ダカールラリーは、ラリーレイドと呼ばれる競技の中でも過酷なレースで知られています。砂漠や山岳地帯を含めた8,000kmを2週間で走破するという、クルマやバイクの限界に挑戦するような試みのラリーは、1978年に第1回大会が開催されてから続いているのです。
■ホンダのダカールラリーへの挑戦
ダカールラリーに参戦したCRF450 ラリー
ホンダチームは、ダカールが以前のパリ・ダカールラリーだった1981年から参戦しています。その頃はNXR750で参戦し始め、1982年に初優勝し、1986~1989年には、4連覇を果たすという快挙を成し遂げました。
パリ・ダカールラリーは、パリダカの愛称で知られ、フランスのパリからセネガルのダカールまで走破するラリーでした。しかし、2008年にモーリタニアの治安が悪化したことからレースを中断し、翌2009年から南米に舞台を移すことになります。
ホンダは、2013年大会からCRF450 ラリーをワークス体制で投入しています。CRF450をベースに、夜間走行用のヘッドライト、ライダーを風圧や砂塵から守るカウル、燃料タンクを大型化するなどラリーで戦うためのチューンが施されています。
第40回大会となる2018年では、ホンダのケビン・べナバイズが2輪部門総合2位に入り、ホンダチームの健在ぶりをアピールしています(優勝はKTMのマティアス・ウォークナー)。
■CRF250 ラリーはCRF250Lがベース!
筆者が試乗したCRF250L
2012年に、XR250の後継車として公道走行可能なデュアルパーパスマシン、CRF250Lが販売開始されました。筆者もバンディット250からVTR250に乗り換えるときに最後まで悩んだのが、このCRF250Lでした(以前のブログにて試乗レポートを書いてます)。
CRF250Lは、CBR250Rの250ccの水冷単気筒エンジンをオフロード向けにチューニングして搭載しています。このエンジン、単気筒のわりによく回り、最高出力も23PSとそこそこの性能を持っています。水冷エンジンであるために転倒時のリスク(リザーバータンクの破損など)があり、車重がセローと比較して重い(143kg)となっています。
CRF250Lはタイ生産による安価な40万円台の価格設定や、セローよりも強力なエンジンによる高速走行性能の高さなどにより、人気のあるオフロードバイクとなりました。
■CRF250 ラリーはツーリングに向いたバイク!
画面手前2番目がCRF250 ラリー
そして、2017年より国内販売開始されたのが、CRF250 RALLYなのです。CRF250Lの車体をベースに、ダカールラリーに参戦しているCRF450 ラリーに似せたモデルです。
かつてホンダには、XR250のツーリング向け仕様としてXR250バハというバイクがありました。大型の燃料タンクに明るい2眼ヘッドライトを装備し、ロングツーリングに適した改良を施したのです。
CRF250 ラリーは、XR250バハの後継車という位置づけも含まれています。外装のデザインや、イメージは最新のダカールラリーモデルCRF450ラリーに近いのですが、製品コンセプトはXR250バハを踏襲しています。
ベースとなったCRF250Lのタンク容量が、7.7L(最新モデルは7.8L)とツーリングには厳しいタンク容量でした。CRF250 ラリーは、タンク容量を10Lと大幅に増量し、航続距離を飛躍的に向上させました。
また、LEDヘッドライトを2眼にすることで、照射範囲を拡大させるなど、XR250バハの強化したポイントと同じ改良がされているのです。
更に、CRF450 ラリーと同じく、大型フロントスクリーンを装備し、CRF250Lのセールスポイントであった高速道路の走行性能を風圧面で高めています。
※CRF250 ラリースペック
CRF250 ラリー | |
最高出力 kW【PS】/rpm | 18【24】/8,500 |
最大トルク N・m【kgf・m】/rpm | 23【2.3】/6,750 |
車体サイズ mm | 2,210×900×1,425 |
車両重量 kg | 155 |
燃料タンク容量 L | 10 |
使用燃料 | 無鉛レギュラー |
ネックは、価格が64万8,000円(ABSモデルは70万円)とノーマルのCRF250Lの49万円と比べて高いことでしょうか。ノーマルのシート高895mmより65mm低い830mmのローダウン仕様もあります。
CRF450 ラリーのレプリカとしてのエクステリアと、使い勝手のいい250ccのフルサイズオフローダーとしての利便性のあるバイクです。
また、スマホやナビなどを装着しやすいアクセサリーバーを、ウィンドスクリーンの内側に装備するなど使い勝手もよく考えられています。林道を含めたロングツーリングに適したバイクが、CRF250 ラリーだといえます。
※2019年1月追記
CRF250ラリー ブラックはABS仕様車のみ
新年早々に、カレンダーをもらいにホンダドリーム藤井寺で、CRF250ラリーのブラックカラーがあったので写真に撮ってみました。グレーを基調にしたカラーは、落ち着いていていいですね。今のところABS仕様車のみブラックを選択できるようです。
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