前から危ないといわれてきたGibson社が連邦破産法の適用を申請したようです。簡単にいうと、破産したということなのですが、ライバルのFender社のように復活できるのでしょうか?
ギターが売れずに業界は縮小傾向?
ギブソンは、1902年に創業された116年もの歴史を持つアメリカの楽器メーカーです。主にアコースティックギターやエレキギターが主力商品で、名だたるミュージシャンの使用によって、長い期間フェンダー社と共にロックを支えてきたブランドでした。
1950年代に販売したレスポールモデルのヒットにより、エレキギターにおける市場を席巻し続けました。1983年にはミシガン州カラマズーからテネシー州ナッシュビルに移転し、品質の低下もありました。
1986年には、ヘンリー・ジャコヴィッツ、デイブ・ベリーマンなどに買収されました。この時代のギブソンは、品質にばらつきがあり、カラマズー工場を買収したかつてのクラフツマンの設立したHeritageの評判の良さとは対照的です。
21世紀になると、ギターヒーローの不在とEDMなどの流行により、ギターの売り上げが減少します。そこで、ギブソンは事業拡大のために2014年には、オンキョーと資本提携をしたり、フィリップスを買収したりしました。
そして、2017年にはギターの売り上げは、100万台にまで低下(2007年は150万本)していました。ギブソンもフェンダーもPRSも厳しい経営状態となっていたのです。
縮小事業に拘泥するしかない経営体質が招いた悲劇
ぶっちゃけ、ギブソンは過去の栄光によって支えられてきた企業でした。最近やった革新的なことといったら、G Forceと呼ばれる自動チューニング機能を2015年モデルに搭載したことくらいです。そのGフォースもあまりいい評判ではなく、翌年には止めてしまいました。
エレキギターを購入する人口は減少していくので、多角経営に切り替えようとしたのでしょうが、色々と遅すぎました。ギブソンは、1950~60年代の成功に胡坐をかいていた企業なので、ギター以外の事業は向いていないのです。
ギブソンにしかない価値とは?
フェンダー社は、1985年にビル・シュルツをCEO(最高経営責任者)に迎えて再建しました。日本の楽器メーカーであるフジゲンの技術指導の下でコロナ工場を新たに生産拠点として、徹底的な品質改善をしたのです。そのフェンダーも、現在では再び債務を抱えるようになっています。
では、老舗ギターメーカーには生き残る術はないのでしょうか?ギブソンの価値は、ロックの歴史に残る名演を支え続けたブランド力です。それは、他のメーカーにはない魅力であり、品質の改善こそが第一の問題になるでしょう。
僕が最初に買ったギブソン レスポールは酷い品質でした。そのせいで、最近2016年製のレスポールJr.を購入するまでギブソンのギターは買っていませんでした。昔の経験から試奏して買ったのでレスポール ジュニアは当たりでしたが、こうも品質にばらつきがあると問題です。
今のギブソンにとって大事なのは、カスタムショップモデルと、レギュラーラインの品質を向上させること、レガシー(歴史的遺産)を大事にし、顧客を満足させるためのイベント事業を充実させることです。
そして、減り続けるギター人口に合わせて規模を縮小することでしょう。現在、ギブソンは3分の2の債権者との合意のもとで、再建計画が進められています。場合によっては、ヘリテイジのノウハウを生かした経営に転進してもいいのかもしれません。
どちらにしても、ギブソンほどのメーカーがなくなったら困るので、ファンとしては頑張って再建して欲しいものです。ジュニアのパーツの問題もあるし・・・(大汗)。
※2019年 4月追記
ギブソンは、連邦破産法の適用を回避したようです。KKRというファンド会社によって、資金が供給され、新しいCEOをジーンズ会社大手のリーバイスから迎えることによって、最スタートしています。
とりあえず、ギブソンのファンとしては嬉しい出来事ですが、他のギターメーカーも心配になってきました。
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