MotoGP 2018 第14戦 アラゴンGPは、スペインのアラゴン州にある、モーターランドアラゴンで9月23日に開催されました。チャンピオン争いを左右するような、終盤に向けてのレースだけに、マルケスとドゥカティ勢の争いもヒートアップしていました。
レースウィーク序盤からのつばぜり合い
レースウィーク序盤から、ホンダ RC213Vを駆るポイントリーダーのマルク・マルケス選手と、ドゥカテイのデスモセディチを駆るドゥカティワークスの2人の争いは熾烈でした。
フリープラクティスから、この3台がトップタイムを競い合う構図は、今年のGPを象徴していました。予選でも、トップがドゥカティのホルへ・ロレンソ、2位に同じくドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手、3位にマルケスという順位となりました。
LCRホンダの中上貴晶選手が、Q1で2番手タイムを叩き出して、Q2進出しました。予選順位は、12位でしたが11位のヤマハのマーヴェリック・ビニャーレス選手がタイムアタックを防いだというペナルティを受け、グリッド降格した影響で繰り上がりました。
今回のQ2では、お互いに牽制し合うシーンが多く、後半に混雑してしまいクリアラップを取ることが困難でした。これからのMotoGPの課題となるような事態だと思います。ヤマハは全体的にふるわず、スズキのアンドレア・イアンノーネ選手が5位に入るなど、同じ直4エンジン勢としては、スズキの方が目立つ予選となりました。
路面温度のせいでスローペース?
途中までレースを引っ張ったドヴィツィオーゾ
Moto3では、ホンダの鈴木竜生選手が6位に入賞しました!中上選手も、予選ではいいタイムを出していたので、期待が高まります。ホンダ勢の調子も全体的に良く、ドゥカティとの直接対決に胸が高鳴ります。
ところが、スタート直後の1コーナーでマルケスに抜かれたロレンソが、転倒しました!無理に体勢を立て直そうとして、ハイサイド気味の転倒だったので心配です。この間に、ドヴィツィオーゾがトップとなり、マルケス、イアンノーネ、スズキのアレックス・リンス選手、レプソルホンダのダニ・ペドロサ選手という順位になりました。
レース序盤から、予選タイムの1分46秒台より遅い49秒台というスローペースでレースは進行していきます。おそらく、45度という高い路面温度の影響だと思います。マルケスは、フロントハード、リアソフト、ドヴィはフロントとリアともにハードタイヤを選択していました。
ぶっちゃけ、ドゥカティ2台よりもドヴィのみに集中できる方がマルクにとって好都合でしょう。序盤で、ホンダのカル・クラッチロー選手が転倒しましたが、マルクのチームメイトの、ダニ・ペドロサ選手は5位とそこそこのポジションにいますし、中上も12位とまずまずの調子です。
予選グリッドが、17位と不振だったバレンティーノ・ロッシ選手が徐々に順位を上げてきていました。アプリリアのアレイシ・エスパルガロ選手が6位とそこそこ健闘しているのが目立ちました。
タイヤを温存できたマルケスの勝利!
10コーナーにマルケスコーナーと命名されご満悦のマルケス
勝負は、残り10周となったところから始まりました。マルケスがドヴィを抜き、またドヴィがマルクをパスするドッグファイトが展開されました。3位のイアンノーネが一時、追いつきそうになりました。
残り5周といったところで、3位のイアンノーネも加わった激しいバトルを制したのは、マルケスでした。リアのソフトタイヤを温存し、残り周回2周で少しずつ後続に差をつけての勝利でした。
ドヴィは、タイヤが残り3周といったところで滑りはじめていました。2位フィニッシュは悔しい結果だと思います。イアンノーネはそのまま表彰台に入る3位フィニッシュ!
4位にリンス、5位にペドロサ、6位にエスパルガロ、7位にドゥカティのダニーロ・ペトルッチ選手が入りました。8位には、17番手スタートから巻き返したロッシ!10位にビニャーレス選手、12位に中上という最終結果となりました。
ペドロサの5位入賞とスズキ勢の好調
久々に5位に入った ペドロサ
今回、3位と4位に入ったスズキのGSX-RRは今年はレギュレーションによりシーズン途中のエンジンの改良が出来ます。ヤマハは、年間通してエンジンを7基しか使用できない上に、エンジンの開発ができない状況です。
ホンダとドゥカティは、ヤマハと同じく開発は出来ませんが、元々パワフルな特性のエンジンのおかげで、年間通して速いのです。直列4気筒を採用しているのは、ヤマハとスズキの2社だけですが、スズキはアラゴンGPでの最高速が335kmと、ドゥカティやホンダに比肩するスピードを獲得しつつあります。
クラッチローが、ファクトリーの2人と比較してマシンの戦闘力が低いと嘆いていますが、サテライトとワークスの違いがあるのは当然のことです。クラッチロー本人もそのことはよく解っていて、あえて発言をしているフシがあります。
GPライダーは、待遇の改善を要求する資格があり、より戦闘力を高めるための布石を打っているのでしょう。今シーズンで引退の決まっているペドロサも、久しぶりに5位入賞となりました。個人的には、表彰台も見てみたいと思います。
ロレンソが、右足の第2中足骨の骨折とつま先の亜脱臼と発表されたのは残念です。ロレンソ本人が、転倒したのはマルケスのせいと言っているようですが、アクセルをゆるめなかった方が悪いと思います。また、両者の接触もなかったので、レースディレクションもペナルティを与えていません。
来シーズンから、レプソルホンダでやっていく仲になるのだから、こういった発言はマイナスにしかなりません。よほど転倒がロレンソにとってはくやしかったのでしょう。
これでマルケスのチャンピオンシップポイントは、246ポイントと2位のドヴィツィオーゾの174ポイントを72ポイント差としました。残りはアジアラウンドの4戦と最終戦のバレンシアGPの5戦のみです。このままだと10月21日の日本GPにはチャンピオンが確定するかもしれません。
ロレンソがノーポイントだったので、ロッシが再び3位となりました。ヤマハの巻き返しがあるかどうか、注目したいです。中上も日本GPに向けて調子を上げてきています!次戦は、初開催となる10月7日のタイGPです。
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