キワモノ?珍発明?メジャーになれなかった銃

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今回は、キワモノというべき特殊な機構故に、メジャーになれなかった銃を紹介します。マガジンの装弾数を100発にしたキャリコM100、ロケット弾のジャイロジェット・ピストル、10mmオート弾を初めて使用したブレンテンなど、時代の波に埋もれた愛すべき銃を解説します。

SWATに採用されながら短命に終わったキャリコM100

22口径仕様のキャリコM105

1980年代後半、コンバットマガジン(もしくはGUN)誌に載っていた衝撃的な銃がキャリコM100です。セミオートライフルとピストル(M100P)として登場しましたが、この銃の凄いところはその装弾数!なんと50発~100発!

.22LR弾を使用し、標準のマガジンで50発、ロングマガジンの場合は100発というとんでもない装弾数で、「ヘリカルマガジン」と呼ばれる円筒状のマガジン内部に、螺旋状に弾を給弾するという独創的なものでした。当時はMGCがエアガン作るなど、日本では人気のあった銃です。

M100の9mmバージョンM960 ジムのビームスプレーガンみたいな形状(笑)

問題があるとすれば、ヘリカルマガジンの構造です。キャリコM100は、グリップ上部のフレームに円筒状のマガジンを乗せる形になっています。グリップ上部の右に排莢口があり、そこから下にカートリッジが落下します。つまり通常のマガジンとは逆に、上から下に向かっていくことになります。

マガジン内部は、螺旋状に弾を給弾していくことになるのですが、バネとゼンマイを使って弾が移動したときに、ボルト(遊底)と丁度一致しなければなりません。キャリコのマガジンは、正確性に欠け、ジャムが頻発するというケースが多かったのです。

従来の銃のマガジンは、グリップ内部もしくは、前方に下から上に装着します。スライドするとマガジンの一番上にある弾が薬室内に装填される仕組みになっています。マガジン内部のバネにより、一番上に弾が自動的に送られることになっています。

キャリコには、装弾数の多さによるバランスの変化も問題視されていました。それでも、アメリカのSWAT(特殊警察部隊)にも制式採用されるなど、公的機関への納入実績はありました。圧倒的な装弾数という魅力があったからでしょう。

しかし、1994年のアサルトライフル規制法の影響で装弾数を減らされ、優位性がなくなると売れなくなり、9mmパラベラム仕様のM900シリーズの評判も上がらず、キャリコ社は倒産、M100やM900シリーズも製造中止となりました。

10mmオート弾の元祖!ブレンテン!

左下がブレンテン 右上が同じ10mm弾を使用するS&W M610

アメリカの刑事ドラマ、『マイアミ・バイス』の主人公ソニーが使っていた銃として、有名なのがブレンテンです。世界最高のコンバットオートと呼ばれたチェコの名銃Cz75をコピーし、10mmオート弾を使用する銃として登場しました。

開発の経緯やら、色々と調べると名銃扱いできなかったのでここで紹介します。マイアミ・バイスの影響で、エアガンを買いそうになるほど好きな銃なのですが・・・・。

なんでこの銃が開発されたかというと、東欧圏であるチェコ・スロバキアから輸入されるCz75が高価であったことと、10mmオート弾が作られたからとしか言いようがありません。9mmパラベラムでは威力不足、45ACPでは貫通力不足、この両方の問題を解決するのが、10mmオートというわけです。

またブレンテンは、コンバット・シューティングの第1人者、ジェフ・クーパーによって監修されました。これは、モデルとなったCz75を「世界最高のコンバットオート(ただし45ACPなら)」と紹介したのが、ジェフ・クーパーだったからです。装弾数は、マガジンに10発、薬室内に1発の計11発です。


ぶっちゃけ、この銃を販売していたD&D社は、経営に難点がありました。というのも1984年にブレンテンを販売開始してから、1年後にようやくマガジンを発送するという事態を引き起こしたからです。しかも、このマガジンは不良品で、更に顧客を待たせたまま、マガジンを改良するというお粗末ぶりでした。

10mmオート弾は、現在は主に狩猟に使われることにもなってきていて、ポピュラーな拳銃弾となりつつあります。当時はスウェーデンのノルマ社のみの販売だったので、弾自体が高価だったこともあり、ブレンテンは1,500丁しか売れませんでした。1986年には販売中止となっています。

コルト・デルタエリート

10mmオートは、同時期に製造されたコルト・デルタエリートのように強度問題がありました。357マグナムにも匹敵するほどの威力があり、フレームの強度や、パーツの磨耗などの欠点があったのです。そこで、改良されたのが、現在アメリカでポピュラーになりつつある40S&W弾なのです。

今では、10mmオートの用途はハンティング向けの携行用として人気が出てきていますし、多数のメーカーが製造しています。そして、新しい素材や改良のためフレームが破損したりパーツの磨耗が激しいという初期の10mmオート銃の欠点が解消されています。

ブレンテンは10mmオート初期ゆえの欠点がありましたが、初めて作られた10mmオート銃として記憶に残っています。

ロケット弾使用の珍品?ジャイロジェット

ジャイロジェットのバリエーション

世界初のロケット弾を使用した拳銃が、ジャイロジェット・ピストルです。小型のロケットランチャーともいうべき構造で、51口径(13mm)のロケット弾の後方から、噴出したガスがロケット弾を加速させていきます。

ジャイロジェットは、1960年代はじめに、アメリカのMBA社が開発しました。ロケット弾を用いるメリットは、強力なリコイルがないため、低反動もしくは無反動であること、発射の際に大きな音が鳴らず静かなことです。

火薬を炸裂させて、その圧力で弾丸を飛ばす銃弾とは違い、初速が遅く徐々に加速していくのが、ロケット弾の特徴でした。そのため、至近距離では威力が出ず、加速のために充分な距離を必要とする欠点がありました。

更に、ロケット弾の価格も高く、命中精度も有効射程である50メートルを超えると極端に低下する欠点もありました。あまりに実用性に乏しかったこともあり、1960年代後半には製造中止となりました。

ジャイロジェット・カービンや、ジャイロジェット機関銃などの構想も実現できないまま終わってしまった銃です。話題性はあったので、007シリーズや、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』にも登場しました。

このように、銃は様々な失敗によって、発展してきました。10mmオート弾が徐々にポピュラーになったように、これらの失敗の上に新しい銃が開発されるかもしれません。

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