MotoGP オランダGP:快晴のダッチTT

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MotoGP 2019 オランダGPは、6月30日にオランダのTTサーキット・アッセンで開催されました。ダッチ・ウェザーと呼ばれるほど、気候がころころ変化するグランプリとして有名なのですが、今年のレースウィークは快晴でした。

目次 記事の内容

  • オランダGPでのセレモニー
  • 予選から好調のヤマハ勢
  • Moto3とMoto2での荒れたレース展開
  • 決勝で躍動するヤマハ勢
  • チャンピオンシップはマルケスがリード

オランダGPでのセレモニー

出典 https://www.honda.co.jp/ 60周年記念セレモニーでのミック・ドゥーハン氏(左)と高橋国光氏(右)

オランダGPは、1925年から開催されている歴史あるレースで、ダッチTTと呼称されています。戦後の1949年から途切れることなく続いていて、ダッチTTという伝統となっているのです。

ホンダは、世界GP参戦の60周年のイベントをオランダGPで行い、さらにスペシャルカラーのMoto3マシン、NSF250Rをホンダ・チーム・アジアが走らせることとなりました。これは、高橋国光がかつてWGPで日本人として1961年に初優勝したマシンと同じカラーリングです。

最高峰クラス5連覇の伝説のWGPライダー、ミック・ドゥーハンのNSR500と高橋国光のRC142がMotoGP決勝レースの前にデモランしました。これには、多くのモーターサイクルファンが喝采しました。1959年6月3日のマン島T.Tより、60年もの間、世界選手権で戦い続けているホンダは凄いです。

ダッチTTの一番の特徴である、ころころ変化する天気ですが、今年は快晴が続きました。そのため、気温が上がり路面温度も高く、Moto2とMoto3のレースでは転倒者が続出することになるのです。

予選から好調のヤマハ勢

出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ 好調のヤマハ勢とマルケス

レースウィークに入ってから、ヤマハは好調でした。特に、ペトロナス・ヤマハのファビオ・クアッタハッホ選手は、フリー・プラクティスで速く、トップタイムを連発しました。また、ヤマハワークスの、マーヴェリック・ビニャーレス選手もFP2でのトップタイムをマークし、好調ぶりをアピールしていました。

クワッタハッホと同じペトロナスヤマハの、フランコ・モルビデリ選手は、そこそこいい出来でしたが、ヤマハワークスのバレンティーノ・ロッシ選手だけが調子が上がってきません。

一方のホンダ勢は、FP1でホルヘ・ロレンソ選手がハードなクラッシュをし、第6胸椎を骨折してしまいました。全治まで3~4週間かかる大怪我で、オランダGPと次のドイツGPを欠場することになりました。

そして、迎えた予選では、クアッタハッホ選手が2戦連続のポール・ポジションとなりました。2位には好調のビニャーレス、最後のフロントローには、スズキのアレックス・リンス選手が入りました。ここまで全て並列(直列)4気筒マシンです。

そして、2019年シーズンで初めて、フロントローを逃したレプソル・ホンダのマルク・マルケス選手が4位、5位にはスズキのジョアン・ミル選手、6位にLCRホンダのカル・クラッチロー選手が入りました。

7位にドゥカティ・ワークスのダニーロ・ペトルッチ選手が入り、8位にはLCRホンダの中上貴晶選手がそれぞれ入りました。上位にヤマハ、スズキ勢が入り、その後にホンダ、ドゥカティが続くというこれまでとは異なるパターンになりました。

ホンダとドゥカティはV4マシンであり、今回のコンディションでは、並列4気筒勢が優位にすすめています。過去のレースでは、ホンダとヤマハが交互に勝っていたダッチTTですが、快晴の今年はヤマハに相性が良さそうです。

Moto3とMoto2での荒れたレース展開

出典 https://www.honda.co.jp/ スペシャルカラーの小椋選手のマシン

予選で鳥羽海渡選手が2位と好調だった、Moto3のホンダ・チームアジア勢ですが、決勝レースでは荒れた展開となりました。レースラスト6周というところで、ラウル・フェルナンデス選手が起こした多重クラッシュで、トップグループを走行していた鳥羽も巻き込まれてしまいました。

強風と路面温度の高さのため、Moto3では7台ものリタイヤを出す結果となりました。しかし、Moto2の方が11台と転倒は多かったのです。レース残り2周というところで、アレックス・マルケス選手は、トップ走行中に、ロレンツォ・バルダッサーリ選手に巻き込まれて転倒しました。

結局Moto3では、チームアジアは6位に小椋藍選手が入りました。ホンダ車のトニ・アルボリーニが優勝したことで、60周年記念に華を添えたといえます。Moto2では、長島哲太選手が5位に入るなど、コンスタントに上位を狙えるようになってきています。

決勝で躍動するヤマハ勢

出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ 切れ味鋭い走りのビニャーレス

レース序盤、フロントローからスタートし、トップだったリンスが転倒し、クアッタハッホが、そのままトップにつけました。ビニャーレス、マルケスの順にトップグループは周回をし、5周目に10位争いをしていたロッシと中上が転倒してしまいました。

CSの中継では、はっきりとは映っていなかったのですが、ロッシのオンボードで、9コーナーのインをロッシが突こうとして、そのままフロントから切れ込んで倒れていたので、どうやらロッシの方が中上を巻き込んだようです。

その後、タイヤバリアに突っ込んで、倒れていた中上を心配して覗き込んでいたので、ロッシに好感を持ちました。やったことは、レース上仕方ないことだけど、ちゃんと謝罪することは大事だと思います。幸いにして、中上もロッシも大きな怪我が無かったという記事が後日出ていたので胸を撫で下ろしました。

ビニャーレスが、クアッタハッホを抜きトップになりました。クアッタハッホのYZR-M1は、5コーナーでやたらと上下に振られていたので、腕上がりの手術の影響か、風の影響のどちらかでうまくいっていないようでした。


その後、マルケスにも置いていかれたクアッタハッホはトップ争いから脱落しましたが、ビニャーレスは快調に周回を重ねていきました。マルケスは、一時的にビニャーレスの前に出たものの、その後抜かれてからは、引き離され、リアにソフトを履いているため、ペースをキープして2位狙いに変更したようでした。

そのまま、ビニャーレスがチェッカーを受け、ヤマハがついに2019年シーズンの初優勝を果たしました。2位にマルケス、3位にクアッタハッホ、4位にドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手が入りました。

モルビデリは5位でヤマハはトップ5に3台が入るという好調ぶりでした。ペトルッチは6位、7位にクラッチローがそれぞれ入り、結局MotoGPは4台がリタイヤするくらいで、Moto2ほど荒れた展開にはなりませんでした。おそらく、一番排気量が大きく重いマシンなので強風の影響が少なかったのではないでしょうか。

チャンピオンシップはマルケスがリード

出典 https://www.honda.co.jp/ 60周年の旗を持って表彰台に立つマルケス

結局ポイントリーダーのマルケスが2位に入り、ランキング2位のドヴィが4位で7ポイント差が広がり、44ポイント差となってしまいました。マルケスは、クレバーに2位に入ることで、チャンピオンシップをリードすることになっています。

クアッタハッホの速さは本物だと思いますが、まだレース全体でトップをキープして優勝したことはありません。しかし、今シーズン中に必ず優勝するライダーだと思います。

ヤマハに勝利をもたらしたビニャーレスが、これから巻き返していくかもしれません。しかし、ドゥカティやスズキも侮れませんし、次のドイツGP以降は、サマーブレイクとなります。第9戦ドイツGPは、7月7日(日)に開催されます。

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