世界3大ソリッドギター(ボディに空洞がないタイプのエレキギター)といえば、ギブソン レスポール、フェンダー ストラトキャスター、そしてフェンダー テレキャスターの3本です。
■テレキャスターはソリッドギターの元祖的存在
FENDER TELECASTERは、1949年にエスクワイヤーとして販売されたモデルがベースです。エスクワイヤーは、世界初の(諸説あるが実質的に)量産型のソリッドボディ(ボディに空洞のない)エレキギターでした。
レオ・フェンダーは、工業製品として作りやすい設計をエスクワイヤーに施していました。ボディをアーチトップのような曲面仕上げではなく、平らにし(フラットトップ)、ネックに角度を付けることなくデチャッタブル方式(4本のネジで固定)にしました。これらの工夫により、手間をかけずに生産することができたのです。
1950年には、ネック側にピックアップを取り付けた2ピックアップモデルがブロードキャスターという名前に変更されます。しかし、グレッチに同様の名称のスネアドラムがあったため、商標上の都合でロゴを消します(ノーキャスター)。1951年にテレビジョン放送から名前を取って、テレキャスターとなりました。
テレキャスターは、スティールギターで培ったフェンダーらしい高域の伸びる煌びやかなトーンを持ったギターでした。ギブソン社も対抗するようにレスポール・モデルを開発するのです。
筆者(tkd69)も、世界3大ギターは、3本とも所有していたことがあり、そのうちレスポールとテレキャスターは、メインで活躍してくれました。
僕が所有していたテレキャスターは(写真は残ってなかったです)、1990年代の青いフェンダー・アメリカンスタンダードです。メイプル1ピースのアトランシア製ネックに交換されていていましたが、破格の安さ(中古で6万円!)で石橋楽器にて購入しました。
かれこれ十数年前のことですが、パキパキと反応速度が高く、軽いので非常に気に入っていました。サスティンの短さくらいしか欠点のない(むしろ利点にも出来る)ギターでしたが、ヘリテイジの購入にあたり売ってしまったことを後悔しています。
最近のレスポールジュニアの購入時にも、テレキャスは筆頭候補でしたが、いいタマに会えませんでした。今回は、縁がなかったということでしょう。
なぜ、テレキャスターを所持していたかと聞かれると変態系ギタリストが愛用しているからと答えます(笑)。今回は、そんな愛すべき?ギタリストを紹介していきます。
■テレキャス魔人ロイ・ブキャナン
出典 https://www.amazon.co.jp/
テレキャスといえば、このロイ・ブキャナンでしょう!ピッキング・ハーモニクスの開発者でもあります。1950~1970年代まで、白人最高の無名ギタリストと呼ばれていいました。スタジオミュージシャンとしての下積みが長く、脚光を浴びることはデイル時代のスージーQのヒット以外ほとんどありませんでした。
しかし、ブルースだけでなくカントリーやジャズまで弾きこなすテクニシャンぶりで、あのザ・バンドのロビー・ロバートソンの師匠であります。ロイ・ブキャナンに影響を受けたギタリストは多く、エリック・クラプトンや、ジェフ・ベックなど世界3大ギタリストも認める実力を持っていました。
1970年代のテレビ出演がきっかけでようやく注目され、1972年に”Roy Buchanan“を発表します。ロイのファーストアルバムは、カントリー色が強いものでした。テレキャスの限界を超えた名曲”The Messiah Will Come Again”(メシアが再び)では幻の30フレット(テレキャスは21フレットしかない)まで鳴らすという離れ業を披露しています。
僕の中のテレキャス使い=超絶テクニシャンというイメージは、ロイ・ブキャナンによるものです。その後もロイ・ブキャナンは次々とアルバムを発表し、1985年の”WHEN A GUITAR PLAYS BLUES“では、グラミー賞の候補にまでなりました。
1988年、泥酔していたロイ・ブキャナンは、バージニア州の刑務所内で首吊り死体として発見されます。死因は自殺とされていますが、遺族の証言からも単純に自殺とはいいきれない部分があります。
ロイ・ブキャナンのトーンは、1953年製のテレキャスターとフェンダーのVibrolux Reverbによって生み出されています。ヴォリュームとトーンは全開にし、リヴァーブを2だけ上げるというセッティングのようで、レスポールよりテレキャスターを好んだ理由が手元でコントロールできるからということらしいです。
ロイのトーンは、鈴が鳴るような高域が伸びるテレキャスの特性を生かしたものです。しかし、53年のテレキャスのオリジナルは高価で買えそうもありません(涙)。カスタムショップのものなら近いトーンは出せるかもしれません。僕がテレキャス弾いたらまったく違うトーンになってしまうので似せる必要はないのですが、憧れます。
■ロビー・ロバートソン THE BANDのギタリスト
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以前のブログにて紹介したTHE BANDのロビー・ロバートソンもテリー(テレキャスターの愛称の一つ)をメインギターにしていたギタリストです。前述のロイ・ブキャナンにホークス時代(ザ・バンドの前身)にギターの手ほどきを受けました。ロビー・ロバートソンは、その時ベースを弾いていたようです。
ロビー・ロバートソンは、1943年カナダのオンタリオ州トロントに生まれました。1958年にホークスに加入し、1965年からボブ・ディランのバックバンドとして活動を共にします。
1968年にザ・バンドのファーストアルバム”MUSIC FROM BIG PINK”とセカンドアルバム”THE BAND”で、バンドはブレイクします。しかし、3作目以降のアルバムはセールスがふるわず、バンドは起死回生のために1975年に”Northern Lights-Southern Cross“(南十字星)を発表します。
実はこのアルバムは、隠れた傑作で特に3曲目のOpheliaと6曲目のIt Makes No Defferenceは名曲です!ロビーのギターも素晴らしく、ガンガンリードを弾いています。ライブアルバム”Live at Watkins Glen”でもロビーのギターは前に出ていてカッコいいです。
しかし、ファーストとセカンドアルバムにあった隠し味的なギターの良さよりも、1970年代は派手なリードプレイが目立つようになってきます。レコードレーベルとロビーの画策?により作曲者クレジットが、ロビー・ロバートソンだけになってしまったのも問題でした。
ロビーと他のメンバーとの間に軋轢(特にリヴォン・ヘルム)が生まれ、リチャード・マニュエル(ボーカル・ピアノ)の不調もあり、1976年のLast Waltzコンサート後、バンドは解散します。
ロビー・ロバートソンのギタープレイは、ザ・バンドの初期においては地味なバッキングやオブリに変態的テクニックを混ぜることが多いです。ロイ・ブキャナン譲りのピッキング・ハーモニクスや、ポップコーンが爆ぜるような音など、一筋縄ではいかないテクニックをさらりと弾いています。
1970年代以降のプレイでは、リードを多用しています。このときのメインはストラトに代わっていましたが、バリバリ弾くようになっていて職人芸的なギターとは違っています。
ザ・バンドの最盛期であった初期においてロビーが愛用していたのがテレキャスです。1950年代のテレキャスのフロントピックアップにハムバッキングPUを逆さにして取り付けています。
1950年代のテレキャスのフロントは、リアと比較して出力が弱かったのです。そこで、定番の改造としてフロントにハムを載せ出力不足を解消するということがありました。ロビー・ロバートソンのトーンを支えていたのが、テレキャスターだったのです。
■アンディ・サマーズの愛用していたテレキャスター
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最後に、ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズのテレキャスターを紹介します。アンディ・サマーズのメインギターもテレキャスターであり、前述の2人とは異なり1960年代のテレキャスターを愛用していました。
アンディ・サマーズのテレキャスターは、ギター講師をしていた頃の教え子から買った1961年製のテレキャスターで、フロントPUがハムに換装され、サドルを6連サドルに変更されたり、ブースターが取り付けられていたりと改造点の多いギターでした。
ポリスの斬新なサウンドを支えていたアンディ・サマーズもテレキャスター使いとして素晴らしいプレイヤーでした。
■テレキャスの魔力とは?
テレキャスターを愛用していたギタリストは、キース・リチャーズやジミー・ペイジ、ジョニー・グリーンウッドなどまだまだたくさんいます。日本では布袋寅泰が、フェルナンデスのテレキャスタイプを愛用しています。ミッシェル・ガン・エレファントのアベフトシは、テレキャスターカスタムを、凜として時雨のTKはシェクターのテレキャスモデルを使用しています。
テレキャスでよく言われるのが、軽いのでボーカル・ギターに向いているということです。確かに、ブルース・スプリングスティーンも愛用しています。
この記事の動画バージョンです。筆者ことtkd69が解説しています。
テクニシャン系(変態クラス)がメインギターとして使用することが多いのは、テクニックに追随できる反応速度があるからでしょう。中央にピックアップのない1ボリューム、1トーンというコントロールしやすい構成なのも素の魅力があります。
個人的な好みは、メイプル指板のシンプルなシングルコイル2基のモデルですが、カスタムなど色々な種類のテレキャスが存在し、現在も作り続けられています。またテレキャスターを購入することがあるかもしれません(大汗)。
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