大きいマルチは、性能こそ高く音質もいいのですが、持ち運びに苦労することが多いです。ちょっとしたセッションや、リハーサルには小型のマルチがあれば便利です。そこで、ZOOMやBOSS、MOOERなどの小型のマルチについて調べてみました。
目次この記事の内容
- エフェクターの持ち運びは永遠の課題
- ZOOM G1 FOURシリーズ
- BOSS GT-1
- MOOER GE150
- VALETON GP-100
- 最新小型マルチの性能について
エフェクターの持ち運びは永遠の課題
BOSSマルチのフラッグシップ GT-1000
エレキギターは、電車移動の場合、ギターケースを持ち運ぶだけで十分嵩張ります。いつも電車が空いていたらいいのですが、満員電車の中だとそれだけで気づかってしまいます。
筆者の場合、そこに重いエフェクターケースにコンパクトや、マルチなどを入れて持ち運んでいます。また、地方などに遠征に行くと、あまりの可搬性のなさからエフェクターの数を減らしていくこともあります。
せっかくライブのためにエフェクターを調整していても、実際に持ち運びができないということはギタリストならば誰でも経験したことだと思います。
そこで、今回はギグバッグに入れて持ち運びの可能な小型マルチエフェクターに焦点を当ててみました。最近のデジタル技術の進歩により、小型マルチの進化は凄まじく、代用どころかメイン機にしてもおかしくないものがあります。
ZOOM G1 FOURシリーズ
ZOOM G1X FOUR
最近、周りでよく見かけるのがブラックボディのZOOM G1/G1X FOURです。安くて使いやすく、且つ可搬性に優れた小型マルチの傑作です。ZOOMのマルチは、G3nやG5、最新のG11にいたるまで評価が高いです。
一番の魅力は、その価格ではないでしょうか?ペダル無しのG1 FOURは実売7〜8,000円台、ボリュームやワウ兼用のペダル付きのG1X FOURは9〜1万円台で買えてしまいます。
小型だけど、13種類のアンシュミに、60種類の空間系や歪み、ワウやボリュームといったギターエフェクターがついています。また最近のマルチらしく、PCなどでエディットも可能で、ルーパーやリズムマシンなども内蔵しています。
また、本体もつまみ操作で扱いやすいようになっていますし、液晶ディスプレイもあります。昔のこのサイズの小型マルチには、小さい番号のみのディスプレイしかなかったのですが、最近のものはちゃんと数値や設定のわかるディスプレイが搭載されていて便利です。
肝心の大きさですがG1 FOURの場合、156mm(D)×130mm(W)×42mm(H)と非常にコンパクトで、BOSSのコンパクト1個よりも少し大きい程度です。重さはたったの340gで単3電池でも起動します。G1X FOURの場合は、エクスプレッションペダル分だけ大きく、重量も610gとなっています。これでも充分コンパクトですが(大汗)。
ただ、問題があるとすれば上位機種と違って、同時使用できるエフェクトが最大5種類で、アンシュミを使うとそれだけでキャビも含めて2個、残りは3個しかありません。つまり多数のエフェクターを同時に使いたいギタリストの場合、使用エフェクト数が制限されてしまうことになります。
ただ、スタジオやライブハウスのアンプに接続する場合は、キャビネットシュミレーターは使いませんし、残り4つを歪み、空間系、ワウ、ノイズリダクションなどに割り当てればいいので、そこまで気になりませんが・・・。
また上下のプリセットの切り替えのみですので、上位機種のようにフットスイッチで個別のエフェクトのON/OFFもできないので、余計なプリセットを作る必要があります。
しかし、上位機種譲りの多彩なエフェクトや、IR対応のキャビネットなどが付いていて、1万円切る価格なので、かなりお買い得な小型マルチと言えるのがZOOM G1 FOURなのです。
BOSS GT-1
BOSS GT-1
ぶっちゃけ、ギタリストなら誰もが一度はお世話になっているエフェクターメーカーはBOSSでしょう。1996年のGT-5から始まったBOSSのフラッグシップマルチのGTシリーズは、代を重ねながら着実に進化していきました。
2016年に登場したBOSS GT-1は、コンパクトなボディにGTシリーズのエッセンスを詰め込んだマルチエフェクターです。ただのコンパクトな廉価版マルチというわけではなく、プロでも使える高級仕様をそのまま小さくしたような設計思想です。
2016年当時は、GT-100がフラッグシップ(現在はGT-1000)で、GT-1はGT-100譲りの性能を持っています。つまり、アンシュミやエフェクターは、GT-100が基になっているのです。
つまり、プロが使っているマルチに近い性能が、実売2万円くらいで買えてしまうのです。販売当時は、在庫が無くなるほどGT-1は人気がありました。特筆すべきは、そのサイズで、305mm(W)×152mm(D)×56~74(H)というコンパクトさで、大きめのギグバッグのポケットにも入ります。
重量は、1.3kg(電池を入れた状態)とコンパクトサイズのマルチとしては、そこそこありますが、プロ向けに金属パーツが使われているためです。また、プリセットの上下スイッチの他に、CTL(コントロール)スイッチや、エクスプレッションペダルが標準装備されています。
このCTLスイッチには、色々なエフェクトのON/OFFが割り当てられるので、ソロ時のブースターや、空間系エフェクトの切り替えに便利です。また、外部スイッチを併用すると、更に使い勝手が向上するので、そのままGT-1をメイン機にしても問題ないくらいです。
いかんせん4年前に登場したマルチなので、IR対応でなかったり、液晶がカラーでなかったりします。実売価格も2万円近いので、最新の小型マルチと比較すると物足りなさはあります。しかし、定評のあるBOSSのマルチの音質と使い勝手を継承しているので、トータル面で満足度の高いマルチだと思います。
MOOER GE150
MOOER GE150
最近のマルチ業界を席巻しているメーカーといえば、MOOERです。フラッグシップのGE300について調べた時にも、カラー液晶で優れたマルチだと思いました。GE150は、GE100の後継機種で、小型マルチになります。
サイズも230mm(D)×156mm(W)×32.8mm(H)とかなりコンパクトで、重量は1kgです。2019年から販売されているMOOER GE150は、後発の強みを生かして実売2万円以下でありながら、カラー液晶とIR対応のキャビネットシュミレーターを搭載しています。
エフェクトの接続方法の入れ替えなどはできないものの、9個同時使用可能で、サードパーティのIRも26種類保存可能です。コンパクトなエクスプレッションペダルは多彩なモードが使用可能で、アンプが55、キャビが26、エフェクターが151種類と圧倒的な数が使えます。
問題は、上下のプリセットスイッチしかないので、プリセットの切り替えしかできないところです。それでも、ギグバッグに収納できる大きさとしては、現在のところ飛び抜けた性能を持っているマルチといえます。
VALETON GP-100
VALETON GP-100
2020年に販売された最新の小型マルチといえば、VALETON GP-100です。HOTONE AMPEROを小型にしたマルチということなので、高品位なサウンドを継承していますが、心臓部であるDSPはダウングレードしています。
しかし、MOOER GE150同様に、後発機種ならではのカラー液晶や、サードパーティIRが使用可能です。9エフェクト同時使用可能で、エフェクターの接続も自由に変更可能です。MOOER同様に、今までの小型マルチの性能を大きく凌駕しています。
エクスプレッションペダルも搭載していますが、パッチチェンジのスイッチとエフェクターの切り替えの2モードが選べるようになっています。スイッチは2つのみですが、モード変更できるのは便利です。
サイズは、192mm(D)×134mm(W)×28mm(H)です。メタルボディながらも、重量はたったの800gで、AC電源のみで乾電池は使えません。他の小型マルチ同様に、ギグバッグの中に収納できるサイズです。
ぶっちゃけ、エフェクトの数も140、アンプの数も45、IRも40と圧倒的な数があります。現在の価格は、1万6,000円くらいです。ぶっちゃけ、ここまでくるとコンパクトなマルチ1個で事足りるような気がしてきました(大汗)。
最新小型マルチの性能について
筆者が使っていた VOX ToneLab ST
筆者は、9年前にVOX TONELAB STという小型マルチを使っていました。目的は、ちょっとしたセッションの参加や、スタジオに可搬性の高いマルチを持ち込むためです。レコーディング時のライン録音まで使えて、なかなか便利でした。
現代の最新小型マルチは、あれからも進歩を続け、IRすら搭載する機種も出ています。他にも、同時使用エフェクターが増えたり、接続順の変更ができたり、CTLスイッチや、外部フットスイッチの増設に対応しているものもあります。
MOOERやVALETONのように小型でもカラー液晶になっているものもあり、もはやかつての上位機種以上の性能になっています。筐体が小さいので、搭載しているフットスイッチの数は少ないですが、パッチ切り替えの音の途切れさえなければ、メインで使用できるレベルだと思います。
BOSS GT-1にFS-7を接続して、エフェクトのON/OFFのできる数を増やしてライブに使っているギタリストもいます。デジタル技術の進歩は凄いと思いました。
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