2000年以降、衝撃を受けたアルバムの中に、The Mars Voltaの”Frances the Mute”があります。2005年発表のマーズ・ヴォルタのセカンドアルバムは、現代におけるプログレの進化系ともいえるサウンドでした。
■衝撃的なアルバム
ボーカル曲もありますが、長いインストと強烈なバンドサウンドのアルバムです。プログレッシブロックのような長さの10分以上の曲とか、リズム隊の叩きつけるかのようなビート、アグレッシブなギター、気合の入ったセドリック・ビクスラー・サマラのハイトーンのボーカルなど、特徴を挙げたらきりがありません。
このアルバムを聴いたきっかけは、レッチリのフリーとジョン・フルシアンテが参加しているので、興味を持ったからです。ジャケットをちらっと見たときには、このアルバムが凄まじい傑作であることなど微塵も気付きませんでした。
1曲目のCygnus…Vismund Cygnusから聴こえてくるのは、テンションの高いバンドサウンド、それも勢いの突き抜けたグルーブ特有の暴れたロックサウンドです。
2曲目のThe Widowは意表をついておとなし目のバラードなのですが、徐々に不安を掻き立てるような前衛的なサウンドになっていきます。3曲目のL’Via L’Viaquezもオマー・ロドリゲス・ロペスのギターが存分に聴けます!4曲目のMiranda That Ghost Just Isn’t Holy Anymore以降は、連続するA,B,C,Dパートそれぞれの同名曲となっていて、20分を超える大作です。
そして、8曲目からの連作Cassandra Geminiでロックパートやホーンセクションのパート、前衛的なパートなど、様々な要素が詰め込まれた曲が展開していき、最後に1曲目のイントロに戻って壮大なアルバムは終了します。
このアルバム、Frances the Muteを聴き終わったとき、身震いがしました。エレクトロニカや、ポストロック全盛の時代の中でも、ロックを進化させる要素のあるアルバムが存在するとは!
■The Mars Voltaとは?
ザ・マーズ・ヴォルタは、テキサス州エルパソで2002年に結成されたバンドです。元At The Drive-Inのギターのオマー・ロドリゲス・ロペスと、ボーカルのセドリック・ビクスラー・サマラが中心となっています。
ドラムやベースは、ころころ変わることが多く、キーボードのアイザイア・アイキー・オーウェンズが2011年に離脱し、2012年にセドリックが脱退し、事実上の解散となりました。4作目の”The Bedlam in Goliath”は傑作ですが、5作目からは内容が良くなくて、6作目の”Noctourniquet”が最後のアルバムとなりました。
マーズ・ヴォルタの特徴はプログレっぽい要素とエモにジャズ、ラテンにダブなどのごった煮ロックという点につきます。左利きのオマー・ロドリゲスのギタープレイも素晴らしく、各アルバムにおけるジョン・フルシアンテとの共演も話題になりました。
■オマー・ロドリゲスの使用機材について
出典 https://www.amazon.co.jp/
オマーの使用しているギターは、IBANEZのオマー・ロドリゲス・シグネイチャーモデルです。シグネイチャーモデルとは、メーカーとエンドース契約をギタリストが結び、無償で提供してもらえる代わりに、ライブなどで使用する契約のことです。
ギブソン・レスポールモデルが、シグネイチャーモデルの代表格といえます。フェンダーのエリック・クラプトンモデルなどもスタンダードとして定着しているギターです。
オマーのシグネイチャーモデルは、ピックアップがシングルサイズのハムPUがブリッジ寄りに1基搭載されています。シンプル且つ軽量なギターなのは、オマーがライブで暴れまくるタイプのギタリストだからかもしれません(汗)。
アンプはオレンジで、エフェクターをたくさん使用するタイプだったようで、IBANEZやLINE6、エレハモ、BOSS、MXRなどのたくさんのメーカーのものを持っているとか。足元のボードには、おかしいくらいの数のエフェクターが並べてあって、エフェクターマニアであることは間違いなさそうです(笑)。
普通は、これだけ足元にエフェクターを並べていたら音が痩せたりするのですが、オマーはまったく気にしていません。最近では、スイッチングシステムなどで並列にしたり、センド・リターン端子を活用したり色々と工夫できるのですが、オマーは直列にしている可能性が高いようです。
マーズ・ヴォルタは、ロックが袋小路にはまりこみそうになってきていた2002年に彗星のように現われた個性の強いバンドでした。当時のロックシーンの中でもお気に入りだったバンドです。
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