Cream Wheels of Fire:スタジオとライブの2本立てアルバム!

Creamは、1960年代に活躍した偉大な3ピースロックバンドです。ブルースをベースにモダンな試みをしていて、後のハードロックにも多大な影響を与えています。2枚組みLPで初のプラチナディスクに輝いた”Wheels of Fire“を解説していきます。

フェリックス・パパラルディとクリームの化学反応

クリーム 左からジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルース、エリック・クラプトン

Creamは、1966年に、ドラムのジンジャー・ベイカー、ベースのジャック・ブルース、世界3大ギタリストのエリック・クラプトンの3人でイギリスで結成されたバンドです。

ブルースロックをベースにモダンな試みをするバンドで、3人のメンバーによるライブでのインプロビゼーション合戦なども有名です(後期の方が顕著)。ファースト・アルバムの”Fresh Cream”は、そこそこのヒットを飛ばしました。

ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーは、グレアム・ボンド・オーガニゼーションというジャズとブルースを融合させたバンドでクリームの前に共にプレイしていました。2人は、お互いの楽器を破壊しあったり、喧嘩をたびたびするなど、仲が悪かったといわれています。

とはいえ、1990年代にも、ジャック・ブルースとゲイリー・ムーアでBBMを結成したりしているので、実質3回(クリームの再結成を含めると4回)も同じバンドでやっているという・・・、仲がホンマに悪いんかい!ってツッコミ入れたくなります(笑)。

エリック・クラプトンが、ジンジャー・ベイカーと組む条件として、ジャック・ブルースを引き込むことでしたので、2人は個人的感情を抑えて、クリームで共にプレイすることにしました。ジャズの薫陶を受けたリズム隊と、クラプトンの卓越したブルースギターが、クリームを特別なバンドにしたのです。

ジャズのようなインプロビゼーション合戦を繰り広げるので、ライブになると曲が長くなります(大汗)。しかも、全員が自己主張の激しいタイプなのでお互いに喧嘩腰という・・・(絶句)。緊張感に満ちたスリリングなライブを楽しめます(爆)。

SAN FRANCISCO, CA – APRIL, 1970: Leslie West and Felix Pappalardi of the music group Mountain perform in April, 1970 in San Francisco, California. (Photo by Robert Altman/Michael Ochs Archives/Getty Images)

マウンテンのライブより 左がフェリックス・パパラルディ 右はレスリー・ウェスト

クリームにとって、転機となったのは、フェリックス・パパラルディをプロデューサーに招いた、1967年発表のセカンド・アルバム”Disraeli Gears“です。このアルバムは、全英5位、全米4位と大ヒットし、本国イギリスのみならず、アメリカでも人気グループとなったのです。

フェリックス・パパラルディは、1969年に結成したバンドMountainのベーシストとして活躍することになるミュージシャンで、1967年はプロデューサーとして辣腕をふるっていました。

フェリックス・パパラルディは、ミシガン大学でクラシックを学ぶなど、音楽理論に詳しいミュージシャンでした。前作のフレッシュ・クリームよりも、ディズレーリ・ギア(邦題カラフル・クリーム)の方が、アルバムとしての完成度が高いです。

クリームの持つ演奏技術の高さと、パパラルディの豊富な音楽的知識が融合し、化学反応を起こした結果、名盤と呼ばれるディズレーリ・ギアが完成したのです。

パパラルディは、クリームのアルバムのプロデュースをサード・アルバムの”Wheels of Fire”でも依頼され、見事なアルバムを制作します。バンドの特色であった、ライブでのアドリブ合戦を、アルバムの後半に収録するという斬新な手法をとりました。

そのため、1968年7月発表のホイールズ・オブ・ファイア(邦題クリームの素晴らしき世界)は、LPの1枚目がスタジオ録音、2枚目がライブ録音という変則的なアルバムとなったのです。

Wheeles of Fire解説

出典 https://www.amazon.co.jp/

ホイールズ・オブ・ファイアは、名曲”White Room“から始まります。ホワイト・ルームは、印象的なイントロから、Aメロ、次にBメロという構成です。

典型的なA-B繰り返しパターンですが、イントロ部分を効果的に使っています。2~3番の間に挿入したり、ギターソロの前にタメを作るのに使用されています。

そこにジャック・ブルースのブルージーなボーカルや、クラプトンのワウをかませたギターが入るわけです。ベイカーのプレイも冴え渡っていて、これぞクリーム!というべき名曲です。

ジャック・ブルース作曲、作詞はピート・ブラウンです。このコンビは、他の3曲でも共作しています。ジャック・ブルースは、バンドの中でメイン・ボーカルを務めることも多いです。クラプトンがたまにボーカルすることがありますが、クリームのメインボーカルといえば、やはりブルースの方でしょう。

Sitting on Top of The World“は、ブルースのカバー曲です。こういったカバー曲はクラプトンが選曲したといわれています。3~5曲は、パパラルディの持つクラシカルな要素の生きる楽曲です。3と5は、ベイカーとピアニストのマイク・テイラーの曲です。

6曲目の”Politician“で再びブルージーになり、7曲目の“Those Were The Days”ではモダンなロック調の曲をはさみ、8曲目の”Born Under A Bad Sign“はクラプトン選曲のブルースのカバー、そして9曲目のアコギとエレキによるアップテンポな”Deserted Cities of The Heart“でスタジオセッションは幕を閉じます。

1枚目のスタジオセッションのレコーディング・エンジニアはトム・ダウトエイドリアン・ハーバーです。トム・ダウトは、アトランティック・レーベル所属のエンジニア(もしくはプロデューサー)で、オーティス・レディングやアレサ・フランクリンのレコーディングもてがけたことで有名です。


クラプトンのギターのトーンが少しバリバリ(マーシャル特有の高域の尖り方)していて、ライブ盤の2枚目の方がマイルドに聴こえます。クラプトンは、ギブソン系のギターをマーシャルと組み合わせたことで知られています。

1960年代の中期までは、レスポールなどのハムバッキングPUギターは、フェンダーなどの煌びやかなトーンのアンプを使うミュージシャンが多かったのです。クラプトンは、マーシャルのような歪むアンプにレスポールやES-335をプラグインすることによって、太くオーバードライブするトーンを開拓しました。

また、フロントピックアップを使いトーンを絞ることによって生まれる「ウーマン・トーン」の使い手としても有名です。スタジオ盤より2枚目のライブ盤の方が、よりまろやかなトーンなので、ギターだけならライブ盤を推します。ジャック・ブルースの手数が多く、メロディアスなベースも聴き応えがあります。

2枚目のレコーディング・エンジニアは、ビル・ハルバーソンです。プロデューサーはパパラルディ、ミキシングはエイドリアン・ハーバーで、サンフランシスコの6回のライブを録音したといわれています。残りの曲は、”Live Cream” vol1と2で聴けます。

1曲目は、ロバート・ジョンソン(デルタ・ブルースの偉大なギタリスト)のカバー曲”Crossroads“から始まります。原曲とは大幅にアレンジが異なっており、エレキギターの絶妙なリフと見事なリードで、これぞクラプトン!といった最高のカバー曲です。

原曲が1930年代ということもあって、アコギで哀愁漂う感じなのに対して、クリームバージョンは勢いのあるブルースロック曲となっているのが面白いです。原曲は、ロバート・ジョンソンの”The Complete Recordings“で聴くことができます。

まだ若い時期のクラプトンのボーカルは、うまくはありませんが、クロスロードはフラットに歌っており、デレク・アンド・ドミノス時代のような無理やり感はありません(笑)。クラプトンは、ソロになってからだんだんボーカルに円熟味が増し、うまいボーカリストになっていきます。

2曲目の”Spoonful“は、ウィリー・ディクソン作曲のカバー曲で、ファースト・アルバムにも収録されていた曲です。スプーンフルから本性?をあらわして、アドリブ合戦が始まります。この曲にいたっては、16分43秒あります(白目)。

次のTraintimeは、ジャック・ブルースのブルースハープがフューチャーされている曲です。最後の”Toad“で圧巻なのが、ジンジャー・ベイカーによるドラムソロです!16分15秒の曲の大半が、ドラムソロという、無茶な構成にかかわらず、ノリノリでやりきってしまう、ベイカーのドラムに脱帽します。

後半のライブ盤は、クリームの演奏技術の高さと緊張感が伝わってきます。スタジオ盤もいいのですが、ライブ盤が加わることで、クリームのバンドとしての力量が伝わる名盤になったのだと思います。クリームは、このアルバムでイギリスで3位、アメリカで1位のプラチナ・ディスクを獲得します。

クリーム時代のクラプトンのギターについて

クロスロードで弾きまくっているのはギブソン ES-335

今でこそ、クラプトンといえばフェンダーのストラトキャスター!というイメージですが、1960年代中盤から後半は、どちらかといえばギブソンのギターを愛用していることが多かったのです(ヤードバーズ時代を除く)。

クリーム時代は、ギブソン ES-335がメインギターで、他に同じくギブソンのファイヤーバード、そしてサイケなカラーのSGといったところでしょうか。

ブルースマンでES-335の愛用者は多く、エリック・クラプトンにとってもあこがれのギターでした。ヤードバード時代で貯めたお金で買ったのが1964年製のチェリーのES-335ということです。ES-335とマーシャルのアンプとの組み合わせで、クリーム時代のクラプトンのトーンが生み出されていたというわけです。

後にフェンダーのストラトがメインになるわけですが、弦がよく切れるので、ストラトにしたらしいです(本人談)。まあ、これは冗談半分で、ジミヘンやスティーブ・ウィンウッドの影響で1970年代からストラトに乗り換えたというのが本当のところでしょう。

ホイールズ・オブ・ファイアをリリースし、人気の絶頂だったバンドは、緊張感の高すぎる人間関係もあり1968年11月に解散します。ロイヤル・アルバート・ホールの解散コンサート後の1969年2月に、4枚目の”Goodbye Cream“をリリースしましたが、セカンドアルバムとサードアルバムほどの出来ではありませんでした。

個人的にクリームの一番好きなアルバムを挙げるなら、間違いなくホイール・オブ・ファイアです。1960年代後半というライバルひしめくイギリスとアメリカのシーンの中でも、輝かしい名盤なのです。

※2018年9月追記

クリーム時代にも、ブルースブレイカーズで使用していた、60年製ギブソン レスポール・スタンダードが使われていたようです。筆者の不勉強により記載していなかったことをお詫びします。

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