今回紹介するアルバム、“JOURNEYMAN”はエリック・クラプトンが44歳の1989年に発表されました。エリック・クラプトンは、1971年以降からソロ活動を本格的に開始しました。本作は、クラプトンのソロ名義のアルバムの中でも秀逸な出来です。
■円熟の傑作
エリック・クラプトンは、ヤードバーズ、ブルースブレイカーズ、クリーム、デレク・アンド・ザ・ドミノスと様々なバンドに参加していました。ソロ名義のクラプトン作品としては、461オーシャン・ブールバードや、スローハンドなどが有名です。
キャリアも長く、様々な名盤を送り出しているクラプトンのアルバムの中でも、このジャーニーマンは強烈な印象を持っています。
■盟友ジョージ・ハリソン
エリック・クラプトンの親友といえば、元ビートルズのジョージ・ハリソンです。ジョージの妻だったパティをクラプトンが奪ったり、色々ありましたが、変わらぬ友情を持ち続けました。ジョージはクラプトンが薬物依存症だったときにも見捨てずに、自分のライブで共演するなどクラプトンの復活には、欠かせない盟友でした。
2001年11月に、肺ガンでジョージ・ハリソンは58歳で亡くなりました。エリック・クラプトンは、追悼コンサートを主催し、亡き親友を偲んだのです。
■JOURNEYMAN解説
クラプトンは、ギターの神様という素晴らしい称号を持っています。若い頃のクラプトンは、どちらかというとボーカルがあまりうまくなく、クリームでは、ベースのジャック・ブルースがメインボーカルすることが多かったです。今作では、円熟味を増したボーカルで、実に聴かせてくれます。
1曲目のPretendingは、ノリのいいナンバーで、キーボードを積極的に使っています。2曲目のAnything for Your Loveでは、ブルージーなギターソロを弾いています。そこから、3曲目のBad Loveは、ブルージーな渋さとカッコいいリフの聴ける名曲です。
そして、4曲目のRunning on Faithは、クラプトンのバラードの中でも、1.2を争うほどの曲です。ここまでの流れだけでも名盤の価値があります。8曲目のRun So Farは、ジョージ・ハリソンの書いた明るめの曲で、アルバムのバランスを取っている佳作です。ロバート・クレイとの共作の9曲目のOld Loveや、最後のBefore You Accuse Meなど、ブルーズの名曲が揃っています。
■アルバムのメンバーについて
紹介するのが大変なほど、豪華なメンバーが揃っています。前作までのプロデューサーの、元ジェネシスのフィル・コリンズが今回は、ドラマーとして参加しています。ライブで組むことの多い、ネイザン・イーストがベースとしてクレジットされています。どうやら、ストーンズ加入前のダリル・ジョーンズも参加しているようです(何曲目かは不明)。
自身の曲でジョージ・ハリソンもギターを弾いています。他には、ロバート・クレイが、4曲ほどギタリストとして見事なプレイを披露しています。
■渋い大人のロックサウンドの確立
このアルバムでのクラプトンは、40歳を過ぎた自身の年齢に似つかわしいサウンドを確立しています。ブルースをベースに渋い親父が、昔の恋人を懐かしんで曲を演奏するイメージです。偉大なギタリストとして、長い年月をかけて刻んだ年輪を感じさせます。
B.B.キングや、バディ・ガイなど、高齢になっても活躍しているミュージシャンは、黒人のブルーズマンに多いです。白人でありながらも、ブルースに深く精通しているクラプトンの境地といっていいアルバムです。バンドで長年やっているのが、ローリング・ストーンズだとしたら、ソロになってからの活動が長いのが、エリック・クラプトンなのです。
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