筆者(tkd69)が今回購入した、2003年製Gibson SG Special Fadedの調整も終了し、徐々に慣れてきました。レスポールに次ぐギブソン系ソリッドギターの、SGモデルについて、歴史や使用ミュージシャンなどについて調べてみました。
目次 この記事の内容
- SGはレスポールになるはずだったギター
- SGを愛用したギタリスト
- 様々な種類のSG
SGはレスポールになるはずだったギター
一般的なラージピックガードのギブソン SG
ギブソン系のソリッドギターといえば、最初に浮かぶのは3大ギターの一つであるレスポール・モデルです。レスポールは、確かに優れたギターで、マホガニーバックにメイプルトップの厚いボディ、P.A.Fと呼ばれる最初のハムバッカーを採用し、チューンOマチックによるしっかりしたピッチ調整が可能な完璧なギターでした。
筆者も、長年愛用していたのは、ヘリテイジのレスポール・カスタムタイプのギターで、メイプルトップならではの上品なクリーンに、歪ませた時の厚みのあるトーンなどが気に入っていました。
しかし、一般的なイメージのハム仕様のレスポール・モデルの初期生産ギターは、1958〜1960年までしか生産されていません。これは、当時の音楽が歪ませたオーバードライブサウンドとは異なる指向だったことに加えて、フェンダー系ギターよりも重い重量によって人気が出ていなかったのです。
そこでギブソンは、レスポールモデルをフルモデルチェンジすることにしました。1961年から販売される新しいレスポールは、軽量なオールマホガニーボディ、ダブルカッタウェイのモデルを基本にすることに決定したのです。
SGは、実は1959年から先に販売されています。レスポールの廉価版のジュニアやスペシャルといったギターには、先にSG(ソリッド・ギターの略)が与えられていました。1961年からのモデルチェンジに伴い、SG ジュニアやSG スペシャルも今日でいうところのSGのボディ形状のモデルに切り替わりました。
とてもややこしいことなのですが、SG ジュニアやスペシャルの方が先にSGの名前が与えられていたことになります。現在では、混乱を避けるため、1961年以降のカッタウェイの先端が尖ったモデルをSG、他の丸いシェイプをレスポールと呼んでいます。
レス・ポール氏との契約が終了するまでの1963年までのSGモデルは、レスポールとして販売されていました。そのため、スタンダード、カスタムといったレスポールの派生モデルも受け継いでいました。
前述のレス・ポール氏がSGをレスポールと呼ばなかったいうことが大きいですが、明らかにレスポールと違ったキャラクターのために、1963年以降のSG改名に伴いこの名称が一般化されていきます。
SGを愛用したギタリスト
アンガス・ヤングとトレードマークのSG
以前の記事にエリック・クラプトンが、サイケなペイントをしたSGをクリーム時代に愛用していたことを書きました。このギターは、ザ・フール・ギターと呼ばれたジョージ・ハリソンから送られた1964年製のギターです。
1966年から1968年に活躍したクリームの影響は大きく、SGを流行らせる要因になりました。クラプトンはレスポールだけでなく、SGの普及にも貢献していることになります。
1960年代の後半頃から、ザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントが、それまで使用していたリッケンバッカーや、ストラトに変えてP-90のSG スペシャルをメインギターにしました。ピート・タウンゼントのライブ中の、高いジャンプは、軽量で取り回しやすいSGならではだと思います(笑)。
カッティングに向いたSGのキャラクターを存分に生かしているのが、ピートの凄いところだと思います。しかし、P-90はフェンダーのシングルとは異なるローミッドの出るシングルコイルでした。ガッツがありつつ歯切れのいいコード弾きを開拓したのは間違いなくピートだと思います。
もう一人は、サンタナのギタリスト、カルロス・サンタナです。筆者は、1969年の伝説のロックフェス、ウッドストックで一番カッコ良かったのは、サンタナだと思います。この時、カルロス・サンタナが弾いていたのは、SGスペシャルのP-90を搭載していたモデルでした。
サンタナは、この後レスポールを使用したり、1970年代中盤からはヤマハ SGに乗り換え、現在はPRSを愛用しています。
また、ビートルズのジョージ・ハリスンもスタジオ録音でしばしば使っていたり、1966年のビートルズのツアーにおいて、サブギターとしてSGを使用していました。
なんといっても、オールマン・ブラザーズ・バンドのデュアン・オールマンです。デュアンは、レスポールをメインに、ディッキー・ベッツから譲り受けたSGをオープンチューニングのスライド用に使用していました。
そして、1970年代のオーストラリアのスーパーバンドAC/DCのアンガス・ヤングがSGをメインギターにして激しいステージをしていました。SGがトレードマークのギタリストといえば、アンガス・ヤングのことを思い浮かべる人が多いです。
ブラック・サバスのトニー・アイオミもSG使いとして有名です。ダウンチューニングにヘヴィなリフは、SGあってのものでした。
様々な種類のSG
ギブソン・カスタムショップが61年当時のSG(レスポール)を再現したもの
ロックのギタリスト達が愛用することで、レスポールに次ぐギブソン系ソリッドギターとしての地位を得たSGですが、色々な種類があります。最初のSGは、1961年から製造されたモデルで、当時は1弦側のみのピックガードに、トレモロアームが付属していました。
ディッキー・ベッツは、テイルピースを入れ替えチューンOマチックタイプに改造し、トレモロユニットを潔くオミットしました。当時はこういった改造が流行っていて、現在ではチューンOマチックのモデルが、61年リイシューとして販売されています。
SGスタンダードは、レスポール・スタンダードと同様に、SGの基本となっているギターです。66年にピックアップキャビティを広げたラージピックガードに変更されました。
また、SGカスタムは、エボニー指板に3ピックアップ仕様と豪華なモデルです。トグルスイッチの配線位置も工夫しています。フロント、ミドルとリアのミックスポジション、リアという感じです。
スペシャル、ジュニアも販売当初は、P-90にピックアップがをスペシャルが2基、ジュニアが1基といった区別がありました。ぶっちゃけ、現行モデルのスペシャルではピックアップカバーを外したハム仕様のギターもあります。
基本的に2ハムピックアップに、薄いマホガニーのボディ、マホガニーネックに、ローズウッド指板という仕様がSGの標準的なイメージです。ダブルカッタウェイは、22フレットのハイポジションまで弾きやすく、レスポールと比較して安価なのがSGの特徴です。
この記事の動画バージョンで筆者が投稿しました。
トーンは、マホガニーっぽい暖かみと丸い印象があります。筆者の感覚ですが、トップ材にメイプルを貼り付けているレスポールの方が音が引き締まっていて、トレブリーに聴こえます。しかし、ボディが薄いためかレスポールほど重厚なトーンではなく、歯切れのいいコード弾きにも適したギターです。
マホガニーのみのボディは、レスポールよりも製造工程を簡略化できるため、コストを下げることに成功しています。ぶっちゃけ、ギタリストの相棒的存在が、SGというモデルだといえます。
同じソリッドギターでもボディが軽いので、ネックが下がりやすく、可搬性に優れているのがSGです。トグルスイッチが、テールピースの方にあるため、ストラトっぽい位置だといえます。
今ではSGというギターは、確固たる地位を築いています。レスポールほど、認知度の高いモデルではありませんが、偉大なロックギタリストが愛用していたソリッドギターの一つであることは疑いようがありません。
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