去年購入したギブソン レスポール ジュニアが、とてもなじんできています。P-90ピックアップの良さがじわじわ解ってきたので、今回は、P-90の解説をします。
■最初に買ったレスポール
筆者が一番最初に接したP-90は、ギブソン レスポールからです。レスポール Studio GEMという1990年代のモデルを所有していたことがあります。このスタジオ ジェムシリーズは、P-90ピックアップを2基搭載し、スタンダードよりも安価なモデルでした。
「青いレスポールって、なかなかクールだぜ!」といって買いました(笑)。このギターは、材の問題なのか、音抜けがあまり良くありませんでした。ろくな試奏もせずに買ったせいで、はずれのギターだったと思います。ただ、ピックアップだけは、気に入っていました。
それまでに弾いていたフェンダー ジャパンのストラトと比較して、音に暖かみがあり、レンジが広いのです。フェンダー系のじゃりじゃりしたトーンよりも、中域の太さがあり、リードにもカッティングにも使えるピックアップでした。
ノイズは、シングルコイルのためフェンダー系と同じくありますが、ソープバー(吊り下げ式マウント)タイプのため後述する直付けマウントのドッグイヤータイプより、ハウリングは起きにくく、使い勝手のいいイメージがあります。
問題は、ギブソン製品の当時のバラつきにより、はずれの個体だったということです。バンドのレコーディングのため、フェンダーUSAのテレキャスターを買い足して、いつの間にかそっちがメインになってしまいました。その後、ヘリテイジのH-157をメインにして、現在はサブにギブソン レスポールジュニアの2本体制となっています。
■P-90ピックアップとは?
ギブソン レスポール ゴールドトップ
セス・ラヴァーの開発したハムバッキングPUが、1957年にレスポールモデルに搭載されるまでのギブソンの主力ピックアップがP-90でした。
ポールピース(弦の真下の音を拾う部分)に磁力のあるのがフェンダー系シングルコイルで、磁力が強く、磁界が狭いのが特徴です。磁力は弱まりますが、P-90はコイルの上に鉄製のポールピースを配置しています。
そして、コイルの下に幅の広い磁石を置いています。磁界の広い分、太く暖かみのあるサウンドとなっているのがP-90ピックアップということなのです。
シングルコイルのP-90は、1952年に販売開始された最初のレスポールモデルに2基搭載されていました。その当時のレスポール・スタンダードは、ゴールドトップのモデルが多く、P-90のレスポールといえば、ゴールドトップを思い浮かべる人が多いです。
レスポールに搭載されていた、P-90の特徴は、ソープバーと呼ばれる石鹸のような形状です。ボディに直付けせずに、吊り下げる方式のため、この形のピックアップカバーとなりました。
このタイプのレスポールは、ギブソンと共同開発したレス・ポール氏のアーティストモデルとして有名です。ニール・ヤングは、フロントにP-90、リアにミニハムを搭載したレスポールを愛用しています。
■ドッグイヤー搭載モデル ES-330とレスポールジュニア
P-90 ドッグイヤータイプ
安価なモデルとして登場したレスポール・ジュニアや、ホロウボディのES-330には、ボディに直付けされたドッグイヤー式のP-90が搭載されています。
犬の耳のような取り付け用の3角形の突起があり、その形状のためドッグイヤーと呼ばれているのです。ダイレクトに取り付けられているため、ボディの振動を拾いやすく、ハウリングが起こりやすいという欠点があります。
しかし、ドッグイヤーのP-90は、シングルコイルならではの歯切れの良さと、ボディの鳴りをそのままトーンに反映させる特性があり、直付けタイプを好んでいるミュージシャンも多いです。
ES-330タイプのギター エピフォン・カジノ
ビートルズのジョン・レノンや、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソンなどがエピフォン・カジノ(エピフォンのES-330タイプ)を使用しています。レスポール ジュニアといえば、マウンテンのレスリー・ウェストです。
■SGスペシャルとノンリバース・ファイヤーバード
出典 http://www.mikigakki.com/ 1961年製 SGスペシャル
ギブソン SGといえば、ロックのスタンダードなギターで、ハムバッキングPUのイメージがあります。1961年にレスポールからのモデルチェンジとして販売されたSGシェイプにも、P-90搭載モデルがあったのです。
実は、SGの名前は、SGシェイプ(マホガニーボディ、ダブルカッタウェイ)に変更される前の1959年後半からそれまでレスポール・スペシャル(ジュニアやTVも同様)と呼ばれていたモデルに先に採用されていまいた。
1961年にSGシェイプのボディとなったSGスペシャルは、P-90ソープバーを2基搭載したモデルでした。オールマホガニーボディとなり、レスポールよりも薄くなったボディとP-90ピックアップによる歯切れの良さは、コード弾きにも適してしました。
このSGスペシャルのイメージは、THE WHOのピート・タウンゼントです。1960年代後半から1970年代初めのフーのステージでは、ピート・タウンゼントが、SGスペシャルでジャンプしたり、ウィンドミル奏法(風車のように腕を振り回す)で暴れまわるステージは圧巻でした!
他にも、ギブソンのファイヤーバードで、1966年からモデルチェンジされたノン・リバースモデルでは一部のモデルがミニハムからP-90ソープバーに変更されています。タイプとしては、ⅠとⅢのみがP-90でした。
このように、ギブソンやエピフォンのギターに搭載され続けたP-90は、様々なギタリストに愛用されながら現在まで作り続けられているのです。上下にコイルを配置したハムバッカータイプのP-100や、ハムバッキングのリプレイス用として作られたP-94などの派生型もあります。
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