2018 鈴鹿8耐マシン解説

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同じレースでも、耐久レースとスプリントレースの仕様は大きく異なります。世界で一番有名なバイクのレースといえば、MotoGPであり、こちらはプロトタイプと呼ばれるレース専用に設計されたマシンです。日本国内で有名なレースといえば、鈴鹿8時間耐久ロードレース、略して鈴鹿8耐です。今回は、8耐のマシンを解説していきます。

スーパーバイクや世界耐久選手権では市販車がベース?

MotoGP レプソルホンダのRC213Vとマルク・マルケス選手

MotoGPマシンは、前述のとおり世界最高峰の2輪ロードレースです。ホンダ、ドゥカティ、ヤマハ、スズキなどの有名な2輪メーカーがしのぎを削っています。特に近年では、ホンダ、ヤマハの2メーカーからチャンピオンが輩出されることが多く、日本メーカーの強さが際立っています。

クルマの最高峰レースF-1同様に、MotoGPマシンも市販を前提としていません。MotoGPのための贅沢な専用設計マシンなのです。

それに対して、スーパーバイクや、世界耐久選手権では、市販車の改造車を使用しています。ホモロゲーション(規定)によって、ある程度の販売台数(150台以上)のある4ストロークマシンだけに限られています。

鈴鹿8耐は、昨年から世界耐久選手権の1レースとなっています。そのため、世界耐久選手権と同じ規定のマシンを使っています。耐久レースの場合、夜間走行を前提としたヘッドライトの装着が義務付けられています。また素早いタイヤ交換のための補器類なども含めると、スプリントマシンよりも7kg程度重くなります。

また、耐久では3人のライダーの交代が可能です。これにより、1人のライダーに1台ずつのスプリントレースとは違って、マシンのポジションをそれぞれのライダーの体格に合わせることが出来ません。

リッターSSがベース車両

出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ ヤマハワークスJSB1000の中須賀選手のYZF-R1

近年の鈴鹿8耐では、リッターSS(スーパースポーツ)がベース車両となっています。リッターSSとは、簡単に説明すると1,000cc~1,200ccのフルカウルのレース走行に適した公道を走ることの出来る市販マシンのことです。

市販のバイクは、ツーリングに適したものもあれば、オフロード走行に適したものもあります。リッターSSは、レースに適したモデルであり、サーキット走行を楽しむバイク乗り向けのマシンなのです。ただリッターSSには、保安部品が付いているので、一般公道も走行可能で、峠やツーリングなどといった用途に使うことも可能です。

このリッターSSをベースにした国内最高峰のレースが、JSB(ジャパン・スーパーバイク)1000クラスです。4気筒(シリンダーが4個)のマシンは、600~1,000ccの最低重量165kgのマシンを、3気筒は750~1,000ccの最低重量165kg、2気筒マシンは850cc~1,200ccの最低重量170kgというレギュレーションとなっています。

このJSBのマシンを更に8耐向けに改良したマシンが、鈴鹿8耐を走ることになります。というのもJSB1000のマシンも鈴鹿8耐に参加することが多いので、世界耐久選手権のレギュレーションがベースになっているからです。

JSB1000に参加しているチームが、そのまま8耐に参戦するケースが多く、前回優勝したヤマハワークスチームや、モリワキなどの有力チームはJSB1000で戦っています。

ヤマハワークスチームのマシン

出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ ヤマハワークスの8耐仕様のYZF-R1 ライダーは中須賀克行

2015年にヤマハワークスチーム(メーカー直系のレーシングチーム)を復活させました。マシンは、新型(当時)のYZF-R1です。2015年からのフルモデルチェンジにより、ライバルを凌ぐパフォーマンスを見せたYZF-R1は、2015年の8耐を優勝しました。


ベースとなったYZF-R1は、最大出力200PSを発揮する1,000ccの水冷4気筒エンジンと、199kgの装備重量のハイパワーなマシンです。また、市販車初の6軸姿勢制御センサーやLEDヘッドライトなどの最新機能を搭載しています。

ヤマハワークスチームの結成以来、3年連続で8耐優勝という快挙を成し遂げているチームです。JSB1000での中須賀克行選手の活躍といい、8耐優勝の最右翼といっていいチームです。

レッドブル・ホンダ・日本郵便のマシン

出典 http://www.honda.co.jp/ ホンダワークスのCBR1000RRW

ホンダは、ヤマハが3連勝していることから、ワークスチームを今年度から投入することにしました。レッドブルと日本郵政をメインスポンサーに迎え入れ、HRC(ホンダ・レーシング)の総力を挙げて勝ちにいっています。

ベースとなるCBR1000RRは、最大出力192PSの水冷4気筒の1,000ccエンジンを、車両重量194kgの車体に積んでいます。2017年に販売開始された最新型は、従来のものよりも13PSもの出力アップと、電子制御化やクイックシフターなどの最新装備の搭載により、戦闘力が格段に向上しています。

メインライダーは、高橋巧選手でヤマハの連覇を止めるのはホンダワークスの使命であるといっても過言ではないでしょう。

カワサキ・チーム・グリーンのマシン

出典 http://www.kawasaki-cp.khi.co.jp/ JSB1000に参加しているチームグリーン渡辺一馬選手のZX-10RR

カワサキZX-10Rといえば、スーパーバイク世界選手権(WSB)において無敵の強さを誇るマシンです。2015年から2017年までの3年連続で、カワサキのジョナサン・レイ選手がチャンピオンを獲得しています。

そして、今年はなんと!ジョナサン・レイ選手がチームグリーンに参加して8耐を走るというのですから興奮します!

そして、ベースとなる車両はZX-10Rです。他の日本メーカー同様、1,000ccの水冷4気筒エンジンで、最大出力200PS、装備重量208kgのモンスターマシンです。スーパーバイクやJSB1000でのノウハウを結集したZX-10RRで、今年は優勝を狙っています。

プライベーターの名門 ヨシムラ

出典 http://www.yoshimura-jp.com/ スズキGSX-R1000をヨシムラでチューンしたマシン ライダーは津田拓也 こちらもJSB1000でのショット

「ヨシムラ」といえば、プライベーターの名門であり、鈴鹿8耐の看板チームであるといっても過言ではない存在です。小さな町工場が、2輪の大企業のワークスチームに対抗する姿には、胸を熱くさせるものがあります。

現在もヨシムラは、スズキGSX-R1000を改造したマシンで鈴鹿8耐に参戦しています。優勝を狙えるチーム力は健在で、今年も活躍してくれることは間違いないでしょう!

ベースとなるスズキGSX-R1000は、2017年にフルモデルチェンジしたばかりの新型マシンです。1,000ccの水冷4気筒エンジンは、国内4メーカー中の最高馬力202PSを叩き出しています。また、スズキのリッターSSは比較的扱いやすいといわれています。

まだまだ紹介していないチームとマシン

出典 http://www.honda.co.jp/ プライベーターがベースにすることが多いホンダCBR1000RR

とりあえず、国内4メーカーの有力チームのマシンを紹介しましたが、8耐にはまだまだたくさんの参加チームがあります。世界耐久選手権に参戦しているチームの参加や、有力な国内のチームや、プライベーター合わせて64台がエントリーしています。

チームカガヤマや、モリワキやハルクプロや、TSR、エヴァなど他にも優勝候補といわれるチームがあります。8時間もの長丁場なので、マシントラブルや転倒などのアクシデントで確実に勝てるとはいえないのが8耐の醍醐味です。

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