ホンダは、2012年のミラノショーで、”NEW FUNdamental Concept”というヨーロッパのA2免許に適合するバイクを発表しました。A2免許とは、18歳以上の年齢であることを条件に、最高出力が35kW(47.6PS)以内の出力のバイクを乗ることのできる免許です。
■海外で人気のCB500シリーズ
日本と違って排気量による区分ではなく、最高出力というのが、ヨーロッパらしくて面白いのですが、上限のないAライセンスを取得できるのは20歳からです。しかも、2年以上のA2以下のオートバイの乗車経験がない場合には、25kW以内のバイクしか乗れません(24歳以上は規定無し)。
しかも、ヨーロッパでは100PSを超えるような出力の高いオートバイは、任意保険料が高く、お金持ちしか乗っていません。そうなると、47.6PS以下のA2免許の車種は若者にとって人気のカテゴリーということになります。
ホンダは、A2ライセンスに適合した車種として、CB500F、CB500R、CB500Xのエンジンとフレームを共用する3つの車種を開発しました。これは、2012年に販売したNC700シリーズと同じ手法で製造コストをカットして低価格で販売できるメリットのある戦略でした。
CB500Fはネイキッドモデル、CB500Xはクロスオーバースタイル、そしてCBR500Rは、フルカウルスポーツ車として開発されました。エンジンは、471ccの水冷直列2気筒エンジンで、最高出力A2ライセンスの上限の35kW(47.6PS)です。
CB500シリーズは、タイで生産されるなど、安価で国際競争力のあるバイクとして、海外で人気のバイクです。
■国内専用の400ccモデル!
国内向けの2013年型CBR400R
日本国内における、400ccの定番バイクCB400SF/SBは、国内生産中心のため、定価が80万円を超えるなど、若者にとって高価なバイクになっていました。
車検のない250ccバイクは人気がありますが、高速道路ではパワーが不足しています。普通2輪免許で乗ることのできる排気量として最大の400ccは、制限速度が100km/h以下の高速道路の多い日本では、充分なパワーとトルクのある、最もバランスのいいバイクです。
普通2輪までのライダーにとって、魅力のある排気量として、500ccとは別に400ccのエンジンを開発したというわけです。海外モデルからの国内市場向けに排気量をダウンサイジングする手法は、Z900をZ750RS(Z2)に変更するなど、過去何度か実例があります。
新開発された400cc水冷直列2気筒エンジンを搭載した、CB400F、CBR400R、400Xの3つの新型車は、2013年より販売開始されました。4気筒の名車CB400SF/SBほど売れませんでしたが、フルカウルのCBR400Rと、クロスオーバースタイルの400Xは、そこそこのセールスを記録しました(2014年販売台数1726台は250~400cc第3位)。
新型2気筒のCB400シリーズは、CB500と共通の部品の大半をタイで生産し、日本の熊本工場で組み上げています。これにより、定価も60万円台と4気筒のCB400SF/SBよりも20万円以上安い価格で販売することが出来たのです。
■マイナーチェンジによってスタイリッシュになった新型
2016年型CBR400R
日本国内より、海外で人気のあるCB500シリーズは、より洗練されたデザインにモデルチェンジしました。2016年型CB500シリーズ同様、CBR400R、400Xもマイナーチェンジされることとなりました。CB500Fと違い、国内で人気の無かったCB400Fは生産中止となりました。
新型のCBR400Rは、LEDヘッドライトや、プリロード付きフロントサスペンションや異型断面マフラーなどを採用しました。全体的にエッジの効いたデザインで、ウィンドプロテクションを考慮したカウル形状で空力面でも強化されています。
前のモデルで不評だった取り外し型の燃料キャップは、ヒンジ型に変更され使い勝手を向上し、タンク容量を16Lと1L増量しました。個人的に残念なのは、小さくなったタンデムシートです。荷物は前のモデルのタンデムシートの方が載せやすかったと思います。
※CBR400R 2016年型スペック
CBR400R | |
最高出力 kW【PS】/rpm | 34【46】/9,500 |
最大トルク N・m【kgf・m】/rpm | 37【3.8】/7,500 |
車体サイズ mm | 2,080×750×1,145 |
車両重量 kg | 192 |
燃料タンク容量 L | 16 |
使用燃料 | 無鉛レギュラー |
外観は、レーサーレプリカっぽいフルカウルモデルなのですが、ベースはネイキッドのCB500Fの水冷直列2気筒エンジンです。100ccダウンサイジングし、最大出力は46PSと、国内ネイキッドバイクのCB400SF/SBの56PSに10PS近い差があります。
CB400SF/SBのハイパーVTEC水冷直列4気筒エンジンの方が、フィーリング、出力ともに上です。ネイキッドらしい外観のCB400SF/SBの方がスポーツ性能が高いという逆転現象がおきています。
CBR400Rは、レーサーっぽいエクステリアのわりに高めのセパハンのおかげで前傾も少なく、オールマイティに使えるというのもポイントが高いです。ツインのため、燃費もWMTCモードで、28.2km/LとCB400SF/SBの21.2km/Lよりも高燃費です。
しかし、最大トルクの3.8kgf・mはツインのCBR400Rの方がより低い回転の7,500rpmで発生します。CB400SFは、9,500rpmで最大トルクを4.0kgf・mで発生します。中低速トルクはツインエンジンの方が有利ですので、加速の面ではCBRも遜色ありません。
また、フルカウルによるウィンドプロテクションや、ベースグレードのグラファイトブラックのABS無しのモデルの定価が69万9,840円(消費税込み)と安いので、形が気に入ったのなら、CBR400Rという選択肢はありだと思います。
そうなってくると、ヤマハ YZF-R3や、カワサキ Ninja 400などのフルカウル2気筒マシンが直接のライバルとなってくるでしょう。海外で売れているフルカウル2気筒マシンは、400cc4気筒マシンに替わる新たなスタンダードとなってきています。
※2019年1月追記
2016年以降のマイナーチェンジ後のお買い得新古車
新年早々、ホンダドリームに用事があって寄ってみたら2016年以降のマイナー後の走行距離2,000km未満の中古車が、62万8,000円で売られていました。2019年モデルは、CBR500Rと同様にマイナーチェンジされる予定なので、そろそろ2016年モデルの値段が下がると思います。
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