2024年春アニメレビュー前編:ガルクラ〜終末トレインまでの9作品をレビュー!

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2024年春アニメレビューの前編です。前編はアストロノオト、Unnamed Memory、オーイ!とんぼ、ガールズバンドクライ、怪異と乙女と神隠し、怪獣8号、鬼滅の刃、じいさんばあさん若返る、終末トレインどこへいくの9作品を星1〜5の5段階評価していきます。

目次 この記事の内容

  • アストロノオト
  • Unnamed Memory
  • オーイ!とんぼ
  • ガールズバンドクライ
  • 怪異と乙女と神隠し
  • 怪獣8号
  • 鬼滅の刃 柱稽古編
  • じいさんばあさん若返る
  • 終末トレインどこへいく

アストロノオト

『アストロノオト』は、80年代っぽいアパートで繰り広げられるラブコメとSFがミックスされたオリジナルアニメです。主人公の元料理人であすトろ荘の朝食担当の宮坂が5号室、美人の管理人さんがいているという設定が『めぞん一刻』をフックにしています。

管理人のミラは、ミボー星の次期女王候補の異星人で、犬の姿をしたミボー人の護衛ナオスケと王位継承のために必要な鍵を地球で捜索しています。そして、ミラと鍵を付け狙うゴシュ人とそのロボット、癖の強い住人とのやり取りで、かなりカオスな作品でした。

ぶっちゃけ、公式に載っていた最終回で全部いただきます、のキャッチフレーズはどちらかと言うと最終話手前の11話では?と思いました。あすトろ荘が変形してロボットになるので、そのことなら11話だよね?って思いました。最終回は大団円でした。

筆者が投稿した、この記事の動画バージョンです。

アニメーション制作は『もやしもん』、『ルパン三世 PART5』のテレコム・アニメーション・フィルム。総監督は『銀魂』の高松信司、シリーズ構成は『ダンジョン飯』のうえのきみこです。

流石に作画もアナログチックで80年代っぽい雰囲気が出ていました。また、こういうほんわかしたラブコメは久しぶりだったので、個人的には楽しめられました。星は3.5ですが、最終話への期待値が高い割に着地が普通だったので、この評価になりました。

Unnamed Memory

“Unnamed Memory”は、古宮九時(ふるみやくじ)原作の同名小説のテレビアニメです。ファンタジー世界の魔女ティナーシャと、ファルサスの王太子オスカーの恋愛を中心にした物語です。

前から無料漫画の方は読んでいたので、序盤の展開は知っていました。展開が漫画に比べるととても早いように感じました。1クール12話で、おそらく原作の3巻分を詰め込んだため、ダイジェストっぽい感じで物語が進行していきます。

おそらく残りの3巻分は、2クール12話でまとめられることになりそうですが、前半のペースは明らかに早すぎたように感じました。おそらく2クール24話で原作の小説6巻分をやる予定なのでしょう。よって星は3.5です。しかしながら、作画と曲はとても良く、このアニメの雰囲気に合っていました。

アニメーション制作は、『探偵はもう、死んでいる』のENGI、監督は『宇崎ちゃんは遊びたい!』の三浦和也で、シリーズ構成は『古見さんは、コミュ症です』の赤尾でこです。ただ、ペースは早いもののちゃんとストーリーは理解できるようになっているので、漫画版を読んでいなければ佳作だったと思います。

オーイ!とんぼ

『オーイ!とんぼ』は、原作かわさき健、作画古沢優(ふるさわゆう)による週刊ゴルフダイジェストに連載中の漫画作品を元にしたテレビアニメです。まさか土曜日の朝から、ゴルフを題材にしたアニメをやっているとは思って無かったのですが、たまたま番組表で見かけて1話から視聴していました。

トカラ列島に住む少女、大井とんぼ(タイトルのまんま!)と、元プロゴルファーの五十嵐が出会い、ゴルフを通じて仲良くなっていきます。天真爛漫なとんぼのゴルフは、セオリーの無い打ち方をするのですが、五十嵐の目から見るとちゃんととんぼなりの感性で形になったものでした。

理論的でオーソドックスなスタイルの五十嵐ですが、とんぼの良さをそのままに指導していくようになります。ゴルファーを目指す息子との不器用なやり取りの過去が泣かせました。その苦い経験から、伸び伸びととんぼに接しているところが凄く良かったです。

アニメーション制作はOLM Division 2で、監督はベイブレードシリーズのオ ジング、シリーズ構成は『新テニスの王子様』の広田光毅(ひろたみつたか)です。作画はそこそこでしたがストーリーが面白かったです。よって星は3.5です。続きが気になるので2期やって欲しいです。

ガールズバンドクライ

『ガールズバンドクライ』は、東映アニメーションが制作したオリジナルアニメです。今までに無い試みとしては、声優は全て劇中バンドとリンクするトゲナシトゲアリというオーディションで集めた実在のバンドメンバーです。なので1話目から、かなり素人っぽい演技に感じたのですが、物語後半にはメンバーが慣れてきた感じがします。

ぶっちゃけ3DCGアニメに苦手な人には向いてませんが、モーションキャプチャーを使った演奏シーンなどは、こちらの方が親和性が高いと思いました。オリジナル楽曲を半年前から用意するなど、トゲナシトゲアリを売り込みつつ、アニメを成功させようとする意欲に溢れていました。

『ぼっち・ざ・ろっく!』の影響でバンドとアニメという形が世界を席巻しつつあります。正直、この流れはついにここまで来たか!と思わせるもので、マクロスと飯島真理のことを思い出しました。声優とシンガーとなると、80年代ではこの組み合わせだったので。


実際、今期の話題はかなりガルクラにあったと思います。ライブのシーンは臨場感があるし、ストーリーもしっかり練られていました。楽曲については下北沢のミュージシャンが作ったぼざろの方がよりアンダーグラウンドな感じがして個人的には好きなのですが、ガールズバンドとしての完成度はトゲトゲも高いです。

ただ、あえて苦言をあげるとしたらライブシーンのライブというよりもスタジオ録音っぽいエフェクトの掛け方や音源についてはどうかと。この辺りはぼざろの方が、よりライブらしさを演出していた思いました。

シリーズディレクターは『機動戦士ガンダムAGE』で助監督でラブライブシリーズで監督をしていた酒井和男で、シリーズ構成は同じくラブライブシリーズの花田十輝です。音楽プロデューサーとして知られる田中ユウスケが音楽を担当しています。

正直、『無職転生II』が無ければ覇権を取れるほどの出来でした。よって評価は4.5名作認定です。ぼざろで起こったロックとアニメの組み合わせは、遂にバンドをデビューさせるようにまでなりました。

怪異と乙女と神隠し

『怪異と乙女と神隠し』ぬじまによる、やわらかスピリッツに連載中の漫画原作のテレビアニメです。こちらは原作未読のため、怪奇現象を題材にしているという事前情報しかありませんでした。

本屋の店員の緒川菫子(おがわすみれこ)と化野蓮(あだしのれん)の2人が様々な怪奇現象をベースにした事件に巻き込まれるというストーリーで毎回、性質の異なる怪異が出てきます。

ぶっちゃけ、菫子は落ち人という特殊能力のおかげで、20代後半の実年齢からJK、幼女と様々な年齢に変化出来ます。本当の意味で怪異に対応できる能力があるのは化野の方なのですが、力を使うと体に影響が出るので、普段は頭脳で対応しようとしています。

最終回はアニメオリジナル展開だったのですが、ちゃんと伏線を回収しつつ、きちんとまとめた素晴らしいものでした。アニメーション制作は『バッテリー』のゼロジー、監督、シリーズ構成は『ダーティペアFLASH 2&3』の望月智充(もちづきともみ)です。

怪奇現象をテーマに、伝奇的要素があり、熟女のヒロインと知能の高い少年?のコンビという斬新な設定が良かったです。よって佳作の星4で、今期の中でも楽しみにしていたアニメの一つでした。

怪獣8号

『怪獣8号』は、少年ジャンプ+に連載中の松本直也による漫画が原作のテレビアニメです。色々と原作の評判は聞いていたのですが、アニメ化が発表されたので、先にアニメから見てみようと思い期待していた作品です。

アニメーション制作を攻殻機動隊シリーズや『ぼくの地球を守って』など数々の名作を生み出したProduction I.Gが担当し、怪獣デザイン&ワークスをエヴァンゲリオンシリーズで知られるスタジオカラーが行いました。アニメ業界の中でトップクラスの製作陣が担当しているだけあって、作画、音楽は今期でもトップクラスの出来でした。

怪獣による被害が頻発する日本を舞台に、怪獣被害の後始末をする仕事に就いていた日比野カフカがある日、怪獣に変身できる体になります。その体は大怪獣クラスの能力があり、怪獣8号と名付けられカフカは葛藤しますが、夢だった防衛隊に後輩の市川レノと共に入隊します。

怪獣に変身できる(おそらくカフカという名は変身のフック)ことを隠しながら防衛隊の任務をこなしていきますが、仲間を救うために無茶をし続けます。その結果の正体バレから、最後の処分保留という形に収まるまでをアニメ1クールで描いています。

続編制作が決定!ということで、1クールだけの感想になりますが、ここまでうまくまとまっている、と思いました。見所は人間の能力を限界まで引き出すスーツを持つ防衛隊の精鋭が対処しきれない事態に、怪獣8号がその能力を使って仲間を救うところだと思います。

実際、そのシーンの作画やBGMなどは気合の入ったものであり、この物語における肝の部分を製作陣が理解していると思わせる演出でした。監督は『僕らはみんな河合荘』の宮繁之(みやしげゆき)と神谷友美、シリーズ構成は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』、”SPY×FAMILY”の大河内一楼(おおこうちいちろう)です。

星は4.5名作認定です。期待通りの素晴らしい出来のアニメなのですが、もうちょっと盛り上がって欲しかったというのが正直なところです。なんでこの出来で、もっと話題にならないんだろう?今は怪獣ベースの話が一般的に広まらないのかな?と思いました。

鬼滅の刃 柱稽古編

『鬼滅の刃 柱稽古編』は、吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)原作の漫画『鬼滅の刃』のアニメ作品です。第4期の柱稽古編は、8話構成で最終話は1時間の拡大スペシャルで放送されました。

鬼との全面対決を控えた修行編という感じで、柱それぞれが鬼殺隊の隊士に稽古を付けるというのがあらすじになります。最終話で、鬼舞辻無惨が産屋敷耀哉と邂逅し、自爆した時のダメージを受け、柱を含む隊士達を無限城に呼び込むところで終わりました。

つまり最終決戦への準備というのが、この柱稽古編で全体的にほのぼのしているところがあったりしますが、風柱、岩柱のエピソードは胸を抉られました(大汗)。

無惨様が歩くシーンとか、どんだけ製作陣そこに気合い入ってるねん!って思う出来でした。アニメーション制作はufotableで監督は外崎春雄(そとざきはるお)です。この体制は、1〜4期まで同じです。

星は名作認定の4.5で、最終章である『無限城編』の劇場三部作の制作が決定しています。

じいさんばあさん若返る

『じいさんばあさん若返る』新挑限(あらいどかぎり)原作の同名漫画のテレビアニメです。実はPixivで無料で読んでいた漫画でした。アニメ化と聞いて、結構驚きましたが、原作の人気を知っていたので、とても嬉しい出来事でした。

アニメーション制作は、『てんぷる』の月虹(げっこう)で、原作の持つキャラクターの特徴をうまくアニメ化していたところが良かったです。作画もそこそこ悪く無かったので、原作の読者も納得のアニメ化だったのでは無いでしょうか?

話はとてもシンプルで、りんご農園をやっている老夫婦の斎藤正蔵と斎藤イネの2人が、黄金のりんごを食べたことによって若返る、というものです。孫やひ孫までいてて、そのエピソードも絡めつつ、おしどり夫婦の日常をほのぼのと描いています。

最終回が漫画の方もほぼ同時期に発表されていて、これ以上ない終わり方だったと思いました。満足して2人が人生を終え、りんご農園を継いだ孫とその夫が時を経て黄金のりんごを見つける、という締めくくりはとてもいいまとめ方だったと思いました。星は3.5ですが個人的には佳作にしたいほど、雰囲気のいいアニメでした。

監督は西田正義(にしだまさよし)でシリーズ構成は菅原雪絵です。おしどり夫婦の日常という、これまでにないハートフルな話で、毎回とてもほっこり出来ました。

終末トレインどこへいく

『終末トレインどこへいく』は、”xxxHOLiC”、”Another”などで知られる水島努(みずしまつとむ)監督による、オリジナル作品です。そして、シリーズ構成は『よふかしのうた』、『お兄ちゃんはおしまい!』の横手美智子という強力な製作陣によるアニメということで、一番期待していました。

西武鉄道とのコラボということで、2000系電車で女子高生3人と中学生1人と犬が旅をするというのが大まかなストーリーとなっています。中富葉香という4人の幼馴染が、池袋で消息を絶ちます。4人と1匹は7Gという力によって変質した世界を電車で旅をしていきます。

途中で会ったのは、キノコに支配された街だったり、小人とミニチュアの都市だったり、ゾンビが徘徊したりしていました。そして、終点である池袋に到着する頃には、葉香こそ、この世界を変質させた魔女王であり、7Gのボタンを押した張本人であるということでした。

終盤の展開含めてうまくまとまっていて、作画も良かったのですが、期待していたほど話題にならなかったのは残念です。今期は他に強力なライバルが多く、覇権候補であっても埋もれてしまう傾向でした。序盤こそ、インパクトがあった終末トレインですが、後半になるにつれて不思議な世界に視聴者が慣れてしまうという欠点がありました。

アニメーション制作はEMTスクエアードで、星は佳作の4です。オリジナルというところは、本当に評価できるのですが、奇抜さで一番推せる本作が、後半になるにつれてうまく纏まるという二律背反した感じは拭えなかったです。ED曲のロクデナシの『ユリイカ』は春アニメ屈指の出来でした。

後編へ続く

 

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