筆者は、最初にもらったギターがヤマハのFG-200Jで、一時期ヤマハのSG-1000をサブで愛用していました。最近、友人がやたらとパシフィカ欲しいというので、色々調べてみたら、確かにいいギターだと思い、600シリーズについて書いてみることにしました。
目次 この記事の内容
- 6〜7万円クラスで高級ギターの風格!
- パシフィカ600シリーズの特徴
- なぜパシフィカが売れるのか?
6〜7万円クラスで高級ギターの風格!
出典 https://jp.yamaha.com/ PAC611VFM
YouTubeなどでも大人気で、かなりの人がパシフィカの動画をあげています。ぶっちゃけ、その中にはプロで演奏歴の長いギタリストも含まれており、パシフィカのポテンシャルの高さにびっくりしています。
筆者(tkd69)も、ハイエンドなギターから、チープなギターまで色々所有したことがあります。安価なギターでもしっかりした作りであれば使えます。生産国は使っているパーツの目安になりますが、最近の工場は工作精度が上がっていますので、そこまで気にしません。
フェンダーだとジャパンやメキシコといった生産拠点の違いで等級を分けていた時代もありましたが、最近はジャパンでもハイブリッドのようにUSA製の電装系を搭載した高品質なギターがあったり、USAのコロナ工場に並ぶ高級で高価なモデルがあったりします。
パシフィカの最上位モデルである600シリーズも、インドネシア製とのことですが、工作精度はしっかりしているようです。パシフィカを所有しているギタリストからのレビューによると、フレットの端もちゃんと加工されていて、弾きやすいようです。
人件費の安い生産拠点で、ハイエンドなパーツを使って仕上げているようで、筆者のアコギのRider RO-95と同じ設計思想のように感じました。つまり、6〜7万円台で高級ギターの風格を持っているということです。
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パシフィカ600シリーズの特徴
出典 https://jp.yamaha.com/ PAC612ⅦFM
筆者がパシフィカで覚えていることは、テレキャスターシェイプのモデルがあったことです。テクニシャンとして知られるマイク・スターンのモデルが、1990年代から売られていて、パシフィカといえば、テレキャスシェイプだと思っていました(大汗)。
ところが、基本となる100シリーズを始め、パシフィカといえばストラトシェイプにいつの間にかイメージが変わっていました。ボディは、典型的なダブルカッタウェイのストラトキャスターシェイプ、ボディはアルダー、ネックはメイプル、フィンガーボードは、ローズウッドというのが基本的なスペックになります。
つまり、マイク・スターンの最上位モデルを除けば、このストラト系のスペックこそがパシフィカのスタンダードとなるのです。ぶっちゃけ、フェンダーのカスタムショップだろうと60年代を模したモデルの場合、材の等級の違いはあれども、同じ構成をしているのです。
動画でも、612などはシングルコイルが搭載されているので、典型的なストラトのトーンが出ていました。パシフィカの凄いところは、10万円台のストラトのトーンが6〜7万円で販売されているギターから出てくることです。
次に、高級感のある貼りメイプルについてです。600シリーズの2本、PAC611とPAC612には、ボディのトップ材にメイプルを貼り合わせています。しかも、このメイプルは綺麗なトラ目が出ており、ギブソンやPRSの高級ギターとも通じるものがあります。
ちなみにライバルとも言えるPRSのSEシリーズもアジアで生産される廉価版ですが、高級な感じのするパーツ構成とトラ目の出た薄いメイプルを貼り合わせたモデルです。ぶっちゃけ、PRSのSEもかなりオススメのギターで、パシフィカの600シリーズのライバルといえます。
ボディカラーは、現行のPAC612ⅦFMの場合、緑に近いブルーと、ルビーレッド、ブラックの3種類、PAC611VFMの場合は、タバコサンバースト、ダークレッドバースト、ブラックの3種類、PAC611HFMはルビーレッドに、ブラック、パープルの3色です。
出典 https://www.soundhouse.co.jp/ アイキャッチ画像も同じ パシフィカ612は典型的なストラトのSSHスタイル
600シリーズには、セイモア・ダンカンのPUが搭載されており、このピックアップ単体でもお買い得といえます。612は、典型的なSSHのストラトで、フロントとミドルにSSL-1でミドルはリバースワイヤリング(逆着磁)されています。この構成により、ハーフトーン時にはハムキャンセル効果があります。
リアには、これまたダンカンのカバードハムバッカーCustom5を搭載しています。そして、トーンつまみに併設されたトーンプッシュ・プル機能によって、コイルタップが可能になっています。コイルタップは、僕が以前使用していたSG-1000にも搭載されていました。
5wayピックアップセレクターが、センターとリアの場合は、自然にリア側はタップされた状態になります。リアがハムとして機能するのは、タップされていない状態でリアを選択した時のみとなります。
611シリーズは、フロントにセイモア・ダンカンのSP90-1というP-90ソープバータイプのPUを搭載し、リアには612と同じハムのCustom5という構成のギターです。フロントに粘りのあるP-90タイプ、リア側にハムバッキングPUという面白い組み合わせで、コイルタップを加えると多彩なサウンドバリエーションが出るようになっています。
フロントP-90とリアをタップしたシングルのハーフトーンが可能だったりします。611のPUの構成は、とても興味深いです。
ペグは、グローバー製ロッキングチューナーを搭載しており、弦交換がスムーズに行えられます。ロッキングチューナーは、文字どおり弦をポストに通したらロックする機構のことです。ヤマハの場合は自然にロックするタイプで、詳しいやり方は、下記のヤマハ公式リンクに書いてあります。
ロッキングチューナーは、アーミングするギターでもチューニングが安定するというメリットがあります。ブリッジのトレモロ機構はこれまた定評のあるウィルキンソン製VS-50を搭載しています。スムーズなアーミングが可能なパーツセレクトといえます。
PAC611HFMのみは、トレモロレスモデル(ハードテイル)で、グラフ・テック社製のString-Saverブリッジを搭載しています。かなりカスタムされたギターのパーツを最初から惜しみなく搭載されているのです。
ストラトを改造して、612のようなパーツ構成にする人にとってはお得なギターですし、初心者や中級者、あるいは上級者が使ってもかなり使えるギターだと思います。ただ初心者が使うなら、トレモロユニットは、ベタ付き状態にして、弦が切れてもチューニングが狂わないようにしておくことをオススメします。
ぶっちゃけ、ライブ中に弦が切れることを考慮して、フローティングをしないセッティングで筆者はストラト使っていました。この場合は、ダウン方向にしかアーミングできませんが、ストラトなどでこのセッティングにしているギタリストもいるので参考までに。
なぜパシフィカが売れるのか?
出典 https://jp.yamaha.com/ PAC611HFM
一昔であれば、ギターヒーローが使用しているギターがよく売れていました。最近では、影響力のあるギタリストが新たに登場するということは少なくなってしまいました。筆者がSG-1000を購入した理由は、カルロス・サンタナがSG-175というシグネイチャーモデルを使用していたからです。
筆者は、こういうところがミーハーで、好きなギタリストの機材を調べて購入することが多かったのです。残念ながらパシフィカには、有名な使用ギタリストといえば、マイク・スターンくらいしか思いつきません。
しかし、近年ではYouTubeなどの動画サイトで、映像をあげているギタリストが増えてきました。身近なギタリストが、動画などでパシフィカを紹介した結果、バズってパシフィカの人気が上がってきたということが主な原因ではないでしょうか?
ギターに限らず、バイクなどでも同じような現象があります。つまり、有名ギタリストではなく、実際に購入する層に向けて分かりやすく、ユーザー目線で解説してくれる動画によって広まったということです。
パシフィカの場合、そもそもベースモデルの3万円台の100シリーズも十分にお買い得と言えるパッケージのギターです。また、初心者は試奏してギターを購入することはありませんので、動画などを参考にしてギターを購入することが多いのです。
つまり、従来のギターヒーローとエンドゥース契約して、ギターを購入してもらうというやり方は古くなり、ユーザーに動画やブログでレビューしてもらうことが、これからのトレンドになりつつあるということです。パシフィカの場合、元々の質が良かったこともあり、楽器店でも売り切れていてなかなか在庫がないようです。
サウンドハウスでも、612の在庫切れが続いているので、ますます試奏せずに購入する層が増えているのではないでしょうか?時代は変わるといいますが、ギタリストとしては、少し複雑な気分になってしまいます。つまり、ギターヒーローよりも身近な存在のユーチューバーの方が影響力が出てきたということになるからです。
とはいえ、パシフィカの600シリーズは、かなり使えるギターです。書いているうちに僕も欲しくなってしまいました(汗)。昔からヤマハのギターは、安価でしっかりしたギターが多かったのですが、パシフィカシリーズは、一つの到達点ともいえます。
※2020年2月追記
筆者が大阪でパシフィカ612を試奏した動画です。
友人の秋山タカオが、気になっているパシフィカを梅田のイシバシ楽器で試奏させてもらいました!ぶっちゃけ、めちゃくちゃバランスと鳴りがよく、6万円台のギターとは思えませんでした。オススメはやはり600シリーズで、212よりも気に入りました!
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Pacifica 612V II FMの赤はルビー・レッドではなく、ルート・ビア(root beer)と呼ばれる赤茶色いノンアルコール炭酸飲料の色です。
確かにルート・ビアって書いてました!訂正ありがとうございます