MotoGP 2018 第8戦 オランダGPは、TTサーキット アッセンで7月1日に開催されました。ダッチTTと呼ばれる伝統のあるGPは、ダッチウェザーという不安定な天候でも有名です。
かつてないほど晴天のダッチTT
オランダGPは、もう一つ特徴があって、6月最後の土曜日に開催されることでした。しかし、世界的な興行としてのMotoGPの予定に合わせて、2016年から日曜日の開催となったのです。
そして、天候の崩れることの多いダッチウェザーですが、今年は快晴でした。雨に強いライダーにとっては残念でしょう。しかし、観客の立場としては、晴れている方が気分いいと思います。
予選では、またまたホンダの中上貴晶選手の調子が良く、もう少しでQ2進出というところまでタイムを縮めていました。徐々に予選の内容が良くなってきているので、本選での結果が出てくるようになるでしょう。
ホンダの中上貴晶選手
ポール・ポジションは、ホンダのマルク・マルケス選手が1分32秒791でした。ブリヂストン時代に記録した1分32秒5台に追いついていないのは、ミシュラン側からすれば複雑ではないでしょうか?ミシュランが2016年から供給を始めて3年目のシーズンだけに、どこのサーキットでも結果を出していく必要が出てきました。
2位は、中上選手のチームメイト(LCRホンダ)のカル・クラッチロー選手、続く3位はヤマハのバレンティーノ・ロッシ選手でした。ヤマハの方が向いているといわれているTTサーキットで、この結果は厳しいと思いました。
気になるスズキのモディファイ
スズキのアレックス・リンス選手
オランダGPの予選から気になっていたのは、スズキのマシンをオンボードで映したときにフロントカウルのスクリーン内に映される、速度や温度などのデジタル表記です。透明のスクリーンに、数字が投影される斬新な機構は単純にカッコ良く、現段階では、スズキのGSX-RRのみの新機構なのでしょうか?
スズキは、去年の成績が芳しくなかったため、エンジンの年間使用基数制限が9基と、トップクラスの6基よりも緩い規制となっています。また、マシンのテスト規制も緩くなり、シーズン中のエンジンのモディファイなども可能となっています。
そのため、今回のオランダGPでは、アルミフレームにカーボンを部分的に施した新型フレームと、出力の向上をしたエンジンを投入してきています。開発面で有利な点を最大限に生かした努力だと思います。
混戦となったダッチTT
久しぶりにトップグループでバトルしたヤマハのマーヴェリック・ビニャーレス選手
レースは、10番グリッドだったドゥカティのホルへ・ロレンソ選手がスタートをうまく決めてトップに踊りでました。対照的に中上選手は、13番手スタートから15位とスタートで出遅れました。
今回、ホンダはフロントミディアム、リアソフトを選択するライダーが多かったのですが、中上はフロントミディアム、リアハードというチョイスをしました。これが今回あまりペースが上がらなかった原因ではないでしょうか?
トップは、ロレンソ、2位にロッシ、3位マルケスという順番で周回していた5周目に、ロレンソのリアにロッシが接触!2台とも無事でしたが、ドゥカティのデスモセディチのリアシート後部のカウルにヒビが入っていました。
7周目にロッシをマルケスが抜いて2位に入ると、1位ロレンソ、3位ロッシ、4位にドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手、5位にスズキのアレックス・リンス選手、6位にクラッチロウ、7位にヤマハのマーヴェリック・ビニャーレス選手がトップ集団を形成しました。
まるで、Moto3クラスのような抜きつ抜かれつのドッグファイトが展開されました。めまぐるしく順位が変動する中で、マルケスがビニャーレスがアウトに膨らんだ影響でコースアウトしました。ビニャーレス、マルケスともに何とか踏ん張り、その隙にロッシがトップに立ちました。
ホンダ2台に、ヤマハ2台、ドゥカティ2台、スズキ1台という各メーカーのマシンがドッグファイトする姿には、興奮しました!やはりバイクのレースは、様々なメーカーによる争いこそが醍醐味だと思いました。
しかし、レースの残り周回が少なくなったところでトップになったマルケスが、後続を引き離していきます。ロッシは残り2周というところで、ドヴィツィオーゾのオーバーテイクに巻き込まれコースアウトし、順位を5位に落とします。
最終ラップでリンスが、ビニャーレスを抜いて2位に入りました。マルケスは後続を離してのぶっちぎりのトップ、3位にビニャーレス、4位ドヴィツィオーゾ、5位ロッシ、6位にクラッチロウ、7位にロレンソという最終リザルトとなりました。また、中上も19位とポイント圏外でした。
優勝したマルケス
スズキのリンスは、今シーズンベストグリッドの2位で存在感を示しました。スズキのGSX-RRの戦闘力は確実に向上していると思います。ヤマハのビニャーレスは、ヤマハ得意のダッチTTでも優勝できなかったので、これからも苦しい戦いが予想されます。
最終的には、ぶっちぎりの優勝をしたマルクは、140ポイントとなりチャンピオンシップで大幅なアドバンテージを得ました。2位のロッシは、99ポイントなので現時点で41ポイント差となっています。
今のところ圧倒的な力でチャンピオンシップをリードしているマルケス選手を脅かすライダーはいません。連勝していたロレンソ選手は、今回は予選10位、決勝7位と芳しくない結果に終わりました。
ヤマハの復調や、ドゥカティの戦闘力向上、スズキの躍進など、見所のあるレースでしたが、マルケスとホンダRC213Vのパッケージに対抗する存在が出てこないと、チャンピオンシップが盛り上がりません。ここは、去年のドヴィツィオーゾのような覚醒を、他のライダーに期待するべきでしょう。
次回は第9戦ドイツGPです。7月15日が今から待ち遠しいです。
※2018年8月追記
フロントカウルのスクリーンに表記される情報に関しては、テレビ局のはめ込み合成ということが解りました。混乱させることを書いてすみませんでした(大汗)。
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