2024年秋アニメレビュー前編です。前編で紹介するのは、オーイ!とんぼ、株式会社マジルミエ、戦国妖狐、ガンゲイル・オンラインII、ダンダダン、妻、小学生になる、嘆きの亡霊は引退したい、の7作品です。今回も星1〜5の5段階評価となります。
目次 この記事の内容
- オーイ!とんぼ 第2期
- 株式会社マジルミエ
- 戦国妖狐 千魔混沌編
- ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII
- ダンダダン
- 妻、小学生になる。
- 嘆きの亡霊は引退したい
オーイ!とんぼ 第2期
『オーイ!とんぼ 第2期』は、原作かわさき健、作画古沢優(ふるさわゆう)による漫画『オーイ!とんぼ』を元にしたテレビアニメです。トカラ列島でのびのびとゴルフをしていた少女、とんぼが島から出て九州女子選手権に出場するのが、今回の第2期の大まかなストーリーになります。
ゴルフの知識があまり無い筆者でも、見やすいゴルフアニメです。ただ、後半の九州女子選手権になると、ゴルフ中心にマニアックな要素が増えてきた印象です。ゴルフは、他の競技同様に試合となるとプレッシャーの感じるもの、という描写は秀逸でした。
アニメーション制作は、OLM Division 2、監督はオ ジング、シリーズ構成は広田光穀(ひろたみつたか)です。作画はそこそこでしたが、ストーリー展開が面白かったので、星は3.5になります。かなり長い漫画のシリーズなので、第3期も期待します。
株式会社マジルミエ
『株式会社マジルミエ』は、少年ジャンプ+に連載中の原作岩田雪花、作画青木裕による同名漫画を元にしたテレビアニメです。マジルミエは、Web版を読んでいたので、感慨深いです。
怪異が発生する並行世界の日本、という舞台ではそれらに対抗する手段として、魔法少女がいました。この世界の魔法少女は、いずれも企業に属していて、企業数は大きさの異なる500社にものぼります。
その数多ある魔法少女企業の内でも、ベンチャーのマジルミエという会社があり、そこに所属する桜木カナと越谷仁美(こしがやひとみ)という2人の魔法少女を中心に話が展開していきます。
この話は、魔法少女版、パトレイバーとも言えるような雰囲気があります。社長の服装からツッコミどころがあったり、ギャグ要素とかほのぼの要素もあるのですが、怪異と戦う展開は、なかなかどうして熱いものがあります。魔法少女というパッと聞くと非日常なものを、現実の会社として業務、という形で表現する新しさがあります。
アニメーション制作は萌とJ.C.STAFFで、監督は平岡正浩、シリーズ構成は永井真吾です。作画は後半崩れることもありましたが、変身バンクに力を入れていましたのでそこそこ良かったと思います。星は4佳作認定です。定期的に読んでいた作品が、アニメ化されたので素直に嬉しいです。
戦国妖狐 千魔混沌編
『戦国妖狐 千魔混沌編』は、『惑星のさみだれ』、『プラネット・ウィズ』の水上悟志が原作の『戦国妖狐』を元にしたテレビアニメです。第二部の千魔混沌編は、2024年冬に第1クール、夏と秋に第2クールを放送しました。
つまり、第一部と合わせると変則的に3クールで、全編を描く、という構想になっていて、ついに原作を描き切ることになるのです。しかし、戦国妖狐もこれで最後だと思うと一抹の寂しさがありますね。
後半のクールでは、成長した千夜と月子を中心に話が展開します。千本妖狐となった迅火を救うべく、行動するたまと真介も加わり、最後の決戦となります。ここまで数多の戦いを乗り越え、最終決着となるのですが、水上漫画らしい展開もあるので、なるほど、こう来たか!となります。
ここまで大作だと3クールかけて描き切ったのは英断だと思いました。というのも、この決着無くして、この物語は完成しないし、せっかく原作が綺麗に終わっているのに、アニメが中途半端なボリュームだと興醒めになるからです。
アニメーション制作は、”STEINS;GATE”、『ゴブリン・スレイヤー』のWHITE FOXで、監督は『覇穹 封神演義』の相澤伽月(あいざわかげつ)で、シリーズ構成は『レベルE』の花田十輝です。
この作品は、描き切ることこそ大事なポイントなので、星は4佳作認定です。作画、脚本共に安定していて、毎週楽しみにしていました。とても素晴らしい出来だったと思います。
ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII
『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII』は、ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインという時雨沢恵一(しぐさわけいいち)の原作小説を元にしたテレビアニメです。
元は、ソードアート・オンラインからの派生作品なのですが、こちらのガンゲイル・オンラインもアニメ化されています。ついに2期の放送ということで、ガンマニア的には、凄く嬉しいことでした。
そもそもVRゲームの世界で、銃火器中心のプレイというのが、琴線に触れたのは、1期の頃から。2期は、1期の続きでSJ3という大会に、主人公のレンはチームLPFMとして参加します。もちろん、ピトフーイ、エム、フカ次郎という最強メンバーで。
しかし、途中から特別ルールにより、戦場は混乱します。特に裏切り者が集まってチームとなり、豪華客船の中で雌雄を決すようになります。色々あって、裏切りチームにされてしまったレンは、エヴァと組んでピトフーイを倒し、優勝します。
SJ3の後に、テストプレイに招待されるLPFMですが、他の有力チームも全て入っていました。そして、古城に陣取るNPCには何やら驚愕の装備が付与されている、ということでした。このテストプレイのNPCの正体と、勝負の行方は?
アニメーション制作は、A-1 Picturesです。実は、1期の制作会社Studio 3Hzのアニメ事業は全てA-1Picturesが譲渡されたようです。1期のメンバーがそのまま制作しているようです。監督は1期と同じく迫井政行で、シリーズ構成も黒田洋介のままです。
かなり作画も安定しており、話も面白かったので、星は4、佳作認定になります。最終回は、テストプレイの終盤と後日談まででした。原作は続いているので、3期があるかも知れません
ダンダダン
『ダンダダン』は、少年ジャンプ+に連載中の龍幸伸(たつゆきのぶ)による同名漫画を原作にしたテレビアニメです。実はジャンプ+で読んでいたこともあり、かなり楽しみにしていたアニメ化作品でもあります。
オカルト雑誌を愛読する(おそらくムーがモチーフの雑誌)オカルンと、超能力を持つ桃とのコンビが霊的現象や宇宙人と遭遇し、ハチャメチャな事態に巻き込まれます。ターボババァに呪われたオカルンは変身して戦うのですが、この描写が秀逸です!
アニメーション制作は”DEVILMAN crybaby”、『平家物語』のサイエンスSARUなのですが、OPの表現といい凄く原作を理解した上で、見事にアニメーションにしていると思いました。
展開としては、かなり途中で終わったのですが、第二期の制作が決定していて、来年の秋になるようなので、今から楽しみです。監督は山代風我(やましろふうが)、シリーズ構成は『ヴィンランド・サガ』、『サマータイム・レンダ』の瀬古浩司(せこひろし)です。
かなり原作を読み込んで作られている感じがしていて、全編に渡り疾走感のあるハイテンションなアニメになっていました。星は4.5名作認定です。2期もこの感じで頼みます!
妻、小学生になる
『妻、小学生になる。』は、村田椰融(むらたやゆう)原作の同名漫画のテレビアニメです。実は実写ドラマ化も2022年にはされていて、人気のある漫画でした。
新島圭介は、10年前に死んだ妻の貴恵のことを思い、引き篭もる娘の舞衣にも何も言えない生活をしていました。白石万理華という小学生の女の子が新島家を訪問し、貴恵の生まれ変わりである、と告げます。貴恵しか分からないことを指摘され、二人は完全に万理華が貴恵であることを信じます。
そして貴恵は、現在の二人の食生活を見かねて弁当を作り、食卓をちゃんとするようにアドバイスします。徐々に元のように活気を取り戻していく新島家、圭介は仕事とプライベートで充実した生活をするようになり、舞衣も仕事先で知り合った青年と付き合うようになります。
このように小学生が母親として、大人の二人の面倒を見る、という奇妙な関係性を描いた作品なのですが、とても丁寧に作られていました。アニメーション制作は、スタジオ サインポストで、監督は『アルスラーン戦記 風塵乱舞』の阿部記之(あべのりひろ)、シリーズ構成は平林佐和子です。
特に最終回での感動的なエンディングといい、かなり好印象なアニメで星は佳作の4です。しっかりと最終回までまとめた良作です。
嘆きの亡霊は引退したい
『嘆きの亡霊は引退したい』は、槻影(きつき)原作のなろう小説を元にしたテレビアニメです。史上最年少で、レベル8の冒険者になったクライ・アンドリヒは、嘆きの亡霊というパーティーのリーダーで、ギルドマスターでもあるのです。
さぞかし凄い実力者か?と思いきや、本人の戦闘能力はほぼ無く、権謀術策に長けた策士でもありません。ただ、なぜかトレジャーハンターとしての資質を持つ仲間に恵まれ、且つ行動が読めない飄々とした性格から、周りからは千変万化との異名を付けられています。
つまりCMの一番ノってる勘違いファンタジーっていう言葉は、そのままで、周囲が勝手にクライのことを、つかみどころのないミステリアスな人物と評しているのです。この勘違いっぷりを楽しむ要素が新鮮なアニメで、毎回こんな勘違いしねーだろ!ってツッコミたくなります(笑)。
アニメーション制作は、『怪異と乙女と神隠し』のゼロジーで、監督はたかたまさひろ、シリーズ構成は白根秀樹(しらねひでき)です。作画はそこそこ良くて、話も面白かったのですが、今期も他に優れた作品が多かったため、星は3.5です。ただ、発想と話の展開はとても楽しめられました。
後編に続く
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