今回は、2021年夏アニメレビューの後編です。今回は、NIGHT HEAD 2041、100万の命の上に俺は立っている 第2シーズン、ぶらどらぶ、ぼくたちのリメイク、死神坊ちゃんと黒メイドの5作品です。前編はこちら
目次 この記事の内容
- NIGHT HEAD 2041
- 100万の命の上に俺は立っている
- ぶらどらぶ
- ぼくたちのリメイク
- 死神坊ちゃんと黒メイド
- 小粒な作品の多かった夏アニメ
NIGHT HEAD 2041
“NIGHT HEAD”といえば、1992〜1993年にかけて放送された深夜ドラマで、当時女性を中心に人気がありました。というのも、トヨエツこと豊川悦司と武田真治という、人気俳優を主人公にして、スピリチュアルな要素である超能力をテーマにした作品だったからです。
弟役の武田真治がやたら、「兄さん、兄〜さ〜ん!」って叫ぶ印象が強くてどんな話なのか忘れていました。今回、“NIGHT HEAD 2041”というアニメで、ドラマ版の原作で監督の飯田譲治が構成と脚本を担当しているようでした。
https://youtu.be/QqoLHZ8U2DA
筆者が投稿したこの記事の動画バージョンです。
最初は、今更ナイトヘッドかよ!って思っていましたが、意外にもちゃんと作り込まれており、白組ならではの3DCGに2Dアニメの絵を被せる手法で、直人と直也の2人の超能力を持つ兄弟が描かれていました。
天上天下の木暮維人(こぐれいと)のキャラデザは、どちらかというと俳優ベースではなかったのが好印象でした。舞台は、2041年となっており、1990年代から時代が過ぎた世界の話になっています。
タクヤとユウヤという直人と直也の兄弟に対となる、同じ能力(サイコキネシスとテレパシー)を持つ兄弟が、治安を守る特殊部隊にいます。この2つの兄弟を中心に、物質世界と精神世界の分裂と対立という要素を絡めて描かれます。
ぶっちゃけ、エンディングのMyukの『シオン』の出来が良く、視聴を続けた原因にもなっています。監督は”revisions”の平川孝光(ひらかわたかみつ)で、サイバーパンクっぽい近未来の日本をうまく描いていました。
終盤のスピリチュアルな世界全開の展開には、ちょっとついていけませんでしたが、総じて質は高く、星は3.5とします。というより木暮さん起用するなら、もうちょっと女性キャラ出して欲しかった気が・・・(大汗)。
100万の命の上に俺は立っている 第2シーズン
『100万の命の上に俺は立っている』略して俺100は、原作山川直輝、作画奈央晃徳(なおあきなり)の漫画がベースのアニメです。別冊少年マガジン連載の漫画のアニメ化はハズレがない印象があります。
俺100の第2シーズンは、2021年7〜9月に1クール放送されました。原作がまだ連載中のため、6周目クエスト終了までとなっています。ファンタジー世界に行った主人公の四谷や、ヒロインの衣宇(いう)や紅末(くすえ)の勇者パーティーが、ゲームマスターの用意したクエストをクリアしていくというものです。
今回のクエストも困難なもので、四谷が相変わらず王道ファンタジーの主人公とは異なるアプローチ(主に策略)でクリアしていきます。
今回からは、パーティーに第1シーズンの終わりに出てきた新たなプレイヤー、鳥井が勇者一行に追加されます。四谷と違って陽気で体力バカというキャラクターですが、なかなかどうして、四谷とはいいコンビです。
最後の6周目では、グレンダという大人の女性アメリカ人ジャーナリストが参加します。四谷同様に切れ者で、作戦立案に参加するようになります。ぶっちゃけ、6周目は、ジェズビーという少女が魔物を操る竜術師だったという展開(ある程度読めるとはいえ)が衝撃的でした。
アニメーション制作はMAHO FILMで、監督は羽原久美子(夫は蒼穹のファフナーの羽原信義)、シリーズ構成は吉岡たかおです。2クール目でもしっかりと楽しめる作品で星は4、佳作認定です。
ぶらどらぶ
あの押井守が、総監督、原作、脚本で久しぶりにテレビアニメを手がけたのが、この『ぶらどらぶ』です。押井守監督といえば、パトレイバーとか攻殻機動隊のイメージがありますが、高橋留美子原作の『うる星やつら』で、かつてギャグもののアニメを手がけていました。
ぶらどらぶは、配信が先行していて、2月頃にやっていたそうです。地上波のテレビで放送されたのが7〜9月だったので夏アニメということになりましたが、初出はもっと早かったことになります。
ぶっちゃけ、かなりコアなマニア向けで、押井監督の過去作をフックにしたり(パト2は笑った!)、映画ネタ、1話まるまる使ってねじ式(つげ義春)のパロディなど、知ってるマニアからすれば、凄く面白かったです!
しかし、しかしですよ、そういった引き出しの元ネタ知らなかったら、ただの勢いのあるギャグにしか見えません。吸血鬼のマイと献血マニアの貢の2人の少女の百合っぽい友情の話がメインなのですが、朴璐美演じる保健室の教師とか、個性的な献血部員が登場してくるドタバタコメディです。
アニメーション制作はDrive、音楽はこれまた押井アニメには必須の川井憲次で、星は迷ったのですが、3.5です。というのも、ネタが古い上に、軍事ネタ(これもわかる)も多く、良くも悪くも人を選ぶギャグアニメになってしまったからです。個人的には、巨匠の全力の悪ふざけって感じで毎回楽しみにしていました。
ぼくたちのリメイク
ぶっちゃけ大阪芸大が舞台なので、毎回楽しみにしていたのが、この『ぼくたちのリメイク』です。筆者の地元が、芸大の近くなので島本和彦の『アオイホノオ』のような、大阪芸大が舞台の作品は好きです。
元は木緒なち(きおなち)原作のラノベ作品で、ゲームクリエイター会社にいた主人公の恭也が、10年前にタイムスリップして過去に戻り、芸大に入って同世代のクリエイター達と切磋琢磨するという話です。
撮影の技法や、脚本の基礎など、クリエイター向けの授業が出てきます。原作者の木緒さんも、芸大出身のようで、こういった授業が実際にあったことがうかがえます。後半の同人ゲーム制作など、地味な話が多いので、クリエイター関係の話に興味がない人にはどうかと思える展開が多いです。
ヒロインのシノアキとナナコが可愛いというだけで、濃い要素が不足している感じは否めませんでした。アニメーション制作は俺ガイルでお馴染みのfeel.で、監督は小林智樹です。星は3で、次のクールに期待します。
死神坊ちゃんと黒メイド
最後に紹介するのは、関西では月曜日の深夜読売テレビのMANPA枠でやっていたアニメで、『死神坊ちゃんと黒メイド』です。原作はイノウエによる、サンデー系のウェブサイトで連載されている漫画作品です。
MANPA枠では3作品くらいのアニメ枠なので関西圏の場合は、他のアニメも録画することになるのです。この枠で困ったところはかなり多いCM数で、ここは改善して欲しいところです。
名家の坊ちゃんである主人公は、幼い頃に魔女に呪いをかけられて、人を含めた生物に触れると死なせてしまう体質になります。それによって、実家から離れた別邸暮らしになります。別邸では、黒いメイド服の少女アリスと、初老の執事のロブの2人がいました。
アリスは、坊ちゃんを愛するあまり逆セクハラを繰り返すのですが、触れれば死なせてしまうため、うろたえる坊ちゃんの姿が面白いです。ただ、これは表裏一体で、好きな人に触れられないということにもなり、なんとももどかしい純愛ものともいえます。
坊ちゃんは、ピアノが好きでプロ並みの腕を持っているのですが、クラシックっぽい音楽であったり、中世から近世のヨーロッパっぽい世界観を反映したかのような楽曲なども作品の雰囲気に統一感をもたらしています。
アニメーション制作はJ.C.STAFFです。監督は「ハイスコアガール」の山川吉樹で、3DCGに2D絵を被せたような作画は見事でした。というのも、この手のラブコメ作品でこういった作画の作品はなかなかないからです。
特にアリスの表情や仕草が、かなり凝っていて、とても楽しめる作品でした。評価は星3.5で、もし次のクールがあれば視聴すると思います。
小粒な作品の多かった夏アニメ
2021年度は、春アニメの出来が良く、佳作(星4)が2作品、名作(星4.5)が3作品という素晴らしい結果でした。それに対して、夏アニメは佳作の星4が俺100と転スラの2作品のみ、残りの6作品は3〜3.5という結果になりました。
もちろん、筆者の好みがSFと熱いバトルものというジャンルに偏っている影響は大きいです。正直、春の方が楽しめられたのですが、悪くない作品が多かったのも事実です。つまり継続している、キングダムと白い砂のアクアトープを合わせると、11作品もの数を視聴していたことになります。
つまり、好みではないにせよ、これだけの数を視聴していたということは、小粒ながらもピリリとしたアニメが多かったということになるのです。ただ、欲を言えばもう少しバトルものとかロボットものがあれば良かったというのが、夏アニメに対する正直な感想になります。
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