MotoGP 2018 第5戦 フランスGPは、5/20にル・マンのブガッティ・サーキットで行われました。ヨーロッパラウンドの2戦目となるフランスGPは、ヤマハが過去に得意としていたサーキットです。
ブガッティ・サーキットの相性
サーキットとマシンの相性という点で、今回こそヤマハが復調するのではないかと思っていました。ブガッティ・サーキットは、近年のMotoGPではヤマハのバイクが勝っているサーキットで、ホンダのエースであるマルク・マルケス選手にとっては苦手なコースの一つでした。
ブガッティ・サーキットは、あのルマン24時間耐久レースのサルト・サーキットのコースの一部でもあり、パドックやピットレーンも兼ねています。サルト・サーキットは、公道を封鎖してルマン24時間レースの時期のみ運用されていますが、ブガッティ・サーキットはロードレース用のサーキットとして常設されています。
直列4気筒のヤマハYZR-M1は、ハンドリングに定評のあるマシンです。ストレートが短く、テクニカルなコースレイアウトは、ヤマハに合っているはずでした。予選では、ヤマハのヨハン・ザルコ選手が1分31秒185を叩き出しポール・ポジションを獲得しました。
予選でのザルコ選手の速さと勢いは、M1の動きにも現われており、鬼気迫るものがありました。それだけ、母国のグランプリにかける意気込みが伝わってきていました。予選2位には、マルケス選手が、3位にはドゥカティのダニロ・ペトルッチ選手がそれぞれ入りました。
近年のフランスGPにはない展開
レプソルホンダチームは、フランスGPでは大きなウィングのようなフロントの整流パーツを導入していました。これは、最近のトレンドでダウンフォースを得るためのものです。
ホンダのRC213Vの整流パーツは、他のメーカーと比較して小さいものでしたが、ここにきて面積を大きくしてきました。フロントカウルの形状がここまで変わると、印象が違います。他には、ホンダサテライトのカル・クラッチロー選手にもカーボンスイングアームが供給されたり、細かい改良が進んでいるようです。
先に行われたMoto2(600ccのカテゴリー)では、路面コンディションが良くないので、8コーナーで転倒者が続出していました。なんとなく荒れたレースになりそうな予感がしました。
予選で転倒し、心配されていたクラッチローもグリッドにつき、決勝レースがスタートしました。ホールショットは、ドゥカティのホルへ・ロレンソ選手で後ろにマルケス、同じくドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手が続きました。
予想を裏切ってV4マシンが好調な滑り出しを見せました。フロントにミディアム、リアにハードを履いているマルケスは、序盤ペースが上がらずザルコにパスされます。他のマシンが、フロントにソフトもしくはミディアム、リアにソフトという選択が多い中で、思いきったタイヤのチョイスです。
MotoGPにタイヤを供給しているミシュランの本社は、フランスなのでザルコの気合も入っています。いきなりスズキのアンドレア・イアンノーネ選手やドゥカティのアルバロ・バウティスタ選手が転倒しました。
5周目には、トップになっていたドヴィツィオーゾ選手が転倒し、その後トップグループのザルコ選手も転倒しました。ドヴィは、転倒した原因が解らないようなジェスチャーをしていました。
ランキング争いという点で、ドヴィの転倒はドゥカティワークスにとって後々響くと思います。ザルコはいいところを走っていただけに母国グランプリでのリタイヤは残念です。
レースはマルケスの独走状態!
マルケスは、10周目にトップに立つとそのまま徐々に後続を引き離しにかかります。2位にペトルッチ、3位にロレンソという順位で中盤が過ぎていきます。4位のヤマハのバレンティーノ・ロッシ選手がロレンソをパスし、3位に浮上します。
ペトルッチもマルケスにくらいついていきますが、徐々に離され1位から3位まで等間隔(2~3秒差)になっていきます。マルケスは、途中フロントが切れ込んでコケかけますが、肘で路面を押し返してリカバリーすることに成功します。これはマルクにしかできない技なので、良い子はマネしないようにしましょう(笑)。
路面コンディションの悪さからか、上位でも1分32秒台とタイムが伸びてきません。マルケスは、ペトルッチとの差を計算しながら丁寧に走っていました。結局マルケスが2秒差で優勝し、2位にペトルッチ、3位にロッシが入りました。
4位にはドゥカティ・プラマックレーシングのジャック・ミラー選手、意地を見せたのが、レプソルホンダのダニ・ペドロサ選手の5位、6位にロレンソ、7位にモビスターヤマハのマーヴェリック・ビニャーレス選手が入りました。
予選で転倒していたクラッチロー選手は8位フィニッシュ、チームメイトの中上貴晶選手は15番手とふるいませんでしたが、1ポイント獲得しました。
ヤマハのハフィス・シャーリン選手は12位となかなかのポジションで、コントロールラインを通過しアピールしました。残念だったのがスズキで、アレックス・リンス選手の10位が最高位と連続表彰台を逃しました。結局、ティト・ラバト選手とスコット・レディング選手を合わせると合計6台のマシンがリタイヤしました。
ル・マンでもマルケスの勢いは止まらず
ペトルッチは、中盤マルクにしかけたりしていましたが、結局終盤は2秒以上離されてしましました。苦手のはずのルマンでマルクが圧倒的な強さを見せつけたレースでした。これで、かつての偉大なチャンピオン、ケーシー・ストーナーの持つ最高峰クラス38勝に並びました。
レプソルホンダとしても5位にペドロサが入って11ポイントを獲得したのが大きいです。ロッシも復調してきたとはいえ3位表彰台に上るのが精一杯だったようで、ヤマハの得意なブガッティ・サーキットのイメージが払拭されてしまいました。
チャンピオンシップは、トップのマルケスが3連勝で95ポイント、2位のヴィニャーレスが36ポイント差の59ポイント、3位のザルコは58ポイントと僅差です。4位はロッシで56ポイント、今回の2位でジャンプアップしたペトルッチが54ポイントで5位になりました。
ドヴィは今回のリタイヤが響いて総合10位に後退しました。転倒すればノーポイントになるので、バイクのレースはエキサイティングです。今シーズンのマルケスの強さは、ヨーロッパラウンドに入っても変わりません。次回は、イタリアのムジェロですが、ヤマハやスズキの巻き返しはあるのでしょうか?
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