2025年夏アニメレビュー後編:フドあす〜瑠璃の宝石までの8作品をレビュー!

前回に引き続き、2025年夏アニメレビュー後編です。後編では『フードコートで、また明日。』〜『瑠璃の宝石』までの8作品をレビューします。評価については、これまで同様に星1〜5の5段階評価とします。

目次 この記事の内容

  • フードコートで、また明日。
  • フェルマーの料理
  • ホテル・インヒューマンズ
  • まったく最近の探偵ときたら
  • 水属性の魔法使い
  • よふかしのうた Season 2
  • 瑠璃の宝石
  • わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!
  • 夏アニメのまとめ

フードコートで、また明日。

『フードコートで、また明日。』は、成家慎一郎(なりいえしんいちろう)によるコミックNewtypeで連載中の同名の漫画を元にしたテレビアニメです。30分番組枠なのですが、1クールの半分、つまり全6話で放送されました。

話の内容としては、一見すると接点の無さそうな、見た目は清楚系だけど、実は陰キャの和田と、ギャルっぽい見た目だけど実は冷静で家族思いの山本が、フードコートで他愛のないことを喋る、というものです。

地味な話なのかと思いきやそんなことは無く、和田の振る話から山本が返し、どんどんネタが膨らんでいきます。フードコートの宣伝用モニターに、二人の会話の内容がさげなく反映されていたり、色々なアイデアで楽しませてもらいました。

アニメーション制作は、『異世界おじさん』のAtelier Pontdarc(アトリエ ポンダルク)です。監督は古賀一臣(こがかずおみ)で、シリーズ構成は『メダリスト』の花田十輝です。

星は3.5になります。全6話でしたが、ピリリとした要素もあり、工夫が見られて楽しいアニメでした。

フェルマーの料理 

『フェルマーの料理』は、小林有吾による月刊少年マガジンに連載中の同名漫画を元にしたテレビアニメです。2023年にはドラマ化もされている作品です。マガジンの料理漫画と言うと『ミスター味っ子』を思い出しますが、本作のアプローチは、それとは異なります。

フェルマーの最終定理からきているタイトル通り、数学をモチーフにした料理アニメです。主人公北田岳はKという新進気鋭のレストランのオーナーシェフ、朝倉海と出会います。数学者を目指していた岳ですが、数学オリンピックでの挫折により、その道を諦めようとしていました。

しかし、海の勧めにより、料理の道に数学的思考を組み合わせることをやり始めます。高校卒業後、岳はKに入り、海の元で料理人として修行します。しかし、海は岳に想像以上の試練を与えて料理人としての高みに到達させようとするのでした。

料理もの、ということでナポリタンとか、デザートとか、様々な料理が出てきます。その描写は実に美味しそうに描かれており、深夜枠というのが恨めしいほどでした(笑)。海を始め、数学仲間の広瀬だったり一癖も二癖もあるキャラクターが登場します。

岳の性格からか、熱血もの、というよりは発見と発想で料理に昇華させる、という感じのアプローチです。つまり、岳が何かを掴むまでが勝負になってくる、というパターンが多いですね。

アニメーション制作とシリーズ構成は『ロマンティック・キラー』のドメリカです。監督は市川量也(いちかわかずや)です。星は4佳作認定です。料理と数学という、一見すると無関係なものの組み合わせで、新しいものを創造する、という本作のテーマを見事に描いた作品だと思います。

ホテル・インヒューマンズ

『ホテル・インヒューマンズ』は、田島青によるサンデーうぇぶりにて完結した同名漫画を元にしたテレビアニメです。一見すると普通のホテル、インヒューマンズは、殺し屋専門のホテルでした。そこで働くコンシェルジュの、星生朗と灰咲沙羅を中心に描かれる癖のある殺し屋のエピソードを語るアニメです。

完璧さを信条に仕事をする男の殺し屋は、妻だけは想定外の動きをする、と生朗に語ります。正に、その想定外で命を落とし、インヒューマンズはサービスの一環として葬儀を執り行います。

他には余命の少ない少女の殺し屋であったり、かつては優秀な殺し屋だった老人、2人組の殺し屋コンビの生き様だったり、様々な殺し屋がホテルを利用し、去っていきます。

アニメーション制作はブリッジで、監督は『マクロス7』、『屍鬼』のアミノテツロー、シリーズ構成は『グイン・サーガ』、『波よ聞いてくれ』の米村正二です。星は3.5です。そこそこ作画も良く、各エピソードも悪くなかったのですが、今期は他に粒よりの作品が多かったため、平均的な点数になってしまいました。

まったく最近の探偵ときたら

『まったく最近の探偵ときたら』は、五十嵐正邦(いがらしまさくに)による電撃マオウに連載中の同名漫画を元にしたテレビアニメです。かつて一世を風靡した探偵、名雲が女子高生の助手、真白と共に様々な事件を解決?するという話です。

名雲は昔こそ、天才探偵だと持て囃されていました。しかし、年齢と共に体力が低下するのと比例するかのように依頼が激減し、事務所の経営も難しくなってきました。そんな中、押しかけ助手の真白や、名探偵少年のアスナロ、その助手のマキなどが事務所にやってきて、様々な騒動を巻き起こすようになります。

探偵もの、という括りはありますが、コメディテイストの強いアニメです。特に助手の真白の顔の表情の付け方が凄く、本当にこの子ヒロインか?ってなるくらいの扱いです。

アニメーション制作は、『よふかしのうた』のライデンフィルムで、監督は久城りおんで、シリーズ構成は『君は放課後インソムニア』の池田臨太郎です。星は3.5です。そこそこのクオリティはあり、ギャグアニメとして楽しめられました。

水属性の魔法使い

『水属性の魔法使い』は、久宝忠(くぼうただし)原作の同名のなろう小説が原作のテレビアニメです。異世界転生ものなのですが、本人はスローライフを希望したのに、どんどん理想とかけ離れるようになっていく、涼という水属性の魔法使いの冒険譚です。

序盤で涼は独自の魔法の修行や、水の精霊王に鍛えられた剣技で規格外の強さを入手します。浜辺に打ち上げられていたアベルという冒険者を街まで送り届けると、その強さを道中で実力者であるアベルに看破されます。冒険者ギルドに所属するようになりますが、様々な問題に巻きこ込まれるようになります。


涼が序盤から強いので、なろうらしい展開にはなっていきます。レオノールという悪魔だったり、爆炎の魔法使いというライバルキャラもいるので、そこまで無双という印象はありません。

アニメーション制作は、颱風グラフィックス(タイフーングラフィックス)とWonderlandで、監督は佐竹秀幸(さたけひでゆき)で、シリーズ構成は『昭和元禄落語心中』の熊谷純(くまがいじゅん)です。星は3.5になります。作画自体は良くも悪くもないのですが、話はそこそこ楽しめられました。

よふかしのうた Season 2

『よふかしのうた Season 2』は、コトヤマによる週刊少年サンデーで完結した『よふかしのうた』を元にしたテレビアニメです。コトヤマ原作のアニメとしては、『だがしかし』も含めると2作品視聴しています。

Season 1は2022年の夏に放送されました。吸血鬼になる目的を達成するために、七草ナズナに恋をしようとする、夜守コウはいつも通りの日常を過ごしていました。しかし、鶯餡子(うぐいすあんこ)という探偵が、吸血鬼を目の敵にし、その弱点を探していることを知ります。

吸血鬼にとっての弱点とは、人間だった時にこだわっていたもなので、ナズナの過去を辿るようになります。そこでクローズアップされたのが、同じ吸血鬼のカブラであり、ナズナの母との交友があり、吸血鬼になった過去を二人に話します。また、ナズナは生まれてからずっと吸血鬼であり、過去による弱点が存在しないことがわかります。

そんな中、ナズナは探偵と昔は友人であり、過去にあった出来事がきっかけで彼女が吸血鬼を憎むようになったことをコウに話すのでした。今回は過去を辿り、そこから抜け出せないでいる探偵の事情が分かるようになっています。

アニメーション制作は、『まったく最近の探偵ときたら』のライデンフィルムで、監督はSeason 1から引き続き、板村智幸(いたむらともゆき)で、シリーズ構成は同じく横手美智子です。星は4.5名作認定です。

夜の景色の表現が秀逸なアニメです。探偵とナズナ、それからコウの2人を仲直りさせたい、という願いが叶い、とても余韻の残るSeason 2でした。

瑠璃の宝石

『瑠璃の宝石』は、渋谷圭一郎(しぶやけいいちろう)による、ハルタに連載中の同名の漫画を元にしたテレビアニメです。キラキラしたもの=宝石が好きな女子高生の瑠璃は、鉱物学を専攻する大学院生の凪と出会い、鉱物収集を行うようになります。

また、凪と同じ大学の伊万里や、ルリの同級生の瀬戸も加わり、様々な鉱物を収集していきます。序盤は宝石を集める、という目的で動いていたルリですが、鉱石そのものの成り立ちや、その歴史などにも関心を向けるようになっていきます。

作中に登場するキラキラした鉱石の表現も目を見張るものがありました。それもそのはずで、アニメーション制作は、『無職転生〜異世界行ったら本気出す〜』、『お兄ちゃんはおしまい!』のスタジオバインドであり、今回も素晴らしい作画でした。

監督は、『お兄ちゃんはおしまい!』の藤井慎吾で、シリーズ構成は『雨と君と』の横手美智子です。星は4.5名作認定です。鉱石収集という、地味な題材を、ここまで魅力的にアニメーションとして表現したことに感服しました。

わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』は、みかみてれん原作の同名のライトノベルを元にしたテレビアニメです。長いタイトルなので、わたなれという略称を使われることが多いようです(CMでもそう言ってます)。

ゲーム好きで陰キャのれな子は、高校デビューするために見た目を変え、クラスのカースト上位グループの真唯と仲良くなり、そのまま陽キャとして振る舞っていました。しかし、2ヵ月後、耐えきれなくなり、教室を飛び出し屋上に逃げ込みます。そこで本音をぶつけた2人はより親しくなります。

しかし、真唯はれな子に恋人として付き合って欲しいと申し出、れな子は友達として接したいと返します。かくして、親友か、恋人かの関係を巡った勝負が開始されます。内容としては百合ものなのですが、コメディ要素が強い作品だと思いました。

クラスのグループそのものに、百合の傾向が強いので、れな子のハーレムもの?とも見えてしまいます。とはいえ、コメディ漫画としてテンポのいいアニメなので、見やすいと思いました。

アニメーション制作はstudio MOTHERで、監督は内沼菜摘で、シリーズ構成は特撮ものの脚本で知られる荒川稔久(あらかわなるひさ)です。星は3.5です。作画も良く、百合ものが好きな人には刺さるアニメではないでしょうか。

結構途中で終わってしまった印象があるのですが、続きは劇場版や、13〜17話の放送もあるようです。

夏アニメのまとめ

視聴した24作品中、佳作の星4以上が15作品とハイレベルなクールだったと思います。特に『サイレント・ウィッチ』は星5の覇権認定にふさわしい出来のアニメだったです。今期はオリジナルよりも、原作のある作品が多かった印象です。

また、その着せ替え人形は恋をするや、ダンダダン、Dr.STONEなどの季節を跨いで継続しているアニメが多かった印象がありました。どの作品もレベルが高く、視聴本数を絞ることが難しくなり24作品を視聴しましたが、とても楽しく素晴らしいクールだったと思いました。

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