機動戦士ガンダム MS IGLOO:3DCGで描かれるリアルな戦場!

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機動戦士ガンダム』の世界は広大です。単なるロボットものというには、あまりにもミリタリーものとしての側面が高いです。リアルな3DCGを使って、1年戦争をジオン側中心に描いたのが、『機動戦士ガンダム MS IGLOO』です。

ザ・コクピットのようなリアルな世界観

画像は公式ページより http://www.msigloo.net/

地球と月の重力が均衡しているラグランジュ・ポイントにあるスペースコロニー群のことをサイドといいます。ジオン公国のあるサイド3は、宇宙世紀0079年、地球連邦政府に対して独立戦争を仕掛けます。これが、俗にいう1年戦争で、ガンダムはここから始まりました。

今回紹介する作品は、ガンダムの外伝的な3DCGアニメです。ジオンの第603技術試験隊を中心に、時代に埋もれた試作兵器の数々が登場します。この話の全体の主人公、オリヴァー・マイ技術中尉はあくまでもジオンの技術仕官であり、最終話以外に直接戦闘に参加しません。

MS イグルーが制作されたのは、2004~2006年にかけてです。監督は、『機動戦士ガンダム0083』今西隆志で、2001年から制作された3DCG短編アニメ”GUNDAM EVOLVE”の3~4話の監督でもあります。

21世紀初めの、2000年代は、PS2のような3Dポリゴンを使ったゲーム機の成熟期でもありました。ガンダムのゲームも『機動戦士ガンダム 連邦VSジオン』のようなリアルな3DCGのものが出始め、ガンダム本編もCGで全部作ったらいいんじゃね?って考えていたらサンライズもやり始めたというわけです(笑)。

1988年の映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のスペースコロニーなど、既に一部の映像を3DCGで制作していたりするので、ガンダム作品と3Dって意外と歴史があるのです。

最近では、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でも3DCG使った戦闘シーンなどが使われていたりしますが、MSイグルーほど、いかにもリアルなCGという感じはしないようにアニメーションチックなエフェクトがかけられてます。

実写のようなリアルなCGと同じくらい重要なのが、第二次世界大戦を描いた映画のような演出です。マンガで例を挙げると、松本零士の『ザ・コクピット』や、新谷かおるの『戦場ロマン・シリーズ』のようなアプローチといえばいいでしょうか。

ミリタリーマニアもうなるような、リアルな戦場の空気感が出ています。ガンダムといえば、ミリタリーなメカの魅力のあるアニメでしたが、MSイグルーはそれを極端に感じさせる出来なのです。

愛しき失敗作の数々

今西監督によれば、「挫折するプロジェクトX」というコンセプトで、MSイグルーを作ったようです。1話目の『大蛇は海に消えた』から、いきなり大艦巨砲主義の名残ともいえるヨルムンガンドという巨大な核融合プラズマ砲が登場します。

試験支援艦ヨーツンヘイムは、第603技術試験隊の母艦です。ぶっちゃけ、この艦は連絡貸客船だったものを軍で使用するために改修したようなもので、単独での戦闘能力は低いです。

ヨーツンヘイムの艦長である、マルティン・プロホノウ艦長(中佐)は、連絡貸客船時代から、ヨーツンヘイムを運用しています。どことなく軍人というよりは、民間の船長といった感じだったのですが、後半大化けします。

主人公のオリヴァー・マイ技術中尉が赴任した603試験隊には、もう1人指揮官がいて、モニク・キャディラック特務大尉(中佐に相当する)がギレン総統のお目付け役として乗船しています。基本的にこの3人が本編を通じての主要キャラクターです。

そして、毎回登場する失敗作を操るキャラクターこそが、各話ごとの主役です。1話のヨルムンガンドを操るのが、アレクサンドロ・ヘンメ大尉で、砲術長です。

ルウム戦役(ガンダム本編よりも前の戦闘)において、試験運用する予定でヨルムンガンドの準備を603部隊はしますが、連邦、ジオンの艦艇が接敵し、バカスカ砲撃し合っているのに、肝心の観測データが届きません。

マイとテスト・パイロットのヒデト・ワシヤ中尉は、ランチに乗り込み、直接観測をするために戦場に移動しようとします。そこに現れたのは、赤いザク(シャア専用)とザクの編隊でした。

本命はモビルスーツで、ヨルムンガンドは大艦巨砲主義の遺物としてあてにされていなかったのです。マゼランによって負傷したヘンメ大尉は、目視による砲撃でマゼラン一隻を撃破しますが、帰らぬ人となるのです。

第2話では、MSが主力となったので用済みとなったモビルタンクのヒルドルブが登場します。連邦軍に鹵獲されたMS-06ザクⅡの部隊と戦闘になりますが、61式戦車2両と、ザクⅡJ型を6機撃破後、パイロットのデメジエール・ゾンネン少佐は死亡します。

第3話では、トライアルでジオニック社のMS-05ザクⅠとの競争に敗れた機体、ヅダが登場します。画期的な土星エンジンによって、強大な推力のある機体ですが耐久性に問題があり、レッドゾーンに突入すると空中分解するといった欠点があります。

ジオニック社のライバルであるツィマット社(ドム・リックドムを生産した企業)は、この機体をプロパガンダとして利用するジオン本国と共謀し、EMS-10という新たな形式番号を与えて4機配備します。ちなみに、あくまでもMS-06ザクⅡの次期主力モビルスーツは、MS-14ゲルググで、MS-09(R)ドムやリックドムは繋ぎの機体です。

オデッサが、陥落したタイミングでは、ゲルググとギャンのコンペの途中で悶着のあった時期で、マルティン艦長が「次期主力モビルスーツの選考が難航しているのもむべなるかな・・・」と嘆息していることからも、ジオニック社とツィマット社の争いが足を引っ張っていたことがわかるのです。

ここで特筆すべきは、連邦軍の悪役ぶりです。今西監督は、連邦嫌いのジオン贔屓として有名です。本作でも地球連邦軍は悪役で、地球から撤退するためHLVを使って衛星軌道に逃げてきたジオン軍を無慈悲に狩るハンターとして、ボールやジムが登場します。

このときの連邦士官の悪役ぶりは、なかなかのもので、地上用のザクⅡJ型をなぶり殺しにするボールとか、ヅダの悪口を言いまくる連邦のジムのパイロットとか、憎たらしいったらありゃしないです。モニクがこの後、「ウジ虫ー!」って叫んでヅダでジムを撃破していますが、筆者も同じ気持ちになりました(汗)。

試験中に空中分解した1機の代わりに、モニク・キャディラック特務大尉が乗り込みます。また、603のテストパイロットのヒデト・ワシヤ中尉もヅダを操縦していました。そして、メインのテストパイロット、ジャン・リュック・デュバル少佐は、連邦のMS部隊と交戦後、ヅダは空中分解し死亡するのです。

最後はマイもMAに搭乗し戦闘

ここからは、残り3話で副題に『黙示録0079』となります。第1期の3話が、『1年戦争秘録』というサブタイトルが付いていました。後半の3話は、国力で劣るジオンがジリ貧になっていきます。第1話(4話)『ジャブロー上空に海原を見た』は、一年戦争終盤の話となります。

ゼーゴックは、水陸両用モビルスーツ、MSM-07ズゴックをコントロールユニットとして、L.W.C.(大量兵器輸送用コンテナ)を運用するために使った機体です。主戦場が、地球から宇宙に移ったので、余ったズゴックを使って衛星軌道上から降下させ、宇宙に上昇してくる連邦軍の艦艇を迎撃するという狂気のミッションです。

モビルダイバーとは、使い捨ての兵器であり、地球に降下した後は、ゼーゴックは廃棄され、パイロットのみが宇宙に上がるというものでした。機体の回収と、パイロットの収容には、ジオンの攻撃空母、ガウがあたりました。

ようは、第二次世界大戦末期の日本のように、桜花(人間ロケット)でカミカゼをやれといっているようなものです。特攻と違って、ガウを使って回収はしていますが、パイロットを死なせる確率の高い作戦です。

ズゴックのジェネレータ出力は、ガンダムやゲルググを凌駕する2,480kWです。ちなみにRX-78ガンダムは1,380kW、MS-14ゲルググは、1,440kWです。全備重量は、90tとガンダムの60tと比較して重いですが、水中での活動に必要なジェネレータ出力のため、熱核反応炉が大型化しているからでしょう。


MSイグルーでは、海兵であるヴェルナー・ホルバイン少尉が、ゼーゴックに乗り込んでいます。そして、嫌な予感は的中します。拡散ビーム砲、「クーベルメ」を連邦の艦艇に向けてゼーゴックが射撃すると、5隻撃沈という華々しい戦果を上げます。

しかし、帰還中にガウとゼーゴックも連邦のコアブースターⅡに撃墜され、ヴェルナー少尉も海に沈みます。マルティン艦長が、「心の海だ・・・」としみじみ語り、モニクが「海は見えたか」と呟きます。泣けるエンディングで4話が終了し、次からはソロモンが落ちて、ア・バオア・クーの最終決戦に近づいていきます。

そして、2話(5話)『光芒の峠を越えろ』では、モビルポッドオッゴと、学徒動員兵の話になります。ガンダム本編で、キシリアがゲルググの活躍が目立たないことに対する疑念に対しての将兵の答えが「学徒兵が乗り込んでいますので・・・」と歯切れの悪い返答をしていたことを思い出しました。

ベテランパイロットは、慣れたザクやリックドムを使っていたということらしいのですが、真相は少しでも優秀な機体に年端もいかない少年達を乗せて生き残らせようとしたのではないでしょうか?

しかし、連邦のボールに対抗する形で、ザクマシンガンやシュツルム・ファウストが使用できるけど、モビルスーツですらないモビルポッドを実用化するとは・・・(絶句)。しかもパイロットが、ホワイトベースのクルーの年齢と大差ない少年兵ばかりとは、いよいよジオンもジリ貧になってきたということでしょう。

ここで、ゲルググに乗ったヘルベルト・フォン・カスペン大佐が、603部隊の実戦の指揮をとるために乗艦してきます。ゲルググ乗ってるなら、お前が戦えよ!って思いましたが、見込みのあるパイロットに実戦経験を積ませて決戦に臨むつもりだったのかもしれません。

連邦の艦艇との戦闘で、モニク特務大尉の弟、エルヴィン曹長が死にます。弟の死に悲しんだ、モニクは後ろで束ねていた髪を下ろし、MSイグルー2の死神のような表情で、「マイ・・・、弟に会ったらよろしくね」と呟きます。

最終話の3話(6話)は、ついに主人公のオリヴァー・マイ中尉がトンデモ兵器に乗るのです!その名もモビルアーマー、ビグ・ラング!MA-05ビグロ(ガンダム本編に登場し、アムロを苦しめた機体)にオッゴを補給する機構を搭載し、強力な武装を施した機体ですが、ビグロの持つ高速による一撃離脱戦法が使えなくなっています。

そのため、防御用にビームかく乱幕を持っていますが、多用するとジェネレーターが安定しないという欠点もありました。603部隊は、ア・バアオア・クーのEフィールドの防衛にあたるべく、ヨーツンへイムを向かわせます。そこで、オッゴを大量に投入し、戦線を保持しようとしますが、連邦の物量に押されていきます。

そこに、ビグ・ラングのメガ粒子砲の一撃が!連邦のボール6機、ジム2機、戦艦6隻轟沈ってエースも真っ青な活躍をします。しかも、赤い機体にビビッて敵が後退するというおまけつきで(笑)。シャアかジョニー・ライデンと勘違いされたのかもしれません。この隙にオッゴの補給をビグ・ラングを使ってします。

一応、マイは正規のパイロットではないので、ゲームなどではパイロットとしての能力値は低いのですが、ここにきて大化けしたのではないでしょうか?ビグ・ラングとオッゴのコンビネーションや、奇襲攻撃という要素が加わったにせよ、この戦果は無視できないので、ギレンの野望でのデータの修正を望みます。

ここで、カスペン大佐と、モニクがゲルググとヅダで、もはや敗退したジオンの後退を支援するために参戦します。艦長に銃を2丁預けて・・・。艦長も1年間の戦闘を経験し、歴戦の感覚を身に付けていきました。後半では、艦長の人間的成長が著しく、ラストに向かって盛り上がっていきます。

ここで今西ガンダムの特徴である、ゲスい連邦士官の悪行が!停戦勧告出てるのに、仲間を殺された恨みで、オッゴを撃ちます。マイは、「どうしてだー!」と叫び応戦します。

カスペン大佐のゲルググも撃破され、ビグ・ラングも撃墜されます。おそらくシャアの乗ったグワジンがEフィールドから撤退し、回収を艦長があきらめかけた、その時にオッゴの編隊とヅダの姿が!ヅダの右手には、マイの姿がありました。

最終的に、マイ、モニク、艦長、ヒデトなどの主要キャラクターは生き残りました。後世に己の矜持を賭けて戦ったパイロット達の真実を残すために・・・。ここのところは、0083と被る部分です。

MSイグルー2は連邦視点

出典 http://www.msigloo2.net/ RTX-044 陸戦強襲型ガンタンク 鬼のように強かった機体

ぶっちゃけ、今西監督は地球連邦政府が大嫌いです。今の腐りきった自民党のように、地球であぐらをかいて宇宙を統治しようとしているので、スペースノイド(宇宙移民)からは蛇蝎のように嫌われています。

ガンダムの生みの親、富野由悠季(喜幸)監督の小説版ガンダムシリーズを読むと間違いなく地球連邦政府が嫌いになります。サンライズの古株である今西監督にも、もちろん連邦嫌いという伝統は受け継がれていて、くそめたに叩いています。

MSイグルーの続編である、『機動戦士ガンダム MS IGLOO2 重力戦線』は、連邦側から描いた話となっています。今回は、実験部隊というくくりはなく、全編に登場するのは、死神と第44機械化混成連隊の大隊指揮官のミケーレ・コレマッタ少佐のみです。

1話は、ザクを生身の兵士で倒す話で、2話は61式戦車対ザク、最終話が陸戦強襲型ガンタンクの話です。ぶっちゃけ、このガンタンク強すぎです。ザクやグフはもちろん、ドムまで撃破し、ダブデも撃沈するのですから。

ただ、今西監督からするとジオンじゃないという点で切れ味が不足しているように思えます。実際、2008年から2009年までOVAとして3話のみの制作だったので、あまり売れなかったのかもしれません。個人的には、1話と3話は好きなのですが、死神がファンタジーすぎてイマイチでした。

MSイグルーは、ミリタリーテイストの強いガンダム作品で、ガンダムのファンにも、そうでない人にもオススメできる作品です。出来損ない兵器だからこそ愛おしく、そんな兵器に命を賭けたパイロット達の生き様もまた、儚いからこそ輝くのです。

今西監督には、こういうミリタリーテイストガンダムをまた期待しています!3DCGもいけるやん!って思った素晴らしい作品です。

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