自宅からライブまで使える3〜50Wのコンボアンプとは?

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最近、以前使っていたMESA/BOOGIE S.O.B.のような車で持ち運べられるアンプについて興味を持ってきました。スタジオやライブに使える3〜50Wのオールチューブコンボアンプについて考察してみました。

目次 この記事の内容について

  • スタジオやライブハウスにアンプを持ち込むことを想定
  • Marshall DSL40C:最新のミドルクラスDSLは多機能アンプ!
  • Fender Blues Deluxe:ツイードコンボアンプの伝統
  • VOX AC30C2:ブリティッシュアンプの代表格!
  • Mesa/Boogie Fillmore 50:名器MarkIのDNAを受け継ぐアンプ
  • MATCHLESS DC-30:究極のハンドワイヤードアンプ
  • 豊富な3〜50W出力のアンプのラインナップ

スタジオやライブハウスにアンプを持ち込むことを想定

筆者が以前使っていたメサ・ブギー S.O.B.

筆者(tkd69)が現在のメインアンプのVOX AC15C1以前に使っていたフルチューブアンプは、メサ・ブギーです。Mesa/Boogie S.O.B.とは、MarkIの廉価版の60Wの出力で12インチスピーカー1発のコンパクトなアンプでした。

6L6特有のカラッとした歪みが特徴のアンプで、LIMITつまみ(リミッター)のおかげで自宅でも使えました。メサブギーS.O.B.は、車があれば持ち運びが可能なサイズだったと思います。

ぶっちゃけ、自宅練習するなら5〜20Wのチューブアンプなら音圧もあり、十分な出力があります。しかし、スタジオやライブとなると、15Wくらいならギリギリこなせるものの、会場によっては出力不足で30W以上の出力のアンプが必要になります。

当然ながら、30W以上のクラスとなると、パワー菅が2本以上のものが多く、バイアス調整などの手間はかかります。自己バイアスや、電圧固定型の固定バイアスのもの以外は、パワー菅の交換にバイアス調整が必要でメンテ費用がかかります。

また、ローディなどがいないアマチュアバンドの場合は、個人で輸送することになります。重いスタックはもちろんのこと、コンボでも30kg程度が個人で車を使って輸送できる限界だと思います。今回は、可搬性の高いアンプヘッドはあえて選んでいません。というのも自宅からスタジオ、ライブハウスでの使用を想定しているからです。

3〜50Wのライブまで使うことを想定した出力で且つ、可搬性に優れたコンボアンプを解説します。基準は、新品で買えるものであることです。価格が10万円くらいのリーズナブルなものから、20万円以上するハイエンドなアンプまで紹介していきます。

Marshall DSL40C:最新のミドルクラスDSLは多機能アンプ!

出典 http://www.marshallamps.jp/ マーシャル DSL40C

ぶっちゃけ、どこのスタジオでも必ず置いているイギリス製アンプの雄マーシャルですが、自分で所有する意味は大きいと思います。というのも、スタジオやライブハウスのマーシャルは、酷使されているので、真空管やスピーカー、その他のパーツの劣化が考えられるからです。

また、年代によって使われている真空管の種類も変わっており、頻繁に玉の入れ替えがあったりするので、同じセッティングがそのまま使えないということになります。JCM900や、JCM2000や最新のDSLシリーズなど種類が豊富なため、単純にモデルの違い(年代によるものが大半)で、トーンが微妙に違っていたりします。

ただ、マーシャルというブランドは伊達ではなく、最新のDSLシリーズでもかつてのJCM800から継承されているサウンドイメージを持っています。マーシャルといえば、EL34菅特有の粘っこい歪みが前にガツンと出てくるイメージです。

JCM2000シリーズの歪みを受け継いでいるので、メタルのような激しいディストーションサウンドも作ることが可能です。

そういったマーシャル特有のトーンを持ち、車で可搬可能で自宅練習までカバーするのがMarshall DSL40Cです。今回のテーマである自宅やスタジオで練習したアンプをライブで使えるメリットは、玉石混交のマーシャルでこそ、大きいといえます。

1990年代後半に登場したJCM2000の2チャンネルモデルが、マーシャルDSLシリーズです。100Wのヘッドアンプから自宅練習用の1Wのモデルまでライイナップされています。その中で、ミドルクラスの出力がMarshall DSL40Cです。

この40Wという出力の便利なところは、ちゃんとしたPAシステムのあるライブハウスはもちろん、ちょっとしたライブバーや、スタジオでも使える出力を持っていながらも、自宅練習にも対応していることです。DSL40Cの場合、出力切替スイッチで20Wに下げることも可能で、こういった使い方を想定して作られています。

また12インチのセレッション・スピーカー一発という構造は、22.9kgという重量と、W620mm、H490mm、D290mmというサイズでこのクラスにしては、可搬性が高いです。

そして、何より入出力豊富で、フットスイッチ端子やFXセンド・リターン端子、MIDI IN端子(PCからのコントロールが可能)まで付いています。特筆すべきは、基本的にクラシック・ゲインとウルトラ・ゲインの2チャンネル仕様ながらも、2つのマスターボリュームによって、リード時の音量変化が可能なところです。

また、この2つのチャンネルそれぞれに調整できる内蔵デジタル・スプリング・リバーブも装備され、トーンシフト機能まで装備されています。トーンシフトを押せば、ミドルを下げたドンシャリ気味のセッティングが一発で呼び出せるようになっています。

よって、このDSL40Cの場合、付属の2-Wayのフットスイッチよりも別売の6WayスイッチPEDL91016を使うことをオススメします。このフットスイッチを使用することで、2つのチャンネル切替から、リード時のブースト、リバーブの各チャンネルのON・OFFまで選択できるようになります。

ECC83を4本、EL34を2本使用しています。マーシャル伝統のEL34菅のサウンドで、多機能且つ扱う場所を選ばない万能性を持つアンプが、マーシャルDSL40Cなのです。価格は8〜10万円といったところで、6Wayスイッチは1万5,700円します。

Fender Blues Deluxe:ツイードコンボアンプの伝統

出典 https://www.soundhouse.co.jp/ フェンダー ブルース・デラックス

フェンダー社は、エレキギターだけでなくアンプとしても黎明期から関わっているアメリカの老舗メーカーです。フェンダーのツイードアンプといえば、煌びやかなクリーントーンや、ボリュームを上げた時の極上のクランチトーンのイメージがあります。

ぶっちゃけ、明るめのカラッとした歪や、チューブ特有の温かみのあるクリーントーンを気に入ったなら、Fenderアンプは購入の筆頭候補となります。生産終了したHot Rodシリーズとは異なるイメージのBlues Deluxeは、ツィードアンプのような外観のアンプです。

Fenderの40Wアンプといえば、Hot Rod Deluxeでクリーントーンから現代的なモダンな歪みまでカバーしたアンプでした。しかし、ホットロッドシリーズは生産終了し、その一方で、1993〜1996年の3年間のみに販売された40WのコンボアンプBlues Deluxeがリシューモデルとして復刻されました。

ブルース・デラックスは、2チャンネルアンプとしてクリーンとドライブチャンネルの2つのチャンネルがあります。EQは3バンドとプレゼンス、リバーブが搭載されています。センド・リターン端子もあるので、入出力系も充実しています。

ぶっちゃけ、クリーンとクランチをリッチなトーンにして、ホットロッドシリーズにあった激しく歪むMORE DRIVEチャンネルを無くしたような感じのアンプです。外装は、ツィードラッカー仕上げとなっていて、よりオールドフェンダーっぽい雰囲気となっています。

真空管はプリ部に12AX7が3本、フェンダーらしくパワー菅に6L6を2本という構成となっています。重量は20.4kgで、大きさはW600mm、H480mm、D270mmと同じ12インチで40WのマーシャルDSL40Cと同じくらいのサイズとなっています。価格も新品で、10〜12万円くらいと手頃です。

シンプルな構成のアンプなので、2ボタンタイプの付属のフットスイッチで十分なコントロールが出来ます。激しく歪ませたいギタリストには、前のホットロッドシリーズをオススメしますが、クランチまでの歪みで十分なタイプのギタリストなら、このブルース・デラックスの方が向いていると思います。

VOX AC30C2:ブリティッシュアンプの代表格!

出典 https://voxamps.com/ VOX AC30C2

VOXアンプといえば、泣く子も黙るブリティッシュアンプの代表格です。AC30シリーズは、ビートルズやクイーンといったイギリスの有名なバンドのギタリストが使用する伝統的なアンプです。

筆者が自宅練習とレコーディング用にしている現在のメインアンプAC15C1は、15Wのオールチューブアンプです。もし、30Wクラスでリハスタやライブ用にするなら、今のところAC30C2が筆頭候補となるでしょう。

VOXのいいところは、ミドルがしっかりしているのに、音抜けのいいトーンを持っていることです。この特性故に、シングルコイルのギターの方が相性がいいと言われていますが、ハムのギターでもいいトーンは出せます。

VOXアンプで、よくあるカットというつまみは、上げると高域の範囲が狭くなる、プレゼンスとは逆の働きをするつまみです。ノーマルチャンネルは、カットしかトーン調整は出来ませんが、このつまみだけでクリーンのトーンは作れます。

トップブーストチャンネルのみ、ベースとトレブルが効きます。ノーマル、トップブースト共に、ボリュームつまみがあり、マスターボリュームと2ボリューム方式となっています。

トップブーストでは、70年代のロックの歪みまで作れます。メタルのような歪みは無理なものの、チャリーンとしたクリーンから、60年代風のクランチなど守備範囲の広い歪みを再現できるようになっています。エフェクト・ループも付いています。

プリ部に12AX7を3本、パワー部にEL84を4本という構成ですが、バイアス調整の必要のない構造のため、真空管の交換時のメンテ費用は安くなります。4インプットとなっていますが、ハイインピーダンス(ギターを直接プラグイン)か、ローインピーダンスで2チャンネルを分けています。


つまり、ラインセレクターでそれぞれのチャンネル切替が可能で、別売のVF2Aフットスイッチを使えば、トレモロとリバーブのオン・オフも出来ます。6インプットの6TBよりモダンな構造で、とてもオススメのアンプなのですが、セレッションの12インチスピーカーが2発なので、重量は32.2kgとこのクラスにしては重いです。

大きさは、H702mm、H556mm、D265mmといったところで、スピーカー2発のため、他のアンプよりも横幅が100mmほど大きいです。より小さく軽い可搬性に優れたAC30S1というスピーカー1発のアンプもあるのですが、こちらはトップブーストチャンネルのみという構造です。

8万円代後半から9万円と、リーズナブルな価格でとてもオススメのアンプです。30kgという重量と大きさはネックですが、一人で車で可搬可能なギリギリのサイズのアンプといえます。

Mesa/Boogie Fillmore 50:名器MarkIのDNAを受け継ぐアンプ

出典 https://www.mesaboogie.com/ メサ・ブギー フィルモア 50

ハイエンドアンプといえば、カリフォルニアのアンプメーカーとして名高い、メサ・ブギーです。1980年代にカルロス・サンタナが使用したことで有名なMarkIは、名器と呼ばれ多くのアンプメーカーに影響を与えました。今回紹介するMesa/Boogie Fillmore 50は、このMarkIから発展してきたメサ・ブギーの伝統を受け継いでいます。

プリ部に12AX7が5本、パワー部に6L6が2本と典型的なマーク系列の真空管の構成となっています。アメリカのアンプらしい、カラっとした歪みのアンプです。筆者が使っていたS.O.B.に近いトーンのアンプといえます。

またフィルモア50は、固定バイアスなのに、メンテナンスフリーとなっています(バイアス調整つまみのない電圧固定タイプ)。現在のメサ・ブギーのアンプは、同じメーカー(メサ・ブギー純正菅)のパワー管を使う必要はありますが、そのまま交換可能です。

EQが独立した2チャンネル仕様というのがポイントで、クリーンとドライブとハイという3つのモードチェンジも行うことが出来ます。また、ヴィンテージな真空管によるリバーブも設けられ、各チャンネル毎に設置されています。また出力切替スイッチにより、50Wから25Wに出力を落とすことも可能です。

サイズは、W578mm、H455mm、D258mmとセレッション12インチ1発のみのコンパクトなものです。重さは、20.4kgと車での持ち運びなら十分可能なアンプです。価格は30万円以上しますが、極上のトーンと考え抜かれた機能性の高いハイエンドアンプです。

MATCHLESS DC-30:究極のハンドワイヤードアンプ

出典 http://allaccess.co.jp/ マッチレスDC-30

日本のスーパーギタリストCharの使用で有名なMATCHLESS DC-30について紹介します。このアンプ、12インチのセレッション2発の、W685.8mm、H533mm、D266mmと元になったVOX AC30に近い大きさで、今回紹介した中では一番重い38.5kgの30Wのアンプです。

AC30よりも6kgも重いのは、ハンドワイヤードによるものでしょう。1989年にアメリカでマッチレスが創設されてからというもの、こういった職人気質な作りがウケて、ハイエンドなアンプが増えたのです。

クラスA回路のEL84がパワー部に4本というところからも、元になったAC30と類似しています。プリ部には、12AX7が3本、EF86が1本で、整流管に5AR4を使っています。バイアス調整の必要のない自己バイアス方式というのもポイントです。

2チャンネル仕様で、片方はヴォリューム、ベース、トレブルで、もう一つはヴォリューム、トーンとなっています。マスターボリュームと、カットつまみは両方に効きます。激歪みのアンプと違って、ピッキングのニュアンスや、上質なトーンが特徴のアンプです。

豊富な3~50W出力のアンプのラインナップ

出典 https://voxamps.com/ VOX AC30C2 コントロールパネル

今回紹介した5種類のアンプの他にも、VHTやBlackstar、Laney、BadCatなどのメーカーが、3〜50Wのコンパクトなオールチューブアンプを出しています。その中でも代表的なメーカーの、現行で購入できる定番のアンプを選んでみました。

アメリカ製が3つ、イギリス製が2つとなりました。この中で最も息の長いのが、VOX AC30といえます。フェンダーは、1950年代からギターアンプを作っている最も歴史の古いアメリカのメーカーです。

今回紹介したフェンダー ブルース・デラックスは、歪みの深さよりもトーンの豊さを重視しているアンプで、とてもオススメのコンボアンプです。多機能さと幅の広い歪みならマーシャル DSL40Cとメサ・ブギー フィルモア 50です。

VOX AC30C2と、マッチレス DC-30はクラスA回路の似たアンプのように思えますが、ハンドワイヤードでアメリカ製のDC-30とイギリス伝統のAC30では、成り立ちの違いで違ったキャラクターのアンプとなっています。

どのアンプもそれぞれ違った個性と、歴史があります。楽器店で試奏することをオススメします。近くに楽器店がない場合は、デモ音源やYouTubeなどで、トーンの確認ができます。

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