最近、フルチューブアンプの音が恋しくなってきたので、自宅練習用のアンプを探しに大阪市内まで行ってきました。候補は、ブリティッシュ系の5~15Wの小型アンプです。
フルチューブアンプの音圧
筆者が長い間愛用していたメサ・ブギー S.O.B.(Mk-Ⅰの廉価版リシュー)
筆者が過去に所有していたフルチューブアンプは、Ampeg VL-501という50Wのヘッドと、Mesa Boogie S.O.B.というMk-Ⅰの廉価版リシューの60Wのコンボアンプです。基本的に6L6系のアメリカンなアンプを好んでいて、メサ・ブギーのトーンはとても気に入っていました。
しかし、アッテネーター(振動を適切なレベルに減衰する機材)があっても5~60Wのアンプをフルテンで鳴らすことは不可能です。メサ・ブギー S.O.B.の場合、LIMITつまみ(リミッター機能)を上げていても、フルチューブらしい音圧があり、自宅での練習や録音には向いていませんでした。
そこで、今回は今までとはまったく異なる性質のアンプを購入するため、ブリティッシュ(イギリス製)の小型アンプが候補となりました。イギリスといえば、MarshallもしくはVOX、最近ではLaneyもあります。
ネットで色々なレビューがあり、参考にはなりますが、楽器は試奏しないと自分に合うか解りません。そこで、候補となるアンプを置いてある店舗をネットで探してから試奏することにしました。イシバシサイトやデジマートで検索し、難波の楽器店にマーシャルとVOXの小型アンプが置いてあるという情報をキャッチしました。
山野楽器 ロックイン難波店
今回試奏に使用したギブソン レスポールジュニア
今回の試奏には、軽いので取り回しやすいGibson Les Paul Jr.を使用しました。目指す店舗は、山野楽器 難波ロックイン!昔、天王寺ロックインで、今のメインギターHeritage H-157を購入したことがあります。家から電車1本で行くことができたので重宝していた天王寺ロックインは、現在閉店しています。
最近懇意にしているイシバシ心斎橋店には、Fender Blues Jrの中古が置いてありました。ブリティッシュアンプにいいのが無かったら、イシバシでブルースジュニアを試すつもりでした。フェンダーは、アメリカンなアンプの代表的メーカーで、ブルースジュニアは定番の小型アンプです。
なんばシティは、本館とか南館とかありまして、昔一度来たことがあるのに間違って本館に来てしまいました。ケチってJR(電車)で来たせいか、出る場所を間違えたのでしょう(大汗)。なんばシティ南館は、なんばパークスの隣にあり、ロックイン難波店は、そこの2階にあります。
Marshall DSL5C 試奏
出典 https://www.soundhouse.co.jp/
Marshall DSL5Cは、5Wの真空管小型アンプです。プリ管にECC83、パワー管に12BH7管を1本使用しています。パワー管が1本だけということは、バイアス調整の必要がないということなので、手軽にパワー管の交換ができます。
このアンプのいいところは、5Wだけでなく、後ろのパネルスイッチで、0.5Wに出力を下げるパワー・リダクション機能が付いていることです。JCM2000系の色々出来る機能が付いていて、クラシックゲインチャンネルや、ウルトラゲインチャンネル、Deepスイッチに、これらを切り替えるフットスイッチまで付属しています。
ぶっちゃけ、アンプの出力やら機能では、このマーシャルDSL5Cが本命でした。価格は5万9,400円で、そこそこしますが新品なので真空管やスピーカーのへたりもありません。
さっそく気のよさそうな店員さんに声をかけると、アンプを用意してくれました。この人が実は店長のBさんだったというのは、後で名刺をもらったときに知りました。店長のBさんは、ギタースタンドまで用意してくれ、前述のパワースイッチの場所や、アンプの機能まできちんと教えてくれました。
試奏はとてもやりやすく、この時点でロックイン難波に好感を持ちました。DSL5の特性は、クリーンからハイゲインまで、しっかり出るアンプでした。普通にセッティングすると少しこもっていたので、トーンを色々いじりました。
どうやらDeepスイッチが原因のようで、このスイッチをOFFにすると、ジャキっとしたカッティングに向いたJCM800系のトーンも出ます。まんまマーシャル系といったイメージのトーンは出るのですが、真空管特有の暖かみをあまり感じられません。
このあたりは、5Wの小型アンプなので回路がトランジスタ寄りになっているのかもしれません。クラシックゲインチャンネルで作ったクリーンも少し濁った感じのトーンで、いかにもマーシャルでした(笑)。
これなら、家のフェンダー SVD20CEのクリーンにエフェクターの組み合わせとたいして変わらないので、6万円出すのはちょっとためらいました。感じ方の問題かもしれませんが、音質自体は間違いなくマーシャルのJCMシリーズのものでした。
VOX AC15C1
出典 http://www.voxamps.com/ 写真の撮影を忘れていたのでVOXの公式ページより
最近、ボヘミアン・ラプソディを観にいった影響もあり、VOXのACシリーズがとても気になっていました。クイーンのギタリスト、ブライアン・メイが使用し、ビートルズのジョンやジョージ、バーナード・バトラーといったイギリスのロックギタリストに愛用され続けているからです。
AC30といえば、クラスA回路アンプの代表的存在です。パワー部にEL84管を4本使用するAC30のボリュームを上げきった歪みは、とても素晴らしいです。
しかし、家では30Wはきついので、5~15Wくらいの小型の出力のアンプを探していると、展示特価4万9,800円のVOX AC15C1をネットで見つけました。そこが、ロックイン難波で、マーシャルのDSL5Cも置いてあったというわけです。
正直、VOXはあまり使ったことのないアンプです。というのも、日本のスタジオに置いてあるところが少なく、購入しないと使いこなせられないイメージがあるからです。
さっそく店長さんに用意してもらい、簡単にセッティングしました。スタンドバイスイッチがちゃんと付いてるところもいかにもチューブアンプという感じがします。もう弾いた瞬間から別次元でした!音の抜けとチューブ特有のコンプレッション感があり、ちゃんとした音圧も感じられました。
ぶっちゃけ、この価格で素晴らしいトーンです。ミドルが出てるのに、嫌味にならず、コード弾いても音が抜けてきます。しかも、2ボリューム式で、ゲインもそこそこ上げられるようになっていて、適正なボリュームでのコントロールがしやすいです。
ギターのボリュームを絞ったら普通にクリーンになるチューブアンプらしい特性もしっかりありますし、カットを上げれば、ボトムリフに向いたトーンも作れたので、P-90のレスポールジュニアとの相性は抜群でした。
トレモロやリバーブも充分使えるもので、特にトレモロが気に入りました。この段階でぶっちぎりの本命になりました。
マーシャルの新型!Origin5
出典 http://www.marshallamps.jp/
次に試したかったのが、今年(2018年)の6月頃に販売されたばかりのマーシャルのOrigin5です。外装が、エリック・クラプトンが使用していたブルースブレイカーズ・コンボアンプに似ていてカッコ良かったので気になっていました。
店長さんに、「マーシャルの新型ありますか?」とたずねると、ピンときたようで、「タケダさんには合わないアンプだと思いますよ」といってくれました。このときには、店長のBさんとアンプやロックの話で盛り上がっていて、音の傾向やら狙いのアンプのことなど相談していたからこその忠告でした。
この段階で、店長のことを全面的に信用していたのですが、興味があるので試させてもらいました。値段は、DSL5Cとあまり変わらないのですが、1チャンネル構成で、シンプルな1ボリューム方式でした。
Origin5はプリ管にECC832本、パワー管にEL84管1本の5Wの真空管アンプで、小さなサイズですが、本格的なヴィンテージアンプっぽい形がナイスです!
TILTつまみというのが、トーンつまみの横にあって、サウンドのキャラクターを変更できるようです。問題は、ボリュームを上げないと歪まない特性で、正直使い辛いアンプでした。ボリュームのつまみを引き上げると、ブーストされ歪みが深くなります。この状態でのフルアップは、5Wでもはっきりいって使用不可能なほど音がでかい!
ある程度ボリュームを上げないと、いい感じに歪まないので、僕の使い方だと2ボリュームの方が合います。一応、0.5Wに切り替えるスイッチはあるのですが、流石にこれでは使いにくいです。一瞬だけでかい音が出たときのトーンは素晴らしかったので、広めの一軒家や、豪邸に住んでたら買ったかもしれません。
1ボリュームは住宅事情により無理だと判断しました。コンセプトは好きなアンプなのですが、店長のいったとおりでした(無理言ってごめんなさい)。
VOX AC15C1購入!
出典 http://www.voxamps.com/ AC15C1のコントロールパネル
3つのイギリス製小型アンプを試してみて、結論はVOX AC15C1の購入でした。シンプルな構成だからこそ、トーンが頭一つ抜き出ていました。また、何より試奏していて、ピンときたからです。
第一候補だったマーシャル DSL5Cも使い勝手のいいアンプだと思います。15~20Wくらいのマーシャルのコンボも悪くないトーンがあるので、最初からDSL15Cで探していたら、結果は違っていたかもしれません。
ここに箱の痛んだ特価品のVOX AC15C1があったのが縁があるということでしょう。なにより、アンプ選びを親身になって手伝ってくれた店長のところで購入するのが筋だと思いました。しかも、憧れのVOX ACシリーズ!価格も安いし、めちゃくちゃ嬉しいです。
例によって、頭金を払ってのローンですが、今回も低金利サービスを使うことにしました。クレジットの審査が終わるまでの間、店長に日本のスーパー・ギタリストCharが来店したときのことを聞きました。
フェンダー・アメリカンスタンダードから、アメリカンプロフェッショナルになったので、値段も上がりましたが内容も良くなっていたそうです。Charさんは、プロフェッショナルシリーズのストラトを試していたようなのですが、店内にかかっていた曲に合わせて伴奏してくれたようです。
Charがアメリカンプロフェッショナルシリーズを褒めていたようなので、アメスタよりも確実にグレードアップしているのでしょうね。
茶目っ気たっぷりな人のようで、ますますファンになりました。また、店内のレジの壁にはChar氏のサインもあるので、気軽に見せてもらえます!機材で悩んでいることがあれば、こうやって楽器店で相談すると色々と教えてくれます。今回は、店長のBさんにたいへんお世話になりました。
近いうちにVOX AC15C1のレビュー記事なども書いてみたいと思います。明日あたりに郵送してもらったアンプが届くので今から楽しみです。
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