大陸を舞台にロードムービーのように車で移動するスタイルが、完全に好みでした!また、製作陣もMAPPAとMADHOUSEという定評のあるアニメスタジオが共同で行い、作画はテレビシリーズとは思えないくらい質の高いアニメでした。

黒い隕石から生み出されたD2という音楽に反応する怪物が地球のあらゆるところを襲撃した近未来。人類は、音楽の力を使う、ムジカートという対D2兵器(女性型の人間のような容姿をしている)と、ムジカートを指揮するマエストロによって、かろうじてD2に対抗することができていました。

というのもムジカートの存在が希少なため、広範に及ぶD2の活動に対応するには、戦力が不足していたからです。主人公のタクトは、卓越したピアニストで、自然発生したムジカートである運命と共に、ニューヨークを目指します。

運命のベースとなった少女コゼットの姉、アンナが2人を車でニューヨークまで連れていくのですが、その道中で様々な出来事が起こります。つまり、車によるロードムービー色もあり、そこがこのタクトオーパス・デスティニーの面白いところです。

監督は伊藤祐毅(いとう ゆうき)、シリーズ構成は吉村清子(よしむら きよこ)で、星は『古見さんは、コミュ症です。』もう一作と並ぶ今期最高の4.5。傑作認定です。

ブルーピリオド

普通に考えると、かなり地味且つマニアックな題材を扱っているのが、この『ブルーピリオド』です。というのも高校生の主人公、八虎が高校から絵に目覚め、難関の東京芸大を目指すという内容だからです。

音楽と絵という違いはありますが、音楽をやっている筆者からすると、とても共感できることが多かったです。芸術で表現するということは、選択肢が多く形にしていくことはとても大変なのです。

ブルーピリオドは音楽面も、なかなかいい感じでした。特にオープニング、エンディング共に良質で、エンディングはmol74でオープニングは、Omoinotakeで、このアニメの雰囲気に合っていたと思いました。

技術は大事なのですが、それだけでは捉えきれない芸術というものを、漫画やアニメで表現するのはとても難しいです。原作者の山口つばさや、総監督の舛成孝二(ますなり こうじ)、シリーズ構成の吉田玲子などの製作陣はしっかりと描いています。アニメーション制作はSeven Arcsで、星は4佳作認定です。

マブラヴ オルタネイティヴ

元はエロゲで、設定のシビアさや、世界観が凄い!ということでコアな人気のある『マブラヴ オルタネイティヴ』のアニメ化です。ぶっちゃけ、筆者はゲームはやってませんが、マヴラヴアニメ第1弾『トータル・イクリプス』、前作『シュバルツェス マーケン』を見ていました。

ベータと呼ばれる地球外生命体の脅威によって、絶滅寸前の人類は、本来戦闘機があった世界線ではなく、戦術機という現行の戦闘機の名を冠したロボットで戦っています。この戦術機がとにかくカッコよく、キャラクター(特に女性キャラ)が、魅力的でずっと視聴してきたシリーズです。

冒頭の撤退戦のシーンで、ベータに無力な人類のシーンがちゃんと描かれていて、やはり本編は凄い!と思っていたのですが・・・、中盤以降は盛り上がることがありませんでした(涙)。


致命的なのは、主人公の武が所属する207戦術訓練小隊が、実戦配備されるまで、ほとんど演習のみというところでした。武は世界線を変えるための活動をしているだけなのです。せっかくの戦術機も見どころが訓練になってしまうと、中だるみしてしまいます。

また最終回の戦闘も、武が活躍するというよりも、近衛の月詠中尉の方が目立つ展開って・・・、そりゃないよ(涙)。2クール目に期待したいところなので、星は3です(ちょっと甘めに採点)。

監督は西本由紀夫、シリーズ構成は浦畑達彦(うらはた たつひこ)、アニメーション制作は、FLAGSHIP LINEとゆめ太カンパニー、グラフィニカの共同制作です。

見える子ちゃん

謳い文句どおりの新感覚のホラーコメディが、この『見える子ちゃん』です。元々霊が見えなかった主人公の少女、みこちゃんが、ある日を境に急に霊が見えるようになります。

そして、霊が見えることを霊に悟られないように、シカト(無視)することで怪奇現象をやり過ごすという内容です。つまり、霊媒師などの強力な霊能力による解決ではなく、無視するといった斬新?な方法で心霊現象に対処していくのです。

当然ながら、危険な霊はそのまま残ります。しかし、みこちゃんのように除霊の能力のない高校生が霊に遭遇した場合の対処としては、無視することが最善の策なのです。

ただ、このアニメそれだけではなくて、一見すると悪人のような人相の男性が実は猫を愛するいい人だったり、愛想のいい近所のおばさんが実はとんでもないことをしていたり、人は見かけによらないという言葉を思い出すようになっています。

また、コメディタッチで描かれる食べ物好きの親友のハナちゃんや、同じく霊(ただし小物のみ)が見えるユリアちゃんなどとのドタバタしたやり取りもテンポ良くていいです。そして、時折ホロリとすることもあり、怖さと笑いと感動がうまくミックスされていると感じました。

元は、Comic Walkerに連載されている、泉朝樹(いずみ ともき)のWeb漫画が原作です。アニメーション制作はPassione、監督は小川優樹で、シリーズ構成は猪原健太(いはら けんた)です。星は3.5で、続きが気になるアニメです。

無職転生〜異世界行ったら本気だす〜

『無職転生〜異世界行ったら本気だす〜』第2クールはとても楽しみにしていました!期待に違わない出来で、はっきり言って今期の覇権アニメ筆頭格でした。最終回はまだ途中で、回収していない伏線も多数あります。

原作小説は、作者の理不尽な孫の手により、25巻もの話のストックがあり、まだまだ序盤なのです。ちょうどルーデウス、エリス、ルイジェルドの3人パーティのデッドエンドの解散と、新たな旅を描くところまでです(原作だと6巻あたり)。評価は傑作の星4.5となりました。

ぶっちゃけ、このアニメが凄いところは、アニメの質感を大事にしているところです。デジタルを使うことは悪いことではありません。特に彩色には、光の加減や透明感をアナログでは考えられないような手法で表現することができます。

しかし、セルアニメ時代の暖かみや、重量感というものは、やはりアナログならではの魅力があるのです。無職転生もデジタル技術は使っているのですが、質感がかなりセルアニメに近い重さがあるのです。

2013年の『キルラキル』や、2014年の『ガンダム Gのレコンギスタ』では、線をあえてバラつかせることやデジタル彩色に色を混ぜたりすることで、荒々しい感じを加えていました。これはデジタル時代にアナログ感を出す手法です。

無職転生をアニメ化するために立ち上げたという、スタジオバインドがアニメーション制作を担当しています。監督、シリーズ構成は岡本学(おかもと まなぶ)です。

傑作が多く見劣りしたロボアニメ

無職転生や、takt op.Destiny、古見さんはコミュ症ですの3作が傑作評価の星4.5、そして4作が星4の佳作、なんと視聴した11作品のうち、半数以上の7作が佳作以上という、かつてないほどに質の高いアニメが多かった今期でした。

前編でロボットアニメの評価が低い割に、高評価の作品が多かったということは、アニメ全体の質の向上が影響しているのは間違いありません。こうなると、ロボットアニメの進化よりも他ジャンルのアニメの進歩の方が早かったと見るべきなのかもしれません。

ただただ残念なのは、個人的に好きなロボアニメが、逆転世界ノ電池少女以外に楽しめられなかった点につきます。今のアニメ見慣れると、もう古臭い価値観や手法のロボアニメでは満足できないようになってしまったのでしょうか?血湧き肉躍るロボアニメを期待しています!

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2021年秋アニメレビュー後編:世界最高の暗殺者〜無職転生」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 2021年秋アニメレビュー前編:86〜ワルキューレ | K.T Dogear+

  2. ピンバック: アニメのデジタル彩色について:キルラキルとGレコによる線の進化 | K.T Dogear+

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