The Joshua Tree U2:ロックの原点と80年代サウンドの融合

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“The Joshua Tree”は、U2が1987年に発表したアルバムで、1980年代のロックを代表するアルバムの一つです。以前紹介したサードアルバムの“WAR”よりも、キャリアを重ねた5枚目ということもあり、完成度のより上がったアルバムに仕上がっています。

目次 この記事の内容

  • ロックの原点を求めて
  • The Joshua Tree解説
  • ジ・エッジの使用機材について

ロックの原点を求めて

Rock名盤解説第31回は、1980年代のロックバンドのアルバムを取り上げます。U2は、アイルランド出身のメンバーから構成されており、ロックバンドとしてのライブパフォーマンスや、質の高いアルバムによって世界的なバンドとなっていました。1980年代から1990年代にかけての絶頂期には、U2の曲が日本でもよくかかっていました。

筆者は、この頃の北アイルランド問題に対するU2の反戦のメッセージや、ジ・エッジのカッティングギターの大ファンでした。当時は、ヘビーなリフが流行していた時期なので、ジャリーンとしたカッティング主体のギターが逆にカッコ良く聴こえたものです。

大ヒットした“WAR”や、”The Unforgettable Fire”を経て、1987年に発表された5枚目のアルバムはロックの原点ともいうべき、ブルースやゴスペル、ソウルなどのブラックミュージックの要素を取り入れていました。

同時期の1988年にリリースした『魂の叫び』では、アメリカツアーの様子をドキュメンタリーにした映画で、ボブ・ディランや、B.B.キングなどそうそうたるレジェンド・ミュージシャンとの共演が話題を呼びました。

この映像では、ボブ・ディランの曲でジミ・ヘンドリックスもカバーした、“All Along the Watchtower(見張塔からずっと)”をU2らしいアレンジで演奏していました。確かに、ジ・エッジが好きそうな曲です。

The Joshua Tree解説

出典 https://www.amazon.co.jp/

ヨシュア・トゥリーの1曲目は、“Where the Streets Have No Name”は、疾走感のある曲です。アダム・クレイトンのベースに、ラリー・マレン・ジュニアのドラムの息はぴったりです。そこに、ジ・エッジお得意の付点8分音符を使ったディレイのカッティングが乗り、更にボノのボーカルが表情をつけるのです。

このしっかりとしたリズムと明確なメロディの調和こそが、U2最大の特徴であり、今までのアルバムに共通した要素です。この“Where the Streets Have No Name”こそが、アルバムのハイライト曲であり、シングルカットされた曲でもあります。

2曲目の“I Still Haven’t Found What I’m Looking for”は、よりメロディアスな曲で、ゴスペルを意識したような歌詞の曲です。次に、3曲目の“With or Without You”は、先行シングルとして大ヒットしたU2の代表曲です。

一説には、ラブソングの中に普遍的な宗教的なテーマも入っているということでしたが、後にボノ本人がこの曲について語ったところによると、家庭を築いてそれを守る父親としての自分と、ロックスターとして奔放に生きたい自分との相克をこめた歌詞らしいです。

4曲目の“Bullet the Blue Sky”は、戦争によって虐げられる人々に対する怒りをストレートに表現した曲です。ボノが、ニカラグアとエル・サルバドルに旅行した時に見た紛争にアメリカが加担している構図を知り、激しく非難しています。

ニカラグアでは、1980年代にアメリカからイランへの武器の代金の一部が反政府組織のコントラに流出していたことが発覚しました。また、エルサルバドルでは、当時のナポレオン・ドゥアルテ大統領とゲリラ双方による、虐殺や略奪などの行為をアメリカが黙認しつつ政府軍を支援し続けていました。

こうした、紛争地域に対する大国の思惑や利害関係が絡むことは、北アイルランド問題で数々の問題提起をしてきたU2にとっても無視できないことでした。この頃のU2は、反戦メッセージを明確にしていたので立派だと思います。


政治のことをミュージシャンや、俳優や芸術家が言うべきではないという風潮が日本にはありますが、1960年代には、アメリカやイギリスでベトナム戦争に反対したミュージシャンがたくさんいました。ウッドストックでの感動的なミュージシャン達の反戦の意思表示は、音楽で時代が変わった記念碑的な出来事だったのです。

ただ、2001年に起こったアメリカ同時多発テロ以降の、ブッシュ政権を支持したことについては、間違っていたと思います。とはいえ、ボノが参加していた慈善事業への支援の見返りという形だったので、そこまで目くじらを立てるほどのことではありませんが・・・。

5曲目の“Running to Stand Still”はバラード曲で、6曲目の“Red Hill Mining Town”ミドルテンポのロックチューンで、次の”In God’s Country”では、再びジ・エッジのカッティングが冴える疾走感のある曲です。

8曲目の“Trip Through Your Wires”では、ブルースハープをフューチャした曲で、アメリカのルーツミュージックを意識した曲になっています。9曲目の“One Tree Hill”は、明るめの曲で、10曲目のダークな“Exit”に繋がり最後の“Mothers of the Disappeared”では、チリのピノチェト政権下で子供を失った母親の曲です。

11曲50分11秒の中に、アメリカのルーツミュージックに影響を受けた曲や、1曲目と3曲目のような、これぞU2!といったヒットチューンも入った素晴らしいアルバムです。前に紹介した”WAR”と同じく、1曲目と3曲目にヒット曲が入っています。

1980年代における、ロックの名盤の中でも、これほど有名で重要なアルバムはありません。ただ、誰もが知っているアルバムだったので、前回はひねくれてWARを紹介したのですが、2019年12月のヨシュア・トゥリーツアーでU2が来日する予定なので、今回はこのアルバムを選びました。

しかし、とにかくチケット代が一番安い席が1万9,800円と高く、東京までの交通費もかかります。一度はU2をライブで見たかったのですが、今回は見送ります(涙)。

ジ・エッジの使用機材について

ジ・エッジは、色々なギターを使っていますが、一番印象に残っているのは、1973年製のブラックのストラトキャスターです。ラージヘッドの70年代のストラトをベースにしたフェンダーからのシグネイチャーモデルも販売されています。

他には、ギブソン・エクスプローラーや、レスポール・カスタム、フェンダー・テレキャスター、グレッチ・カントリー・ジェントルマンなど、多数のエレキを使用しています。

アンプは、1960年代製のVOX AC30TBと70年代のAC30TBで、代名詞ともいえるほどのディレイは、エレクトリック・ハーモニクス・デラックス・メモリーマンや、TCエレクトリック TC2290、コルグ SDD-3000などを各年代で使っています。

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