トライアンフ・ストリートトリプル:軽量3気筒マシンの実力とは?

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Triumph Street Tripleは、イギリスの名門、トライアンフの765ccの並列3気筒オートバイです。その名の通り、ストリートファイターにカテゴライズされるマシンですが、3気筒ならではのエンジン特性と軽量な車体でサーキット走行までこなせられる実力を持っています。

目次 この記事の内容

  • Moto2からのフィードバッグ
  • 3つのタイプと装備の違い
  • 最古のオートバイメーカーとしてのプライド
  • 軽量ハイパワーなストリートトリプル

Moto2からのフィードバック

出典 https://www.triumphmotorcycles.jp/ Moto2テスト用のトライアンフのマシン

日本でトライアンフのイメージは、アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』で峰不二子が乗っているボンネビルのイメージが強いと思います。最初のテレビシリーズの「ルパン三世その2」が流れるエンディングで、不二子が乗っているバイクもトライアンフをモチーフにしています。

2019年からトライアンフがMoto2のエンジンのサプライヤーとなっています。2018年シーズンまでは、ホンダのCBR600RRの600cc4気筒エンジンが供給されていました。中排気量クラスのMoto2では、エンジンを共通にして、車体のみをメーカーが担当するシステムになっています。

このMoto2マシンのエンジンのベースの765ccの水冷並列3気筒エンジンこそが、ストリートトリプルRSのものをベースにしています。つまり、レースに直結しているエンジンを搭載した市販車が、ストリートトリプルRSということにもなるのです。

トライアンフは、MotoGPに参戦していなかったので、Moto2にエンジン供給する意義は大きいです。レースに直結するイメージは、ヨーロッパでは特に大切で、ストリートトリプルは、最高のパフォーマンスを出す必要のあるマシンでした。

3つのタイプと装備の違い

トライアンフ ストリートトリプル RS

2020年モデルのストリートトリプルは、最高峰のRSのみが発表されていて、SとR Low に関しては、前モデルしか情報がありません。Sはストリート向けで一番安価なモデル、R Lowは中間グレード、RSがサーキット走行も視野に入れた最上位モデルとなっています。

装備の違いとしては、ライディングモードが2種類のSと、4種類のR Lowと5種類のRSとで違いがあります。また、5インチTFTのフルカラー液晶画面(R LowとRSのみ)で公道走行時とサーキット走行で表示の切り替えが可能です。サーキット走行時に便利な、ラップタイマー(RSのみ)や、シフトインジケーターなども装備しています。

Sには、TFTではないものの、LCD液晶の5インチディスプレイが装備されています。また、ライド・バイ・ワイヤとABSは全モデルに共通しています。113PS仕様のスタンダードなS、118PSのR Low、123PSの最上位のRSと出力も異なっています。

R Lowには、ショーワのフルアジャスタブルサスペンションと、ブレンボのラジアルマウント式4POTキャリパーが装備され、シート高825mmのRSと比較して45mm下げられています。

RSには、リアサスにオーリンズのフルアジャスタブルサスペンションと、ラップタイマー、クイックシフターなどが装備されています。価格は、Sが109万円、RSが144万円となっています(2019年まで)。

トライアンフ ストリートトリプルRS(2020年モデル) スペック表

ストリートトリプルRS
最高出力 kW(PS)/rpm 91(123)/11,750
最大トルク N・m/rpm 79/9,350
車体サイズ 全幅×全高 mm 775×1,085
車両重量 kg 188
燃料タンク容量 L 17.4
使用燃料 ハイオクガソリン

ぶっちゃけ、6〜800ccのミドルクラスのSSを除くロードタイプのバイクとしては、最高の出力である123PSと、188kgという軽い車重の恩恵で最高のパフォーマンスを誇っています。

SS並みの高性能なサスペンションと、電子制御を持つ最高峰のRSは、サーキットに持ち込んでもパフォーマンスが高いマシンです。ストリートトリプルをベースに限定生産されるSS、デイトナMOTO2 765は、更にサーキットユースに向いています。

最古のオートバイメーカーとしてのプライド

トライアンフ TT600

トライアンフは、1902年に他社製エンジンを組んだオートバイナンバー1を生産し、1905年にはエンジンも自社製を積んだバイクを生産開始しました。ハーレー・ダビッドソンよりも量産車の生産が3年早いので、現存する最古のオートバイメーカーがトライアンフなのです。

第2次世界大戦後、T120ボンネビルの成功などで、トライアンフは黄金期をむかえます。1951年には、BSAに買収されていましたが、この時代がトライアンフにとって、メリデン(第二次大戦中に新設された工場の名前)時代と呼ばれる、最も輝いた時期だったのです。

しかし、1960年代に台頭してきた日本製のバイクにシェアを脅かされるようになっていきます。1984年に、紆余曲折を経てメリデン工場が閉鎖され、トライアンフはジョン・ブルーアに買収されました。

しかし、ブルーアは日本車に対抗するまでに準備期間を必要としていました。このため、新会社の設立は1990年までかかることになります。

その一方で、1985年より、ハリス・インターナショナルによってボンネビルのライセンス生産が開始されました。1988年には、ボンネビルは排ガス規制に対応できなくなり、生産終了してしまいます。


そして、1990年にはイングランドのレスターシャーにヒンクレー工場を設立します。日本のメーカー、カワサキの技術提供を受けました。水冷エンジンを開発し、新たなオートバイと共に復活したのです。

トライアンフが、2000年から600ccクラスのレースに参戦するためのマシンが、水冷並列4気筒のTT600でした。2003年からデイトナ600となり、ネイキッドバージョンスピードフォーも登場しました。

2006年から675ccの水冷並列3気筒のフルカウルスポーツのデイトナ675と、ネイキッドバージョンのストリートトリプルが登場します。2017年には、排気量を765ccに拡大しました。

現在では、日本車に対抗するブランドイメージを持つオートバイを生産しています。Moto2へのサプライヤー供給は、トライアンフの名門としての復活をアピールし、現存する最古のオートバイメーカーとしてのプライドを取り戻した出来事といえます。

軽量ハイパワーなストリートトリプル

中間グレードのR

ぶっちゃけ、筆者が乗るならRSは必要ないので、Sか中間グレードのR Lowがいいです。113PSもあれば十分で、ストリートユースなら足回りもSで事足りるからです。ただ、2020年モデルのSとR Lowがまだ発表(2019年11月現在)されていないので、新型はRSのみとなっています。

サーキットや、峠をバリバリ走るなら、最上級グレードRSは、お買い得なマシンです。というのも、足回りや装備が豪華で140万円台と、Sよりも30万円以上の価値は十分以上にあるからです。メーカー純正チューンのようなもので、188kgの軽量な車体に123PSもの強力なパワーがあるからです。

2気筒と4気筒共異なる、3気筒の独特なフィーリングは、765ccという排気量ではオンリーワンの存在です。トライアンフは、3気筒の老舗メーカーですので、信頼性も高いです。

ストリートトリプルRSのリア

問題はRSグレードの場合、100kmあたり5.2L消費となっているので、リッター19.2kmといった燃費でしょうか。ハイオクということもあって、ハイパワーな分、燃費は4気筒並みの数値になっています。燃料タンクは、17.4Lあるので、航続距離は単純計算で334kmあるので必要十分です。

同じ3気筒のマシン、ヤマハMT-09は、845ccで排気量が大きいですがライバルの一つです。ただ、排気量が大きい分の違いはあって、MT-09の最大トルクは87N・mと79N・mのストリートトリプルRSを8N・m凌駕しています。しかし、最大出力や車重の軽さでは、ストリートトリプルに軍配が上がっています。

安価な2気筒車であるホンダNCシリーズや、ヤマハMT-07、スズキSV650や、カワサキNinja 650などとは、クラスが違うので単純に比較できません。同じ750ccクラスなら、4気筒のスズキGSX-S750や、排気量は異なりますがホンダCB650R/CBR650R、もしくは800ccV4マシンのVFR800Fといったところでしょうか。

しかし、同クラスのライバルの中では、ストリートトリプルRSのパフォーマンスは抜き出ています。650ccのSSであるカワサキZX-6Rくらいしか同等の能力を持つオートバイは、このクラスでは見当たりません。

しかし、前述したバイクは燃費や価格、一般公道での使い勝手を重視しているので、一概に性能が低いとは言えません。ただ、765ccのミドルクラスのストリートファイターとして、ストリートトリプルがホットなバイクであることは疑いようのない事実なのです。

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