The White Stripesは、2000年代を代表するガレージロックバンドです。ベースレスの2ピースバンドという、珍しい構成のバンドで、メンバーは、ギター・ボーカルのジャック・ホワイトと、ドラム・ボーカルのメグ・ホワイトの2人のみです。
■珍しい2ピースバンド
1997年にミシガン州デトロイトで結成した当初、2人は姉弟として売り出されました。メグは女性として珍しいドラマーです。ジャックは、ギター・ボーカルだけでなく、ドラム、キーボードやマリンバなどの楽器を演奏できるマルチプレイヤーでした。
実際には、2人の関係は1996年から2000年までの間夫婦でした。2011年にザ・ホワイト・ストライプスが解散するまでの間の2005年にジャック・ホワイトは、モデルのカレン・エルソンと結婚しています。その結婚式に、メグ・ホワイトは花嫁介添え人を務めています。
2ピース構成の最大の特徴は、ベースレスということです。ドラムとギターしかないシンプルな編成のバンドというと、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンですが、こちらはギターが2本でした。
僕も以前、3ピースバンドで大阪のライブハウスに出ていたときに、2ピースバンドと対バンしたことがあります。ベースがないのは、奇妙に思っていましたが、演奏の息が合っていれば3ピース以上にシンプルな魅力がありました。
ザ・ホワイト・ストライプスは、デジタル全盛の時代に、アナログ感溢れる演奏スタイルで一世を風靡しました。ジャックは、ギタリストとして、アナログ機材に対する徹底的なこだわりがあり、メグの直感的でシンプルなドラミングは、バンドに絶妙なグルーヴをもたらしたのです。
■名盤Elephant
2001年にサードアルバム、”White Blood Cells”でイギリスから人気を得て、2002年には、アメリカ本国でも認知されるようになっていきます。
そして、翌2003年に4枚目のアルバム”Elephant”をリリースし、人気を不動のものとします。エレファントは、オープンリールの8トラックという古い機材で2週間で録音されました。そのため、レッド・ツェッペリンのプレゼンスにも通じる勢いのある臨場感溢れるアルバムに仕上がったのです。
全14曲のうち、8曲目と10曲目を除いて、ほとんどの曲が4分以内という短さです。1曲目の”Seven Nation Army”から、シンプルなリフ中心のロックから始まります。
3曲目の”There’s No Home for You Here”では、見事なコーラスワークが聴けます。メグの高いコーラスが、ジャックのソウルフルなボーカルとよく合っています。
5曲目は、メグのメインボーカル曲、”In The Cold,Cold Night”で、6、7曲目はおとなしめの曲が続き、8曲目の7分にわたる大作”Ball and Biscuit”に繋がります。
ボール・アンド・ビスケットは、ジャックの印象的なリフを中心に展開していく曲です。70年代のブルーズロックのようなイナタイ雰囲気の曲で、曲の半分を占めるジャックのインプロビゼーションが、死ぬほどカッコいい名曲です。
ジャックのトーンは、いいトーンというより音の粒が粗めのロックギターのトーンですが、退廃的な雰囲気の曲にマッチしています。テクニックよりもエモーショナルなプレイでガレージロックなギターです。
はっきり言って小器用なギターの百倍カッコいいギタープレイで、テクニックよりも重視すべきはセンスという典型的な例です。
11曲目で再びシンプルなロックナンバー”Hipnotize”で勢いを出し、12曲目の”The Air Near My Fingers”は、ミドルテンポでオルガンの入った曲です、再び13曲目の”Girl,You Have No Faith in Medicine”は情熱的なナンバーで、最後のアコースティックギターの”Well It’s True That We Love One Another”で幕を閉じます。
ザ・ホワイト・ストライプスは、その後6作目の”Icky Thump”を2007年に発表し、2011年に解散します。その間、ジャックは、ザ・ラカンターズというバンドを組んで2枚のアルバムを発表していました。また、ジャックとカレンは、2013年に離婚しており、現在ジャックは、ソロ活動をしています。
■ジャック・ホワイトの使用機材について
ジャック・ホワイトは、ちょっと変わったギターを使用しています。AIRLINE 2 pickup Modelという、あまり知られていない60年代の安価なギターを愛用していました。エアラインは、アメリカのデパートであるモンゴメリーワードの楽器ブランドで、デビット・ボウイや、ザ・キュアーなどのミュージシャンが使用していることで知られています。
スライド用にKay K6533を使っていたり、グレッチのホワイトペンギン59年モデルを所有していたようです。ギター職人のランディ・パーソンのカスタムギターも愛用しています。
アンプはフェンダーのツインリヴァーブを、エフェクターはアナログマンやビッグマフといったところが確認できています。
ザ・ホワイト・ストライプス時代には、エアラインをメインにしていたようで、よくあるフェンダー、ギブソンを使わないギタリストでした。
ザ・ホワイト・ストライプスは、ロックよりもエレクトロニカやポストロックが流行しつつある2000年代のシンプルなギターロックバンドとして、シーンを牽引していた存在です。その功績は大きく、今後のミュージシャンにも影響を与えていくことでしょう。
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