2025年春アニメレビュー 前編:アポカリプスホテル〜薬屋までの9作品!

今回は、2025年春アニメレビュー前編をお届けします。2025年4〜6月に放送されたアニメを9作品、星1〜5までの5段階で評価します。前編では『アポカリプスホテル』〜『薬屋のひとりごと』までの9作品をレビューします。

目次 この記事の内容

  • アポカリプスホテル
  • ある魔女が死ぬまで
  • 一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる
  • 炎炎ノ消防隊 参ノ章
  • 俺は星間国家の悪徳領主!
  • 片田舎のおっさん、剣聖になる
  • 機動戦士Gundam GQuuuuuuX
  • 九龍ジェネリックロマンス
  • 薬屋のひとりごと Season 2

アポカリプスホテル

『アポカリプスホテル』は、『勇気爆発バーンブレイバーン』のCygamesPicturesが制作し、共同企画をサイバーエージェントが行った、オリジナルアニメです。タイトルから、終末というイメージとホテルが結びつかなかったのですが、1話目から見て、なるほどそういうことか!と膝を打ちました。

近未来、ロボットとAIが従業員となって運営していたホテル、『銀河楼』。未知のウィルスが、人類を地球から避難させ、1世紀経過しても、人類が帰還することはありませんでした。

銀河楼で働くロボット達は、アンドロイドのヤチヨをオーナーの代理の代理として、ホテルを維持管理していました。客の来ないホテルで、ヤチヨ達は長い時間を待ち続けていました。

稼働するロボットの数も年々減っていき、ドアマンロボット始め、故障が目立つようになってきた頃、なんと地球外生命体の客が来訪します。それをきっかけに、長期滞在のタヌキ星人一家など、異星人が客になり、ホテルは徐々に活気を取り戻していきます。

つまり、アポカリプスとは人類がいなくなった後の世界ということであり、ヤチヨ達、ロボットのみが元の地球の文明の名残りとして、銀河楼を運営していく、という話になります。

タヌキ一家のポン子が銀河楼の従業員になり、賑やかになっていく銀河楼、いつしか異星人が客として来訪するようになり、かつての賑わいを取り戻していくのです。その間に色々あるのですが、ロケットを打ち上げ、人工衛星で宣伝したり、タヌキ一家の祖母の葬式と、ポン子の結婚式を同時に行ったりします。

作風はほのぼのしているのですが、セル画のようなアナログ感のあるアニメ作りがされていて、いい意味で勢いのある感じがします。また、ホテルを訪れる客は一癖も二癖もあります。

監督は春藤佳奈(しゅんどうかな)で、シリーズ構成は村越繁(むらこししげる)です。星は4.5、名作認定です。かなり丁寧に作られたアニメで、話の展開も予測不能で面白く、話題性もありました。

ある魔女が死ぬまで

『ある魔女が死ぬまで』は、が原作のライトノベルを元にしたテレビアニメです。魔女見習いの少女、メグが残り1年で呪いのために死ぬ、と師匠のファウストに告げられ、その呪いを解くために嬉し涙を集める、という話です。

この作品では、現代っぽいのですが、微妙に異なります。つまり、魔法や異界というファンタジー要素のある別世界という感じになっています。基本的に、ほのぼのした雰囲気のある作品なのですが、呪いや魔力障害、環境破壊、という影の部分もあります。

個人的に好きな要素は、街の人々と触れ合い、その悩みを解決する、という流れです。叙情的な要素が大きく、ただのファンタジーもの、ということになっていないところが好印象の作品でした。

アニメーション制作は、『ボールパークでつかまえて!』のEMTスクエアードで、監督は、濁川敦(にごりかわあつし)で、シリーズ構成は大知慶一郎(おおちけいいちろう)です。星は4、佳作認定です。作画はそこそこですが、雰囲気のいいアニメで、そこが一貫していたと思いました。

一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる

『一瞬で治療していたのに役立たずと追放された天才治癒師、闇ヒーラーとして楽しく生きる』菱川さかく原作のラノベを元にしたテレビアニメです。剣と魔法の異世界ファンタジーで、ヒーラーこと治癒師に焦点が当てられる、ということが珍しくかったです。またどことなくブラックジャックっぽい雰囲気もあります。

有力なパーティーのヒーラーをしていたゼノスは突然、パーティーから首にされます。その時にもらった金貨を、エルフの少女、リリを助けるために使い、貧民街でライセンスを持たない闇ヒーラーとして、治療院を開くことになります。

その治療院には、貧民街の3大勢力のリーダーがそれぞれにゼノスに治療を受け、その係争を止めたことから、ゼノスは貧民街の重要人物になっていきます。そして、特級治癒師ベッカーにまで、王立治療院での潜入の依頼を受けるようになります。

アニメーション制作はLUMINASで、監督は吉崎譲、シリーズ構成は宮城大翔です。作画はそこそこでしたが、話は面白かってです。星は3.5ですが、異世界ものでも角度の違うアプローチで、なかなか楽しかったです。

炎炎ノ消防隊 参ノ章 

『炎炎ノ消防隊 参ノ章』は、大久保篤原作の漫画『炎炎ノ消防隊』を元にしたテレビアニメです。焔ビトによる火事が多発し、消防隊が活躍する並行世界の日本を舞台に、第8特殊消防隊の活躍を描いています。参ノ章では、第8消防隊が屠り人と皇国軍との結託により、反乱分子にされ、捕らえられた桜備を救出に向かう、という話です。

炎を使ったアクション、敵の特性を分析して闘う集団戦など、見どころも多い本作ですが、1期からの伏線が回収されることが多く、内容の濃い3期となっています。個人的には、アクションものが好きなので、炎炎ノ消防隊は好きなのですが、今期は他にもこのカテゴリーの作品が多かった印象があります。

アニメーション制作は、『アンデットアンラック』のdavid productionで、監督は南川達馬で、シリーズ構成は亜田井(つぐたせい)です。作画はさすがにdavid production!本作で重要なスピード感のあるアクションは健在でした。星は佳作の4です。春アニメで、3期の1クール、期間を空けて2クールをやるようで楽しみです。

俺は星間国家の悪徳領主!  

『俺は星間国家の悪徳領主!』は、三嶋与夢(みしまよむ)原作の同名のなろう小説を元にしたテレビアニメです。現代日本で妻に裏切られ、失意のうちに死に瀕した男が、異世界に転生し、さる辺境の惑星の領主となる、という話です。

他の異世界転生ものと違うポイントは、ワームホールを使った惑星間航行(ワープ)も出来るほどのテックレベルのSF世界で、機動騎士と呼ばれるロボットも運用されています。主人公、リアムは前世でロボットアニメを愛好するオタクであり、この世界を案内人(死神のようなもの)に提示された世界の中から選んでいます。

多額の負債のある惑星の領主になってしまったのには理由があり、案内人は不幸を好む意地の悪い性格をしており、リアムが幸福の絶頂から不幸になる瞬間を見てみたいと希望しているからです。


しかし、リアムはメイドのアンドロイドの天城によるサポートのおかげで、領地の経済状況を立て直していきます。また、案内人に送り込まれた一閃流の安土(やすし)はペテン師でしたが、独自解釈でリアムはとんでもない剣士になり、触れずに相手を両断できる技まで身につけます。

基本的には艦艇による砲撃主体の戦闘なのですが、近接戦闘で機動騎士を使い、またリアム専用のアヴィドと呼ばれる機動騎士はリアムの戦闘力により、規格外の強さで戦況を変えてしまいます。またリアム本人は悪徳領主と名乗っていますが、国家運営は善政と言ってよく、意図に反して領民に慕われています。

アニメーション制作は、『怪人開発部の黒井津さん』のQuadで、監督は『暴食のベルセルク』の柳沢テツヤ、シリーズ構成は『オーバーテイク!』の高山カツヒコです。星は3.5です。作画はそこそこなのですが、ストーリーが面白く、SFロボット要素と銀英伝のような艦隊ものという要素も好みのアニメでした。

片田舎のおっさん、剣聖になる

『片田舎のおっさん、剣聖になる』は、佐賀崎しげる原作のなろう小説のテレビアニメ化です。最近、無料漫画サイトなどで試し読みがあったので、漫画の方は少し読んでいました。

異世界の田舎で剣術を教えていたベリルは、40代になり多数の弟子を育ててきた道場主です。剣術の腕は立つのに、それを自覚していないベリルですが、王都で騎士団長をやっている元弟子のアリューシアが、騎士団の指南役に師であるベリルを推挙します。その結果ベリルは田舎から王都に移ることになります。

最初はベリルに対して懐疑的であった副団長のヘンブリッツですが、模擬戦でベリルに負けてから素直に師事するようになります。作中では、ベリルは物凄く目がいい、という描写がされています。西洋剣術らしい動きですが、剣術の描写はかなり精巧に描かれています。

また、ベリルの弟子は王都で名のある冒険者になっていたり、魔法と剣術で身を立てていたりしています。つまり、傑物を育てた優れた剣術家である、ということになります。本人には自覚はないのですが、そこがこの話の面白いところです。

アニメーション制作は『異修羅』のパッショーネハヤブサフィルムです。監督は、鹿住朗生(かずみあきお)で、シリーズ構成は岡田邦彦です。

漫画版では、原作よりも色々と変更点があり、そこが論争となった本作ですが、総じて作画も良く、話も面白かったため、星は4、佳作認定です。第二期の制作も決まったみたいで、とても楽しみです。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX 

機動戦士Gundam GQuuuuuuXは、日本のアニメの中でも歴史のある、ガンダムシリーズ最新作です。エヴァンゲリオンシリーズでお馴染みのスタジオカラーと、ガンダムシリーズのサンライズがタッグで制作するアニメ、ということで注目されていました。

以前書いた劇場版のBeginningは、冒頭の数話でしたが、その衝撃はもの凄く、SNS上でテレビシリーズが始まるのを心待ちにしていた人がガノタ中心に多かったです。2025年1月公開から、4月に放送されるまで待った甲斐がありました。

1〜3話までは、ほぼ映画の内容という感じでした。特に1年戦争のゼクノヴァ以外は、描かれていた印象です。4話から、その後の話になるのですが、6話までは、イズマコロニー内でのクランバトルを中心に描かれ、7話で急展開、8話で一年戦争のゼクノヴァを描き、9話で地球で主人公のマチュがララァと出会う、という構成になっています。

この流れで10話〜12話でイオマグヌッソ〜最終決戦となり、最終話でまとまるのか?とハラハラしましたが、素晴らしいラストでした!製作陣には脱帽です。

つまり、1クール3話毎に構成されている、という感じです。今の時代、ガンダムのようなスポンサーの付きやすいアニメでも、昔のような連続4クールは難しいので、1クールに濃縮するという感じになっています。

話の情報量が多く、ファースト、Zと元ネタが話題になるのも、今のSNS時代を見越せばありかと。このあたりは、『勇気爆発バーンブレイバーン』にも通じる作り方だと思いました。

監督は『龍の歯医者』の鶴巻和哉(つるまきかずや)、シリーズ構成は『キャプテン・アース』の榎戸洋司です。MS戦闘は3DCGで精密に描かれ、作画も1クール作品らしく、素晴らしいです。話の内容も話題性も文句なし!なので覇権認定の星5です。ファースト、Z、逆シャアをチェックする人が増えたのも、この作品の功績だと思います。

九龍ジェネリックロマンス

 

『九龍ジェネリックロマンス』眉月じゅん原作の週刊ヤングジャンプに連載中の漫画を元にした、テレビアニメです。眉月じゅん原作のテレビアニメは、『恋は雨上がりのように』後ということで2作目の紹介となります。

何処か懐かしさのある雑多な街、九龍城砦を舞台に、2人の男女を中心に話が展開していきます。ロマンスものかと思いきや、主人公鯨井令子は、どうやらクローンのような存在でした。また、不動産会社の先輩、工藤発はどうやら、元の鯨井令子と婚約していたようでした。

鯨井は、工藤に惹かれますが、友人の楊明と共に”絶対の自分”を目指すようになります。元の鯨井令子と違う価値観で生きる、という決意のようなものでした。また、ジェネリック・テラと呼ばれる謎の構造体が影響している、という描写が出てきます。

つまり、ラブロマンスとSFミステリーというような複合的な要素のある作品、という捉え方のできるアニメです。また構成も原作をうまくまとめて、1クールで完結させようとしている感じがしました。

アニメーション制作はアルボアニメーション、監督は岩崎良明(いわさきよしあき)、シリーズ構成は田中仁(たなかじん)です。星は4.5名作認定です。眉月じゅんの絵を元にアニメーションをうまく作っているな、と感心しました。また、1クールでうまくまとめられた脚本にも脱帽です。

薬屋のひとりごと Season 2

薬屋のひとりごと Season 2』は、日向夏(ひゅうがなつ)による小説、『薬屋のひとりごと』を元にしたテレビアニメです。第1期は、2023年10〜2024年3月まで2クールで放送、第2期は、2025年1〜6月まで2クールで放送しました。

人気のあるラノベ原作、ということで放送枠も金曜日の23時枠で、話題性のあるアニメでした。シーズン2は、猫猫と壬氏の関係の変化や、2クール後半での有力貴族の反乱計画、それに猫猫の誘拐と、壬氏が王弟として軍を指揮するところが描かれています。

丁寧な中華風ファンタジーミステリーという基本軸は変わらないものの、2クール目後半の動乱は展開が目まぐるしく、楼蘭妃=子翠ということも明かされます。原作を読んでいれば分かる展開ですが、未読ならかなり衝撃的だったのではないでしょうか?

猫猫の実父である羅漢が軍師以前に父として行動するところは相変わらずでした。それに応える形で軍を動かす壬氏も腹が決まったようでした。その後の猫猫の救出に伴い、反乱を起こした子氏一族は討伐されました。

アニメーション制作は、TOHO animation STUDIOとOLMが共同で行っています。総監督とシリーズ構成は長沼範裕(ながぬまのりひろ)、監督は筆坂明規(ふでさかあきのり)です。中国風ファンタジーですが、練られた考証、謎解きの面白さ、作画の良さが際立っていました。よって星は4.5、名作認定です。

2期4クールと近年では長いスパン描かれたアニメです話題性も高く、ガンダムやアポカリプスホテル、九龍ジェネリックロマンスと並ぶ出来だったと思います。

後編へ続く

HG 1/144スケール 機動戦士Gundam GQuuuuuuX 【ジークアクス】

コメントを残すコメントをキャンセル

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください