ヤマハ SR400:変わらないことが魅力のロングセラーバイク!

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今回は、2018年から再販されたヤマハ SR400について紹介していきます。息の長い空冷単気筒のロングセラーで、筆者の友人が好きなバイクでした。

SR400との関わり

2019 大阪モーターサイクルショーに展示されていた再販モデル

個人的にSR400との直接の関わりは、まだ3ピースのバンドを組んでいたときに、大阪の寺田町でライブしていたときの対バンのメンバーが、乗ってきたバイクがSRでした。

そのときのやんちゃな僕のバンドのベーシストが、SRが好きで乗せてもらって喜んでいたのを思い出します。その当時は、キックでキャブ(今ではインジェクション)のレトロなバイクのどこがいいのかさっぱり解りませんでした。

筆者がスズキ バンディット250に乗って、ベーシストの友人の家に遊びにいったときに、試乗させてあげるとまたSRの話になりました。その友人は、筆者が譲渡したホンダのベンリィをSRチックに改造していたのを覚えています。

その1週間後に、たまたま立ち寄った岸和田の道の駅で、SR400でツーリングしているバイク乗りと出会って少し話しをすると、なんと北海道までツーリングに行く予定だと言っていました。

しかも、わざわざ下道使ってのんびりロングツーリングしているとのことでした。SRはとことこ走っても面白いから、こういうツーリングしていると聞いて衝撃を受けました。

出典 https://www.yamaha-motor.co.jp/ 現行SR400の青

400ccの昔ながらの空冷単気筒エンジンの、ドコドコした乗り味は、ゆっくり走っていても味があって楽しいとのことでした。そういう観点でバイクのことを考えるというのが新鮮で、後にVツインのホンダ VTRに乗り換えて、低速やアイドリングでのドコドコ感を味わって、実感できたというわけです。

筆者のSRに対する関わりはこの程度ですが、バイクに求めるものがそれぞれあることを気付かせてくれたのが、レトロな空冷シングルでした。それ以来、SRは気になる存在として、常に意識していました。

ホンダもSRに対抗する形で、CB400SSというレトロな空冷のシングルバイクを販売したことがありましたが、2001年から2008年にかけて生産したのに留まりました。CB400SSは、スクランブラータイプのCL400の後継として、面白いバイクだったのですが、2008年の排ガス規制によって生産終了したのです。

SR400のように40年以上も、基本的な構造を変えずに製造され続けているバイクは他にありません。SRにしかない魅力が、40年以上もの間多くのライダーに愛され続けているのだと思います。

SRの歴史

SR400の前身ともいえるXT500

ヤマハ SR400を語る上で重要なのは、XT500の存在です。ヤマハは、アメリカ市場の要請を受けて、これまで作っていなかったビッグシングルを開発しました。

XT500は、1976年に発表された乾燥重量わずか139kgの500ccのビックシングルトレール車でした。そして、パリダカや、アメリカのダートレースで優勝するなど、レースで実績を残すほどの名車でした。

SR400/500も当初は、XT500のスクランブラータイプのようなバイクとして開発されていました。さるバイク雑誌が、ヤマハからビッグシングルスポーツが販売されるというエイプリル・フールネタを書いてしまいました。

これを真に受けたライダーが、ロードモデルを欲しがったため、急遽ロードスポーツモデルとしてSRを1978年から販売開始させたのです。日本国内でもSR400と、500が販売され、海外では主に500が輸出されました。

XT500に搭載されていた空冷SOHC単気筒エンジンをショートストローク化してボアダウンしたのが、SR400のエンジンです。27PSの最大出力に、3.0kgf・mの最大トルクというトルクフルなエンジンに、乾燥重量で158kgという軽快な走りが受けたのか、初代SRはそこそこ売れました。


2代目で、1979年当時から国内で認可されたキャストホイールがSR400にも装備されると、たちまち人気は落ちてしまいました。今では、SRはカスタムのベースにされることが多いのですが、この2代目から初代のスポークホイールに戻したり、改造するライダーが出てきたのです。

そして、1983年には再びスポークホイールのSRが販売され、今のようにクラシックなバイクとして製造されることとなりました。この頃には、クラシックなスタイルのカスタムをしても楽しいバイクとして、SRはスタンダードな存在になっていました。

1985年には、スポーツ志向の強いSRXシリーズの販売が開始され、SRは差別化のために、前後ドラムブレーキに改変されました。このため、ヨーロッパでSR500が規制にひっかかることとなり、輸出が困難になりました。2000年の排ガス規制もあり、SR500は生産終了してしまいます。

同じようにSRXシリーズも1990年には生産終了となりました。しかし、SR400は2001年に排ガス規制に適合させる形で、ディスクブレーキ化したモデルが登場しました。しかし、2008年には排ガス規制によって、生産を一時終了してしまいます。

出典 https://www.yamaha-motor.co.jp/ キック始動はSRのアイデンティティ

多くのライダーから、SR400を復活させて欲しいという声が強く、ヤマハはそれに応える形で、2009年12月に、キャブからフューエルインジェクションに進化させたSR400を販売開始するのです。FI化しても、キック始動はアイデンティティとして続けていました。

キャブ仕様よりも始動性が向上したのが、2009年以降のモデルの特徴で、SRの基本的な部分はそのままでレトロなカスタムの楽しいバイクとして変わらぬ人気を保ち続けたのです。2013年には、SR400が再びヨーロッパやアメリカに輸出されるようになりました。

2017年に再び生産終了しますが、2018年には、マイナーチェンジを施した、現行モデルがラインナップされ、40年以上にわたって生産され続けるロングセラーバイクの復活が果たされたのです。

※ヤマハ SR400(現行モデル)スペック表

SR400
最高出力 kW(PS)/rpm 18(24)/6,500
最大トルク N・m(kgf・m)/rpm 28(2.9)/3,000
車体サイズ mm 2,085×750×1,100
車両重量 kg 175
燃料タンク容量 L 12
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン

ロングセラーの秘訣は変わらないこと

キャブ時代から変わらない空冷SOHC単気筒エンジン

現行SRは、空冷単気筒エンジン、キックスタート、スポークホイールといったSRの基本はしっかり受け継いでいます。インジェクション化はされましたが、SRのビッグシングルならではのドコドコしたフィーリングはしっかりと残っています。

メーカー希望小売価格は、税込み57万2,400円(2019年4月)と良心的で、シンプルながらも見やすい2眼のアナログメーターが、好印象です。

400ccの単気筒なので、燃費もWMTCモードで29.7km/Lと優秀な数値を叩き出しています。二輪のWMTCモードは、クルマと違ってそれほど実燃費と変わらないので、12Lのタンク容量で、350kmくらいの航続距離があるということになります。車検を除くとランニングコストは高いです。

また、40年以上も生産されている人気車のメリットとして、パーツが豊富にあることが挙げられます。カスタムベースバイクとしてのSRの素養の高さは、シンプルな空冷単気筒ならではです。

ホンダのCBシリーズが、代替わりしながらもアップデートして存続しているのとは違って、変わらないことがSRのロングセラーの原因であり、最大の魅力なのです。

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