前回に引き続きP-90ピックアップ特集の最終回、P-90を使ったイレギュラーなギター編です。P-90は、独特の粘りのあるトーンと歯切れの良さで、様々なギターに使われています。本家ギブソンと異なるメーカーに使用されている例をあげていきます。
目次 この記事の内容
- フェンダーが搭載?P-90をライバル社のギターが載せる理由
- SCHECTER PS-P-PT-CTM
- YAMAHA Pacifica 611
- P-100とP-94について
フェンダーが搭載?P-90をライバル社のギターが載せる理由
そもそもP-90は、1940年代にギブソンが開発したシングルPUです。フェンダーのものとは異なり、中低域に厚みのある温かみのあるトーンが特徴で、コイルのターン数も多いのでパワーもあります。
対照的にフェンダー社のテレキャスターのフロントPUは、リアと比較して小さく、パワーがありません。昔のテレキャスターは、ここが弱点とされ、ハムバッカーPUを載せたりするギタリストがいました。
筆者が投稿したこの記事の動画バージョンです。
しかし、どうせならシングルコイルの歯切れの良さのあるP-90を載せる方がいいという意見もあり、フロントにP-90を搭載する改造がポピュラーなのです。ぶっちゃけ、フロントのパワーのバランスという点においては、今度は出力がありすぎるような気もします。
一番いいのは、ミックスポジションではないでしょうか。テレキャスターは、ミックスにした時のトーンが個人的に好きなので、フロントP-90の甘く太いトーンは、ミドルにした時にこそ、生きる気がします。
SCHECTER PS-S-PT-CTM
SCHECTERが作ったスポット(少数)生産モデルが、このPS-S-PT-CTMです。テレキャスター・カスタム風のルックスの2トーン、2ボリューム、1トグルスイッチのコントロール系に、フロントにあえてハムではなくP-90を搭載しているテレキャスタイプのギターです。
ボディは希少なアッシュ材で、ネックはメイプル、指板はローズウッドという仕様のギターです。セイモアダンカン製のSPH90-1nというハムバッカーサイズのP-90は、ギブソンのP-94に近いサイズのP-90トーンを持っています。
シェクターは、国産と海外モデルがありますが、こちらは定評のある国産モデルになります。良質且つ個性を求めるギタリストにおすすめな、テレキャスター・カスタムがこちらのPS-S-PT-CTMになります。
YAMAHA Pacifica 611
https://youtube.com/shorts/bFVoKaE5aco
ショート動画で、パシフィカ611を試奏しています。
近年、圧倒的なコスパで人気のYAMAHA Pacifica 611にも、フロントにP-90がマウントされています。フロントのP-90は、Seymour Duncan SP90-1(通常のソープバータイプ)で、リアには同じダンカンのCustom5を搭載しています。
試奏してみたらフロントの甘いP-90のトーンが絶妙で、ファットなリアのハムバッカーと、アルダー(トップメイプル)の材との相性も良かったです。一番好きなのがミックスポジションで、色々使えるレンジの広さを持ったギターだと思いました。
この質のギターが、インドネシア生産とはいえ6万円そこそこで買えてしまうコスパの高さに驚愕しました。安くても、質のいいギターが欲しくて、フロントにP-90のトーンが好きな人におすすめのギターです。
P-100とP-94について
スタック型ハムキャンセル効果タイプP-100
P-90をベースにした派生型のピックアップが、本家ギブソンにあります。P-100は、P-90を縦に並べたスタック型のピックアップです。上下のPUを逆着磁することでハムキャンセル効果が得られ、且つP-90の歯切れの良さを目指しました。
1990年代のレスポール・スペシャルに搭載されることが多かったのですが、純粋なP-90のトーンを望むユーザーによって否定され、現在ではあまり見かけなくなりました。
P-94ピックアップ
次にP-94はハムサイズの大きさのP-90とでも言うべきピックアップです。元来、ハムPUサイズのP-90トーンをもつPUとして開発されました。
サイズが大きい分、若干ハム寄りと言うことですが、シングルコイルという点は変わりないので、ハムサイズのザグリを持つギターにボディを無加工で取り付けられるメリットがあります。
このように、P-90のトーンを求めるギタリストによって、様々な派生型のPUが作られています。P-90の特集を3回に分けて行ってきましたが、改めて愛されているピックアップだと思いました。
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