MotoGP 2018 第16戦 日本GPは、栃木県のツインリンクもてぎで2018年10月21日に開催されました。マルク・マルケス選手がチャンピオンに向けて大手をかけているレースで、思いもよらぬ結末となりました。
マルケス王手!ホンダのホームコースでチャンピオンなるか?
スペシャルヘルメットで走るマルク・マルケス選手
ツインリンクもてぎは、小さい直線を繋ぎ合わせたかのような、ストップ・アンド・ゴーのレイアウトのサーキットです。加速力に優れるマシンに有利なサーキットです。パッシングだけでなく、タイムを出すためには、レイトブレーキングが重要になってきます。
もう一つ重要なのが、アウト・イン・アウトのライン取りで、コーナーを目一杯ワイドに使う必要があります。それだけに予選順位は重要でした。ポール・ポジションがアウト側なので、1コーナーから有利なポジションが取られるからです。
マルケス選手は、2位と75ポイント差以上でチャンピオンが決まります。残り3戦で、1位が25ポイントなので、マルケス選手が全戦リタイヤしたとしても、追いつかないからです。ということは、マルケスはランキング2位のドゥカティのアンドレア・ドヴィチオーゾ選手より前だと無条件でチャンピオンになるということです。
トップタイムは、ドヴィチオーゾ選手でした。パワフルなデスモセディチに、もてぎのレイアウトは合っているようです。ドヴィチオーゾが、ポール・ポジション取り、好調のようでした。チームメイトのホルへ・ロレンソ選手は怪我のため今回は出走を見合わせました。
チャンピオンに王手をかけているレプソル・ホンダのマルク・マルケス選手は、FP4での転倒が響いて予選6位、予選2位にはヤマハのヨハン・ザルコ選手で、予選3位はドゥカティ・プラマックレーシングのジャック・ミラー選手でした。
LCRホンダの中上貴晶選手は、Q2に進出し予選12位とまずまずの結果を出しました。Moto2で、長島哲太選手が予選8位と決勝に向けて期待のできるグリッドに並びました。
マルケスのロケットスタート!と手に汗握る展開
最後の日本GPとなるダニ・ペドロサ選手
Moto2は、長島選手が13位でポイントを獲得しました。母国GPでの活躍を期待しましたが、次のレースで頑張って欲しいです。Moto2クラスで優勝したファビオ・クワッタハッホ選手が、タイヤの空気圧が規定より低かったため失格となってしまいました。
こういう整備のミスで、優勝が取り消されるという話は、あまり気分のいいことではありません。2位のフランシスコ・バニャイヤ選手が繰り上がりで優勝ということになりました。
MotoGPの決勝で、ホール・ショットを奪ったのはポールスタートのドヴィツィオーゾ、ロケットスタートを決めたマルケスは、1周目からいきなり2位につけました。対照的に、2位スタートのザルコは大幅に順位を落としてしまいました。
3番手につけるのは、LCRホンダのカル・クラッチロー選手で、5周目にはマルケスを抜きました。マルケスは、すぐに抜き返します。チャンピオンがかかっていても野暮なチームオーダーはなさそうです(笑)。
14周目にマルケスが、ドヴィをパスしてトップに立つものの、コースから少しはらんでダートにタイヤが落ちてクラッチローとドヴィに抜かれます。ドヴィが再びトップになり、マルケスが再びクラッチローを抜き2位になります。
レース中盤で、上位につけていたスズキのアンドレア・イアンノーネ選手が転倒しリタイヤ、クラッチローが徐々に離されてきて、レースはまたまたドヴィとマルクの一騎討ちとなりました。
レース終盤で、ドヴィがファステストラップを記録し、マルクを引き離そうとします。しかし、マルケスもファステストタイムを叩き出し、ドヴィとの差を詰めます。レースも残り4周というところで、マルケスがドヴィを抜いて再びトップに!
ドヴィも諦めずにマルケスにぴったりついていきます。レース残り2周というところで、ドヴィがまさかの転倒!映像を見ていても、オーバースピードのようには見えなかったので、おそらくタイヤが限界にきていたのではないかと思います。ランキング2位のドヴィが転倒するという思いもよらぬ展開となりました。
この時点で、マルケスの勝利とチャンピオンが確定しました。レースは、2位にクラッチロー、3位にスズキのアレックス・リンス選手、4位にヤマハのバレンティーノ・ロッシ選手、ワイルドカード出場の中須賀克行選手が14位、中上は15位という順位になりました。
マルケスの強さは本物!5度目のMotoGPチャンピオン!
ホンダのホームコースということで、八郷社長が駆けつけていました。マルケスのチャンピオン獲得に、一緒になって喜ぶ姿は、さすがバイク乗りの社長です。マルケスもホンダのホームでチャンピオンを決めるという勝負強さを持っていました。
レトロゲームのようなドット絵の画面の出る、アーケードゲーム機のようなオブジェクトからチャンピオン獲得のスペシャル・ヘルメットが出てきました。こういったパフォーマンスもマルケスらしいところです。これで3年連続、5度のMotoGPチャンピオンです。
125ccクラス、Moto2クラス合わせて7回のチャンピオン獲得ということで、Level7と表記されたTシャツを着ていました。まだ25歳の若さで5度の最高峰クラスチャンピオンは、ただただ感嘆します。
今シーズンのホンダ RC213Vは、序盤こそ他メーカーのバイクよりも安定して速かったですが、中盤以降はドゥカティ勢のパワーの前に苦戦していました。マルケスの凄いところは、チャンピオンのかかったレースで3連勝して、流れを引き戻したところにあります。
レプソル・ホンダは来シーズンマルケスに加えて、ロレンソを迎えいれます。来シーズン、マルケスを脅かす存在になるのは、誰でしょうか?その答えはシーズンの残り3戦で得られるかもしれません。
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