前回に引き続き、2018年の秋アニメランキングを発表します。今回は、4位以降の作品の紹介です。秋アニメはレベルが高く、4位以下といっても秋以外のクールなら、下手したら1位になっていた作品も含まれています。
第4位:SSSS.GRIDMAN
出典 https://gridman.net/ 怪獣と戦うグリッドマン
“SSSS.GRIDMAN”は、1990年代の特撮番組『電光超人グリッドマン』のアニメ版です。ストーリーや、登場人物はアニメ向けに新たに作られたもので、特撮の(結局頓挫した)続編の構想や、本編で予定されていた設定を使ったアイデアがアニメ版に生かされています。
元になった特撮版が、平成ウルトラマンシリーズのフォームチェンジの先駆けだったことからも、革新的な作品でした。アニメ版のグリッドマンにも、そのアイデアは生かされていて、TRIGGERの作画の良さと、派手なアクションシーンにより、今季屈指のエンタメ作品となっています。
個人的には、構想のみだったグリッドナイトが登場したり、最終回に電光超人の姿に戻るところがツボでした。ストーリーも良く練られており、グリッドマン同盟の3人の中学生の役割が、特撮版と微妙に違っていたり、アニメならではのアイデアも盛り込まれていました。
問題は、特撮ならではのミニチュアや撮影方法による巨大怪獣とヒーローの戦いを超える臨場感が出せるかということです。難しいのは、アニメの場合、主に2次元の作画で街を表現するので、特撮のような映像とは質が異なることです。
グリッドマンの場合、『キルラキル』や、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』で戦闘もののアニメに定評のあるTRIGGERですら、この問題を完全に解決したとはいえません。しかし、アニメならではの演出で、グリッドマンと怪獣の戦いを見応えのあるものに仕上げているのはさすがだと思いました。
監督は、『キルラキル』の助監督をしていた雨宮哲で、脚本は、以前紹介した特撮ドラマ『霊魔の街』、『ウルトラマンネクサス』の長谷川圭一です。
第5位:東京喰種:re
出典 https://www.marv.jp/special/tokyoghoul/ 主人公金木研
『東京喰種:re』は、2014年に第1期である『東京喰種』に放送が開始され、2018年の秋から冬にかけて放送された第4期で完結しました。48話を4クール12話ずつで放送し、完結させたことは充分に評価できるポイントです。
特に最終話近辺は、原作のダメだったところをうまく修正していたと思います。特に、原作ではちゃんと描写されていなかった、カネキ対鈴屋戦をしっかり描いてくれたところは、嬉しかったです。かなり原作より削った部分が多かったのも事実ですが、限られた尺の中で最終章まで描ききったことは、素晴らしかったです。
ぶっちゃけ、青ブタや色づく世界や、グリッドマンなどの傑作ひしめく今期でなければ、かなり上位にランクインした作品でした。長かった金木とグールや捜査官のストーリーとお別れすることは、少し寂しい気分になりました。東京喰種:reの最終回の掲載されている2018年31号で、筆者もヤンジャンの購読を止めました。
ヤンジャン31号は、作者の石田スイのイラストに感激したので、この号は残しています。アニメーション制作は、studioぴえろ、監督は渡部穏寛です。
第6位:RErideD-刻越えのデリダ-
出典 http://rerided.com/ ヒロインのマージュ
6位に入ったのは、“RErideD-刻越えのデリダ-“です。タイトルのまんま、主人公デリダ・イヴェンが、タイムスリープをして10年後の未来で目覚め、タイムライド(意識のみをタイムトラベルする技術)を使って過去を改編する話です。
デリダは、所属していたリビルド社のロボットDZに重大な欠陥があることに気付きます。同僚のネイサンと共に、DZの出荷を止め、修正パッチによるリコールを行おうとします。しかし、上層部によってその試みは頓挫し、襲撃を受け、ネイサンは死に、デリダはコールドスリープしてしまいます。
10年後に目覚めたデリダは、DZの暴走によって世界は荒廃していました。デリダは、仕事請負人のヴィドーと、その娘マユカと共に、ネイサンの娘マージュを探すことを決心します。その旅の途中でマージュの親友ユーリィと再会します。
デリダは、いつの間にか自身が提唱したタイムライドを使って10年前に意識が飛んでいることを自覚します。
ぶっちゃけ、かなりシナリオの練られたSFです。こういうノリの作品は好きなので視聴していました。ただ、作画の質がかなり不安定だったのが残念でした。またDZが、世界を崩壊させたロボットの割りにかなり弱いのもマイナスです。
もう少し、DZの数を減らして描写するか、主人公サイドにグラハム(人工AI搭載の万能車)以上の超兵器でもあれば説得力あったのですが。
しかし、アニメスタジオGEEK TOYSの初作品のわりにしっかりとしたアニメだったと思います。監督は、”STEINS;GATE”の佐藤卓哉、シリーズ構成は古怒田健志です。
第7位:DUBLE DECKER! ダグ&キリル
DOUBLE DECKER! ダグアンドキリル#ダブデカ #dabudeka
EDやらせてもらえて光栄でした!僕をアニメ好きとして開眼させてくれました。自分でも驚くような奇抜な曲を書かせてもらいました。お疲れ様でした🌜「Buntline Special」https://t.co/S9Ecodm2G9 pic.twitter.com/gwgLnKoSwO
— ビッケブランカ (@VickeBlanka) 2018年12月31日
面白さだけなら、ダントツの“DOUBLE DECKER! ダグ&キリル”が、第7位というところからも、今期のアニメはかなりレベルが高いと思います。キャラクターデザインが桂正和で、制作サンライズって、まんまタイバニのような陣容ですが、それもそのはずでバディシリーズの第2弾として制作されています。
サンライズのギャグものは、かなり攻めてくるのが定石で、今回も色々やってくれました。『密着リスヴァレッタ警察24時!』、『踊る!学園捜査線!』、『はずれ刑事 純情派』、『刑事が、あぶない!』、『そして誰もいなくならなかった!』という各話タイトルは、色々な方面にケンカ売ってるとしか思えません(笑)。
単純にアメリカに似た都市国家リスヴァレッタで、アンセムと呼ばれる特殊な薬剤を取り締まる刑事の話です。コメディ調で描かれていますが、意外と頭を使った捜査をすることも多いです。
主人公の1人、ダグが策略に長けていて、感覚で動くキリルといいコンビだと思います。残念だったのは、同じサンライズの『機動戦士ガンダムNT』でもあった作画の質の問題です。せっかくの桂正和のキャラデザなのだから、もうちょっと作画が良かったら、もっと上の順位にしたのに・・・。
コメディ調のSF刑事アクションという話は、かなりツボだったので、続編があったら観たいです!監督は、古田丈司で、ビッケブランカの曲を使ったエンディングは、今期1,2を争うほどの出来です。
第8位 ゴールデンカムイ
eastern youthの『時計台の鐘』は、今期最高のエンディング曲
ヤングジャンプの野田サトルによる漫画のアニメ化作品『ゴールデンカムイ』の第2期です。2クール24話で、網走監獄戦までやっているので、一応のくぎりはついた形になっています。
『東京喰種』のように、4クール制作して、漫画連載が終了してからアニメも完結させるのかもしれません。原作マンガはコミックスを全巻揃えるほど、好きな作品ですが、アニメの方は作画の質が惜しい作品でした。ダブルデッカーもそうでしたが、パースが狂っていたり、人物の表情が雑に描かれていたりしていました。
制作は、1期と同じくジェノスタジオで、監督は難波日登志です。
第9位:ゴブリンスレイヤー
出典 http://goblinslayer.jp/ ゴブリンのみを討伐するゴブリンスレイヤー
『ゴブリンスレイヤー』は、アニメが始まる前では、最後まで視聴する作品になると思っていませんでした。異世界ものでもドラクエベースのものが増えてきていて、「勇者」とか言われるとそれだけでも拒否反応が出てしまいます。
ドラクエが嫌いなわけではないのですが、最近はあまりにもゲーム作品をフックにした漫画やアニメが増えすぎているように思えます。
しかし、ゴブリンスレイヤーは、ゴブリン専門のシビアな職人のような仕事をする人物の話でした。1話目で、可愛らしい女神官のパーティが、ゴブリンを舐めていたため全滅寸前にまで追い込まれます。女神官を助けたのは、ゴブリンスレイヤーでした。
彼は、ゴブリンを経験と知略、自身の戦闘能力で狩る能力に長けています。現実にゴブリンがいたとしたら、ゴブリンスレイヤーの使う策は理にかなっています。こういう職人気質で、無口な男が主役ということが、最近のアニメでは珍しいので最終回まで見ていました。
なぜかゴブリンの退治をする方が、難易度が高いように見えるのは、演出のせいでしょうか?なにげに女性が裸になるシーンが多いので、作品の性質上、深夜枠で良かったと思いました。
作画も安定していて、戦闘も策略をうまく使うなど、個人的に好きな要素も多かったのですが、ゲームをベースとした世界観がどうも合わないので、この順位になりました。
過牛くも原作による同名小説のアニメ化で、制作は『ヨルムンガンド』、『シュタインズゲート ゼロ』のWHITE FOX、監督は尾崎隆晴です。
豊作だった秋アニメ
出典 https://gridman.net/
2018年の秋アニメは、稀に見るほどの豊作でした。『転生したらスライムだった件』、『風が強く吹いている』は、2クール以上の作品なので、今回はランキングには入りませんでした。
ただ、6位以降のアニメには、作画の質に問題のあるものが多かったのも事実です。深夜アニメの本数が増えたことによって起こる弊害なのかもしれません。
青ブタからグリッドマンまでの4位以内の作品の質は、それぞれ高く、どれを1位にしてもおかしくないクオリティでした。『宇宙戦艦ヤマト2202』は、『ヤマトよ永遠に』のリメイクのため、視聴しませんでした。
『宇宙戦艦ヤマト2199』までなら1作目のリメイクなのでよかったのですが、2作目以降、終わる終わる詐欺とでもいうべきループに陥るからです。個人的には、沖田艦長が『宇宙戦艦ヤマト 完結編』でヤマトと共に、アクエリアスの海に沈んで綺麗に終わっているからです。
アクションあり、SFあり、特撮あり、コメディあり、恋愛ものありの盛りだくさんの秋アニメで、気付いたら11作品以上、コンスタントに視聴していました(大汗)。2019年のアニメも期待していますが、本数が多すぎるので、少し視聴する番組を減らそうと思っています。
アニメの関連記事はこちら