天気の子:ネタバレ無しレビュー

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『雲のむこう、約束の場所』、『言の葉の庭』、『君の名は。』など様々な名作を生み出した気鋭のクリエイター、新海誠監督の最新作、『天気の子』を上映初日に観に行きました!今回はネタバレ無しのレビューをやっていきます。

目次 この記事の内容

  • 天気の子上映開始!
  • 冒頭30分で引き込まれる展開
  • ボーイ・ミーツ・ガールを基軸に様々な要素をブレンド

天気の子上映開始!

出典 https://tenkinoko.com/

新海誠は、特異なアニメーション監督です。『彼女と彼女の猫』、『ほしのこえ』などの初期作品では、音楽と声優以外(ほしのこえでは新海監督自身も声優をしている)のアニメの全てを一人で制作していました。

筆者(tkd69)も音楽を全て一人で制作しているので、パートをそれぞれ担当してくれたら、どれだけ楽だろうと思いながら作業しています(大汗)。

ぶっちゃけ、CGという技術革新があったにせよ、これは脅威的なことだと思います。音楽と違って、人海戦術が基本のアニメーションで、個人制作など考えられないことです。しかも、出来上がった作品のクオリティは高く、新海監督の光の透過率を利用した、独特の背景は、他のアニメーションにはない要素でした。

新海監督の知名度が爆発的に上がった2016年公開の大ヒット作、『君の名は。』は確かに優れた映画でした。この頃には、スタッフも増え、作画の質も格段に向上していました。新海監督の大ファンである筆者も、何度も見直し、そのたびに感動し、次回作に期待していたのです。

『天気の子』というタイトルで制作していることは、公開前から情報があったので、知っていました。問題は、アニメファン層のみでなく、国民的な映画監督となった新海誠が、どのような作品をみせてくれるのか、という点につきました。

ジブリ作品とは異なる手法の新海監督に対する期待は大きく、その重圧のせいで、作品にも影響してしまうのではないかという心配があったのです。というのも、『言の葉の庭』までは、公開館も少なかったのが新海作品であり、それ故に自由に制作できたからです。

一部のアニメファンのみの新海監督ではなく、世界的な映画監督の新海監督となっても、あの独特の美しい物語と背景美術を見せてくれるのかという不安もあったのです。

しかも、公開前の情報では、試写も行わず、公開ギリギリまで作業するということだったので、なおさら、色々な心配を勝手にしていたのです。

冒頭30分で引き込まれる展開

出典 https://tenkinoko.com/

僕は、今回7月19日(公開初日)のあべのアポロシネマの13:55分からの上映を観ました。平日にもかかわらず、満席で様々な客がきていました。カップルや、友達同士できているケースも多く、予告編などを放映している時には、結構会話していた客が多かったです。

ぶっちゃけ、新海監督の場合、背景美術が素晴らしすぎて、そこにこだわるあまり、冒頭で長い間を作ってしまうということが何度かありました。前作、『君の名は。』では、エンターテインメントを意識した作りからか、冒頭からテンポよく話が展開して行きました。

もし、冒頭部分が『君の名は。』以前の新海作品のようだったら、客層的にまずいのでは?と思ってしまいました。しかし、映画本編が始まると、静かになり、テンポ良く話が展開していきました。


最初に、ヒロインの天野陽菜が、病院の母を見舞っているシーンから入ります。ここから陽菜の不思議な力を得るきっかけとなった話が終わると、次に主人公である森高帆高がフェリーで故郷から東京に渡る場面になります。

ここからはネタバレになるので書きませんが、地方から東京に憧れて上京してきた家出少年が、天気を晴れにする能力を手に入れた少女と出会い、やがて運命を選択する話です。冒頭の30分のリズムと作画は、とても良く話にどんどん引き込まれていきました。

ボーイ・ミーツ・ガールを基軸に様々な要素をブレンド

出典 https://hlo.tohotheater.jp/

天気の子は、タイトル通り天気がキーワードで、雨や晴れのシーンが交互に移り変わるシーンが多いです。ヒロインの陽菜は、祈ると晴れに出来てしまう特殊な能力の持ち主です。ぶっちゃけ、主人公の帆高には特殊能力はありません。

雨を効果的に使っていた、『言の葉の庭』と同じように雨のシーンを新海誠独特の感性で、美しく描いています。雑多な東京の汚い部分もちゃんと描写されていて、美しいシーンとの対比として使われていました。これは、今までの新海作品にはない部分だったと思います。

陽菜の能力については、ファンタジーとして扱われる領域だと思います。スクリーンデビュー作の『ほしのこえ』、劇場公開2作目の『雲のむこう、約束の場所』などは完全にSFで、『君の名は。』、『天気の子』はファンタジーとしての側面の強い作品だと思いました。

基本は、ボーイ・ミーツ・ガールなのですが、とても切なく、笑えて、展開にハラハラドキドキされる、色々な要素の詰まった作品です。賛否両論というラストに関しては、ネタバレ有りの記事のときに書きますが、この結末でよかったのではないでしょうか?

新海監督は、積乱雲を見て天気の子の着想を得たようですが、異常気象についても色々と考えさせられる作品です。

公式トレーラー1

途中で神主の異常気象に関する見解があり、観測史上という短い時期に対比させることでしか、気象を把握出来ないということを指摘しています。数百年、数千年規模で考えられない人間の視野の狭さでは、本当の意味での気象現象について把握することは不可能だともいえます。

天気の子では、東京に雨が降り続いていますが、このことに対して正確に把握している人間は誰一人としていません。陽菜と帆高だけが、感覚的に東京を覆う積乱雲の正体に気づいていて、この2人だけが、選択しなければならない問題が出てくるのです。

基本的に、『君の名は。』のようなエンターテインメント性を維持しています。今回もキャラクターデザインに、『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』田中将賀を起用しています。主題歌や作中の曲も、前作同様にRADWIMPSが担当します。

制作コミックス・ウエーブ・フィルムと配給の東宝のタッグも健在で、前作と同じ体制の元で作られています。新海監督の作家性が十分に生かされた映画ですので、上映前の心配は杞憂でした。色々な人にオススメできる作品となっています。

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