今回は、スズキの2ストロークネイキッドバイク、ウルフについて紹介していきます。RGV250Γベースのネイキッドバイクとして1988年に登場したのが、スズキ ウルフです。
スズキの2ストロークネイキッド!
出典 https://www.webike.net/
平井和正の小説、『ウルフガイシリーズ』を読んで、狼男ってワイルドでカッコいいぜ!という刷り込みがされていた筆者にとって、心の琴線をくすぐられるバイクがありました。
それが、1988年に販売開始されたスズキ ウルフです。そのまんまのネーミングにRGV250ΓのV型2気筒エンジンをそのまま搭載し、カウルをはずしてスプロケを変更し、加速重視のセッティングにしただけのマシンです。
ヤマハ R1-Zのように、わざわざ鉄のトラスフレームにするような凝った作りではなく、アルミのツインチューブのまんま、ブレーキだけフロントシングルにしたガンマというようなマシンでした。
ぶっちゃけ、ガンマのセパハンを20mmだけ高くしたきつい前傾姿勢、ストリート向けといいつつも、強烈な加速と2ストならではのピーキーな特性の尖った奴、それがWOLFでした。
「この過激さ、この手抜き感こそがウルフよ!」という名言はありませんが、かなり攻めたバイクであることは間違いありませんでした。なぜ、こんな極端なバイクが登場したのでしょうか?
おそらく、レプリカばかりのラインナップに一石を投じたかったのではないでしょうか?1988年当時は、ホンダ VTZ250、ヤマハRZ250Rといったネイキッドバイクがあったとはいえ、レーサーレプリカブームのおかげで、ネイキッドバイク(カウルのないバイク)のクォーターバイクが少なかったのです。
そこで、スズキは手っ取り早くネイキッドにするため、当時開発したばかりのRGV250ガンマから、カウルをはずしたようなウルフをラインナップに加えたのでしょう。おかげで、リアはシングルシートというネイキッドの使い勝手を完全に勘違いしたマシンとなってしまいました(大汗)。
※スズキ ウルフ スペック表
Suzuki Wolf | |
最大出力 PS/rpm | 45/9,500 |
最大トルク kgf・m/rpm | 3.8/8,000 |
車両重量 kg | 147 |
車体サイズ mm | 1,990×700×995 |
燃料タンク容量 L | 17 |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
ネイキッドブーム到来!ひっこみのつかなくなったスズキ
筆者(tkd69)が所有していたバンディット250
1989年にカワサキ ゼファーが登場すると、レプリカからネイキッドブームに移行していきます。使い勝手がよく、バイクに多様性のある楽しみが求められる時代になりつつありました。スズキは、ウルフのような2ストロークならではの過激さよりも、4ストのマイルドなネイキッドが必要になりました。
そこで、1989年にコブラとバンディットというGSX-Rベースの4ストロークのネイキッドバイクを販売することになります。ちなみに筆者は、バンディット250に3年間乗りました。
ウルフは、250が3年間継続して販売されました。1990年に販売が終了していますが、1991年には125ccのウルフ125、翌年にはウルフ200が登場しました。1989年から販売しているウルフ50と合わせて、3種類の排気量のウルフシリーズが併売されていたことになります。
ネイキッドブームのあおりを受けて、スズキはひっこみがつかなくなったのか、1991年には、シングルスポーツのグース350を、翌年にはグース250を販売開始します。一時期のスズキのラインナップは、グース、ウルフ、バンディットと、何台もネイキッドバイクを併売するという状態でした。
ウルフの実力とは?
ベースとなったRGV250ガンマ VJ21型
まんま中身は、VJ21型のRGV250ガンマそのものです。スプロケ落として加速重視のギア比にしただけの代物ですので、当時最速の2ストバイクNSR250Rをも追いかけることが出来たでしょう。
今の4スト250ccでは到達できない最大出力45PSを誇っていて、最大トルクも3.8kgf・m、それでいて車重は147kgと冗談のような過激なスペックです。ネイキッド(羊)の皮を被った狼という表現がぴったりくる楽しいバイクだったと思います。
スズキは、ノーマルの状態でも排気音が大きかったり、ライダーの感性に訴えかけてくるものがあります。正直言って、4スト車と比較すると燃費は劣悪で使い勝手のいいマシンとはいえませんが、今のバイクにはない個性があって、個人的には好きなバイクです。
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