JET SHINE ON ROCK名盤解説復活!

ROCK名盤解説、久々の1枚はJET SHINE ONです。オーストラリアのバンド、JETがリリースしたセカンドアルバムです。2000年代のバンドの名盤も解説することにしました。

目次 この記事の内容

  • 2000年代のロック
  • オーストラリアの雄 JET
  • セカンドアルバム SHINE ON
  • 2007年のライブ
  • 後年の評価とバンドのその後

2000年代のロック

2000年代を代表するユニット ザ・ホワイト・ストライプス

以前、2000年代のロックについて解説したことがありましたが、名盤解説で取り上げる要素として、この年代では役不足という判断をしていました。理由は時代に対する影響力というポイントです。EDMやプロデューサー系の音楽が主流になった時代では、名盤と呼ぶのが難しいと思っていました。

しかし、近年になって改めて2000年代のロックを聴き直してみると、この時代でもしっかりと記憶に残るアルバムがあったことが実感できました。そこで今回から、再びこの年代も含めたROCK名盤解説をやってみることにしました。

オーストラリアの雄 JET

JETのメンバー

僕にとってJETは、ローリング・ストーンズの前座として、ツアーに帯同しているというふれこみを聞いたのが最初の記憶でした。確か、ファーストアルバム発売頃の2003年だったと思います。

オーストラリアで有名なバンドと言えばAC/DCです。共通項といえば激しくもシンプルなロックという点です。JETのかなり泥臭い昔ながらのロックをやっているバンドというイメージは、ファーストアルバムのGET BORNからだったと思います。

このアルバムからのシングル曲、“Are You Gonna Be My Girl”は、ご機嫌なギターロックの曲であり、荒々しくも猛々しい昔ながらのロックチューンという感じで、ある種の爽快感を感じました。

そこで、さっそくアルバムを買って聴いてみたら、確かに勢いのあるアップテンポの曲も多いのですが、バラードもところどころに入っていてバランスが悪い印象はありませんでした。GET BORNはオーストラリア1位、イギリス14位、アメリカ26位と素晴らしいセールスを記録し、JETは一躍時代の寵児になりました。

ギター・ボーカルのニック・セスターとドラムのクリス・セスターは兄弟です。メルボルン郊外出身で、ニックが兄で1979年生まれ、クリスが弟で1981年生まれの2歳年下です。

ニックと同じ学校に通っていたキャメロン・マンシーがギター・ボーカルで、ベースのダグ・アームストロングを加えた4人編成がJETの初期メンバーです。同じオーストラリア出身のAC/DCも兄弟バンドだったし、イギリスでいうとオアシスも同様でした。

セカンドアルバム SHINE ON

GET BORNとライブでの勢いから、2006年にリリースされたのが、セカンドアルバム“SHINE ON”でした。当時はJETのアルバムを心待ちにしていたので、発売してからすぐに買ったのですが、このアルバムがツボにハマりました。

前作、GET BORNはファーストアルバムらしい荒削りな印象を受けたのですが、SHINE ONはそれよりも洗練された感じがしました。また、アルバムのバランスも前作以上に練られていました。プロデューサーは、デイブ・サーディーです。

1曲目は14曲目(ボーナストラックを抜いた最後の曲)と同じメロディの曲を23秒流しています。これにより、最終的にアルバムの統一感が出るという仕掛けをしています。2曲目にちょっとダルな感じで始まる”Holiday”、3曲目にシングルカットされた“Put Your Money Where Your Mouth Is”がかかります。

徐々に盛り上げていく感じの曲で悪くないのですが、なぜこっちを選んだのだろう?と疑問でした。同じアップテンポなら後述の8曲目の方が個人的に良かったし、どちらかと言うとアルバムのタイトル曲、“Shine On”を素直に最初からシングルにすべきだと感じました。

4曲目の”Bring It On Back”はミドルテンポで激しくもなく、静かでもない曲です。5曲目でまたアップテンポに戻し、ピアノとギターでちょっとメローな感じに行きつつ、7曲目にこのアルバムのタイトル曲、“Shine On”がかかります。

この曲、2007年に3回目のシングルカットされているのですが、めちゃくちゃ名曲です。スローバラードで、JETのイメージとは違うかもしれません。しかし、2004年に癌で亡くなったセスター兄弟の父親について書いた曲で、メロディラインがとても美しいです。

ドラムのクリス 2017年頃のフジロックにて

この曲のクレジットはニック単体となっていて、他の曲のようにセスター兄弟共作(どちらかというとクリスが先)ではありません。6曲で共作クレジットとして、キャメロン・マンシーの名前が入っていることはありますが、SHINE ONはセスター兄弟がメイン・ライターです。

8曲目はこのアルバムで一番好きなアップテンポの曲、“COME ON COME ON”です。明るめのキャッチーな曲で、なんかオアシスっぽい感じもしますが、より洗練されたJETの曲という感じが好きです。9曲目、10曲目と激しい曲が続き、11〜13曲はどちらかというと静かな曲です。

ボーナストラック(邦盤)を除く最後の曲は”All You Have To Do”で、段々盛り上がる壮大な感じの曲です。1曲目と同じメロディなので、コンセプトアルバムのような手法です。どちらかというとオアシスっぽい感じがしました。

2007年のライブ

SONY DSC

在りし日のZEPP大阪(住之江)

この”SHINE ON”のリリース直後の来日公演で、JETのライブを観に行きました。場所はZEPP大阪です。アルバムの発売が10月だったので、4ヵ月後の2月だったと思います。当時はZepp大阪と言えば、住之江にあったのを覚えています(2012年に閉館)。

中規模くらいの収容人数だったので、2000人くらいだったと思います。人気が結構日本でもあり、真ん中くらいの区画だったので、ちゃんとバンドが肉眼で見れたのは良かったのですが、区分けの柵が背中に当たってしんどかったことを覚えています。

メインボーカルのニックの声の調子はあまり良くなかったのですが、生で見るJETはとにかくカッコ良く、ますますファンになりました。また、当時のZEPPは音も良かったです。これが、ドームのような大規模な会場だと、ここまで音圧を感じられなかったと思います。

後年の評価とバンドのその後

近年のライブの模様

このSHINE ONの後年の評価は、ファーストほど高くないのです。僕は、シングルカットした3曲目が原因かな、とみています。というのも、この曲よりもキャッチーな8曲目だったり、タイトルロールのShine Onを最初からシングルにすべきだったのではないかと思っていたからです。

アルバム自体は前作よりも洗練されていて、ちょっとUKバンドっぽいテイストがあったからかとても聴きやすかったです。本国オーストラリアでは3位、イギリスで12位、アメリカで16位と母国以外ではセールスは伸びていました。

2008年にJETはサードアルバム“SHAKA ROCK”を発表しました。かなりストレートなロックに回帰したアルバムでした。しかし、2012年に一度解散し、2017年から活動を再開しています。

僕にとってJETは、2007年のワールドツアーのイメージが残っており、もっと全盛期にアルバムを出して欲しかったバンドの一つです。

JET SHINE ON ROCK名盤解説復活!」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: SNOW PATROL:21世紀のメロディメーカー | K.T Dogear+

  2. ピンバック: oasis (WHAT'S THE STORY)MORNING GLORY?:オアシスの最高傑作 | K.T Dogear+

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