ついに国内仕様車が正式発表されたカワサキ Ninja ZX-25R。同じ250ccクラスには、4気筒マシンはありません。しかし、ホンダが長い間作り続けた国内唯一のロングセラー400cc4気筒マシン、CB400SF/SBがあります。普通2輪免許で乗ることのできる4気筒マシンであるこの2台を比較していきます。
目次 この記事の内容
- ライバル不在?CB400とZX-25Rに共通しているポイント
- 価格はあまり変わらない?装備から分かること
- 250ccクラス最速のZX-25R
- CB400は日本車のスタンダード
- 甲乙付けがたい4気筒車
ライバル不在?CB400とZX-25Rに共通しているポイント
出典 https://www.kawasaki-motors.com/ ZX-25Rの画像は全て公式ページより
ぶっちゃけ、筆者ことtkd69は、250ccの現行バイクはZX-25Rのライバルにならないと思っています。まず、エンジン自体が別物で2気筒と4気筒は、大きく特性が異なること、同じ価格帯の250ccはホンダ CBR250RRくらいしかないことです。
カワサキは、CBR250RRとほぼ同価格の75万円(税抜き)でZX-25Rを販売します。つまり、4気筒マシンでありながら2気筒マシンの最高峰と言えるCBRとほぼ価格の変わらないマシンということになるのです。
4気筒のZX-25RはこれまでCBR250RRが持っていたプレミアムな250ccのロードスポーツというカテゴリーにおける覇権を奪うことになるでしょう。
ユーロ5などの厳しい環境性能が求められる中で、よくぞクォーターマルチを復活させたものだと思いました。250ccクラスの中では現状では、唯一無二の存在となりました。250cc4気筒は、2007年の厳しい排ガス規制のあおりで、生産終了となっていました。当時人気のあったホーネットやバリオスといったバイクも例外ではありませんでした。
また、400ccの4気筒も風前の灯で、かつて隆盛を誇っていた直列(並列)4気筒は、2017年のスズキGSR400の生産終了によって、1992年から28年間続いているホンダ CB400SF/SB1車種のみとなってしまったのです。
つまり、国内向けの排気量である400ccはもはや、国際的な競争力のある600〜800ccのミドルクラスバイクにより売れないクラスとなったのです。現行の新型オートバイであるCBR400Rや、Ninja400などは、元々は500〜650ccのエンジンを国内向けにボアダウンしたものとなっています。
そんな中、唯一の400cc4気筒マシンとして長い間残っているのはCB400SF/SBのみとなっているのです。つまり、CB400もZX-25R同様に、現在ではライバル不在のマシンということになります。
価格はあまり変わらない?装備から分かること
出典 https://www.honda.co.jp/ CB400の画像は全て公式ページより
実際に、4気筒マシンを普通二輪免許というカテゴリーで選ぶなら、現状はZX-25RかCB400シリーズの二択になります。ぶっちゃけ、車検が必要な400ccと250ccを比較するのもナンセンスですが、車検費用が用意できるのなら、維持費は新車購入してからの3年間で数万円違う程度です。
気になる価格の比較ですが、ZX-25Rのスタンダードの本体価格が75万円で税込み82万5,000円、クイックシフターなどの装備とカラーリングが充実しているSE(KRT ED含む)は、83万円で税込み91万3,000円です。
一方でCB400SFの場合、ダークネスブラックメタリックの単色のみの仕様が一番安く、88万4,000円(税込み)です。通常のイメージであるトリコロールは、92万8,000円で(税込み)です。つまり、SFの場合はZX-25Rと比較すると単色は6万円、人気のカラーは1万5,000円しか変わらないのです。
CB400のハーフカウルを装備しているSB(スーパーボルドール)は、単色で104万円、トリコロールで108万円とかなり高価ですが、ネイキッドのCB400SFの場合は、ZX-25Rとそれほど価格が変わらないのです。
ぶっちゃけ、SFを新車購入して比較すると、ZX-25RのSTDと単色の場合は、6万円プラス車検費用(6万円と仮定)の12万円、SEとトリコロールの場合は、7万5,000円です。燃費は、実燃費に近いWMTCモードでZX-25Rが18.9km/Lに対して、CB400が21.2km/Lです。
400ccのCB400の方が燃費がいいのは、6,300〜6,750回転で2バルブから4バルブに切り替わるVTEC機構の恩恵と排気量が大きい分のトルクの差です。4気筒の場合、高回転で回すと燃費が落ちるので、250ccでも平均でリッター18kmというくらいでした。
400ccの場合1気筒あたりのシリンダーの容量は99.75ccです。250ccの場合、62.25ccなので中低速トルクに明確な差があるので、アクセルを多めに開ける必要があります。
つまり、燃費の分で車検費用が3年間である程度補えることになるので、実質的な維持費はあまり変わらないのではないでしょうか?それだったらパワーのある400ccの方がいいじゃん!ということになりますが、次は装備の面でのコスパを比較していきます。
ZX-25Rには、最新設計のためかアシスト&スリッパークラッチが標準搭載されています。37mm径の倒立フロントフォークはSHOWA製です。リアはプリロード調整可能なホリゾンタルバックリンク式です。ブレーキは、310mmのフロントディスクにラジアルマウントの4POTキャリパーで、リアは220mmの1POTです。もちろんABSも搭載。
灯火類はヘッドライトとテールランプ、ナンバー灯などがLEDです。3モードあるトラクションコントロールに、シフトアップインジケーター、アナログタコメーターとデジタルスピードメーターを組み合わせたNinja ZXシリーズらしいスポーティなデザインのメーターです。
8万8,000円高い、SEモデルに付いているのはクイックシフター、USB電源ソケット(シート下)にフレームスライダー、スモークウィンドスクリーンなどです。
CB400SBにはハーフカウルが装備されている
対照的に、CB400にはアシスト&スリッパークラッチもトラクションコントロールも、オプションのクイックシフターもありません。ヘッドライトやテールランプこそ最新のモデルはLED化されていますが、ZX-25Rのような電子制御や最新の機能は搭載されていないのです。
しかし、アナログの2眼メーターは、ノスタルジーさだけでなく針の動きによる視覚的効果があり、正立フロントフォークや、リアのリザーバータンク付きのツインショックは、昔ながらのネイキッドのスタイルにマッチしています。
フロントブレーキは、296mm径のツインディスクのフローティングディスクの対向4ポット、リアは1POTです。ABSモデルのみとなりましたが、雨天の走行などに便利な装備です。
スーパーボルドールには、ETC2.0の車載器とグリップヒーターが標準搭載されていて、カウル内部の小物ポケットが便利です。また、チェーンメンテで便利なセンタースタンドが装備できるところもポイントが高いです。つまり、CB400は昔ながらの走りの基本性能を熟成して高めたバイクなのです。
ここで解ることは、電子制御などの技術がてんこ盛りのZX-25R、走りの基本性能の高い熟成のCB400という構図です。
250ccクラス最速のZX-25R
カワサキ Ninja ZX-25Rは、最新技術てんこ盛りの正に現代最強の4スト250cc市販オートバイです。水冷並列4気筒DOHCエンジンは、レッドゾーンが17,500rpmという驚異的な高回転型エンジンで、日本仕様の最高出力は45PS/15,500!ラムエア加圧時には46PSというクラス最強の出力を誇っています。
対照的にトルクは2.1kgf・m/13,000rpmとなっていて、2.5kgf・m/11,000rpmのCBR250RR(2020年モデル)に劣っています。つまり、高回転域で速いZX-25R、中低速からの加速のCBRというエンジン特性になっています。
車重は、STD183kgでSEが184kgと、このクラスにしては重いです。4気筒はシリンダーの数が多いので、部品の数からも重量増は仕方ない部分です。燃費はWMTCモードで、リッター18.9kmと2気筒のCBR250RRの27.1km/Lには大きく及びません。4気筒マシンは、高回転ユニットなので、250ccでもあまり燃費が良くないのです。
ちなみにキャブが完調でなかった筆者のかつての愛車、バンディット250の場合は、リッター12〜13kmという金食い虫でした(涙)。ZX-25Rは、インジェクションなので、リッター19kmは期待しています。
カワサキ Ninja ZX-25R スペック表
ZX-25R()はSE仕様 | |
最大出力 kW【PS】/rpm | 33【45】/15,500 ラムエア加圧時 34【46】/15,500 |
最大トルク N・m【kgf・m】/rpm | 21【2.1】/13,000 |
車体サイズ mm | 1,980✖️750✖️1,100 |
車両重量 kg | 183(184) |
燃料タンク容量 L | 15 |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
かつての4気筒バイクは、自主規制枠の上限である45PSを発生していました。国内モデルのZX-25Rは、ラムエア加圧で1PS凌駕し、ユーロ4のインドネシア仕様では51PS(ラムエア加圧時)というスペックです。
250ccプレミアバイクとして君臨していたCBR250RRの最新モデルは41PSなので、やはり4気筒は最高出力で大きくリードしています。
CB400は日本車のスタンダード
一方で、ホンダ CB400SF/SBは、400ccならではの性能です。最高出力は、56PS/11,00rpmで日本国内に適した出力となっています。また、最大トルクは4.0kgf・mとなっていて、250ccよりも格段に余裕があります。
よく400ccは、日本の公道に適していると言われますが、それはCB400のことを意識しています。つまり、日本の公道に最も適したパワーは、CB400シリーズのそれと完全に一致しているのです。201kgの車両重量も丁度よく、高速での安定性もあります。
また、VTEC搭載によりWMTCモードでリッター21.2kmという燃費も4気筒にしてはいいのですが、CBR400Rの28.3km/Lには及びません。燃費は単気筒や2気筒の方が、構造的に有利になります。
しかし、ある程度の回転数に達すると、VTECにより4バルブ化するので爽快感のあるエンジンです。4気筒ならではのサウンドも堪能できます。ダブルクレードルによる適度なしなりのある車体といい、28年間の改良によって味付けされた熟成した走りといい、ベストバランスCBは間違いなくCB400です。
ホンダ CB400SFのスペック表
CB400SF | |
最大出力 kW【PS】/rpm | 41【56】/11,000 |
最大トルク N・m【kgf・m】/rpm | 39【4.0】/9,500 |
車体サイズ mm | 2,080✖️745✖️1,080 |
車両重量 kg | 201 |
燃料タンク容量 L | 18 |
使用燃料 | 無鉛レギュラー |
甲乙付けがたい4気筒車
ZX-25RのSTD仕様車
色々検証してきたCB400とZX-25Rですが、どちらも魅力のあるバイクです。CBは、28年もの間、マイナーチェンジを繰り返し熟成されてきた歴史のあるオートバイです。ZX-25Rは、90〜2000年代に一世を風靡した250cc4気筒を現代の技術で復活させた、最新のバイクです。
日本の一般公道を走る分には、最適と言われる400ccの基準は、間違いなくCB400シリーズのことです。高速道路でもパワー不足ではなく、下道もトルクがあるので走りやすくて扱いやすいです。
ZX-25Rは、サーキットでも違和感のないフルカウルで、レーシーなサウンドをいつでも楽しめられます。クイックシフターや、スリッパークラッチなどの最新技術を堪能したい人は、こちら一択でしょう。
街乗りやツーリングメインならCB、サーキットや峠を攻めたいならZX-25Rでしょうか。ぶっちゃけ、どちらを購入しても色々な使い方ができるので悩ましいですが、車検の有無がポイントになるかもしれません。
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