2022年秋アニメレビュー後編:チェンソーマンからロマンティックキラーまで

前回から引き続き、2022年の秋アニメ後編のレビューをします。後編は、『チェンソーマン』、”Do it Your Self!!”、『惑星のさみだれ』、『ぼっち・ざ・ろっく!』、『4人はそれぞれウソをつく』、『ロマンティック・キラー』の6作品です。

目次 この記事の内容

  • チェンソーマン
  • Do it Yourself!!
  • 惑星のさみだれ
  • ぼっち・ざ・ろっく!
  • 4人はそれぞれウソをつく
  • ロマンティック・キラー

チェンソーマン

『チェンソーマン』藤本タツキの漫画作品のアニメ化です。第1部は週刊少年ジャンプに連載され、第2部からは少年ジャンプ+で連載されています。どちらかというと、マガジンで連載されてそうなバイオレンス描写や、尖った感覚の漫画作品が、ジャンプで連載されているということが不思議でした。

単行本11巻までの第一部は、漫画で読んでいたので、展開については知っていました。何かと原作厨がアニメを批判することが多いので、同じファンとして悲しくなりましたが、言わんとすることはわかります。藤本タツキの絵は荒々しく、その描写は凄まじい迫力があります。

アニメでは3DCGを使って、より戦闘シーン(原作では分かりにくい)を整理して見せようとしたのだと思います。そのことがかえって原作の荒々しい迫力を阻害しており、物足りなさを感じる要因になっているのです。監督は中山竜で、シリーズ構成は瀬古浩司(せこひろし)です。

筆者が投稿したこの記事の動画バージョンです。

主人公、デンジがチェンソーマンに変身すると、容赦なく悪魔を狩る存在として描かれます。その頭のネジのぶっ飛び方は、友情、努力、勝利といったジャンプ三原則とは別物であり、理性的なアキよりも、ぶっ飛んだ思考の持ち主であるデンジの方が強いのです。

そういった部分はしっかり描写され、原作の短所を長所と一緒に改変したものの、しっかりとしたアニメに仕上がったと思います。作画や話の内容から、星は4.5で名作認定なのですが・・・。アニメーション制作はMAPPAです。

Do it Yourself!!

“Do it Yourself”は、大阪では地上波で放送していませんでした。そのため、アマゾンプライムにて視聴しましたが、とてもいいアニメでした。このアニメの良さがいまいち伝わらないのはもどかしいです。

アニメーション制作会社、PINE JAMのオリジナル作品で、近未来の日本を舞台に、DIYをテーマにした作品です。不器用だけど、DIY部に所属することで、物作りを楽しむ少女せるふと幼馴染のぷりんを中心に、個性豊かなキャラクターがDIYを通じて工作にチャレンジしていきます。

最初は、女子高生がキャッキャウフフするだけの作品だと思っていました。しかし、よく見ると電動ドライバーでネジを締めるところや、木材を加工する描写の一つ一つが丁寧に描かれていました。ストーリー展開も、ぷりんが最後にDIY部に入部し、ツリーハウスを完成させるまでの流れが胸アツで完成度の高いアニメでした。

星は4.5で名作認定、DIYに対する深い洞察と細かい描写、幼馴染の2人の友情、DIY部の部員の一人一人の丁寧な人物設定、本当に楽しめたアニメでした。監督は米田和弘で、シリーズ構成は元マッドハウスの筆安一幸(ふでやすかずゆき)です。

惑星のさみだれ

水上悟志原作のアニメといえば、『プラネット・ウィズ』であり、今回紹介する『惑星のさみだれ』は十数年前の初期作品の人気長編をアニメ化したものです。原作にはファンが多いので、期待していたアニメの一つでした。

アニメーション制作は、”ID:INVADED”のNAZと寿門堂が担当していたので、いいアニメになると思っていたのですが・・・、コロナ禍によるものなのかあまり作画が良くありませんでした。


20年前ならまだしも、今の水準で見るときついくらい、動きが少なく作画崩壊も目立ちました。原作はいいのに、作画で損している印象のアニメでしたが、シナリオは流石に水上作品といったところで、最終話まで楽しめられました。

ビスケットハンマーで地球を砕く目的を持つ魔法使いとその手下の泥人形と戦うのが、姫と獣の騎士団です。現代日本で繰り広げられる戦闘には、文字通り地球の趨勢がかかっていました。

しかし、姫である朝日奈さみだれには地球をこの手で砕くという野心があり、主人公のトカゲの騎士、雨宮夕日はただ一人、この計画を知りながらもさみだれに忠誠を誓うのでした。

2クール24話放送ということで、予算も関係していたのかもしれません。原作をちゃんと最終回まで描いたので、ストーリーは満点でした。監督は中西伸彰(なかにしのぶあき)です。作画さえ良ければ覇権アニメでしたが、星は3.5でした。ただ、ストーリーは最高でした!

ぼっち・ざ・ろっく!

今期最大のダークホースで覇権アニメといえば、『ぼっち・ざ・ろっく!』です。当初はまったくのノーマークで、またけいおんみたいな女子高生のバンドものかーって思ってました(すみません!)。

しかし、1話目からの主人公、後藤ひとりことぼっちちゃんの強烈な陰キャぶりに驚愕し、5話目での演奏の描写のガチさに認識を改め、8話のライブの神がかった演出に度肝を抜かれました。

原作は、はまじあきのまんがタイムきららMAXで連載されている同名漫画からです。ぼっちちゃんの度々見られる地球外生命体のような百面相や、実写まで活用したテンポのいいギャグの数々、表現の自由さに驚きを禁じ得ませんでした。

筆者が投稿したぼざろ解説動画です。

特に音楽面では、結束バンドの曲の編曲の大半に三井律郎(みついりつお)が担当し、 下北沢のライブハウスに関係のある人に作曲を担当してもらうという徹底ぶりでした。アニメーション制作はCloverWorksで、今期は他にSPY×FAMILYも共同制作しています。

監督は斎藤圭一郎で、シリーズ構成は吉田恵理香、キャラクターデザインと総作画監督はけろりらです。今までに見たことのない新感覚のバンド×ギャグという境地には文句無しの覇権認定!今期ぶっちぎりの星5です。

4人はそれぞれウソをつく

『進撃の巨人』以来、別冊少年マガジンの漫画には注目していましたが、まさかこんな隠し球があるとは・・・(絶句)。『4人はそれぞれウソをつく』橿原まどか原作のアニメ化作品です。

美少女(うち一人は男の娘)4人のキャッキャウフフものかなと思いきや、ブラックジョーク連発のシュールなアニメでした(笑)。それぞれ、宇宙人、クノイチ、超能力者、双子の姉の身代わりで女装という秘密を抱えています。

この4人のキャラクターが、絶妙に機能していて、特に超能力者の関根は、女性の思考をテレパシーで読んでいるので、女装している翼を除いた他の2人の秘密を知っているところがポイントです。関根が突っ込み役を担当していて、宇宙人のリッカと抜け忍の千代がボケ担当、クールな翼が関根に対する突っ込み役という構図が素晴らしいです。

アニメーション制作は新進気鋭のスタジオフラッドが担当し、老舗のstudioぴえろが制作協力しています。作画もそこそこ良くて、テンポも良く、今期ギャグアニメの強い中でも健闘していましたが、ぼざろや他のギャグアニメが強すぎたため、星は3.5です。

監督は演出面で色々な作品を手掛けられていた星野真(ほしのまこと)、そしてシリーズ構成は2023年冬アニメの『トモちゃんは女の子!』でも担当される清水恵です。

ロマンティック・キラー

『ロマンティック・キラー』は今までのラブコメものを過去のものにする斬新さが魅力のアニメでした。主人公の星野杏(ほしのあんず)は、ゲームとチョコと猫を愛するが故に、恋愛しない体質の女子高生です。なんとしても恋愛させたい魔法使いのリリと、なんとしても恋愛したくないJKとの戦いの物語です(なんのこっちゃ)。

リリが見つけてきた魅力的な3人の恋人候補がいますが、杏は姉御肌でキップのいい性格なので、仲のいい友人として接しています。リリに巻き込まれたとはいえ、不本意ながらも相手を受け入れる度量の杏に毎回感心させられ、男が惚れるサバサバ気質の女性をうまく描けているなと思いました。

筆者が投稿したロマンティック・キラー解説動画です。

原作は百世渡(ももせわたる)の少年ジャンプ+で連載されていた同名漫画です。監督は市川量也(いちかわかずや)、シリーズ構成は大場小ゆりで、アニメーション制作はペルソナシリーズのドメリカです。

今期アニメのギャグアニメ興隆という中でも、際立って面白かった作品でした。星は4で佳作認定、NETFLIX独占配信でなければ、もっと話題になったアニメだと思いました。

新しい表現のギャグアニメの魅力

今期アニメは継続して次のクールまで見ている『うる星やつら』と『ブルーロック』を合わせると過去最高の13作品を最終回まで完走した、かつてないほど良作の多かったクールでした。

毎週30分番組を13作品と特撮合わせて15作品視聴するのは大変でしたが、かなりの充実感が味わえたクールでした。ぶっちゃけ、今期は暗い世相の裏返しのように、ギャグアニメが強く、特にぼっち・ざ・ろっく!は異次元の面白さでした。2023年の冬アニメにも期待している作品がありますので、今から楽しみです。

2022年秋アニメレビュー後編:チェンソーマンからロマンティックキラーまで」への3件のフィードバック

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  2. ピンバック: 2022年 夏アニメレビュー後編:サマータイムレンダからリコリコまでの4作品 | K.T Dogear+

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