秋も深まり、そろそろ肌寒くなってきました。筆者がこの季節に着ているフライトジャケットは、アルファ社製のMA-1です。今回は、MA-1について解説したいと思います。
MA-1を愛用している経緯
一番最初に買ったアルファのMA-1 グランドクルータイプ
筆者がMA-1を愛用してから、かれこれ20年になります。子供の頃、松本零士の『ザ・コクピット』や、新谷かおるの『エリア88』などの漫画に影響を受けて戦闘機のパイロットに憧れていました。
1980年代は、フライトジャケットブームで街を歩いているとMA-1や、トム・クルーズ出演で話題の映画『トップガン』のG-1などが目立ちました。僕も子供心に、必ず1着買ってやろうと思いました。
こつこつアルバイトで貯めたお金で最初に買ったのが、アルファ社製のMA-1です。当時通販で安かったので、サイズをLにしたのですが、身長173cmの僕にはちょっと大きめでした。リバーシブルタイプではない裏地がセージグリーンのグランドクルー(地上整備員用)のMA-1でしたが、嬉しくて毎日着ていました。
MA-1といえば、小さめの方がカッコよく見えるので、Mサイズのパイロット用を兄が入手しました。こちらもアルファ社製です。しばらくすると、兄がMA-1を着なくなったので譲り受けたのが2枚目です。グランドクルーは、中に着込んだとき用にして、こちらがメインとなっていきました。
3枚目の色違いのMA-1
3枚目は、L2-AやB-15Cのようなエアフォース・ブルーのMA-1です。ファッション用にアルファ社も様々なカラーリングのMA-1を販売していて、シルバーやワインレッドもありました。ブラックジーンズや、黒いシャツなどと合わせるときに着ています。
MA-1の歴史
MA-1の裏地はリバーシブル構造となっている
ナイロン製のフライトジャケットの歴史は、1945年にA-2ジャケットの後継であるL-2から始まっています。高高度飛行(高度7,300m以上)が可能になった航空機の発展により、革やコットンのジャケットでは結露に対応できなくなっていたため、ナイロン製のジャケットが必要性が高まったからです。
1945年5月には、アメリカにはまだ空軍はなく、陸軍航空隊に対して供与していました。ちなみに空軍が創設された1947年に、L-2はエアフォース・ブルーカラーのL-2Aとなり、その後セージグリーンに戻ったのがL-2Bです。
L-2は10°C~30°C用の薄手のジャケットで、より防寒性能の高い-10°Cから10°CのB-15もコットンからナイロンに切り替わります。ナイロン製のB-15Bも1945年8月に陸軍航空隊に納入されました。
1954年に登場したのが、傑作ジャケットMA-1で、B-15Dの後継として開発されています。ムートンの襟のついているB-15を、シンプルなニット製の首周りに改良しました。これにより、ヘルメットやパラシュート装備との干渉がなくなりました。また、袖やウェストのリブもウールからアクリルに素材が変更されています。
MA-1は、1960年代にDタイプ(5回目の改良版)が登場しています。このタイプは、パイロットが脱出した際に、リバーシブルの内側がオレンジとなっていて救出時に目立つようになっています。
横浜などで、裏返しにして着ている人達がいましたが、最近ではオレンジ色で着る人がいないような気がします(汗)。
MA-1は、1955年~1975年のベトナム戦争でも使用され、F-4ファントムのパイロットが着用していました。1973年に耐熱性のノーメックス素材のCWU-45/Pがアメリカ海軍に採用され、続く1976年に空軍にも配給が開始されると、MA-1は空での役目を終えました。
1978年に7回目の改良が施されたF型が、グランドクルー(地上整備員)用として支給されるようになります。僕の所有している1枚目のMA-1は、このタイプです。
MA-1のレビュー
アルファ MA-1のタグ
MA-1の長所の一つは、ナイロン製ジャケットのため軽いことです。また、首周りがすっきりしているので、ごわごわしません。アヴィレックスのG-1も所有していますが、革製のため結構重量があります。軽快に着たいときは、MA-1で気温が低くなってくるとG-1という使い分けをしています。
メインのポケットが大きくて、使いやすいので重宝しています。左の上腕部には、ペンいれのあるジッパー付きの小物入れもあります。仕事で使っている人には、便利な収納スペースです。
また、ナイロン製の利点は雨に強いことです。高度の高い場所での活動のためにナイロン製ジャケットになっていったのですが、地上でも雨や汗などの水分をはじきます。革製のジャケットは、味があっていいのですが、雨のときには迷うことなくMA-1を着用します。
20年使っていても、破れたりボタンがはずれたりしていません。結構しっかりと縫製されていて頑丈なのもMA-1のいいところです。-10°Cまで想定されているので、結構暖かいです。
弱点としては、首周りにボアがないことです。長所ともいえるのですが、寒いときにはマフラーが必須になってしまいます。最近は、バイクに乗るときはライディングジャケットを着用しています。
また、真冬になるとM-65フィールドジャケットや、前述のG-1がメインになります。完全防寒する場合は、中にセーターを着込んだり、マフラーを併用する必要があります。
現代でも通用するデザイン
MA-1の背面
最近では、女性向けのファッション雑誌でもMA-1が取り上げられています。MA-1のシンプルな機能性の高さが、現代にも通用するデザインとして認められているのです。パイロットのために作られたフライトジャケットが、ファッションアイテムとして定着するのは、とても好ましいことです。
長い間愛用しているのは、シンプルで完成されたデザインが気に入っているからです。これからも、定番ジャケットとしてMA-1は残っていくでしょう。
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