今回は、2022年の秋アニメレビューをします。評価は5段階で2022年10月〜12月にかけて放送されたアニメです。前編では「異世界おじさん」、「うちの師匠はしっぽがない」、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」、「後宮の烏」、”SPY×FAMILY”の5作品となります。
目次 この記事の内容
- 異世界おじさん
- うちの師匠はしっぽがない
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
- 後宮の烏
- SPY×FAMILY
異世界おじさん
『異世界おじさん』は殆ど死んでる(ペンネーム)の漫画をアニメ化した作品です。マンガの方は漫喫で読んだことがあり、アニメ化と聞いて正直言って不安でした。というのも、セガサターンなど昔のセガハードの話されても、若い世代には解らないだろうし、ある意味特定の年代にしかウケない漫画だと思っていたからです。
しかし、蓋を開けてみると作画も良く、ギャグのテンポも切れ味もあり、何より異世界と現実世界の話のギャップが楽しめられるようになっていました。懸念していたセガハードの話も、作品のテイストとして機能するようになっており、意外と人気が出ていたのです。
アニメーション制作は、Atelier Pontdarc(アトリエ・ポンダルク)で、WHITE FOXにいた吉川綱樹(よしかわこうき)によって2020年に設立されたばかりの会社です。
Webアニメの制作実績はあるものの、テレビアニメは初めて手がけるということもあり、最近のコロナ禍の影響から、制作スケジュールが大幅に遅延するという事態に見舞われました。その影響で、夏アニメとして放送が始まったものの8話で一度放送を打ち切り(再放送などで対処)、10月から改めて1話から放送し直していました。
監督は河合滋樹、シリーズ構成は『残響のテロル』の猪原健太(いはらけんた)です。最終回がなんと、来年に持ち越しとなり、相次ぐ放送延期でブログ執筆に間に合わないため、星は4の佳作認定となってしまいました。
うちの師匠はしっぽがない
今期はギャグ漫画が原作のアニメ化が多く、この『うちの師匠はしっぽがない』もそのうちの一つです。原作はTNSK(タンスケ)で、good! アフタヌーンに連載していました。
落語漫画のアニメ化というと『昭和元禄落語心中』が先駆者ですが、どちらかといえばギャグテイストが強いのが本作の特徴となっています。
大正時代に、まめだという狸が、人を化かすことを目的に大阪に来て、落語と出会い大黒亭文狐に弟子入りするという話です。文狐はその名の通り、狐が人に化けた姿で、大人気の落語家になっていました。
結構コメディ色が強いと思っていたのですが、後半から文狐の師匠の話が出てきて、シリアスな展開もあり、緩急が効いていて楽しく視聴できました。アニメーション制作は、『裏世界ピクニック』、『よふかしのうた』原作のある作品をうまくアニメ化することで定評のあるライデンフィルムです。
監督は山本秀世、シリーズ構成は待田堂子(まちだとうこ)で星は3.5です。今期は他に凄い作品が多く、去年なら星4になってもおかしくない出来のアニメでした。
機動戦士ガンダム 水星の魔女
今期の目玉となったのは、この『機動戦士ガンダム 水星の魔女』です。サンライズの久々のアナザーガンダム(宇宙世紀以外)のガンダムです。新しいファン層を呼び込むため、女性の主人公、百合、学園といった要素を盛り込んで、シリーズ構成に大河内一楼(おおこうちいちろう)、監督は小林寛が担当しています。
https://youtu.be/mtzgvvItqnk
筆者が投稿したガンダム 水星の魔女の解説動画です。
本作は、今までにない現代的なガンダムとして、企業間の争いとMSの決闘で物事が決まる学園の闘争の2つの戦いを中心に描かれています。MS戦闘を主役機ガンダム・エアリアルを駆るスレッタ・マーキュリーが担っています。企業間の争いについては、ミオリネ・レンブランが能動的に動くことにより、2つの視点で物語が進行していきます。
少し残念だったのが、放送の予定から年内に1クール目の最終回が放送されなかったことです。それでも11話までの評点では、名作認定の星4.5で、今後が楽しみなロボットアニメです。
後宮の烏
ラノベの出版社である『集英社オレンジ文庫』のファンタジーもの人気を決定付けた作品が、白川紺子(しらかわこうこ)の『後宮の烏』です。シリーズ累計120万部を突破したシリーズのアニメ化ということで、かなり制作陣も気合が入っており、安定した作画、しっかりとしたストーリーで毎週楽しみにしていました。
制作はサンライズのファミリー向け部門として名称の変わったBN Picturesです。監督は宮脇千鶴で、シリーズ構成は大島里美です。中国っぽい雰囲気の後宮を舞台に、烏妃(うひ)と呼ばれる夜伽をしない特別な妃を中心に後宮の事件を解決していくというミステリーテイストの強い作品です。
世界観もかなり作り込まれていて、話も深く、作画もいい質のいいアニメでした。今期でなければもっと評点は上がったと思いますが、星は4、佳作認定となりました。
SPY×FAMILY
2022年の春に第1クールを、秋に2クール目をやったアニメが“SPY×FAMILY”です。春アニメのレビューでも書きましたが、ジャンプ+に連載されていた遠藤達哉原作の同名漫画のアニメ化作品です。実は今期アニメではジャンプ系漫画は他にもあって、3作品ありました。
SPY×FAMILYはその中でも知名度が高く、万人に受け入れられる要素の強い作品です。ぶっちゃけ、スパイと殺し屋と超能力少女の偽装家族というフォージャー家を中心に、かつての東西冷戦のような時代を描いています。
2シーズンは、超能力を持つ犬ボンドと、後輩のスパイ夜帷(とばり)という新たなキャラクターが登場し、より話が面白く展開していきます。
監督とシリーズ構成は古橋一浩、WIT STUDIOとCloverWorksという強力なアニメスタジオのタッグによる良質な作画、コメディ要素とアクション要素のバランス、その全てが素晴らしかったため、星は4佳作認定です。
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