2023年春アニメレビューの前編は、異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する、ヴィンランド・サガ、江戸前エルフ、カワイスギクライシス、ガンダム水星の魔女、君は放課後インソムニア、鬼滅の刃、地獄楽の8作品のレビューをします。
目次 この記事の内容
- いせれべ
- ヴィンランド・サガ SEASON2
- 江戸前エルフ
- カワイスギクライシス
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
- 君は放課後インソムニア
- 鬼滅の刃
- 地獄楽
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ~レベルアップは人生を変えた~
『異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する〜レベルアップは人生を変えた〜』というめちゃくちゃ長いタイトルのアニメは、略称いせれべといいます(笑)。よくある異世界ものかと思いきや、異世界から現実社会〜また異世界といったように自由に2つの世界を行き来する新感覚のファンタジーでした。
誰もが夢想するのが、RPGゲームなどでレベルアップした能力が現実に生かせたらというものです。このいせれべの主人公天上優夜は、まさにそういった感じで異世界で得た能力を現実世界に持ち帰ることができます。
実家から、異世界、異世界から実家という感じで往来するたびに、能力がアップするので、かなりチートな主人公です。ただ、この異世界への扉を開くまで、いじめを受けていた過去があり、かなり控えめなキャラであることが幸いして、嫌味な主人公ではありません。
筆者が投稿したこの記事の動画バージョンです。
原作は、カクヨムで連載していた美紅の同名小説です。結構、ご都合主義のテンプレなのですが、主人公の性格のためか、そこまで俺TUEEにならないので最後まで観賞できました。
ED曲がスガシカオの『ハチミツ』で、女性キャラの可愛さも今期NO.1だったのもポイント高かったです。星は5段階評価の星3.5です。作画も良く、ストーリー展開がベタでなければ、佳作になっていたと思います。
アニメーション制作は、『蜘蛛ですが、なにか?』のミルパンセ、総監督、シリーズ構成は板垣伸(いたがきしん)です。結構面白かったので、2期の発表待ってます。
ヴィンランド・サガ SEASON2
2023年冬アニメから2クール跨いで放送されたのが、『ヴィンランド・サガ SEASON2』です。実はこの話はちゃんとした史実をベースにしていて、アイスランドから新天地に移住することを11世紀に目指したソルフィン・ソルザルソンが主人公トルフィンのモデルです。
原作は月刊アフタヌーンに連載している幸村誠の同名漫画です。シーズン1は、父親を殺され、復讐するために傭兵となり、多くの命を奪ったトルフィンが奴隷に落とされるところまでが描かれます。
シーズン2は、戦闘シーンなどの派手な描写は前のシーズンと比較すると少なく、主に農場での話になるのです。故郷を傭兵によって焼かれ、奴隷としてケティル農場に売られたエイナルと開墾していくのが大筋になります。
戦場で多くの命を奪い、そのことで苦しめられるトルフィンと、戦士を憎むエイナルの対比と交流が前半の見どころでした。後半は、デンマークとイングランドを束ねるようになったクヌート王が農場を接収するために軍を動かします。デンマークの精鋭の圧倒的な力で農場側は多大な犠牲が出ます。
トルフィンは、かつて共に戦ったクヌートを説得するため、一人で武器を持たずに乗り込みます。そこにはかつてのように、戦うことしか知らなかったトルフィンとは違い、新たな理想を持つ男としての姿がありました。
アニメーション制作はMAPPAで、今期は『地獄楽』も制作していました。監督は『いぬやしき』の薮田修平(やぶたしゅうへい)でシーズン1も担当していました。シリーズ構成は『デカダンス』の瀬古浩司(せこひろし)です。星は4.5で名作認定しました。
トルフィンが本物の戦士になるまでの過程を丁寧に描き、良質な作画とストーリー展開で楽しませてもらいました。ヴィンランド・サガは海外人気が高く、日本国内でももっと認知されてほしい素晴らしい作品だと思いました。
江戸前エルフ
『江戸前エルフ』は少年マガジンエッジ誌において連載されている樋口彰彦(ひぐちあきひこ)原作のテレビアニメです。江戸時代に異世界から召喚されたエルフのエルダを御神体にした高耳神社が舞台になります。
エルダは、引きこもりのオタクのようなエルフです。その高耳神社の巫女が小糸で、この2人を中心に話が展開していきます。
小糸は、大人の女性に憧れる背伸びしたい女子高校生で、ぐうたらしているエルダと衝突することもありますが、姉妹のように仲が良く、ほのぼのした作風になっています。
アニメーション制作は、『魔女の旅々』のC2Cで、監督は安齋剛文(あんざいたけぶみ)、シリーズ構成はヤスカワショウゴです。
最終話までテイストは変わらず他の登場人物に男性がいても映さないようにしたり、色々と癒しを求める層に向けての作品だと思いました。星は3.5ですが、アニメの質に関しては間違いなく佳作レベルであり、ほのぼの日常系が好きな人ならもっと高得点になると思ったアニメでした。
カワイスギクライシス
『カワイスギクライシス』は、猫や犬という可愛いペットが好きな人なら絶対ハマるギャグアニメです。原作は城戸みつるの同名漫画で、ジャンプスクエアで連載中です。
宇宙人が地球を観察しにやってきていて、主人公のリザは優秀な調査員として地球の生物の観察しにやってくるのですが、猫カフェに入ってから地球のペットに翻弄されるようになります。
一見するとオーバーリアクションな女性のようですが、宇宙には未だかつて猫や犬のような生物はいなかったため、この反応が宇宙人として普通なことが後で分かってきます。
リザは十代の少女の外見をしているため、ペットの可愛さに悶えていても違和感はありません。普段の口調が男っぽいのも、ギャップが楽しめるようにするためであり、友人の誠ニや華澄にツッコマれることも多いです。しかし、その反面他の宇宙人の反応に対してはツッコミ役になるという、色々な役割のある主人公です。
ギャグとしては、冷静なフリをするリザを始めとした宇宙人が、だんだん地球のペットにメロメロになるところの強烈なギャップが中心になります。ペットあるあるのそれぞれの飼っている動物に思い入れのある論争など、ペット好きの視聴者にとってたまらない話になっています。
制作は『カッコウの許嫁』のSynergySPで、監督は羽鳥潤、シリーズ構成は皐月彩です。アニメとして作画面でもう少し頑張って欲しいところなので、星は3.5ですが、ストーリーやギャグは十分に楽しめられました。
機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2
2022年の10月〜2023年1月にかけて放送された『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、2023年4月から7月にかけてSEASON2を放送しています。学園と百合、GUNDとガンダムといった要素を持ち、シリーズ初と言っていい女性主人公となっています。
今ではガンダムに対して、高齢化が進んでおり、10代の少年少女を取り込むことができれば本作は成功と言っていいと思っていました。すると、SNSのトレンドになっていることからも分かるように、水星の魔女は大成功だと思います。
制作は、ガンダムということでお馴染みのサンライズで、監督は『キズナイーバー』の小林寛、シリーズ構成は『コードギアス 反逆のルルーシュ』の大河内一楼です。
期間を空けての変則2クールという形により、作画はテレビシリーズの領域を超えています。また、本作での見どころであるMSの決闘シーンは、サンライズならではのメカの動かし方があり、説得力のある動きをしています。
従来のマンネリ化を打破し、新規ファンを獲得するという偉業には素直に脱帽しました。よって星は5、今期の覇権確定です。
君は放課後インソムニア
『君は放課後インソムニア』はビッグコミックスピリッツに連載されているオジロマコトの同名漫画が原作のテレビアニメです。また、実写映画が6/23から公開されており、テレビアニメと同じ時期という、かつての『ブギーポップは笑わない』シリーズのようなメディアミックス展開をやっています。
正直、今期には話題作が多く、本作は埋もれていてなかなか目立ちませんが、なかなかどうして上質な青春恋愛ものでした。インソムニアとは不眠症のことで、主人公の中見丸太とヒロインの曲伊咲は2人とも同じ症状です。
2人は物置小屋となっていた天文部の展望台で知り合い、そこで仮眠するという秘密を共有することになります。しかし、倉敷先生に見つかりますが、天文部という形で部室を使う許可を得ます。
丸太は天文部の部長として、活動を認めてもらうため、イベントをやったり、天文写真を撮り始めます。同時に、同じ天文部となった伊咲との距離は縮まっていきます。
制作は『よふかしのうた』のライデンフィルムで、監督は池田ユウキ、シリーズ構成は『理系が恋に落ちたので証明してみた。』の池田臨太郎です。実在する石川県の能登半島の景色など、背景美術も見どころになっています。星は作画、ストーリーのどちらも佳作の4で、この作品は今期でもおすすめのアニメの一つとなっています。
鬼滅の刃 刀鍛冶の里編
3シーズン目にして、4つ目の章となるのが、『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』です。吾峠呼世晴の原作は、週刊少年ジャンプにて連載終了しています。個人的にはジャンプのアクションものというジャンルは苦手なのですが、鬼滅の刃はシリーズ通して観賞している数少ない作品の一つです。
刀鍛冶の里編は、2人の柱と炭治郎が協力して上弦の鬼と戦う話になっており、全編において戦闘シーンの比重が高くなっています。序盤の刀鍛冶との交流や後半の柱の2人の過去の話は、アクセントになっていて、単調にならないような話の構成になっていると感じました。
制作はufotable、監督は外崎春雄という制作陣に変更のないまま、刀鍛冶の里編でも圧巻のクオリティは変わっていません。星は名作認定の4.5で、強豪ひしめく今期の中でも存在感がありました。
地獄楽
『地獄楽』は賀来ゆうじ(がくゆうじ)原作の同名漫画のテレビアニメです。序盤は主人公の画眉丸とヒロインの佐切が、幕府の命によって不老不死の仙薬を目指して、とある島(おそらく蓬莱のこと)に行くことになる経緯が描かれます。
幕府が放った手練れが悉く、植物のようなものに寄生され帰還していることから、死罪人と監視役の首切り役人である山田浅ェ門達がついてきていて、十数人程度いてたのですが、上陸直後に半分くらいに減ります。
いかに超常の力を持つ選抜された死罪人と、山田浅ェ門門下といえ、相手が異形の化け物と、人喰いの生物という環境では生き抜くことも大変でした。また、海流の関係などで船での脱出も困難なことから、中心にある仙薬を入手することを優先して、死罪人と監視役は共に島の内部に向かいます。
作画も良く話も面白いので、視聴を続けました。アニメーション制作は『チェンソーマン』と今期アニメ『ヴィンランド・サガSeason2』のMAPPA、監督は牧田佳織、シリーズ構成は金田一明(きんだいちあきら)です。
漫画原作の作品ですが、MAPPAの作画と演出で良質なアニメになっています。星は佳作の4で、今後の展開が気になるアニメです。
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