Gibson ES-335:世界初のセミアコと派生型について

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今回は、Gibson ES-335とその派生型のセミアコースティックギターを解説していきます。今でも作り続けられるギブソンの名器ですが、様々な仕様があり、名称がそれぞれ異なります。

ギブソンのセミアコースティックギター

ギブソン ES-335TD

先日、友人のミュージシャンから、ギブソン ES-335が欲しいので調べて欲しいといわれました。僕も好きなギターなので、さっそくデジマートやらイシバシ楽器のページやらを探していると、近年のギブソンUSAの中古でも20~26万円くらいすることが解りました。

有名なギブソン・レスポール・モデルですら、近年ものの中古のスタンダードなら10万円台で見つかります。ESシリーズは、基本的(ナッシュビルの場合も有り)にメンフィスで生産されていました。現在は2017年にメンフィス工場を閉鎖して、規模を縮小して生産しているようです。

近年ものでも、他に生産しているラインは、ヒストリック・コレクションや、カスタム・ショップなどの上級グレードになります。メンフィスは、レスポールやSGなどのスタンダードなラインの上位に当たるグレードなので、必然的に価格が高くなるということです。

ES-335はセミアコの元祖?

チェリーレッドのES-335

テッド・マッカーティらのギブソンのスタッフが、「ソリッドボディにアコースティックサウンドを加える」というコンセプトを基に開発したのが、ES-335です。テッドらは、1957年にコリーナ・ギターズと呼ばれるフライングVや、エクスプローラを開発したスタッフでした。

ダブルカッタウェイのセミホロウボディは、ES-335の場合、センターブロックが設けられています。完全なホロウボディ(空洞)ではないので、セミホロウボディとされています。ホロウボディよりも、共振によるハウリングを防ぐ効果がありました。

これに1957年からレスポール・モデルに搭載していたP-490ハムバッキングPU(いわゆるP.A.F)を2基載せて、ヴァイオリンのようなfホールを空けました。ハムキャンセル効果による低ノイズと、ウッディな甘いサウンドが出るギターとしてES-335は評判となったのです。

ES-335の販売は、1958年で、レスポールの1952年よりも6年後のことでした。世界初の量産されたセミ・アコースティックギターとして生まれたのです。

ESの名は、エレクトリック・スパニッシュから、よく末尾に付けられるTDとはシンライン・ダブルピックアップのことで、シンラインとはフルアコの半分のボディのことを指す言葉で、一般的にはセミアコのイメージがあります。

色々あるES-335の派生型

ビートルズの使用で有名なエピフォン・カジノ

ES-335の派生型は、色々とあります。まず、バリトーンスイッチを取り付けたES-345です。このバリトーン・スイッチは、一種のローカット機構のように働き、音を硬く、高音を強調できます。エフェクターの無かった当時において、スイッチでトーンをコントロール出来るメリットは非常に大きいものでした。

また、外観もバインティングが施され、インレイはドットから平行に四角が並ぶダブル・パラレログラム・インレイとなり豪華なものでした。

ES-355は、更に上位機種として作られたギターで、エボニー指板に、メイプルのラミネートボディにブロックポジションマークにトレモロアームと、豪華仕様のギターになっています。


また、1957年にギブソンに買収され、1960年よりES-335タイプのギターを販売しているのがエピフォン社です。当時のEpiphoneのギターは、ギブソンの名器を生んだカラマズー工場で生産されていました。

有名なのが、ビートルズのメンバーが使用したEpiphone Casinoです。エピフォン・カジノは、ギブソン ES-330のエピフォン版のギターです。センターブロックが無く、完全なホロウ・ボディが特徴でP-90ピックアップを2基搭載しています。

他には、ES-335やES-345のエピフォン版のリヴィエラ、ES-355に相当するシェラトンなどもあります。エピフォン・ブランドは、1970年代からは日本での生産を開始します。1960年代のエピフォンと、1970年代以降のエピフォンでは生産している工場自体が違っています。

有名な使用ミュージシャン

クリーム時代のエリック・クラプトンとES-335

ES-335といえば、クリーム時代のエリック・クラプトンや、ラリー・カールトンのイメージがあります。またロックの創始者の1人であるチャック・ベリーもES-335や、ES-345、ES-355を愛用していたことで知られています。

そして、忘れてはならないのは3大キングの1人であるB.B.キングの愛器ルシールです。B.B.キングは、ルシールという女性を巡ってケンカしていた男達のせいで、演奏していたクラブが火事になり、その中からギターを救出したというエピソードがあります。

それ以降、愛用するギターにはルシールと名付けたそうです。B.B.のルシールは、ES-355のfホールをハウリング対策で埋めていることが特徴で、ネックがメイプルで指板がエボニーとなっています。

1990年代のイギリスの偉大なロックバンド、オアシスのギタリスト、ノエル・ギャラガーは、エピフォン・ジャパンのリヴィエラを使っていました。スウェードやソロで活躍したバーナード・バトラーのES-355も忘れてはなりません。

最近で有名なのが、フー・ファイターズのデイブ・グロールで、ヘッドが片側6連ペグのES-335タイプのギター、ギブソン DG-345を使用しています。

おすすめのES-335は?

出典 http://www.ariaguitars.com/

ES-335や派生型のギターは、本家ギブソンだけでなく、エピフォンやオービルなど、様々なメーカーから販売されています。オアシスのノエル・ギャラガーのように、エピフォン・リヴィエラで素晴らしい演奏をするアーティストもいるので、ギブソンでないとダメというわけではありません。

ただ、オリジナルのES-335は80年代にギブソンがナッシュビルに移転する前のカラマズー工場で作られていた可能性が高いです。これは、ビートルズが使っていたエピフォン・カジノにもいえることです。

ギブソン・メンフィスも質が高いのですが、単純にいいギターが欲しいという人には、Heritageをおすすめしています。ヘリテイジは、ナッシュビルに移転するときに、カラマズー工場のクラフツマンが中心に立ち上げた会社です。筆者はヘリテイジ H-157というレスポール・モデルを愛用していますが、極上のトーンでとても気に入っています。

クラフツマンによる手作りというのも理由の一つですが、名器の数々を生産したカラマズー工場で作られているというのもヘリテイジの優れたところです。ES-335に該当するモデルが、Heritage H-535です。よりビンテージなトーンを求めるなら、ヘリテイジのES-335モデルはとてもおすすめできるギターです。

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