2024年秋アニメレビュー後編:夏目友人帳〜メカウデまでの7作品をレビュー!

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前回に引き続き、2024年秋アニメレビュー後編です。夏目友人帳 漆、2.5次元の誘惑、ネガポジアングラー、ブルーロック VS. U-20 JAPAN、魔王2099、魔法使いになれなかった女の子の話、メカウデの7作品を、星1〜5で評価します。

目次 この記事の内容

  • 夏目友人帳 漆
  • 2.5次元の誘惑
  • ネガポジアングラー
  • ブルーロック VS.U-20 JAPAN
  • 魔王2099
  • 魔法使いになれなかった女の子の話
  • メカウデ
  • 話題性が偏っていた印象の秋アニメ

夏目友人帳 漆

『夏目友人帳 漆』は、緑川ゆき原作の漫画『夏目友人帳』を元にしたテレビアニメです。夏目友人帳も今回で第7期、1期目が2008年からなので、16年経過していることになり、かなり息の長いテレビアニメシリーズとなっています。

今期も5期と6期と同じくアニメーション制作を朱夏が担当しています。安定して作画も良く、さすが朱夏、このシリーズを熟知しているな、と思いました。妖の見える、友人帳を持つ夏目と、その用心棒のニャンコ先生の話は、ほのぼのと悲しみと喜びに満ちています。

筆者の投稿したこの記事の動画バージョンです。

淡い色調をベースにした作画、妖と人との関わりを丁寧に描く手法なども健在です。総監督は、『デュラララ!!』の大森貴弘、監督は伊藤秀樹、シリーズ構成は村井さだゆきです。総監督とシリーズ構成は変更は無かったので、安定して、夏目友人帳の世界を楽しむことが出来ました。

とにかく雰囲気のいいアニメなので、家族で楽しむのもいいシリーズです。星は4佳作認定で、8期の方も楽しみにしています。

2.5次元の誘惑

『2.5次元の誘惑』は、少年ジャンプ+に連載中の橋本悠原作の同名漫画を元にしたテレビアニメです。コスプレをテーマにした物語で、リリエルというキャラクターを愛する天乃リリサという少女と、漫研部の部長の奥村正宗の2人はコスプレイベントに参加するようになります。

そこで出会った多くの人達から、次世代のコスプレイヤーとして注目されるようになったリリサ。2人は漫研部を存続させるために、横須賀コスストに参加し、レポートにまとめることになります。顧問になった教師、羽生まゆりの後押しもあり、部として無事活動を続けることが認められます。

この作品は、コスプレという世界の中で、ある種のスポ根のような熱さを感じるような展開があったりします。しかし、リリサや奥村の認識では、あくまでも同じ趣味を持つ仲間として、ライバルと切磋琢磨していく感じです。後半のハイライトの夏コミでは天使空挺隊として、4人で参加するようになります。

アニメーション制作は『魔王2099』のJ.C.STAFFで、監督は岡本英樹、シリーズ構成は『100万の命の上に俺は立っている』の吉岡たかをです。作画も良く、話も面白かったので、星は4佳作認定です。第二期も決定しており、続きが楽しみです。

ネガポジアングラー

『ネガポジアングラー』は、アニメーション制作会社NUTのオリジナルアニメです。アングラーとは、ルアー釣りをする人、という意味で、その名の通り釣りをテーマにしたアニメです。古くは『釣りキチ三平』、10年前には『つり球』というアニメくらいの希少な題材で、オリジナルというところが凄い!と思いました。

借金取りに終われ、医者の診断で余命2年という絶望的な状況の大学生常宏が、釣りを通して出会ったハナや貴明と接する内に釣りの魅力にハマっていくというストーリーです。

釣りの描写は、もの凄く凝っており、釣りのことが知らなくても、楽しめられるようになっています。筆者は釣りを嗜んだことはあまり無かったのですが、楽しそうな雰囲気が伝わってきました。

特筆すべきは、音響監督の岩浪美和(いわなみよしかず)のBGMで、釣りらしい静から動を、ブルースを基調にしたロックらしい曲を付けています。秋アニメの中でも一番好みの音楽でした。

監督は『幼女戦記』の上村泰(うえむらゆたか)で、シリーズ構成は『ACCA13区監察課』の鈴木智尋(すずきともひろ)です。星は佳作の4です。丁寧な作画と演出、ストーリーも良く最後もまとまっていました。秋アニメの中では、周りに埋もれがちなネガポジアングラーですが、個人的には毎週楽しみにしていました。

ブルーロック VS. U-20 JAPAN

『ブルーロック VS. U-20 JAPAN』は、原作金城宗幸(かねしろむねゆき)、作画ノ村優介の漫画『ブルーロック』を元にしたテレビアニメです。今回は、ブルーロックとU-20の日本代表の戦いを主に描いた2期となっています。

ぶっちゃけ、ブルーロックの10番糸師凛と海外リーグからU-20に加わった兄の冴との対決がメインだったと思います。凛は冴との過去の1VS1で挫折を味わい、ブルーロックでの体験を経て、再び冴と戦います。

潔世一や他のブルーロックのメンバーによる、U-20との決戦の中で、CBのU-20キャプテン、オリヴァ愛空などの傑物もいましたが、後半に同じブルーロック出身のはぐれ者士道龍聖が2ゴールするなど、エゴを持つ怪物がゲームを左右する働きをします。


ぶっちゃけ、ブルーロックのキモは絵心甚八の提唱するエゴを持つ選手がポイントなので、チームワーク重視というサッカー漫画にはなりません(大汗)。ただ、サッカーしていたら思うことなのですが、確かにフォワードや攻撃的ミッドフィールダーには、ゴールを奪うことへの執着こそが大事だと思います。

そこが日本サッカーには足りていない部分で、極度の集中により生み出されるフローとか、覚醒とかの要素はありましたが、ブレずにそのテーマを貫く姿勢こそ、ブルーロックの面白さだと思いました。

アニメーション制作は、『転生したらスライムだった件』のエイトビット、監督は1期と違って生原雄次となっています。シリーズ構成は岸本卓(きしもとたく)です。

作画は序盤こそ、動きが少ないとか言われていましたが終盤に近づくにあたりクオリティが向上していき、最後の兄弟対決からの決着はまるで劇場版のような凄い作画でした。よって星は名作認定の4.5です。続きはまだまだ原作にストックがあるので、3期を楽しみにしています。

魔王2099

『魔王2099』は、紫大悟(むらさきたいご)原作のラノベを元にしたテレビアニメです。2024年秋アニメの中では、ダークホース的存在でした。序盤はファンタジー世界で、不死の魔王が勇者に敗れるところから始まります。

魔王ベルトールが目覚めるとそこは、500年後の世界でした。フェンタジー世界と、機械化文明が融合した2099年の新宿は、現代日本を更に進化したようなサイバーパンクな様相を呈していました。ベルトールは、部下の六魔侯マキナと暮らし初め、ハッカーの高橋と組んで、動画配信で稼ぎつつ信仰力を高めていきます。

この動画配信は、レトロゲームをしつつ実況解説する、というもので兎に角ぶっ飛んでて面白いです。また、かつての六魔侯であったマルキュスが、石丸魔導重工という会社を経営し、新宿の王のように振る舞っていました。不死を燃料にした炉を維持するため、マキナはマルキュスに囚われます。

ベルトールは、かつてのライバルであった勇者グラムと手を組み、マキナを救出に向かいます。7話までで、新宿編の完結、8〜12話で秋葉原編となります。アニメーション制作はJ.C.STAFFで、監督は安藤良で、シリーズ構成は百瀬祐一郎(ももせゆういちろう)です。

ファンタジーとサイバーパンクが融合した世界と、魔王のキャラが強烈で、めちゃくちゃ面白かったです。星は佳作の4ですが、話題性が高ければ、もっと評価は上がっていたと思います。

魔法使いになれなかった女の子の話

『魔法使いになれなかった女の子の話』は、投稿サイトであるエブリスタで連載されていた赤坂優月の同名小説が原作のテレビアニメです。アニメーション制作をJ.C.STAFFが行う、ということで視聴していました。

デジタル彩色をアナログ感重視で行う手法や、淡い色調をカラフルに使っていたり、かなり気合の入った作画に驚きました。J.C.STAFFがこのまほなれに力を入れていることを感じました。

魔法使いに憧れてレットラン魔法学院に入学したクルミ=ミライは、魔法科に入れず、普通科1組に編入されました。レットランでは、マ組こと魔法科に入られないと魔法使いになれない、という決まりがありました。なのでタイトルが魔法使いになれなかった、ということになっています。

しかし、普通科1組には名家の出身のユズを初め、デザイナーやオペラ歌手、シェフなどの夢を持つ学生が多く、クルミはルームメイトのマキと共に、いつしか学生生活を楽しむようになっていきます。

そして、担任のミナミ先生が古代魔法の使い手で、1組の生徒に魔法を教える、という授業をやっていきます。魔法手帳がないと魔法が使えないはずなのに、古代魔法は記号や絵を組み合わせることで発動します。そして、レットラン七不思議という現象による事件が発生していきます。

総監督は、スレイヤーズシリーズで知られる渡部高志で監督は松根マサトです。シリーズ構成はドラマや実写映画も手がけている金杉弘子です。星は平均的な3.5となります。これは、あまり話題性が無かったためであり、作品の出来は佳作認定を付けたいほど良かったです。

メカウデ

『メカウデ』は、SFアクションもののオリジナル作品です。秋アニメでこのブログでは、オリジナルアニメを紹介したのはネガポジアングラーを含めると2作目になります。本作は、TriFスタジオがアニメーション制作を担当し、オカモトが監督と原案をやっています。

かなり作家性のある作品なのですが、ウデ型機械生命体と、男子中学生のコンビ、という発想が面白く、毎週楽しく観ていました。作画もいいし、ストーリーもSFアクションとしてパンチが効いてたので、人気が出るかと思いましたが、ダンダダンとブルーロックという強力なツートップの影に埋もれてしまった印象があります。

メカウデと呼ばれる機械生命体のアルマと、アルマと相棒のヒカルという少年が事件に巻き込まれていく、というストーリーです。ヒロインのアキ、というキャラクターが強烈で、エヴァのアスカをより粗暴にした感じです(大汗)。その割にはポカが多く、よく敵に捕まったりします。

基本的にはヒカルとアルマの絆を中心に描いている話なのですが、メカウデ使いも個性的なキャラクターが多く、ストーリーも起承転結がしっかりしていました。また、音楽はあの澤野弘之(さわのひろゆき)とKOHTA YAMAMOTO、DAIKIが連名で担当しており、かなり気合の入ったアニメだと思っていました。

シリーズ構成は、『異世界失格』の中西やすひろとTriFです。星は佳作の4ですが、話題性があれば、名作認定していたと思える出来でした。

話題性が偏っていた印象の秋アニメ

秋アニメは正直、ダンダダンとブルーロックに話題性が持っていかれていた印象を受けました。佳作認定の作品は、どれも名作クラスの作画と脚本でしたが、なぜか話題にならずに埋もれていった印象があります。

これは、深夜アニメの数が増えたこととも無関係ではないかもしれません。つまり、あまりにも数が多いため、チェックしきれなかった人が増えたのではないでしょうか?個人的には、ネガポジアングラーと、魔王2099、メカウデなどはもっと話題になってもおかしくない出来のアニメだと思いました。

このアニメレビューでは、話題性の評点も入っているので、上記の3作品は特に割をくったように感じました。アニメの評価は人それぞれとはいえ、予想以上に偏ってしまった感じがします。

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  1. ピンバック: 2024年秋アニメレビュー前編:マジルミエ〜ダンダダンの7作品をレビュー! | K.T Dogear+

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